まさか連邦生徒会唯一の男が夜な夜な謎の美少女としてミステリアスムーブかましてるとは誰も予想だにしないだろうなぁ   作:ゆずっこ

4 / 13
客層がお嬢様だからってぼってんじゃねえぞ!!

 

 

「ちょっと勘違いしてるみたいだね~、おじさんとあの子はちょっと関係はあるけど……皆が思ってるようなことは起こってないよ~」

 

 アビドス校舎に戻ってから数十分が経ち、まともに言葉を交わせるようになったホシノは初めて顔を合わせた時の、朗らかさのある表情のまま私達の考えていることをただの勘違いだと一蹴する。

 

「でも、あの時のホシノ先輩は明らかに異常でした」

 

「ホシノ先輩、私達は同じ対策委員会の仲間じゃないですか。誤解なら本当のことを話してくれたって…」

 

 それでもあの時のホシノはおかしいと主張するアヤネと本当のことを話して欲しいと言うノノミ。

 

"私も、ホシノとあの子の関係は知りたいな。"

 

 それに……アロナに聞いたところ、あのような見た目をしている子は生徒名簿にいなかった。

 退学してしまった不良でさえも顔か名前さえ分かれば元いた学園や当時所属していた部活が特定できるのだが……偽名を使って高度な変装でもしているのだろうか?

 

「関係もなにも、1年生の頃に仲が良かったただの友達だよ〜。喧嘩別れしちゃったからちょっと情緒不安定になってただけだからね」

「とにかく、おじさんは大丈夫。そんなことよりアビドスには莫大な借金があるからそれを何とかする方が先だよ〜」

 

"借金…?"

 

「ホシノ先輩!?それは…」

 

 セリカが慌てた様子でホシノの方へ向く。

 

 

「まあいいじゃない、隠すようなことでもないんだから」

「それに、先生は私達を助けてくれた大人でしょー?」

 

「ホシノ先輩のいう通りだよ。先生なら力になってくれると思う。」

 

"良かったら、そのことについて詳しく教えてもらえないかな? シロコの言う通り力になれるだろうから。"

 

「~~~!! この学校のことはずっと今まで私たちで解決してきたじゃん!なのに今更部外者の大人に助けてもらうだなんて………私は認めないから!!!」

 

 そう言うと、セリカは勢いよく扉を開けて部室から出て行くってしまった。

 

 

「私、様子を見てきます」

 

 ノノミがセリカのあとを追いかけていったのでひとまず安心だが……もはやホシノに話を聞けるような空気ではなくない。

 

 

「で、簡単に説明すると…この学校借金があるんだぁ。7億円くらいの」

 

「正確には7億176万円、ですよ。ホシノ先輩」

 

「そうだったねぇ。桁が大きすぎて覚えられないよ~」

 

「先輩、これが返済できないと学校は銀行の手にわたって廃校手続きを行うことになってしまうんですよ。」

 

 アヤネはムッとした顔でホシノを見てから続ける。

 

「…先生、アビドスは今借金のせいで生徒はほとんどがいなくなり、街もゴーストタウンと化してしまっているんです」

 

"どうしてそんな借金ができてしまったの?"

 

 少し間をおいてから、アヤネが話始める。

 

「数十年前、この学区の郊外で砂嵐が起きたんです」

「この地域では以前から砂嵐自体は頻繁に起こっていたのですが…その時の砂嵐は想像を絶する規模のものでした」

「砂嵐の対処のために悪徳金融会社から多額の借金をしてもなお、毎年発生する大規模な砂嵐に対処しきれずに膨大な借金と、半分以上が砂に呑まれたアビドスのみが残ったんです」

 

 想像していたよりも酷い過去を持っていたことに驚き、安易に同情的な反応をしてしまう。

 

"そっか…ずっと、大変だったんだね。"

 

「でも希望はあるんです! 二年前からいきなりその砂嵐が来なくなって、なんとか毎月の利息だけでなく元本も少しづつですが払えるようになったんです」

 

 先ほどまでの暗い顔から一転、明るい顔でアヤネは話す。

 

 二年前……ちょうどホシノが一年生の頃だ。何か知っているのかな?

 

「それでも、無理して補給品に回すお金を削るのはよくないと思う」

 

「あはは…シロコ先輩の言う通りです」

 

 

 

 

"ホシノ、何かあったの?"

