「真実」の歩み   作:ライダー☆

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第六話 無欲のゴウセル

「貴様らに明日はない……今もない。この私がすべてを――跡形もなく壊すからだ!!」

 

 リュドシエルの口から零れ落ちたその言葉は、もはや宣言ではなかった。それは呪詛であり、天上より降り注ぐ裁きの雷であり、絶滅の予告状だった。彼の目に映るのは、ただ二人の魔神族。命なき肉塊に成り下がった者たち。それ以上でも以下でもない。

 

「未来など与える必要はない。奴らは……誰からも望まれていない!!存在そのものが間違いだ……!」

 

 神の貌を歪めたその天使は、脳天を貫く一撃を放たんと空を裂き、堕ちる隕石のように急降下した、まさにその瞬間だった。

 大地が轟き、空気が悲鳴を上げた。

 突如として飛来した巨大な石の槍が、空から降る裁きの天刃を弾き返す。またあの紅き魔人か——と誰かが叫ぶ前に、そこにはすでに巨体を揺るがせたドロールが立っていた。威風堂々たるその姿は、まるで神話の礎石。大地の化身とも呼ぶべき重圧を纏って、そこに"拒絶"を刻み込んでいた。

 

「何をするのです、ドロール殿!!私は正義の名の下に、"〈十戒〉"を討とうとしているのですよ!!」

 

 リュドシエルの声が怒りと困惑で上擦る。彼にとって、この妨害は"正義への冒涜"に他ならなかった。だがドロールは、その巨腕を組んだまま、悠然と告げた。

 

「……卑怯だ。」

「なっ、卑怯……?何を――」

「動けぬ相手にとどめを刺すなど、戦士として恥辱でしかない。それに……貴殿の"正義"は、本能ではない。理ではなく、執着。その刃は正義にあらず、ただの報復。」

 

 リュドシエルの顔が青ざめた。聖なるはずの言葉が、かえって彼を穢す毒となって返る。そこへ、さらに一つの声が重なる。

 

「……そうッスね。」

 

 背後から届いた軽やかな声。それは一見、リュドシエルに賛同するかのような響きを孕んでいた。希望の綱を見出したかのように、彼は反射的に振り向く。そこにいたのは——グロキシニア。

 しかしその双眸は、まるで凍てついた湖面のように冷たく、怒りと哀しみを沈めた光でリュドシエルを見据えていた。

 

「グ、グロキシニア殿……?」

「確かに、戦いにおいて"卑怯"なんて言葉は意味を持たないと、そう思う部分もあるッスよ。でもね、それが……"十戒"を命を懸けて救ったエリザベスの覚悟を踏みにじっていい理由にはならないッス。」

「!!……な、何を――」

「それに……あたしの森に無断で恩寵を撒いたあげく、バリアって名の"生き餌"を仕込んでたってどういう了見ッスか?どんだけ……どれだけ、あたしを、コケにすれば気が済むんスか?」

 

 グロキシニアの声には、過去の痛みと怒り、そして赦し難い感情が籠っていた。リュドシエルの足は地に縫い付けられたかのように動かず、言葉すら喉に詰まる。

 その場にエリザベスを抱いたメリオダスが降り立つ。彼はこの場を鎮めたふたりに深く礼を述べた。空から見下ろしていたサリエルとタルミエルも降りてくる。だがその返事は素っ気なかった。

 

「礼など要らぬ。我らはただ……エリザベス様の味方なだけだ」

 

 虚飾も飾りもない、率直な意思だった。そのとき、グロキシニアがメリオダスへ問いを投げかける。

 

「いいんスか、メリオダス?」

「ん?なにが?」

「"十戒"の二人……あんたが助けたからって、仲間になるとは限らないッスよ? また襲ってくるかもしれないし、今度は殺しに来るかも……」

 

 メリオダスは一瞬だけ思案したように黙ったが、すぐに満面の笑みを浮かべて答えた。

 

「ああ?……まぁ、そん時ゃそん時だ!!」

 

 あまりに軽いその言葉に、巨人王と妖精王は同時に肩を落とす。

 

「ほんっと、軽いやつッスねぇ……」

「まぁ、そういうところが……あなたの"いいとこ"なんでしょうが。」

 

 そんなふたりの目線の先——気を失っていたはずのモンスピートとデリエリは、既に目を覚ましていた。だが身じろぎ一つせず、じっとこちらを見つめていた。鋭く、静かに、けれど笑みを湛えた瞳で。メリオダスの言葉に、彼らは何かを感じ取ったのだ。

 その時、彼は不意に首を上げ、空を仰いだ。

 

「あれ……そういや、ガランのやつ……どこ行ったんだ?」

 

 空は静かだった。しかし、そこには確かに何かが……不穏に、漂っていた。

 

────

 

(ああ……これは、まずい。いや、拙いどころではない……致命的だ……!このままでは、リュドシエル様に何と申し開きを……!!)

