まさか連邦生徒会唯一の男が夜な夜な謎の美少女としてミステリアスムーブかましてるとは誰も予想だにしないだろうなぁ   作:ゆずっこ

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Q. プラナ時空でBADENDスチルを回収せずに済む可能性はあるだろうか?

あ、独自設定独自展開マシ独自解釈マシマシミステリアス美少女マシで。


マッチポンプとかじゃないぞ。いやほんとに。

 

 対策委員の皆やハネタと一緒にセリカのバイト先のラーメン屋に訪れた翌日の昼。

 私達はある違和感を覚えていた。

 

「セリカちゃんがいませんね…」

 

 まず違和感を口にしたのはノノミだったが、セリカを心配していたのはここにいる全員であった。

 

「モモトークには既読すら付きません……一体どうしてしまったんでしょうか?」

 

「まさか…カタカタヘルメット団の連中が何かした、とか?」

 

「そんな! 学校への嫌がらせのみならず、人質まで取って脅迫するつもりですか…!?」

 

"アヤネ落ち着いて。今セリカのスマホから発信される電波を辿って居場所を特定しているところかだから、そう焦らなくても大丈夫だよ"

 

 そう言って、シロコの懸念に穏やかな心情ではいられないアヤネを落ち着かせたものの、スマホが損傷してしまったのかなかなかセリカの位置を探し出すことができずに私自身も不安を抑えられない状況の中…

 

「…ここからじゃ電波を辿れないんなら、アヤネちゃんのヘリに乗って空から探知すれば良いんじゃないかな?

 

"そっか、その手が……アヤネ、ヘリコプターを出せる?"

 

 セリカの居場所をつかめない私を見兼ねてか、ホシノはアヤネのヘリを使うことを小声で提案してきた。

 藁にも縋る思いでその提案に乗り、アヤネにヘリを出すよう頼むことした。

 

「雨雲号を…分かりました。空から電波を辿るんですね!

 

「ん、私も乗る」

 

「私も連れて行ってくださいね~」

 

 こうして対策委員のみんなと私はアヤネのヘリ――――雨雲号に乗って捜索することにしたのだが……

 

 

 

 

 

 

"…………"

 

 ここ付近――――とは言ってもアビドス校舎から半径数十km範囲を探し回ったところで、セリカの居場所に繋がりそうなものは何一つ存在しなかった。

 電波を辿ろうにも反応はなく、目視による捜索にも限界はあったのだ。

 

「セリカちゃんの反応が無いことに私がもっと早く気づいていれば……もし、昨日の夜中なんかに気づいていれば直ぐに見つけられたかもしれません…」

 

「そんなに自分を責めないでください。セリカを攫った人達かが全て悪いに決まってるでしょう?」

 

「そう、ですよね…………あぁでも……」

 

 ノノミに励まされ少しだけ元気を取り戻したアヤネだったが、窓の外をみてはまた失意に陥る。

 既に日は沈みかけており、もうまもなく夜が訪れることを示していたからだ。

 夜になってしまえば上空からも地上からも捜索が出来なくなってしまうだろう。

 

 もしその間にセリカが酷い目にあっていたら? 凍えるような寒さの砂漠で防寒具や食料も無しに砂漠に放り出されていたら?

 

 朝から連絡の取れないハネタが脳裏に映りながらも、思考は淀んで行く。

 

"ハァッ…ハァッ…"

 

 シッテムの箱を握る手は震え、息遣いが荒くなる。

 だが私は先生だ。生徒をそんな目に合うだなんて絶対に許されない。

 

――――だがそんなものはただの理想だと、そう語り掛けて来るように目の前の太陽は揺蕩う。

 

 こんなところで諦める訳には行かない。だがこのまま夜まで捜索を続ければ他のみんなまで危険を晒すことになるだろう。

 両極端の考えがぶつかり合い、動悸がしているような錯覚に陥る。

 

 

 

 太陽はほとんど沈み、三日月がはっきりと認識できるようになった頃。

 この場にいる誰もが、口には出さないもののセリカを見つけることなど不可能だと感じていた。

 

 だが絶望的な空気感が一気に変化する出来事が起こる。

 

「あっ…あれは!!!あっちを見てください!!」

 

 ここにいる全員が顔を上げてアヤネの指した方へ目を向ける。

 

 そこには暗くなり始めたアビドス砂漠を照らす眩い光――――照明弾の明かりが煌めいていた。

 

