まさか連邦生徒会唯一の男が夜な夜な謎の美少女としてミステリアスムーブかましてるとは誰も予想だにしないだろうなぁ   作:ゆずっこ

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この作品において最も大切な要素である「ミステリアス美少女」がタグ付けされていないことに気付きました。
ということで追加追加……



やだ、俺の回避能力高すぎ…?

 

 セリカの救助から数日後、私は対策委員の皆とハネタと共に柴関ラーメンに訪れていた。

 

「いらっしゃいませー! 何名様ですかー!」

「4名様ですね! こちらのお席へどうぞ!」

 

 あんなことがあったばかりだというのに、愛想良く接客をするセリカ。

 

「いやぁ、元気があるっていいね~~おじさんも見習いたいところだよ~」

 

「あそこまでは見習わなくても良いですが、せめて会議中にだけでも寝ないようにしてください……」

 

「ここ最近ずっと睡眠不足なんだよ~だからちょっとくらい、ね?」

 

 少し横に首を傾げ、ウィンクをしながら返答するホシノ。

 

 初めて出会った時からどこか眠たげな様子を見せていたホシノだったが、ちゃんと睡眠は取れているのだろうか? まさか毎晩ちゃんと眠れていないのでは…?

 

 目の前のホシノを見つめながら思考をしていると、視線に気づいたのかこちらを見返してきた。

 

「そんなに心配することでもないよ~。ちゃんと夜と眠った上で睡眠不足なだけだからさ~」

 

"そう? なら良いんだけど…"

 

「…隠してるつもりかもしれないが、隈が見えてるぞ」

 

「えっ…?」

"…?"

 

 隈なんかないように見えるけど…?

 

私の反応をよそに、ハネタに隈を指摘されたホシノは図星を突かれたように動揺してしまった。

 

「ただの冗談だよ。隈なんか一切ないぞ」

 

「ハネタさん、冗談でもそういう事を人前で言うのはよろしくないと思いますよ」

 

「はい…ごめんなさい……」

 

 ノノミに叱られたハネタは一瞬でしょげてしまった。

 

 

 

「ここのお店ね、付近で1番評価の高いラーメン屋というのは…!!」

「今日は私の奢りよ。みんな好きに食べなさい!」

 

 四人の制服を着た生徒が入店してから、賑やかな話し声によって店内の雰囲気が変化した。

 

「社長、そこまで無理しなくたって……」

 

「たまには奢ってくれたっていいじゃん! ねー、アルちゃん」

 

「ちょっとムツキ室長! 外では社長と呼びなさいとあれほど――――」

 

「いいじゃんいいじゃん。勤務時間外だよ!」

 

 ぐぬぬ…とした顔を見せているのはアルちゃんと呼ばれた少女。

 生徒名簿で見た覚えのある顔……確か問題行動を起こして指名手配されているゲヘナの生徒達だっただろうか。

 

「はあ、まあ良いわ。今回の依頼者は依頼料を高く払ってくれたから、今日はちょっと贅沢するわよ!」

「とりあえず……『特製味噌ラーメンの大盛り』に『炙りチャーシュー』をトッピングしたものにしようかしら…」

 

 直後、ホシノとハネタが目にも止まらぬ速度でアルの方へと振り向いた。

 

「ここのラーメンは結構量が多いからね~、ちょっと気を付けた方がいいと思うよ~」

「ここのラーメンは初見で大盛りにしない方がいいタイプだぞ…!!」

 

 二つの声が重なる…が、両者とも言いたいことは同じであった。

 

「あ、貴方達誰!?」

 

 

「えっと…俺はこのラーメン屋の常連なんだが、あんたこの店来るの初めてだろ? 普通の量も分からずに大盛りを注文するのはおすすめできないぞ」

 

「うんうん。一旦普通の量を注文してみない…?」

 

「……そこまで言うのなら、普通の『特製味噌ラーメン』と『炙りチャーシュー』にしようかしら…」

 

 …一年生の頃からアビドスにいるホシノはともかく、ハネタは常連と言えるほどこのラーメン屋には来ていないはず。なんでそんなことが言えるんだろう…?

 

 

もしかしなくても、あの男の人って連邦生徒会の書記長かな?