 

 ネロバスタの瞳が、まるで蒸気を吹いた圧力釜のように大きく見開かれる。恐怖と焦燥に飲まれたその顔は、理性の温度を遥かに超え、理路の回路を焼き切っていた。滝のように流れ落ちる冷汗。絶望という名の猛火に炙られた下唇が噛み裂かれ、朱の雫が首筋を伝う——それでも痛みすら感じない。思考の全てが、破滅の未来に吸い込まれていたからだ。

 

 「十戒」の魔手が、天界の神域たる〈恩寵の光〉を侵蝕していた。かの光の城塞が、今や闇の勢力に穢されつつある。門は開かれ、侵入は完了している——なぜ、なぜ私はそれを見逃した? どうして、あの瞬間の記憶が霧のように曖昧なのだ……?

 

 リュドシエルは、凍てつく怒りの仮面の奥で激しく歯を噛み締めていた。築き上げてきた策謀が瓦解し、膨大な時間と犠牲が水泡に帰した今、彼の心に残された選択は一つ。最終手段…弟、「マエル」の召喚である。

 だが、それにはネロバスタの助力が不可欠だった。意識の奥底にだけ届くよう、誰にも悟られぬよう、彼は慎重に、静かにテレパシーを送る。呼びかけは繰り返され、波のように彼女の精神を打ちつけた。

 

 そして——その反響があった。脳内に微かな震えが生まれ、途切れていた意識の鎖が再び繋がる。リュドシエルの声が、呪縛の霧を払い、彼女の「意志」を揺さぶった。

 だが——皮肉だった。目覚めた精神に蘇ったのは、忠誠でも献身でもなかった。それは、狂気に限りなく近い焦燥と、底無しの絶望だったのだ。

 〈恩寵の光〉の中心で、二つの影が佇む。暗黒の魔力をまとい、空間すら歪ませるその異形たち——メラスキュラとゴウセル。戦場の華というには異様すぎる光景だった。

 

「ふふ……もうじき門の構造を変換できるわ。魔界仕様にね」

「いやぁ、見事な手際!名人芸だな〜〜!」

「変な褒め方しないでよ、ほんと調子狂うから……」

 

 ゴウセルの無垢な称賛は、まるで無音の地雷。踏まれた側は反応せざるを得ない。褒めれば喜ぶと思うのが人の常。だが、彼女にとってそれは逆鱗だった。

 

「だから……そういうの、やめてって言ってるでしょ……!」

 

 メラスキュラの声はわずかに震えていた。それが怒りなのか、羞恥なのか、あるいは自分でもわからない感情に戸惑っているのか——それは彼女にしかわからない。

 一方で、ネロバスタの心は徐々に現実の重みに引き戻されつつあった。焦燥の霧が晴れ、彼女は思考を取り戻す。そして気づく。敵は〈十戒〉の中でも非戦闘型、「信仰」の女と「無欲」の少年——ならば、まだ勝機はある。

 ネロバスタは即座に意識を映し、「光の聖痕スティグマ」たちへとテレパシーを発した。

 

「緊急事態です!〈恩寵の光〉が"十戒"に占拠されました!!」

「なにィ!?」

「なんだって……!?」

 

 騒然とする妖精族と巨人族。だがその中で、人間のロウとゲラードだけは冷静だった。ゲラードはロウの隣にいた。それが彼女に一縷の安心をもたらしていた。

 皆が怯え、勝ち目はないと絶叫する中、ネロバスタの叱咤が飛ぶ。

 

「黙りなさい!!相手は非戦闘型です!数で押せば制圧は可能!!いかなる犠牲を払おうと、〈恩寵の光〉を取り戻すのです!!」

 

 その言葉は、戦場に新たな火種を灯した。そして

 

「……じゃあ、俺たちの出番だな」

 

 ロウが木の幹から立ち上がる。途端に、彼の行く手を阻む影。巨人族の一人が鋭い目で睨みつけた。

 

「人間風情がしゃしゃり出るな。貴様のような飛び入りの存在に、戦場に赴く資格なんざ――」

 

 その言葉の終わりは、血の飛沫に呑まれた。

 ロウの姿は一瞬で消え、次の瞬間、巨人は自らの喉から噴き出す血を見て膝を折り、そのまま崩れ落ちた。誰もが目を疑った。人間が——たった一人の人間が、巨人を瞬殺したのだ。

 

「やつだ!あの人間がやったんだ!!」

 

 誰かの叫びを合図に、妖精族が突進する。しかしその小柄な体は空を切り、返り討ちに遭って地に伏した。音もなく。まるで刃に刻まれた紙のように。

 ゲラードの目に映るロウは、もはや先程の穏やかな青年ではなかった。彼の周囲には、獣すら遠ざける殺気が満ちている。優しさという名の仮面の奥に潜んでいた本性が、いま剥き出しになっている——猛禽類。鋼の翼を持ち、慈悲を斬り捨てる鷲のように。