 

 話の途中からいきなり反応が薄くなったホシノが心配になったので声をかける。

 

「え!?いや~先生には十分働いてもらったし、迷惑はかけられないな~~なんてね」

 

 私はシャーレの顧問だが…それと同時に、皆の先生でもある。このままアビドスを放置するだなんて絶対にあり得ない。

 

"私も対策委員会の顧問として一緒に頑張るよ。"

 

「は、はい!よろしくお願いします、先生!」

 

「先生も変わり者なんだねー。こんな面倒ごとに自分から首を突っ込もうだなんて」

 

「シャーレが力になってくれるということは…借金完済に一歩近づいたといううことですね!」

 

「それでも何年後になるかなぁ…」

 

「悲観するのは良くない。きっとこれから大きく変わるはず」

 

 こんな状況でも明日を向く皆を見て、私は安心しながらその日を終えた。

 

 

 

 

 

 

 

 対策委員会の顧問としてみんなと一緒に頑張ると宣言した日の翌日、私はハネタとアビドス住宅街で見知った顔と出会った。

 

"セリカちゃん、おはよう。"

 

「おはよう、セリカちゃん。」

 

「な、なにが『おはよう』よ! なれなれしくしないでくれる?それにちゃん付けだなんてしないで!」

「と、言うかあんた誰よ!見た感じ先生と同じ服を着ているようだけど…」

 

"そっか、昨日顔を合わせる前に帰っちゃったんだったね。"

 

「申し訳ない、本当は昨日顔を合わせる予定だったんだが急に仕事が入ってな。改めまして、連邦生徒会書記長兼シャーレ部員の天竜ハネタだ」

 

「あんたが連邦生徒会の……って今更来たって遅いわよ!まだ先生も、シャーレのことも認めたわけじゃないんだから!」

 

「『まだ』なんだな」

 

「そ、それは…言葉の綾ってやつで……!」

 

 顔を赤らめて強く反応するセリカ。子猫の威嚇のような可愛いものを見ているような気分になる。

 

 

"可愛いね"

 

「なによいきなり!?気持ち悪い!」

 

"ごめんごめん、つい心の声が漏れ出てちゃった。"

 

「はあ、何言ってんだか。私は忙しいから、じゃあね!」

 

「せっかく学校に行くんなら一緒に行かないか? まだ顔を合わせてないんでちょうど良い」

 

「だれがあんた達なんかと行くもんですか! それに今日は自由登校日だから学校には行かなくても良いの!」

 

"じゃあ今日はどこに行く予定なの?"

 

「はあ?そんなのわざわざ教える必要ある?じゃ、今度こそバイバイ」

 

 そのままセリカは走り去っていってしまった。

 

"悪い人に騙されないと良いんだけど……"

 

「なんか怪しいネックレスとか買ってそうだよな」

 

 心配になった私達はセリカを追いかけることにした。

 

 

 

 

「何よ!?シャーレってのはストーカー部なの!?」

 

"セリカが悪い人に騙されてないか心配なんだ"

 

「そんなことあるわけないじゃない! ただのバイトよ! わかったら追いかけてくるのはやめて!」

 

 またセリカは走り去っていってしまった。

 

"セリカのバイト先、気になる…"

 

「セリカのバイト先か…あの見た目だし猫カフェだったり?」

 

”猫カフェ! そうだとしたら…ふふふ、色々できそうだね。どこで働いているのかな?”

 

 好奇心に駆られた私達は、セリカをまた追いかけることにした。

 

 

 

 

「あんたら……もはや一周回ってストーカーの才能があるわね」

 

"それほどでも……"

 

 顔を赤らめてつい照れてしまう。真っ向から褒められてしまうと正直に受け取れないものだ。

 

「褒めてるわけじゃないの! むしろその逆よ!!何がしたいの!? 今のストーカー行為を褒められたかったの?」

 

"違うよ。私はセリカのバイト先が気になって…"

 

「ああ言えばこう言うのね!もう意味わかんない!あっち行ってストーカー!!!」

 

 そういってまたしてもセリカは走り去ってしまった。

 

 

"『ああ言えばこう言う』の使い方間違ってるよ!!"

 

………遠くてよく見えないが、中指を立てられた気がする。

 

「そっちがその気ならこっちも…やってやろうじゃないか…」

 

"ふふふ、そうだね。先生にそんな態度をしたらどうなるのか、わからせてあげよう。"

 

 

 

 

 

 

"ってことがあったんだ。"

 

「セリカのバイト先を突き止めて、からかってやりたいな」

 

 ハネタと対策委員会同士で軽い自己紹介を済ませてから当時のことを話した。

 

 なぜだか分からないがその間ずっと何かに取り付かれたようにホシノがハネタのことを見つめていたのが印象的だったが…今では普通に話せているのでよかったよかった。

 

「うへぇ~セリカちゃんがバイトかあ…まあ心当たりはあるかなぁ」

 

「まあセリカちゃんがバイトしそうな場所といえば…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いらっしゃいませ!何名様ですか?二名様ですね!席へご案内いたします!」

「ご注文をお伺いいたします!はい、味噌ラーメンですね!少々お待ちください!三番テーブル味噌ラーメンです!!」

 

 せわしなく働く様子が扉の隙間から覗くことができる。

 

――――ガララッ

「いらっしゃいませ!何名様です、か…」

 

 先ほどまで人当たりの良い笑顔だった表情が驚愕へ変わる。

 

「あの~☆6人なんですけど~!」

 

「どうしてみんなここを…?」

 

 あまりの衝撃に人数確認をとることも忘れた様子のセリカ。

 

 

"やあ、セリカ。"