 一縷の望みに縋るようにアヤネは操縦桿を照明弾の光る方向へと倒し、全速力で向かうことにした。

 

 

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 

 

 

「みんなのミステリアス美少女、小野川ライよ。キャルンッ♡」

 

 鏡の前で唐突に下手なアイドルのような仕草をし始めたライは、すぐに不満気な様子へと移り変わった。

 

「なーんか違うなぁ……人前で光り輝くアイドルにミステリアス美少女は合わない、ということか…?」

「仕方あるまい、アイドル路線は諦めてミステリアスさを全開に出せる研究者路線で行くとしよう。そうとなれば早く衣装を買って来なければ…!!」

 

 こうして朝早くから家を飛び出し、ハネタはショッピングモールに向かうことにした。

 

 

………スマホを家に置き忘れたまま。

 

 

 

 

 

「クソ…完全に舐めてやがるッ! どこもかしこもちゃちい材質の衣装を売りやがって… もっと本職の人が使うようなしっかりとした材質の白衣は売ってないのか!?」

 

 アビドスのとあるショッピングモールにて、1人の男の叫びが響き渡る。

 他の客への迷惑になる…かと思いきや器用に声量を制御してるらしく、ほとんど客が居ないことも相まって迷惑にはなっていない様子であった。

 

 もっとも、発言内容の特異さから奇っ怪なものを見る目で見つめて来る人はいたが。

 

「何店舗回ってもこれだよ……仕方ない。専門店で作ってもらうしかないな……」

 

「そこの御方、何を求めていらっしゃるのですか?」

 

 そんなハネタに話しかけてきたのは1人の黒スーツを着こなしたヘイロー持たない異形の大人。

 

「ああ、ちゃんとした材質の白衣を……ってあんた誰!?」

 

「これはこれは。失礼致しました。私は…そうですね、『黒服』とでも呼んで頂ければよろしいかと。天竜ハネタさん。」

 

 黒服は初めて話す相手にも関わらず淀みなく、確信した声色でハネタの名を呼ぶ。

 

「黒服ね…んで、俺の名前は当然のように知っていると。」

 

「貴方は連邦生徒会……いえ、キヴォトスで唯一のヘイローを持った男性ですからね。一目見て判断がつきましたよ。」

 

「ふーん…で? 今こうして話しかけに来たってことは俺の白衣を作ってくれるということで良いのか?」

 

「ええ。そういうことになりますね。……ですが、その前に1つお聞きしたいことがあります」

 

「ん?」

 

「その白衣、誰が着るものなんですか?」

 

「誰がって…まあ俺じゃないことは確かだな。」

 

 だってライが着るんだし。とハネタは心の中で付け加える。

 

「そうですか…分かりました。では少し店の外で詳しい話をしましょう」

 

「りょーかい」

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあ、対価は要らないってことで良いのか?」

 

 ハネタは契約書の『対価としてクレジットを取ることはない』と書かれた文を指しながら呟いた。

 

「いえ、そういうことではありません。ただ少し情報をいただきたいのです」

 

「情報、ねぇ…まさか各学園の機密情報を答えろ、なんて言わないよな?」

 

「もちろんそのようなことは要求いたしません。ただ…連邦生徒会の重鎮たる貴方ならば存じ上げているでしょう。――――小野川ライさんについて教えて頂きたいのです」

 

(こいつ、ライの情報を知りたいということは…ミステリアス美少女に魅入られたこちら側の存在か!?)

 

 こんな見た目をした大人がそんなことをするわけが無い。

 だが既に頭の中が『白衣姿のミステリアス美少女』で埋め尽くされた彼にそんなことを考える思考のリソースは残っていなかった。

 

「ライの情報か…まあいいだろう。教えられる範囲でなら教えてやるよ」

 

「クックックッ…ではこの契約書にサインを……」

 

「はいよ」

 

(ミステリアス美少女とは謎が謎を呼ぶ存在――――ここでそれっぽい情報を小出しにすることによって考察の余地はさらに深まって行くのだ…!!!)