 

「門番!こいつを〈恩寵の光〉に近づけては……!」

 

 だが、その叫びは時すでに遅し。ロウの周囲にいた三人の人間たち。その仲間たちが、門を守る番人を次々と討ち取っていた。悲鳴も、赦しの言葉もない。ただ、冷酷な処刑のみがそこにあった。

 

「魔神族と結託していたのか!?裏切り者か!?」

 

 ロウは肩越しに振り返り、笑みのようなものを浮かべながら言った。

 

「目的が一致しただけだ――」

 

 その声には、もはや迷いなど一欠片も残されていない。激情の火に炙られた鉄の意志だけが、今の彼を支配している。彼は、階段を一歩ずつ登る。その背には、彼が叫ぶ宣言が刻まれるように響き渡った。

 

「俺等の目的は………「光の聖痕」の抹殺だーーーー!!!!」

 

 雷鳴のような咆哮。鋭利な殺意が、まっすぐに一人の妖精族を射抜いた。視線が交差した瞬間、標的は既に定まっていた。ロウの肉体は、刃のごとく空を裂き、音より早く標的に向かって——飛ぶ。

 

────

 

「うぅむ、少しぐらいはあやつらと一緒に話したりしても良かったのかもしれぬが……今は儂が先に逃がしたフラウドリンという奴のもとにいかねばなるまい。」

 

 ガランは戦の幕が下りるや否や、誰よりも早くその場を離れていた。戦友との余韻すら惜しむことなく、己が使命のみに焦点を絞る様は、まるで切っ先を定めた槍のごとき直進。大気を裂いて駆けるその姿は、獲物の匂いを嗅ぎつけた獣さながら、背を低くし、腕と脚を地を這わせるように畳み、四肢すら用いて疾駆する。

 彼の感覚が地中に染み込んだ魔力の残滓を掴んだ。かすかに漂うその気配は、右手方向へ曲がった先にあると彼は一度判断する。だが、

 

「……む?」

 

 ガランは足を止めた。まるで風が止まり、空気そのものが引き攣るような感覚。指先を空中に掲げる。まるで見えぬ水脈を辿るダウジングロッドのように、指が小刻みに震える残響を追う。彼は指で"力"の筋を感じ取ることができた——その筋は、右ではなく、まっすぐ前方に伸びていた。正確には、遥か彼方、まっすぐに進んだ先に、途切れがちに脈打つ強大な魔力の波動。

 

「……ちと妙じゃな」

 

 右手には密林。木々が鬱蒼と生い茂り、道なき道が続いている。一方、正面は陽光が差し込む開けた一本道。素直に行くならば、誰が見ても前方を選ぶはず。では、なぜ"彼"は最初に右を選んだのか——?

 数秒間、熟考する。しかし答えは靄の奥に沈んだまま浮かんでこなかった。思考は剣にはならぬと悟り、彼は道を選ぶ。前へ。迷いを棄てて、ただまっすぐに。

 

「しかし……女神族というのは、どうにも見た目に反して剣呑じゃったな……。もう少し天使然とした物腰を期待しとったが……現れたのは、武器を構えた神の皮を被った化け物どもよ。儂はもう、あやつらとは二度と戦いたくないわい。」

 

 重たい独白が口を突いて出た。無言の空間に耐えかねたのか、あるいは思考を整理するためか、ガランはぶつぶつと独り言を続けていた。だがそのせいで、彼の注意は足元ばかりに向いており、周囲の異変に気づけなかった。

 ——叢が揺れる。気配もなく、まるで自然の一部が急に意志を持ったかのように。

 

「ばあ!!」

 

 甲高い声とともに、茂みから子どものような無邪気さを帯びた男が飛び出した。ガランは完全に虚を突かれた。勢いそのまま、相手の身体に頭から激突する。ゴチン、と間抜けな音がして、彼は仰け反りながら後退。眉間を抑えて悶絶する様は、巨体の威容に似合わぬ滑稽さであった。

 笑い声が響いた。相手の男は腹を抱えながら、朗らかに笑っている。

 

「はっはっは、ごめんね。ちょっと驚かせたかっただけなんだ。」

「ぬおおおお……ぉ?お主、何者じゃ?」

「何者?……それはおかしいな。君は俺のことを"知っている"はずだ。いや、"真実"を視る君の前で、こんな質問をすること自体が"おかしい"のかもしれない。」

 

 言葉が氷のように冷たく、意味深に落ちてくる。どこか歯車がずれているような、抑揚と論理のない対話。

 

「……?言っとることがサッパリわからん。お前さん、名は?」

「俺の名はゴウセル。」

 

