人外狐お姉さん(身長が大きい)大好きな男   作:覚め

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館の端で1人座り込む


あれやこれやと

「…いやぁ、今更だけど迷ってるわ」

 

「今更っすか」

 

本当に迷ってるのかさえ怪しい顔だが、まずは何に対して迷っているのか。心当たりがどこにもないからこそ、相手の顔がよく見れるものだ。要するに、マジで会話が一切進んでない。1人で勝手に悩まれて、その種はなんだか俺のような気がして。一体何をどうすればこのような態度が取れるのか。

 

「咲夜…あいつのところに連れて行って」

 

「正気ですか?」

 

「正気よ。だからこそ迷ってる」

 

音も間も無く移動する。何やら期待されているのかされていないのか。とにかく薄暗い場所だ。感覚的に言えば地下だろうか?俺としては地下室は嫌いだ。閉塞感が激しいから。一体何をどうすればここまで閉塞感しかないところで暮らしていられるのか疑問だ。

 

「ねえ」

 

「はいはい」

 

「貴方、人間?」

 

「人間。そう言う君は人外だね。」

 

「咲夜が連れて来たの?」

 

「しらなぁい」

 

「じゃあ」

 

光る。何が光るかは知らないが、目の前から聞こえる声の主が見えるようになった。変な帽子、変な羽、金色の髪。その特徴を揃えただけの少女であった。俺はそんな姿に目を奪われるような下衆以下の感性を持ち合わせておらず、身を引く。すっ転ぶ。地面に頭を打ってぐあっと情けない声を出す。くっそ。

 

「食べても良いのよね?」

 

こちらを見る少女の目は、確かにこちらを見つめていた。ただし、慕う気持ちはなく、かと言って興味もない。近いもので言えば、こちらを一方的に敵視する人里の人間などが当たるだろうか。

 

「…待って、食べちゃダメだわ」

 

「え?」

 

「人外狐お姉さん(大きい)にまた会わなきゃいけないから」

 

「えー…でも、私我慢できない!」

 

叩かれた腕が簡単に悲鳴を…と思ったか?残念。簡単にではなく、豆腐をほじくるように抉った。カニを食べるように口を近づける少女に幻想郷にで初の死を予感した。館では無く寺を選んでも同じ結果であったろうか?今更の後悔をしてももう遅い。

 

「あー、やっば三途の川の向こうに人外狐お姉さんが見える」

 

「…じゅるっ」

 

脳が痺れる。同時に、目が閉じて行く。啜られて快楽を感じるとは、俺もそこまでだったか。耐え難い感覚器官の伝達にもはや何をすることもできず。殴る?もはやほじくられた腕からの快楽でそれも無理。先ほどの言葉でさえ、自分は言ったつもりなのだ。

 

「妹様」

 

「んぁ、咲夜」

 

「パチュリー様、こちらです」

 

「全くレミィもとんだ無茶を…博麗の巫女に退治されても知らないわよ」

 

「あ、私のご飯!」

 

「ダメです」

 

「えー…」

 


 

むくりと起きる。最近は気絶することが多い。起きる途中で右に倒れる。なんだか右手がない気分…とまで来たところで、腕を失う辺りの記憶が蘇った。起きてすぐに目に悪い館だ。少し小言を言うと、天井がすぐに変なもので覆われて目に優しくなった。うむ…それでもまだ、か。

 

「今回のことは、大変申し訳なく」

 

「何日?」

 

「大体三日。三日もあれば、腕はどうにかなるのよ」

 

「腕はって…」

 

「ええ。腕はどうにかなるわ。多分、動かないでしょうけど」

 

「えっ」

 

今右腕はなかった。つまりは、作り出すのか。クローン技術的なアレだろうか。それとも魔法的な義手?何か俺の知らない義手というのは心が躍るものだ。足だけでもドタドタ動かせるぐらい躍る。人外狐お姉さん(大きい)を除いて一番好きなのが新しくて変なものな俺だから少し楽しみ

 

「それまではここで暮らしてもらうから。博麗の巫女にはもう伝言を霧雨魔理沙に頼んだから。乗り込んでこない限りはここで暮らして」

 

「はーい」

 

「ご飯は咲夜が持って来てくれるから。何かあればこのボタンを押して。咲夜が走って来るわ」

 

「え、私の負担多くないですか」

 

「そうだけど?」

 

そんなこんなで、三日間もここに住むことが決まった。最悪な気分である。まあそれはそれとして。とにかく三日間もここで右腕がない状態を受け入れなければならないと言うことだ。人外狐お姉さん(大きい)に想いを馳せた代償にしては小さいと思うので恐らく日本人なのに寺を選ばなかったことへの罰に感じる。

 

「晩御飯です」

 

「あざーす」

 

「…その、プリンはなくても?」

 

「いらないね」

 

「わかりました」

 

そもそも幻想郷と言うのは物資が乏しい(巫女談)と聞いているのにどうやってプリンを作るのか。しかしアレだ。寝ているだけなのは少し暇なので、何か暇つぶしをするしかないが客室だと思われるこの部屋には何もない。驚きな程に何もないのだ。ルームサービスとしてボタンは渡されたが…いやなに、使うのは気が引けるなぁって。本当に、それだけ。なので外に出よう。門番がいたはずだ。

 

「うーす」

 

「うわびっくりした」

 

「嘘つかんでください、気づいてたくせに」

 

「あはは、なんでバレたんですか」

 

「暇つぶしのお相手をお願いしたいんです。暇なので」

 

「太極拳でもやりますか?」

 

「お話の方向でお願いできます?」

 

と言うわけで門番さんと話をする。片腕無くなった理由とか、お前どこ出身なのかとか、チャイナドレスは冬場寒くないのかとか。ちなみに冬はズボンを履いてなんとか我慢してるらしい。可哀想な門番である。ちなみに人喰いなんですよーと軽く言われてもこちらはどう対応すれば良いのやら。

 

「でもまあ、貴方は食べられませんね」

 

「なぜ?人外狐お姉さん(大きい)以外に食べられる予定はないですが知りたいです」

 

「うわ拗らせてる…理由としては、ですね。貴方、ずーっと守られてますよ」

 

「誰に?」

 

「博麗の巫女と…ここに来る時に一緒にいたあの鬼ですね」

 

「…じゃあ」

 

「貴方の腕がなくなったのは、恐らく双方が『相手がどうにかして場を沈めるだろう』と思ってたんじゃないですか?」

 

「鬼の方は酔っ払ってたしなぁ」




霊夢「片腕無くなったそうだけど?」
萃香「え、霊夢がなんとか助け出すと思ったんだが」
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