 

 邪な思考の中書いたサインは、楷書と呼ぶにはあまりにも字が崩れており、筆記体と呼ぶには無秩序すぎる字で"天竜ハネタ”と書かれていた。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 黒服との契約を交わした後、ハネタ――――いや、ライはアビドス砂漠にてとあるテストをしようとしていた。

 

「へへへ…白衣ミステリアス美少女…! これは世界を救うに足る存在となるに違いない!」

 

 …気持ちの悪い笑みを浮かべながらではあるが。

 

「おっと、いけないいけない。今日はこの弾種のテストしないといけないんだ」

 

  そう言って取り出したのは『時限式信管』と大きく書かれた砲弾と簡素な字体で『照明弾』と書かれた砲弾。

 

「最近になってなぜか大量にブラックマーケットで入荷したものだから、つい買い込んでしまったが…品質は保証されてないからな。実際に使えるか試しておかねば」

 

 時限式信管の秒数を3秒にセットし、アハトアハトへと装填する。

 

「よぉし、行ってこい!」

 

 爆音と共に真上に向けられた砲口からは硝煙が立ちのぼる。

 そして発射された砲弾はきっかり3秒後、正常に空中で爆発した。

 

「これなら他の時限信管も大丈夫そうだな…さて、次は照明弾を撃ちたいところだが……」

 

 太陽は既に西へ傾いているとはいえ、まだまだ明るいこの時間帯に照明弾を使うのはあまりにも無意味。

 よってライがここで取った行動は――――

 

 

「ぶらりアビドス途中下車の旅だ! 何か面白いものを探してみよう!」

 

 なお、下車する車は無く線路に沿って散歩するだけである。

 

 

 

 

 

 

 

 あてもなく線路沿いに歩き続けること数時間。太陽はほとんど沈み、照明弾を使うのにちょうど良い時間となった頃、ライは一つの発見をした。

 

「あのトラック…なんでこんなところに?怪しすぎるな……」

 

 アビドス市街地から遠く離れた場所で一台のトラックが砂漠の上に放置されていたのである。

 

「エンジンは…少し前まで動いてたみたいだな。悪路で足回りがイカれたから乗り捨てたってところか?」

「それにしてもこんなところまで来るトラックなんて何を積んでるんだ? …周りに人は誰もいないな。よし、開けてしまおう……」

 

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 

 

「ん…ここは…?」

 

 はっきりとしない意識で周りを見渡す。

 しかし周りを照らす明かりは無く、トラックのようなエンジン音と振動のみが響く。

 

「そうだ…バイト帰りにヘルメット団が襲ってきて、煙を吸ってから意識が無くなって…………」

 

 ガタンッ!と車体が揺らされ、その衝撃で意識がはっきりとしてきた。

 

「くっ…この!手錠と足枷のせいでまともに身動きも取れない…!」

 

 どうにかここから脱出しようとするが、硬く作られた枷を解く方法は無いためどうすることも出来ない。

 

 抵抗することも出来ずに数時間、または数十分、あるいは数十秒が経過した頃だろうか、真っ暗な空間では時間感覚が狂ってしまっていたため正確な経過時間は分からないが――――唐突に、自分の真下から致命的な破損が発生した音が聞き取れた。

 

「くそっ…サスペンションがイカれたみたいだ」

 

「こんな場所で速度出すからそうなるんだよ…修理キットは積んであるだろうな?」

 

「そんなもん無いに決まってるだろ? あの女のせいで、うちらにはこのポンコツ借り物トラックを用意するのに精一杯だ」

 

「は???? じゃあ応急処置も出来ないじゃねぇか。後ろに積んでるアビドスのやつはどうするんだよ」

 

「カイザーからの指示は一つ。対策委員の勢力を削ぐようにってだけだ。このままトラックと一緒に放置すれば……一週間後には砂の下だろ」

 

「ちっ…本来なら人質として扱いたかったが…はぁ、仕方ねぇな。乗り捨てて私たちだけで新しい拠点に向かうとしよう」

 

 運転席の方から聞こえてきたヘルメット団の言い合いを聞き、絶望する。

 せめて手錠だけでもはずして欲しいと思い、声を上げたが……

 

「ちょっと!! 置いて行くんならこの手錠くらい外してからにしなさいよ!!!」

 

 私の声が届く様子は無く、2人はそのままトラックのエンジンを停止させどこかへ行ってしまった。

 

「まさか本当に置いて行くだなんて、とんだ最低野郎ね…今度会ったら泣くまで滅多打ちにしてやるんだから!」

 

 最初のうちはまだまだなんとかなると心のどこかで思っていた。

 だがエンジン音が聞こえなくなってからある程度の時間が経過した頃、外では夜が近づいてきたのか車内が冷え込んできてからはいつもの威勢も削がれてしまうことになる。

 