 ガランの瞳孔がわずかに収縮する。その名は記憶の片隅に残っていた。つい最近、モンスピートから漏れ聞いた名前。

 ゴウセル。彼はメラスキュラと共に恩寵の光にいるはずだった。

 事の発端は、ただひとつの"魔力の接近"だった。彼の知覚がその予兆を感知した瞬間、無表情な仮面の裏で、確かな意思が灯った。彼は即座にメラスキュラへ報告を行い、「酒樽五本を奢る」という条件で、その座標の近辺への転移を取り付けた。だがその時点では、迫ってきている力が"誰のものか"までは、読み切れていなかった。ただ漠然と——それが「非常に強い」ことだけは、確かに感じていた。

 そして、正面衝突。互いの身体が激突した瞬間、不可視の衝撃波が木々の葉を揺らし、空気に微かな皹を刻む。その瞳に映った相手の姿を見た時、ゴウセルは心の内で、まるで台詞のように呟いた。

 

(……なんと、意外な人物!)

 

 無機質な演算器官の奥から、予期せぬ"感情"のひとしずくが湧き出した瞬間だった。

 

「……ゴウセル?あぁ、なんかちょっと前に聞いたなぁ、その名前。モンスピートからじゃったか……」

 

 ガランの声には、混乱と納得が入り混じっていた。掘り起こされた記憶の破片を繋ぎ合わせるように、ゆっくりと口を開く。

 

「おお、そうだったのか。」

「それでな、モンスピートが言うとった。記憶を……お主に消されたかもしれん、とな。……だが、今の様子じゃ、どうやらお主は無関係のようじゃな?」

「全く知らない。」

 

 ゴウセルの返答は、即答だった。それは、単なる否定ではない。歯切れが良すぎるその言葉は、まるで感情を機械仕掛けで再現したような、不自然な"断言"であった。

 

「……まぁ、薄々気づいていたが……そうじゃろうな。」

「……さっきのは許してくれ。悪気はなかった。」

 

 ゴウセルの声が、唐突にトーンを落とした。低く、湿ったような囁き。機械の発する合成音ではなく、生身の声帯から漏れ出したような、妙な温度のある声音だった。

 ガランの背筋に、見えざる氷の指が這った。嫌悪とも、恐怖ともつかぬ感覚が皮膚にまとわりつく。なぜだかわからない。だが——眼前の男を"ゴウセル"と認識することに、強い違和感があった。

 

「初対面でこんな質問をするのはおかしいと自分でも思うが、訊きたい。お主……本当にゴウセルか?」

 

 問いは無意識のもとに漏れた。疑念という名の棘が、言葉の奥底に刺さっていた。

 

「……ほう。真理を突いてくるな。」

 

 ゴウセルの目が細められた。感情のない仮面の奥で、何かが微かに笑ったように見えた。

 

「やっぱり、そうか?いやな、今の声色の変わり様……どうも腑に落ちんかったんじゃ。いくらなんでもそこまで機械的に変化するかと。いや、生活の中で癖としてそうなるかもしれんが——」

「まぁ、その答えは……いずれ君自身が知ることになる。そのためにも——少しだけ、待っていてくれ。すぐに"わかる"から。」

 その声には、確かな意図があった。"何か"を始めようとする者の声音だった。

「……待っていてくれ?う〜む……悪いが、それはできんぞ。」

 

 ガランは目を細め、足元の地面に視線を落とす。そして、右手で空気を裂くように魔力をなぞった。

 

「今わかった。こうして立ち止まっておると……ここからまっすぐ、そして左に折れた先、魔力が極端に薄れておる。まるで、誰かの存在が消えていくような気配じゃ。儂の目的はフラウドリンの発見。その彼の魔力が消えかけておるとすれば——確かめねばなるまい。」

「……そうか。」

「それにな、お主の答えがどうであれ、儂の目的とは"かけ離れておる"。だからな——悪いが、ここでお別れじゃ。」

 

 彼が踵を返し、消えゆく魔力の方向へ足を向けた、その瞬間。

 空間が粘つくように歪んだ。無数の不可視の糸が、彼の四肢を縛るように絡みついた。まるで時そのものが凍りついたように、ガランの体は硬直し、動きを止めた。

 

「な、なんじゃこれは!?お主、何のつもりじゃ!?」

 

 声に怒りが滲む。だが、それ以上に濃いのは困惑と警戒だ。かつてなかった感覚に、肉体が脅かされていた。

 

「……門が完成するまでは、お前をあの塔に近づけるわけにはいかない。」

「……あの塔、か。なるほど、魔力が薄れておる先に、塔があるわけじゃな。だが、儂は何も壊さん!何も邪魔せん!ただ確かめたいだけじゃ!」

「"真実"のようだな。ならば、俺も同行する。」

 

 その言葉に、ガランは目を丸くした。

 

