人外狐お姉さん(身長が大きい)大好きな男   作:覚め

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何回も遠回りをして、その度に疲れ、何やら疲弊したらしい体を触って。


油揚げ

「…入れたな、久しぶりに」

 

人里。特にこれと言って来る意味はないんだけど、八雲藍さんの居場所なんて俺は知らないので。里の油揚げ売ってる場所を巡ることに。八雲藍さんの特徴なんて、人外狐お姉さん(大きい)なのだが、まあ平たく言えば格好いい狐の人外で。変化しても見抜くことはできた。なら、見渡していれば見つけることができるはずだ。できなければ八雲藍さんへの愛を語る不届者ぞ。

 

「…不届者だったのか、俺は」

 

「意外と探し物って見つからないのよね〜」

 

「巫女さんなんか知らない?」

 

「知らないわよ。あいつも外に出てこない引きこもりだもの」

 

八雲藍さんは一体どこにいるのか。人生最大級の感謝を告げたい。人生どころか輪廻を巡ってでも誓いを守ると誓った相手を見つけられなければ、誓いすら守れぬ愚か者だ。どこかにいないのか。そもそも人里にいないのかもしれない。八雲藍さんは人里ではないところで買い物を…外の世界?外の世界!?まずいな、会えないぞ?

 

「少なくともこっちよ。」

 

「だよねー!安心したわ!じゃあまた里寄るわ!」

 

「…わけわかんないわね」

 

人里へ行き。油揚げ売ってる場所にいなかったなぁなんて思いやはり俺は愚かな不届者だったことを認識する。悲しき亡者である。ウォーキングデッドが存在するなら、その集団にも入らない死が俺で、その中で作られたグループも、心のどこかで蔑む嫌なやつだったのだろう。そのまま項垂れて、端のベンチに座り込む。

 

「はぁ…」

 

「どうした?」

 

凛々しくも優しい声が聞こえる。聞き覚えしかない声だ。振り向けば当然、俺が今探している八雲藍さんがいた。帽子の中でも存在を写していた耳は消え、尻尾もない。が、俺はその人を八雲藍さんだと確信できた。金髪で、気品を感じさせる整った顔をしている。困惑した表情もなく、威圧感もない。肌は白く輝いており、そこに金髪の輝きさえもが入り込む。太陽が人に化け人の生活に溶け込むのだとすればそれはおそらく彼女のことだろう。黄金比を思わせるその模様も健在で、俺には美しさを実現させた者のさらにその先、目指すものであると確信できた。そんな八雲藍さんが俺を見つけていた。つまりは、俺の見えるところに八雲藍さんはいた。なのに俺は八雲藍さんを見つけられず。目腐ってんだな、俺は。

 

「そんな思い詰めた顔をして」

 

「好きな人が見つからなくて…好きな人がいそうな場所に行ったんだけどなぁ」

 

「油揚げを売っている場所か?それならやめた方がいい。私もストーカーが出てやめたところだ。」

 

遠回しな警告だろうか。それとも迷惑だからやめろ、と言うことだろうか。それにしては声が優しすぎる。なんだろうか。そのような声色では、期待してしまう。くっ、これが人外狐お姉さん(大きい)の魔力か…!恐ろしいことだ。八雲藍さんはそのまま俺の横へ来た。

 

「えっ」

 

「さて、だ。どうする。そのまま見つけられずに項垂れるか、私と一緒に昼食か」

 

「八雲藍さんと一緒に昼食で」

 

「…せっかく隠しているんだから本名を言うな」

 

「わかりました」

 

うどん屋に来た。味覚を失ったような俺だが、まあ八雲藍さんと共にいるのなら。八雲藍さんと共にいれば、その事実に即した味が出るのは必然。個室へと案内され、さっさか注文。八雲藍さんと同じできつねうどんで。そのまま八雲藍さんと相対しながら料理を待つ。…やっぱ美人だなぁ。こりゃ俺が女でも惚れてますわ。

 

「お待たせしました」

 

「おっしゃきた」

 

「うむ」

 

二人してうどんを啜る。うん、やっぱり味がする。いや、他もするにはするが、薄すぎたり濃すぎたり。でも八雲藍さんと食べるこのうどんは、そんなものを無視して美味い。やはり八雲藍さんと同じ場所でご飯を食べると言う事実が俺の味覚を奮い立たせるのか。嬉しいな。

 

「…美味いか?」

 

「美味いです!」

 

「そうか。それは良かった」

 

「粘土より味がします!」

 

「いつも何を食っているんだお前は」

 

あー幸せ。これはもう、埴安神様に感謝だわ。八雲藍さんにそのままの勢いでもう、何から何まで感謝しちゃう。お礼が、口から滝水のように出て来る。言葉の合間にうどんを啜ってあーやっぱり幸せ。ちなみに伝えた内容はぬいぐるみをくれたことをはじめに、それを無くしてしまったことを謝り、誓いを聞いてくれたことで感謝の幕を閉じた。会ってくれたことも含めたが。

 

「義理堅いな」

 

「義理堅くないとこの世界やっていけないんで」

 

「お前がそれを言うのか」

 

「巫女さんにも同じようなこと言われましたね」

 

じっとり見られる。そう見られると、こちらとしても恥ずかしがらざるおえない。しばらくしてため息をついた後、最後の一口と言わんばかりにうどんを食べ終えた。俺も食べ終えるか、と一気に食べる。うむ、八雲藍さんの通う店なだけあって、最後まで美味い。店を出て郷を歩いてる最中に突然八雲藍さんが立ち止まる。

 

「そうだ。お前は私に何をして欲しいのかが気になる。私が好きだと騒いでおきながら何も要求しないのが気になってな」

 

「対話」

 

「…対話?」

 

「こんな感じでご飯を食べながらでもいいし、スキマとかいう空間の裂け目越しの対話でもいい。願わくば一生涯を貴女との対話に浸したい」

 

「…まずいな、紫様の言っていたことが理解できてきた」

 

「八雲紫はなんて?」

 

「どこか気持ち悪く、美味しそうな人間、と」

 

「ぐあへ」

 

「でもまあ、良いか。月に一度、もしくはそれ以下の頻度で対話くらいならしてやるぞ」

 

頭が止まる。なんだ、何を言った。月一で八雲藍さんと会える?対話が出来る?俺は頭がおかしいのでは?やはり不届者の愚か者では?あ、幸せ麻薬が頭の中でぼーんだ。俺の頭が現実を疑い始めているが、紛れもなくこの八雲藍さんは本物だ。昔幻覚を見たことがあったのだが、その時の違和感を感じない。ちなみにその時は小さい頃の菫子を見てた。

 

「…また固まったか」

 

「良いんですか?」

 

「ああ、良いぞ。私もたまには一人でうどんを食べたりしたいからな。その時には迎えに行くさ」

 

もうそうなりゃハッピーな気分そのままに、そのことを伝えまくるしかなくて。まあまずは地底で埴安神様に言って急に消えても良い!?と許可をとって、待機。八雲藍さんって優しいんだな!俺を殺した時と違うから、スイッチのオンオフ得意なんだろうなぁ。そう思って数日。早くも空間の裂け目はできた。そこからつい最近見た顔が出てきて、俺に手招き。

 

「良し、行こうか」

 

「はい!」




これで終わりです。
マターラ出そうとしたけど混乱するだけだろうなと思ってやめました。
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