まさか連邦生徒会唯一の男が夜な夜な謎の美少女としてミステリアスムーブかましてるとは誰も予想だにしないだろうなぁ 作:ゆずっこ
ヤンデレタグが必要な気がしてきた。
先生と別れてから、俺はアビドス市街地に戻りとある神聖な行為を行っていた。
そう、それは――――髪型をいじることだ。
髪とは美少女に限らず女性にとって命と言われるほど神聖不可侵なものである。
それが例え自分の髪であっても汚したくない俺は慎重に髪型を変える。
「メガネをかけてポニーテール…ありだな」
「ツインテール…編み込み…お団子………前髪を上げるのも中々良い」
今まで髪の毛に触れてこなかった俺は、髪型を変えることによる新しい美少女道の開拓による喜びに打ち震えていた。
あまりの感動にいつもなら美少女化すればスラスラ出てくる口調が出てこない程だ。
それにこの体、顔が1000万年に1人レベルで良いだけでなく髪質も最高級なので触っているだけサラッサラでツヤッツヤなので楽しい。
「うーん、でも切りたくは無いな…このままの長さで髪型は変えたい」
だが髪を切ることだけはしたくない。
別にショートが嫌いという訳では無い。しかし心が、本能がこの美しい髪に刃物を入れることを拒否する。
ではこのままでどのような髪型を変えるか………
迷っているうちに先生からのモモトークの通知が来た。。
【こっちはアビドスに着いたよ。そっちはあとどのくらいで着きそうかな?】
「【ここからだと、あと1時間ちょっとで着くと思う。】っと」
【そっか、先にアビドス廃校対策委員会の部室で待ってるね。何か問題があったらすぐに連絡するんだよ。】
返信はやっ!
それはそうとここから徒歩でアビドス校舎まで行くとなると最低でも3時間は掛かるが…今の俺は小野川ライだ。
だから…まあ20分もあれば余裕で着くんじゃないだろうか。
つまりあと40分は色々出来るということだ。
さあて…いっその事男装っぽくしてみるか……うん、スーツがあればめちゃくちゃ似合うかもしれない。
***
シロコのお陰で無事にアビドス校舎に着いた私は『アビドス廃校対策委員会』の部室へ行くこととなった。
あんな何も無い砂漠で1人きりだなんて…私だったらどうかしていたかもしれない。
幸いハネタには暑さに耐性があるようなので熱中症については安心できるが………あれ、でもシッテムの箱が安置されている場所に行った時は寒がっていたような。
それに自転車だから速く着くことが出来たが徒歩なら何時間かかるだろうか…?
いきなり彼のことが心配になってきた私はモモトークで聞いてみることにした。
【こっちはアビドスに着いたよ。そっちはあとどのくらいで着きそうかな?】
【ここからだと、あと1時間ちょっとで着くと思います。】
――――良かった。
返信が返ってきたことに安堵する。
万が一このまま返信が来なかったら校舎を飛び出してハネタを探しに行ってしまったかもしれない。
「先生、ここが対策委員会の部室だよ」
扉を開けると何やら話し合っている3人と机に突っ伏して寝ている1人がいた。
「先生! 救援要請を受諾してくださったのですね! ありがとうございます!」
輝きを持った目でこちらを見つめる彼女は奥空アヤネ…あの手紙を送ってくれた生徒だろう。
"もちろんだよ。生徒の助けを求める声を私が無視するわけないからね"
アヤネの目の輝きがさらに明るくなるのを感じる。
「自己紹介がまだでしたね!私はアビドス砂漠対策委員会所属の1年生、奥空アヤネです。こちらは…」
"シロコ、ノノミ、セリカ、ホシノだね?"
事前に生徒名簿で顔と名前を覚えておいたため、スラスラと言える。
「既にご存知でしたか…さすが先生です。」
"そんなことないよ"
"私の自己紹介はちゃんとやらなきゃね。私は独立捜査部シャーレの顧問の先生だよ。気軽に先生と呼んでくれると嬉しいな。"
「それで…先生? 救援っていうのは…?」
"こういう事だよ。"
セリカの問いにバックの中にある弾薬をみせることで答える。
「こ、これがあればもう少しは何とかなりそうね…助かったわ、先生。」
少し安堵した様子を見せるセリカと対策委員会一同。
"ところで…なんでこんなに弾薬を必要としているの? 確かにキヴォトスで生活するのに銃弾は必要だけど……"
「それは………っ! 外を見れば分かると思います」
アヤネの言う通り窓から外を覗くと、そこにはヘルメットを被ってこちらへ向かってくる不良集団がいた。
「オラッ! 大人しく校舎を明け渡せ!」
そんな声がどこからか聞こえてくる。
"あの子たちは一体…?"
「カタカタヘルメット団です! 最近、アビドス校舎を占領するために何度も襲撃を掛けてきているんです」
"アロナ、カタカタヘルメット団って?"