「お主もぉ?……ま、まぁええわ。なら早うこの呪縛を解いてくれんか。こうして身動きが取れぬのは、気味が悪くてかなわん。」

「あぁ。」

 

 彼らは走りながら恩寵の光の下へと向かう。その途中、ガランはゴウセルに大体のことを聞いた。恩寵の光のこと、「光の聖痕」のこと、そこで人間の反乱が起きていること……道中、ガランは息を弾ませながら口を開いた。言葉は途切れながらも、問いは鋭かった。

 

「なんでそんなことするんじゃ、人間が……?」

「さぁ……今のところは不明だ。だが、巨人族・妖精族・女神族の三つの種族が、何らかの形で関与していることは、ほぼ確実だ。」

 

 ゴウセルの声は相変わらず機械めいていて、それでいてどこか愉しげだった。

 

「何かを仕掛けたか……ありそうじゃな。特に女神族。見た目の美しさと裏腹に、奴らは猛禽じゃ。血に飢えた笑顔を持っておる。」

「そのとーり。」

 

 ガランは肩をすくめる。まるで道化のような調子に、どうにも調子が狂う。

 

「……本当にお主、得体が知れん。儂の長い長い生涯の中でも、お主みたいなのは初めてじゃ。」

「ほう……生前にもか?」

 

 ガランの足が、一瞬だけ止まった。

 

「!?……驚きじゃ。その"生前"という言葉、お主の口から出てくるとはな。まだ話しとらんはずじゃが。なぜそれを……?」

「俺はお前の記憶を、お前以上に知っている。ついさっき、"ごっつんこ"した時にな。」

「……頭がぶつかったからなのか?」

「いや、それ自体はただの偶然だ。都合よく頭蓋が接触しただけだよ。でも面白い。生前の記憶を宿したまま、老いさらばえた魔神として転生するとは……これは稀有だ。すべてが"ガラン"とは異質で、異端で、興味深い。掘り下げたいが……さて、その時間があるかどうか……」

「"時間があるか"とは……どういうことじゃ?」

「ふふ、それは"答え"が出たときに聞けばいい。君自身の口から、「直」に……。」

「じ、じかぁ?なんか……話の内容がよう掴めん。」

「掴めなくていい、今はまだ。そのうち理解する時が来るさ。……っと、お喋りはここまでだ。着いたぞ。」

 

 ゴウセルの言葉と同時に、地面の向こうから熱気のような生臭さが鼻腔を突いた。次の瞬間、視界が開け、そこに広がっていたのは——

 地獄だった。

 戦いが刻んだ傷痕が地表に刻み込まれていた。鮮血が土を汚し、内臓が地面に撒き散らされ、骨が木の幹に突き刺さっている。まるで狂気が描いた抽象画のように、惨劇が一面に広がっていた。腐臭と焼け焦げた皮膚の匂いが入り混じり、空気は厚く粘りついている。

 ガランは思わず呻いた。

 

「……あぁ……」

 

 呻き声は喉の奥で震え、酸味が舌に広がった。胃の奥が攪拌されるようにざわつく。口元を手で押さえ、目を背ける。

 

「……なんという……ことじゃ……これは……!!」

「ガラン。前を見てみろ。」

 

 彼の指差す先に、異様な光景があった。

 人間が、人間を殺していた。

 先ほど妖精の足を切り落としていた男——その胸元に、短剣が深々と突き刺さっていた。白目を剥いたまま仰向けに倒れているその男の上には、別の人間——少年が立っていた。

 その少年——ロウは、血に濡れた剣を握ったまま、地に伏せる妖精——ゲラードの身体を優しく抱き起こし、己の胸元にそっと横たえた。血塗れの地上に咲いた一輪の悲劇。少女の顔は真っ青で、意識は虚ろだったが、彼女の瞼がゆっくりと震え、そして開いた。

 彼女の視界に、ロウの顔が映る。焦点の合わぬ瞳が徐々に現実を捉え始め、そして……その目に、ぽたりと涙が浮かんだ。その涙は、戦場という名の砂漠に滴る露。死と喪失の荒野の中で、確かに生きているという証であり、喪われた安寧の微かな残響だった。

 

「……なんで……俺を殺さなかった」

 

 問いというにはあまりに静かで、言葉の端に触れるだけで崩れ落ちそうな声だった。ロウが目を細める。その答えを、ゲラードは肺の奥から血の泡を抱いて絞り出した。

 

「あなたと……話をしたとき…………あなたの中に、怒りと……悲しみと……それから……ある顔が見えたの。……私に、よく似た少女の……顔が…………」

 

 ロウはそれを肯定も否定もせず、ただ口を開いた。語られたのは、過去という名の墓場に埋もれた物語だった。その声を、森の木陰に身を潜めるふたりの「十戒」——ガランとゴウセルは、枝の葉擦れ音に耳を潜ませるように聴いていた。

 