 

それ以外にも、白スーツ着た人は最近話題になってるシャーレの先生で…あの制服は襲撃対象のアビドスのものだね

 

アルちゃんは気づいてないみたいだけど……面白そうだし放っておこっか

 

「あの……おすすめのラーメンってあるんですかね…?」

 

 カヨコとムツキが話していた内容は小声であったため聞き取ることはできなかったが、4人組の1人であるハルカが決めきれずにオススメを聞く声はハッキリと聞こえた。

 

「オススメは……特製柴関ラーメンですね! 豚骨の効いた汁がよく絡む麺との相性が最高ですよ!」

 

「じゃ、じゃあそれでお願いします…」

 

「あ! 私も同じのをお願いねー!」

「…私もそれで」

 

「分かりました。特製味噌ラーメン炙りチャーシュー付き1つと特製柴関ラーメン3つですね!」

 

 セリカが厨房に向かって注文内容を伝えると、「はいよ!」という大将の威勢の良い返事が聞こえてくる。

 

「ごめんね~、でしゃばってあんなこと言うのは良くないってわかってたんだけど……柴関ラーメンの大盛りはごく一部の常連しか食べれないようなものなんだ」

 

「正直、普通でも多いくらいだからな……ほら、あそこの人見てくれよ

 

 ハネタの指した方向には体格が良く、いかにも多く食べそうな風貌の人が青い顔をしながらぎっしりと詰まった麺を口に入れ込む客の姿。

 

「大盛りであの量……あんなの無理よ。危なかったわ…」

 

 アルは自分もあの客のようにならなくて良かったことにほっと胸を撫で下ろした。

 

 

 

 

「お待たせしました。特製味噌ラーメン炙りチャーシュー付きです!」

 

 ドンッとアルの目の前に置かれたのは麺がこれでもかとギッシリ詰まった見るだけで胃もたれしそうなラーメンの上に分厚いチャーシューが乗せられたもの。

 

 そういえばホシノとハネタも同じもの頼んでたような……と思い二人の方を見ると、アルのそれと比べて遥かに少ないラーメンが机に置かれていた。

 

"二人のラーメンはなんでアルのより少ないの?"

 

 気になった私は2人に直接聞いてみることにした。

 

「注文する時に合図をするとちょっと量を減らしてもらえるんだ~」

 

「ああ、そういうことだ」

 

「え!? 何その合図!?」

 

 ガタッ!

 

 机の上を拭いていたセリカは2人の言葉に驚き、横にあった椅子にぶつかってしまう。

 

「ま~、常連と大将にしか分からない秘密の合図ってやつかな?」

 

「なっ…ならアビドスに来たばっかりハネタはなんでその合図を知ってるのよ!?」

 

「別に来たばっかりじゃないぞ? 結構前からアビドスには来ていたしな」

 

なるほど……通りで砂漠の暑さにそこまで動揺しなかったはずだ。

 

 ……でも何をしに? まさか柴関ラーメンを食べるためだけに来たというのだろうか。

 

"そうなんだ。でも忙しかったでしょ? よくアビドスまで来れたね"

 

「1年生の頃は週2で休みがもらえてたから遠くても行けたんだよ。あの頃は良かったなぁ……今では一週間に1日休めるかも怪しいぞ…」

 

 あり日しの、まともに休日を取れていた過去を懐かしんでいるハネタをここにいる全員が温かい目で見つめていた。

 

 ………………疑いを持った目をするホシノを除いて。

 

 

 

 

 

 

 

 

"ねえハネタ、1年生の頃はどうしてアビドスにまで来ていたの?"

 

 柴関ラーメンから退店しシャーレに戻る途中、私はハネタに疑問を投げかけていた。

 

「そっそれはだな、用事があったんだよ……あっ、連邦生徒会は関係ないぞ!」

 

 動揺してる…?

 

 ハネタの反応を訝しんだ私は、用事について聞いてみることにした。

 

"そっか…その用事って、どんな用事なの?"

 

「えーーーっと、友人に会いに行っただけだよ。うん」

 

 友人…? ハネタと関わりのあるアビドスの生徒だなんて――――

 

 そこでふと、「ハネタとライには何らかの関係がある」というホシノの言葉を思い出した。

 

 そうとなれば、休日にライと会うためアビドスへ日常的に訪れていた……というのは確実と言えるだろう。

 だがなぜ会う必要があるのか? ライの『組織』とやらが関係しているのだろうか?