小声でアロナに詳細を聞いてみることにした。
「該当集団を検索中……検索完了、どうやら何らかの理由で退学になった生徒が集まり、金品を盗んだり依頼を受けたりして生活しているようです」
シッテムの箱起動時、OS兼管理者と名乗った黒い制服に長い白髪をした少女――――アロナは答える。
"そっか、彼女達も私の生徒だけど……今はアビドスを守る方が先だね。私が指揮を執るよ。"
「分かりました! 私はオペレーターをしますので、皆さんは戦闘準備をしてください!」
「ホシノ先輩、早く起きてください〜、ヘルメット団がまた襲撃仕掛けてきてますよ〜」
「ん〜?おじさんの眠りを邪魔するだなんて許せないなぁ……ってそこの大人の人とたくさんある弾薬は…?」
「この人はシャーレから来た先生よ、アヤネの救援要請に応じてくれたんだって」
「ふ〜ん? ま、よろしくねー」
"よろしくね。"
眠たげで緩い雰囲気をしたホシノだが、一瞬だけ目を鋭くしてこちらを見た後すぐにまたいつもの雰囲気にもどった。
「皆さん、もう既にヘルメット団は目の前に迫ってきています。あの人たちが校舎に足を踏み入れる前に倒しましょう」
「ん、準備万端。」 「もちろんです〜」 「ええ。行くわよ!」 「やっちゃっおっか〜」
"よーし、みんな頑張ろう!"
「覚えてろよ~!!」
短時間の交戦の後、三下のような言葉を言いながら撤退するヘルメット団員達を見送りながら対策委員会の生徒達に労いの言葉をかける。
"みんなお疲れ様。"
「先生もお疲れ様です。ここまで指揮がお上手だとは…」
「なんでもできそうな気がしてましたね☆」
”そう思ってくれれたのなら私も嬉しいな”
ふと腕時計を見ると、アビドスについてから長針が1週と少し回っていることに気づいた。
"ハネタは…?"
「ハネタって、誰の事かな?」
懐疑的な視線を向けるホシノに彼が連邦生徒会所属であること、シャーレの部員として私の出張に同行したが途中で別れてから、合流する予定の時間を過ぎていることを話した。
「連邦生徒会、ねぇ。あれだけ救援要請を無視したのに今になってのこのことやってくるとは。」
まずい、ホシノが怪しい雰囲気を纏い始めた。
少なくとも彼は救援要請を無視するような人ではないことを説明しよう。
"大丈夫、彼は自分の身を挺して他人を守れて気を使えるような人だからホシノの考えてるような悪い人じゃないよ。"
「そっか、そんなこと言われるくらいなら大丈夫だね~」
どうせ先生もその人も、アビドスの借金を聞いたら何もしなくなるただの偽善者だろうけど
…聞こえないけど、僅かに口が動いてる?
"何か言ったかな?"
「なーんも言ってないよ~。口の中に砂が入ってただけ~」
あれからまたモモトークを送っても返信どころか既読もつかないまま30分が経過した。
心配で何度も探しに行きたくなるが、ちょうど昼の時間である今当てもなく砂漠を歩き回るのは危険だと自制する。
ピロンっとモモトークからの通知が鳴る。
【すまん、緊急で生徒会の用事が入ったから急いで帰ってたんだ】
なんだ、帰ってただけか………それならそうとすぐに連絡は欲しかったけど、元気ならいっか。
「先生、提案があります。このまま守るばかりではジリ貧なのでこちらからヘルメット団の拠点を攻撃したいと思うのですが…」
"やられる前にやる…良いアイデアだね。そうしようか。"
「ヘルメット団の拠点はここから30km程離れた位置にあります。皆さん大丈夫そうですか?」
皆が肯定的な反応をすると、私達はすぐにヘルメット団の拠点へ向かうことになった。のだが………
ヘルメット団の拠点は既に壊滅していて、弾薬庫や補給所には所々で普通のアサルトライフルやマシンガンではありえないようなサイズの銃痕が残されていた。
「ヘルメット団の拠点、完全に破壊されています…!再起するには数ヶ月単位で時間がかかるでしょう」
ドローンを使って上空から様子を見るアヤネは愕然とした声で状況を伝える。
"そんな、誰がこんなことを……?"