「くしゅんっ…防寒具もなければ助けを呼ぶスマホも無い……私ここでしんじゃうのかな…?」

「ホシノ先輩…シロコ先輩…ノノミ先輩…アヤネちゃん…………先生とハネタでもいいから、誰か、誰かたすけて……」

 

 助けを呼ぶ方法もなければ助かるための術もない。

 

「やだっ…だれか、だれかおねがい…まだ死にたくないの……まだみんなと仲良くしたくって…せっかく助けに来てくれた先生とハネタにもあんな態度を取ったことを謝らないといけないのに……」

 

 きっと、このままであれば()()()()()()()()()()()()()()()()()()としてセリカの人生は幕を閉じてしまっていたかもしれない。

 

 

――――だがそんな運命を否定するようにトラックの扉は開かれた。

 

「誰…!?助けに来てくれたの!?」

 

 扉を開けたのは尊敬する先輩達か、同級生のアヤネか、はたまたあんな酷いことを言ってしまった先生やハネタか。

 

 だが姿を見せたのは予想から遠く離れた人物であった。

 

「貴女は…アビドス廃校対策委員会の黒見セリカね」

 

 まるで水面の上を歩くかのような歩調でこちらに近づいてくる彼女に一瞬息を止めてしまう。

 少し前、ヘルメット団の拠点を襲撃しようとした時に見かけた少女――――小野川ライ。

 ホシノ先輩との深い遺恨がある様子だったが、なぜそんな彼女が自分を助けに来てくれたのか?

 

「くしゅんっ…ええ、そうよ。何か私に用でもあったとでも言うの…?」

 

「いいえ、特にそういう訳でも無いのだけれど…ただ1つあるとすれば、貴女を()()()()に行かせないためかしら」

 

「そちら側…?」

 

 発言の意図が読み取れず、聞き返したが「少し言い過ぎたわ。忘れなさい」とだけ返され、それ以上の追求は出来なかった。

 

 ライによって手際良く手錠と足枷を外され、一先ず自由の身になった私だったがそれでも懸念は拭えない。

 

「ねぇ、ここからどうやって市街地に戻るつもりなの?」

 

「そうね…私1人ならすぐに戻れるわ。ただ、貴女も戻すとするなら……少し待っていなさい」

 

 そう言って取り出したのは特徴的な高射砲、アハトアハトであった。

 

「ちょっと、ここで一体何を…っ!?」

 

 私の口元に人差し指を当て、静かにするようなジェスチャーをした後、砲弾を装填し砲口を真上に向ける。

 

 耳をつんざくような轟音の後、三日月が上り始めていた宵のうちの空に1つの大きな明かりが作られた。

 

「これは…照明弾…?」

 

「ええ、これがあれば後は十分のはずよ。余計な体力を消耗しないようにしていなさい」

 

「ちょっと、どこに……ってもうどこかに行っちゃった。何がしたかったのよ…」

 

 少しの間周りを照らすだけ照らしてどこかへ行ってしまったライへと文句を垂れていたが、とある風切り音がこちらに近づいて来ていることに気がついた。

 

「あれは…アヤネちゃんの雨雲号…!?」

 

 徐々に近づいてきた特徴的な音に聞き覚えがあることに気づいた私は安堵し、着陸と同時に中から1人の人影が飛び出してきたことについ涙を流しそうになる。

 

"セリカ!!!!"

 

「先生…!」

 

 真っ先にヘリから飛び出してきて私のことを守るように抱擁してきたのは先生だった。

 つい先日まで毛嫌いするような態度をとっていたものの…この極限状態では先生の熱がやけに身体に沁みて、涙が溢れ出てきてしまう。

 

「あんなに酷い態度をとって…勝手に誘拐されて…本当にごめんなさ――――」

 

 そこまで言いかけて、何者かに口を塞がれてしまった。

 

 驚いて顔を上げると、そこには少し不満気な顔の先生と対策委員のみんながこちらを見つめていた。

 

"ずっと探してくれていたみんなに言うべき言葉は、謝罪なんかじゃないでしょ?"

 

――――そうだ。ずっと探し続けてくれた仲間たちにするべき行動は謝罪なんかじゃなくて――――

 

「みんな、ありがとう…!」

 

 自分が大丈夫であることを表すために、とびっきりの笑顔で感謝を伝えることだった。

 

 

 

 





A. 異物(変態)のせいで案外何とかなりそう。



なんでもっと効率的に探せなかったの?とかは言わないでくださいね。
この先生はちゃんと最善を尽くしていますから。

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