 

 …まだ情報が足りなさすぎる。もう少し話を聞いて詳しく知りたい………が、「下手に詮索をしてライの妨害をしたくない」と、またしてもホシノの言葉がよぎった。

 

 やはり聞き出しすぎるのは良くないだろう。

 私に今出来ることは本当に困った時、相談相手になれるような信頼できる先生になることだけだ。

 

"わかった。話してくれてありがとう、ハネタ"

 

「いやぁこのくらい全然! じゃ、俺用事があるんで!」

 

 ハネタは急いでショッピングモールの方へと走っていった。

 

"ハネタとライ……か…"

 

「うへ、やっぱり2人は関係をもってたね~。おじさんの読みはドンピシャってことだ」

 

 声のした方向へと振り向くと、先程まで誰もいなかったはずの道に少し小さな人影がこちらに向かって歩きながら話しかけてきていた。

 

"ホシノ…いつから話を聞いてたの?"

 

「『1年生の頃はどうしてアビドスにまで来てたの?』てところからだよ~」

 

"それ最初っからだよね……良いんだけど、どうしてそんなに話を聞きたがってたの?"

 

 正直、私とハネタの会話内容に興味はあれど追跡してまで聞こうとしてくるとは思っていなかった。

 

「うーん……傍から軽く話を聞く分には妨害とかにはならないかなって。あとは先生が踏み込みすぎた時止めるため。というのも兼ねてるね」

 

 ホシノは一呼吸置き、話を続ける。

 

「それで……本題なんだけど、ハネタはライのことを『友人』と称していたよね」

 

 確かに『友人と会うため』と言っていた。それがライを指すことも分かっている。

 

「敵対してる人を友人だなんて絶対に言わないでしょ? だから2人は最低でも中立……良ければ友好的な関係を持っているはずなんだ」

 

 敵対する相手を友人と称する人間はそうそう存在しない……となればこの話は筋が通っているだろう。

 

「そこで、ここからが肝なんだけど…この場合、ハネタは連邦生徒会所属なのに他の得体の知れない『組織』と関わりを持っていることになる―――――つまり、ハネタが組織から送られてきたスパイの可能性があるわけで…」

 

"ハネタが……スパイ…?"

 

 ハネタがスパイだとすれば、目的はなんなんだろうか? 機密情報か、連邦生徒会の地位低下か、……それとも私の殺害か。

 

 だが一瞬よぎった最後の選択肢はシャーレに向かう途中、私を銃弾から守ってくれたハネタの姿が思い浮かんだことによりすぐに打ち消された。

 

「一応、世界平和を謳ってるくらいだから変なことはしないと思いたいけど……それでもどんな手段を用いてくるか分からないからね。警戒くらいはしておいた方が良いと思うよ」

 

  

 

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 

 

 

「あのままあの場にいたらミステリアスの中にある触れてはならないミステリアスに触れられる気がしてたぞ……逃げて正解だったな」

 

 ハネタは先生の追求から何とか逃れられた……と思っているらしい。

 ……実際は故意的に見逃されただけであるが。

 

「そんなことはともかく、黒服から白衣を受け取りに行かないとな」

「注文してからわずか数日で用意できるとは早いもんだよなぁ…」

 

 先生に伝えていた用事、というのは黒服から白衣を受け取ることであった。

 

「……いいこと思い付いたぞ!!! 黒服と会う時はライの姿で行こう!」

 

 この選択はライとハネタが同一人物――――とまではいかなくとも、深い関係を持っていると自らバラしているようなものである。

 だがハネタはこのことについて……

 

「あいつ、俺と同じミステリアス美少女に魅せられた存在に違いないだろうから良いだろ! よぉし、そうとなったら今すぐに美少女化だ!」

 

 ライの姿へと変化した勘違い野郎は、軽い足取りで集合場所に向かうことにした……

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 今日はハネタさんとの取引の日……幸いなことにユメのおさがりが残っていたためそれを1つ拝借し、彼に渡すことにしたため用意に時間はかかることはありませんでした。