「……これ、盗聴ってやつじゃよな?」

「だが、放ってはおけぬ内容だ。」

「……まぁ、確かにのぉ。」

 

 ロウの言葉は、記憶の層を剥ぐように紡がれていく。

 幼い頃、ひとりの少女がいた。いじめられていると知れば、彼は飛ぶように駆けつけた。汚れた頬を拭ってやり、泣いていた顔に笑みを咲かせた。やがて二人は、未来を共に歩むものとして幼い誓いを交わした。だがその未来は、夜明けを待たずして焼き捨てられた。「光の聖痕スティグマ」——その名のもとに村は蹂躙された。理由もなく、警告もなく、まるで虫を踏み潰すような感覚で、神の軍勢は村を血で洗った。彼女は石柱の下で潰れていた。白いマーガレットを握ったまま。かつてロウが摘んで贈った、春の約束の証だった。

 唯一の「罪」と呼ばれるとすれば、それはかつて一度、村に流れ着いた魔神族を助けたことだった。最初こそ恐れていた村人たちも、やがてその魔神の人となりに心を開いた。正直で、無邪気で、そして、どこまでも優しかった。その行為は、天にとっては贖えぬ大罪だった。

 村が焼かれた日、ロウと数人の少年たちは山で狩りの訓練中だった。生き延びた代償に彼らが背負ったのは、無限に等しい喪失と慟哭。彼らの成長は、復讐の炎によってのみ育まれた。今、その炎は刃となり、仇を討った。

 

「……めでたし、めでたし。」

 

 それが物語の終わりを示す、あまりに空虚な終止符だった。

 

「……あいつも、少しは喜んでくれるかなぁ……」

 

 ゲラードの心は彼の思念を拾った。——俺のやったことは、「光の聖痕」と何ら変わらねぇ。

 それは嘘だった。そう、彼女は呟く。「あなたは、嘘をつくのが下手ね」——その声には、咎めも怒りもなかった。ただ、静かな慈しみだけがあった。

 

「私も……許されない罪を犯したわ」

 

 ゲラードの視線が、彼の瞳の奥に射抜くように注がれる。

 

「聖戦を終わらせたくて……兄上の森を取り戻したくて……その一心で、リュドシエルの非道を、黙って……見て見ぬふりをしていた……」

 

 その喉の奥から突き上げる咳が、血を伴って彼女の口からあふれ出す。紅に染まった掌を見て、ロウはあわてて手当てをしようとする——その動作を、ゲラードのかすかな笑みが制した。壊れたガラス細工のようなその笑みは、狂気ではなかった。錯覚だった——ロウの心に宿る幼馴染の幻影が、あまりにも自分と重なって見えたのだ。それがただ、くすぐったかった。

 

「あなたといると……心が、あたたかくなるの……何なのかしらね……この思いは…………」

「…………さぁな」

 

 その瞬間だった。空気が一変する。

 重たく、鉛のような圧が大気に沈殿し、音も光も一瞬で押し潰される。肌が粟立ち、心臓が刃の先に晒されるような錯覚にとらわれる。ロウも、そして木陰に潜んでいたガランとゴウセルも、それを確かに感じ取った。

 

 "気"が、来る。

 

 それはただの魔力ではない。大気が震え、空間が軋み、世界そのものが硬直するような「意思」だった。まるで山が歩いてくるような圧倒的な存在感が、森の奥からこちらへと収束してくる。

 気の主は、妖精王グロキシニア。彼の赭色の双眸が、血と泥に染まる地上の一点に釘付けになっていた——妹・ゲラード。膝から下を失い、折れた枝のように大地に横たわる彼女。その肩には、一人の人間の手があった。少年——ロウ。

 グロキシニアの心臓が凍り、焼けついた。空洞になった胸に灼熱の雷が落ちたような錯覚とともに、彼の中の何かが壊れた。妹の足がない。声が出せないほどに損壊している。あの人間が、それを……。

 ロウの顔に浮かんでいた微笑——それは悲しみを押し殺す者の笑みであったが、グロキシニアには「加害者の陶酔」としか映らなかった。理性という名の鎖が、ブチブチと音を立てて弾けていく。彼は一歩、また一歩と進みながら呟く。深淵の底から絞り出すような、呪詛の言葉。

 

「……妹から、その手を放せ。」

 

 その声には、神の祝福も、王の威厳もなかった。ただ一人の"兄"としての、怒りだけがあった。

 ロウは静かに、目を閉じ、深く息を吸う。そして、彼女を見下ろしながらぽつりと告げた。

 

「生きろよ、ゲラード。」

 

 その声は遺言だった。たった今、彼は"死"という結末に、自ら歩を進めたのだ。

 

「放せぇぇぇえええええええ!!!!!!」

 

