十五分物語(短編集)   作:網浜

17 / 26
このクラスに(R5.10.17)

 彼の名前は影山影太。影太は今日も元気いっぱい。学校に通います。彼は小学五年生。男の子です。影太は朝クラスに入ると元気に挨拶をします。皆も挨拶を返してくれます。おはよう。おはようございます。おはよう。おは。すごく気持ちがいいですね。さわやかな学級です。このクラスにいじめはない。

 影太は一時間目国語の授業を元気いっぱいに受けました。すごく元気。すごく手を挙げて、間違った答えを言って、みんなと一緒に笑いました。二時間目の算数も同じです。とにかく手を挙げます。元気なので。正答率はそんなでもありませんが積極性を評価され先生からの評判は悪くありません。ただ一度立ち止まって考えることも大切ですよとか言われることもあります。十五分休みの間は皆で鬼ごっこです。クラス全員参加です。参加しない子はおらず、このクラスにいじめはない。

 三時間目は体育でした。体操服で元気に運動します。今日はドッジボールとかしました。体育の授業で? そういう学校もあるでしょう。作者はあんまり覚えていません。体育嫌いだったので。まあよいでしょう。影太は元気にドッジボールしました。球を投げたり、獲ったり、当てたりしました。みんな笑顔です。笑顔でない人はクラスにはおらず、このクラスにいじめはない。

 四時間目は理科でした。生き物についてのお勉強をしました。影太は元気です。カエルの解剖とかしたいと主張し、先生に軽く叩かれました。みんな笑いました。笑ってない人はいません。みんなです。このクラスにいじめはない。

 それから給食の時間。机を班の形にして、みんなで給食を元気に食べます。影太はあまりの元気さにかなりのエネルギーを消費するため、必ずおかわりをします。人気のメニューが余ってたりすると、絶対にじゃんけんに参加します。不人気の牛乳ですら、余ってたら貰います。影太は元気、そして健康です。きっと大きく育ちます。既にだいぶ大きいです。足も速く、力も強いです。勉強はそんなでもないですけども、積極的です。明るく、馬鹿を全力でやるので、みんなを笑顔にします。影太は元気で、クラスのみんなも明るく、給食も楽しいです。このクラスにいじめはない。

 五時間目と六時間目は道徳の時間でした。皆で生きるってことについて考えました。自殺はおろかです。でも自殺に追い込んだ周りにも責任がありますよね。知らんぷりは罪ではないですか。家族に相談しよう。先生に相談しよう。そういうことを考えました。影太もこの時ばかりは元気とはいかず、真剣な顔で道徳ビデオを見たり、道徳作文を書いたり、道徳発表とかをしました。影太の数少ないまじめな発表に、先生は満足げでした。この道徳の授業は先月から回数が増えました。大切な授業だからです。みんな嫌とは言いません。真剣です。影太すら真剣なのです。かつての影太は道徳の授業でもへらへらと元気でいい加減なことを言って不謹慎なジョークすらとばしていました。皆もそれで笑ったりしていました。笑っていない子が一人いました。今はもう誰も笑いません。道徳の授業だけは。

 そして最後に、かつてクラスメイトだった太郎君のことを考えました。皆同じ過ちを繰り返してはいけないと誓いあいました。このクラスにいじめはない。

 今はもう。

 

 完




毎日即興小説という謎儀式を始めた最初期(令和五年十月頃)に書いたものの中では一番マシな奴です。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。