「ん、ホシノ先輩どうかしたの?」
シロコの言葉に反応してホシノを見ると、動揺した様子で銃痕を見つめている様子だった。
「ライ…? なんでここに居るの…? やっぱり私に復讐するために…?」
知らない名前と復讐という物騒な単語がホシノから聞こえた。
一体どんな関係があるのか、問いただそうとするが目の前に現れた少女によりそれは叶わなかった。
長い黒髪と銀色の目をした彼女は、御伽噺の中から飛び出してきたような美しい顔立ちで、同性の私でさえも目を惹かれる。
硬い表情をしており、全く心情が読み取れないが……こちらを一瞥してから興味無さげに背を向ける。
「待って、ライ! あの時のこと、全部私が悪かったから! ……だから、だからお願い。また私とユメ先輩と、ライの3人で…!」
ホシノの言葉によって少女はこちらへ向き直る。
「…あれは誰のせいでもなかった。仕方の無いことだったのよ。それに、今の貴女には大切な仲間がいるでしょう? ――――だから私の事は忘れて、今を精一杯生きていきなさい」
極度に興奮し、錯乱した様子のホシノと対照的に冷静なライと呼ばれた少女。
「ユメには代わりに謝ってもらえるかしら。きっともう、会う日は来ないはずよ」
そう言ってライはまたこちらに背を向けて走り出した。
「待って……待ってよ……私よりもユメ先輩の方が気にしてるのに、そんな一言で済ませられるわけが…………」
"ホシノ、何があったのかは分からないけれど、話を聞かせてもらえないかな?きっと力になれるはずだよ。"
声をかけたものの、ホシノの反応は無い。
「ホシノ先輩!大丈夫ですか!?」
またしても反応は無い。
「ん、とりあえず目的は達成されてたことだし、帰るべき。」
「そ、そうね!帰るわよ!」
その場から微動だにしないホシノを抱えてひとまずアビドス校舎へ戻ることにした。
***
ちょうど良い時間となりアビドス校舎へ向かうことにしたのだが、道中で問題が生じた。ボロボロのヘルメット団に襲われたのだ。
それ自体は別にどうでも良い。難なく対処出来るはずだったからだ。
だが………油断、または美少女化が久しぶりすぎたせいかそんなヘルメット団に遅れを取り――――掠めた弾丸が髪の毛が数本程持っていってしまった。
神聖な美少女の髪を…よくもこんなことをしてくれたな!!
あまりの怒りに、その場にいたヘルメット団のみならず拠点まで攻撃してしまった。
一段落してからアビドスに着く予定の時間から30分過ぎていた事に気づいたが…良い言い訳が思いつかなかったので先生には生徒会の仕事を理由に帰ったことにしておくことにした。
………それはそうとこの拠点、弾薬や食糧だけでなく化粧品セットも置いてあることに気づいた。
元の素材が良すぎて化粧など考えたこともなかったが……少しくらいやってみても良いかもしれないな。
などと軽い意気込みで始めたのだが、これがかなり難しい。
濃すぎたら逆効果だし、薄すぎては効果がない。ちょうど良い塩梅を見つけるのにかなり苦労したが、何とかそれっぽく仕上がった。
素のライが可愛いさと美しさの中間に位置していたとすれば、今のライは美しさにかなり寄っていると言えるだろう。
――――さぁて、満足したしこのまま帰るか。
ヘルメット団の拠点から出ようとすると、そこにはアビドスの制服を着た生徒達がいた。
あの子は自転車に乗って先生を連れていったシロコか。それに今となっては懐かしいホシノがいるな……
別れ方が別れ方だったから懐かしいと言うより気まずいんだが…
「待って、ライ! あの時のこと、全部私が悪かったから! ……だから、だからお願い。また私とユメ先輩と、ライの3人で…!」
うーむ、あの頃の生活は悪くなかったし、ユメとも会えるのものならまた会いたいのだが、卒業してしまった今ではそう簡単にはいかないだろう。
あと、『あの時のこと』というのは俺がホシノの射線上に入ってしまったせいで至近距離でショットガンを食らってしまったことだろう。
かなり痛かったが、1ヶ月もすれば完全に傷も無くなったので恨んでもないし復讐もする気は無い。
ライに1ヶ月残る傷をつけられるだなんて怒りの前に凄いがくるもんだ。
「……あれは誰のせいでもなかった。仕方の無いことだったのよ。それに、今の貴女には大切な仲間がいるでしょう? ――――だから私の事は忘れて、今を精一杯生きていきなさい」
ライとしてこれ以上関わるのはアビドスの他の生徒達やシャーレの仕事を考えると難しいので、顔を合わせるのはこれが最後だろう。
「ユメには代わりに謝ってもらえるかしら。きっともう会う日は来ないはずよ」
別れてから1年くらいユメからライのモモトークに狂ったようにチャットが来ていたが……それ以来一切チャットは来ていないので立ち直っただろうか。
…もちろん返信どころか既読も付けていない。だって怖いんだもん。一日に何回も文章として成り立ってない長文を送り付けて来るんだから。
ホシノとユメには俺の事を忘れてもらって、今の仲間や生活を楽しんでもらうとしよう。
さあて、帰りがけに化粧店に寄ろっと。
ふふふ……やはり美少女道は奥が深くて楽しいな!!!
「ライちゃん、ようやく会えるね?」
小野川ライ(ハネタ)
ユメとホシノに激重感情を持たれてることに気づいてない。
先生と対策委員会
異常すぎる状況に戦々恐々としている。
ユメ
???????
評価してくれるとちょっと…いやかなりモチベ上がります。