 グロキシニアの叫びは咆哮となって森を揺るがし、狂気の風となって全方位に暴風を撒き散らした。もはや誰の声も届かない。妹の「違う、違う」とロウを助けるために泣き叫ぶ声も、地の底から這い上がるような嘆きも——彼の耳には届かぬ。

 

(次に生まれ変わったら……必ずお前を護る。例えどんな姿になろうとな……お前の大切なものは、俺が護る。)

 

 グロキシニアは事の顛末をすべて知っていたわけではなかった。ただ、ドロールが語ってくれたわずかな言葉が、今も脳裏で、亡霊のように反響している。

 

 ——「森の留守は俺らに任せてくれ。」

 

 そう言ってロウは彼らを送り出したという。「〈恩寵の光〉近くの魔力が消えていく……。もしかすると、十戒がいるのかもしれません」と、ドロールは続けて言った。

 

「……巨人族の私では、この距離を戻るには間に合わない。だからグロキシニア……彼を、助けてあげてください。あなたの速さなら、まだ間に合うはずです。……あの人間は、"優しい"んです。」

 

 優しい、だと? 虫唾が走るほどに、空疎な言葉。鼻で嗤うしかない。その人間の"優しさ"とやらが、妹の両足を引き裂いたというのか?

 ふざけるな……!

 ふざけるなよ……!

 よくも——よくも、俺の妹を!!!!

 

「アアァアアアァァアァアアァアア!!!!!!!!」

 

 咆哮。もはや言語にすらならぬ、絶叫の奔流。

 その時、ロウは立ち上がっていた。空を裂く霊槍・バスキアスが、雷光のごとく彼へと迫る。あれは天罰の矛だ。神の赦しなき者を貫く、断罪の閃光だ。

 ロウは、逃げなかった。手も足も出さなかった。ただ、真っ直ぐに槍を見つめ、両腕をだらりと下げて、薄く笑った。

 

「さぁ……殺せ。」

 

 不思議なことに、その瞬間から彼の五感は崩れ落ちていった。音が遠のき、視界が滲み、皮膚の感覚がなくなる。

 

(……あれ?まだ槍は届いてねぇのに……体の感覚が……消えてく……あぁ、血が……出すぎたか?)

 

 ——ズアッ。

 

 肉が裂ける音はなかった。骨が砕ける音も、断末魔の叫びもなかった。ただ、「上半身」という存在そのものが、空間から削ぎ落された。霊槍バスキアスは、ロウの体を物理的に"消去"したのだ。残ったのは、膝から下だけ。だがそこに、一つだけ不自然なものがあった。

 彼の左手。それだけが、断たれた胴の反対側から、ゲラードの背に優しく触れていた。まるで、彼女を慰め、包み込むように。兄がすでに失った"優しさ"を、彼に代わって届けるかのように。

 

「フゥーー……………ゥゥ……!!!!」

 

 グロキシニアの怒りは、止まらなかった。いや、止められなかった。怒りが脳を侵食し、思考を破壊する。獣じみた荒い呼吸とともに、彼の魔力は暴走を始めた。バスキアスの形状が変わり、槍というよりも巨大な"蔓"が地を這い、森を破壊し、倒れ伏すものすべてを砕いた。巨人族。妖精族。人間。女神族。誰彼の区別もない。もはや彼にとって、世界は"怒りの対象"でしかなかった。

 恩寵の光がその怒りを照らす。黄金の光に包まれながら、彼は発狂したままその中心へと歩を進めていく。そこに何があるのかなど、もはや彼の中には"知覚"という概念すら残っていなかった。

 その光景を、ゴウセルは静かに見ていた。彼の指が眼鏡のつるを持ち上げ、レンズをくいと押し上げる。そして、長く、深い溜息。

 

「怒り。嘆き。悲しみ。憎しみ。……彼という器の中に、感情の毒が充満している。なんとむごたらしい……」

 

 その目に映るのは、無残な死ではなかった。報われなかった生、だった。

 

「……だが、それ以上に哀れなのは……彼だ、あの人間………」

 

 言葉を切ったその時、ふと目に飛び込んできたものに、ゴウセルの瞳が揺れた。石と化したロウの下半身。無惨に転がるその足元に、置かれた左手。それが、ゲラードの背を——まるで、母が子を包むように——やわらかく撫でていた。

 ゴウセルは、理解した。そして、視線を横にずらす。その先には、〈十戒〉——ガランがいた。

 

「——「真実」の戒禁……君が?」

 

 ゴウセルの声は冷えた湖面のように静かだった。その水面に一石を投じるように、ガランは笑った。声は太く、老木が軋むような音を含んでいた。

 

「あぁ、そうじゃとも。儂よ、儂。あの二人のやり取りを、壁越しにじっくり盗み聞きさせてもろうたわい。"嘘をつくのが下手"……あの娘のその一言。それが鍵じゃった。」

 