 

 ハネタさんはなぜ白衣を求めたのか?……まだこの問いに答えを出すことは出来ていませんが、幾つかの候補は挙げられます。

 

 1つ、ただのコスプレ趣味……彼は連邦生徒会の中ではかなり俗っぽいと有名ですから、そのくらいはあってもおかしくないでしょう。

 

 2つ、彼自身が何らかの研究を行うため。

 ミレニアムとも深い関わりを持っている彼ならば、協力や監視のため彼女らの研究に関わる可能性があるでしょう。

 

 そして3つ―――――彼がライさんに白衣を渡すため。

 契約した時の反応、あれは彼とライさんになんならかの関わりがあると見ても良い反応でした。

 であるならば、ライさんが使う白衣をハネタさんが代わりに調達する……といった関係性であることも考えられます。

 

 契約では対価として『小野川ライに関する情報を提供する』と明記されています、聞き方次第では白衣を求めた理由も特定できるでしょう。

 

 

 思案を巡らせながらも黒服は指定した場所にて待機していると、1つの足音が聞こえてきた。

 

 

「時間通り、ですね。ハネタさん―――――――失礼しました。貴女は小野川ライさんですね? 私のことは『黒服』とお呼び「貴方のことなんてとっくに知っているわ」…失礼いたしました。既にご存知でしたか」

 

 さすがに受け取りにはハネタが来ると思っていた黒服はライ本人が訪れるという想定外の事態に動揺してしまう……が、場数を踏んでいる黒服はすぐさま立て直し、ひとまず話を聞くことにした。

 

「白衣、渡しに来たのでしょう? 少し事情が変わって私が取りに来ることにしたのよ」

 

「確かに、契約書に『受け渡し人は契約者本人でなければならない』とは書いてありませんでした。……良いでしょう。ただし対価である『小野川ライに関する情報を提供する』は履行して頂きます」

 

「ええ、もちろんよ。2つだけ、答えてあげるわ」

 

 ふむ、2つですか……白衣1つで2つも質問して良いのであればこちらにかなりの利があると言えるでしょう。

 

 本当は別の質問をするつもりでしたが……この状況を鑑みてまずはこの質問をすることにしましょう。

 

「ライさんは……ハネタさんとどのような関係性を持たれているのですか?」

 

「私と彼は……そうね。一言で言えば『協力者』かしら。」

「だけれど、逆に言ってしまえばその程度。組織の中ではある程度の関わりはあっても、外ではほとんど関わりを持とうともしないわね」

 

 かなり抽象的な答え……ですが新しく出てきた『組織』という単語。

 彼女ほどの人物と連邦生徒会の書記長をも配下に持つ組織。

 それほどまでに大きな力を持つ組織など聞いたこともありませんが、新たに知りたいことが数多く現れてきました。

 

 ですが残りの質問回数は残り1回―――――よって私はこの組織と私達の利害が一致するのか、衝突し合うのかを見極めることにしました。

 

「その『組織』の目的はなんなのでしょうか?」

 

「私達の組織――――『ネストリウス』の目的はただ1つ、世界平和の実現よ。ただし手段は問わず、邪魔になるのなら例え相手が人であろうと躊躇なく排除するけれど」

 

 世界平和……あまりにも抽象的すぎる上に平和の定義もなされていません。そして具体的に何を行っているのかも分からない……

 

 本来ならばもう少し深くお話を聞きたいところでしたが……既に質問できる上限に達しています。

 

 

 ですが白衣1つでここまで新たな情報を得られたのです。かなり有意義な契約だと思って良いでしょう。

 

 ――――クックックッ、やはりまだまだキヴォトスには不可解なものが多く存在する……謎の組織、ネストリウスもその1つと言えるでしょう。

 

 ここ最近はマダムによるユメの思考誘導も上手くいっている様子ですから、少しばかり神秘の研究は彼女に任せて私はライさんとネストリウスについて調べてみることにしましょう。

 

 

 

 





まだミステリアス美少女も曇らせもヤンデレも本領を発揮出来ていないんですよねー。
早くストーリーを進めなければ…………


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共にミステリアス美少女への啓蒙を高めていこうではありませんか…!
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