 ガランは腕を組み、空を見上げる。雲ひとつないその蒼穹を、まるで後悔と誇りが入り混じった複雑な感情で見透かすように。

 

「……それを"活用"した。ロウを、石に変えたのじゃ。」

「なぜ、そんなことを?」

 

 ゴウセルの声に、かすかに熱が宿る。無機質な面立ちに影が差す。すると、ガランの瞳が、深く、濁った井戸のように沈黙をたたえた。

 

「…………ひどいもんじゃないか。確かに、やっとることは、光の聖痕と何ら変わらんかもしれん。いや、むしろ…より残酷かもしれんの。」

 

 吐息のような声で、彼は語り始める。

 

「………じゃが、悲惨さで言えばどちらが上か?少年時代に痛烈なトラウマを植え付けられたあやつが上に決まっとる。ただ復讐のためだけに自らの人生をぶっ壊す羽目になったあやつが上に決まっとる。」

「…………ガラン、君は……」

 

 しばしの沈黙。風が草を撫でるように過ぎた。

 

「……儂は、憐れんだのじゃ。そんな資格があるかは分からん。儂は今、"十戒"じゃ。多分、この体は、幾千の命を奪い、数多の町を灰にしてきたじゃろう。だが……それでも、儂は儂じゃ。偽善によって生まれた"善"を、そのまま見過ごすことはできなかった。」

 

 目を細めたガランは、ゴウセルを見つめた。その瞳には、濁った情の火が揺らめいている。

 

「人間というものは、痛いのが嫌いじゃ。誰だってそうじゃ。あやつも、すでに復讐という形で己の痛みを味わい尽くしたはず。ならば、せめて最期くらいは、痛みもなく、安らかに終わってほしかった。それだけのことよ。」

 

 その言葉に、ゴウセルは手を打った。掌が小さく響く。まるで舞台を終えた俳優に贈る、無音の喝采のように。

 

「……君の魂は、高潔だ。」

 

 機械仕掛けの彼の声には、なぜか温度があった。

 

「荒々しさも、怒りもない。ただ、池の辺を渡る風のように静謐で、柔らかく……だが、確かにそこに在る。君の"真実"は、芸術だ。」

 

 それを聞いたガランは、鼻を鳴らして笑った。

 

「ほぉ〜う、芸術とはな。そりゃまた、大層な称賛をありがとのぅ。」

 

 腕を組み直し、続ける。

 

「だが、儂だけじゃないぞ。フラウドリンも、モンスピートも、メラスキュラも、皆、どこかに"芸術"の芽を宿しておる。お主が言うような、形のない美というやつをな。」

「……それは、きっとそうだろうね。だけど君は、そのなかでも、ひときわ輝いて見えたんだ。形容は……難しいが、確かに"特別"だ。」

「ぬぅ、照れるわい……」

 

 ガランは照れ笑いを浮かべたが、その口元はすぐに引き締まる。

 

「さて、話は変わるが——あの狂った妖精王、止めに行くか?」

「……いいや。必要ない。彼は、じきに止まる。」

 

 ゴウセルはそう言った後、ふと宙を見た。

 

「……その前に——」

 

 ——君とあえて良かった——

 

 二つの声が、重なった。

 一つはゴウセルの声。もう一つは、どこか内に深い落ち着きを湛えた、柔和な声。

 ガランが咄嗟に振り返る。そこには、車椅子に座った男がいた。紅色の髪、静かな微笑。手を差し出し、握手を求めている。

 

「お……お主は……?」

「俺が、"答え"だ。」

「重複……しておる?なるほど、理解したぞ。ゴウセルじゃな?まさか、こんな物静かな男が本体とはな。」

 

 男が語るたびに、ゴウセルの唇も同時に動く。まるで音声の反響のように。だが、それがわずらわしいと判断したのか、男はふとゴウセルを見やり、短く言った。

 

「同調切断」

 

 直後、ゴウセルの身体が糸の切れた人形のように、首から力を抜いて沈黙した。音もなく、冷えた石像のようにその場で静止する。

 

「……何も、覚えていないんだね。うーん、ちょっとショックかな。「ガラン」と会うのは、五百年ぶりの再会なんだがねぇ。」

 

 男は、笑った。その笑顔には、懐かしさと寂しさと、そしてほんの少しの誇りがあった。

 

「五百年……?そりゃまた長い時を生きたもんじゃな。何をしておった?」

「——封印されていた。それゆえ、俺は"答え"たり得る。」

 

 そう言って、男は車椅子のまま身を起こし、右手を差し出す。ガランはゆっくりとその手を握り返した。

 

「改めて、自己紹介しようか。「真実」のガラン。」

 

 その声には、どこか演劇的な気品があった。

 

「俺は……「無欲」のゴウセルだ。」

 

 二人の手が、確かに握り合わされた。二柱の「十戒」が、戦場の残り香の中で、静かに向き合った瞬間だった。

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