 

「すこし振りだな、セリカ」

 

「先生とハネタ…!やっぱりあんたら天性のストーカーの才能があるわね…!」

 

「一応年上なんだから先輩をつけてくれても……」

 

「あんたに先輩をつけるのは先輩の品格を損ないそうだから嫌!」

 

「先生とハネタは悪くないよ~セリカちゃんのバイト先といえばやっぱりここしかないかなって、おじさんが皆に教えてあげたんだぁ」

 

「ホシノ先輩……!!くっ!」

 

セリカをからかって…ではなくお話をしていると、犬の見た目をした大将らしき人から声がかかる。

 

「アビドスの生徒さんと…先生か。セリカちゃん、おしゃべりはそのくらいにして注文を受けてくれよな」

 

「うう…はい、大将。広いお席へご案内します…こちらへどうぞ……」

 

すっかりしょげた様子で席案内をするセリカ。

 

……さすがにおふざけが過ぎないようにしないとね。

 

 席を案内され、シロコの隣かノノミの隣が空いていたので私がシロコの隣に、ハネタがノノミの隣に座ることになった。

 

「セリカちゃん、バイトのユニフォームとっても可愛いですね☆」

 

「いやぁ、セリカちゃんってユニフォームでバイト決めちゃうタイプなんだねぇ」

 

「ち、ちち違うって! 関係ないし! ここは行きつけのお店だったから…」

 

 何とか取り繕おうとしているようだが…そんなに赤面した顔で言われても説得力がないというもの。

 

「そのユニフォームも良く似合っていると思うんだが…メイド服なんかもどうだ?」

 

「死ね!早く死んでしまえ!!!」

 

 顔から湯気が出てきそうなほど赤面したセリカが怒鳴る。

 他のお客さんの迷惑になるかな…と思ったが、ちょうどついさっき昼飯時が終わったようで周りにほかのお客さんはいないようだ。

 

「なんだ、セリカならきっと似合うと思ったんだが…」

 

"うん、私もそう思うよ。いっそのことそういうアイドルをやっても似合うかもね!"

 

「バカ! 出会って二回目でいうことじゃないでしょ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 その後も誰が料金を支払うのかひと悶着あったが結局私が全員分払うことになった。

 

 この程度でみんなが喜んでくれるなら安いものだよ。なんて言ってしまったが実際は少し、ほんの少しだけお財布が軽くなって悲しい気分になる。

 

 もちろんこの程度でみんなが喜んでくれるなら安いもの、という言葉は嘘じゃないけどね!

 

 

 

 

 

 対策委員会のみんなと別れてから、私とハネタはシャーレに戻るつもりだったのだが…

 

「悪い!ちょっと用事ができたから、先に行ってて!」

 

 と言ってどこかへ行ってしまった。

 そっちの方向、なんかあったかなあ。と思いつつ深くは考えずに言われた通り先に帰ろうとしたのだが…

 

「ねぇ先生、一つ話したい事があるんだけど。」

 

 

 普段の朗らかな様子からは想像もできないような声色でホシノに呼び止められた。

 

"どうしたの?なにか問題でもあったかな?"

 

 

「ううん、違うよ。私が話したいのは―――――小野川ライと天竜ハネタについてなんだ」

 

 小野川ライ…それが彼女の名前だろうか、今この場でその話題が出てきたことに肩肘を張る。

 

 だがなぜ同時にハネタの名前が出てくるのだろうか…?

 

"わかった、良かったら話してくれないかな?"

 

 疑問に思いながらも話すように促す。

 

「うん、まず私とライの出会いから話すね―――――」

 

 

 

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 またしても嘘をついて抜け出してしまったぜ……

 

 

 さて、このアビドスは砂だらけで何もないと思われがちだが一つ大きく発展しているものがある。

 

 それは化粧品だ。

 

 アビドス砂漠の砂がうんぬんかんぬんと大きくPOPに出されていたのでこの化粧品はアビドスでしか作れない特産品なのだろうとわかる。

 

 そんなアビドスの化粧品店で俺が買ったのは――――トリニティ御用達の化粧品セット。

 

 

 ……なんでアビドスの化粧品店でアビドスのものを買わないのかって?

 いや、この前俺が嘘をついて帰った時にアビドスの化粧品は買ったんだよ。

 

 でもなーんか合わなくて、俺が目指してるのは色白系なんだがアビドスのはちょっと肌色が濃くなるタイプだったんだよな……

 

 そんな理由でトリニティ向けの化粧品を買ったのだが…これがまあ高い。

 化粧品セットをすべて買い直したからというのもあるだろうけど、値札には6桁くらい数字が書かれてたなぁ。

 先生がラーメン奢ってくれなかったらギリ手持ちが足りなかったかもしれない…

 

 

 

 

………ところで、化粧品店出たらへんからずっと視線を感じてたんだけど、あれは何だったんだろう?

 

 一瞬、特徴的な水色のアホ毛がすぐ真後ろに見えた気がして全速力で走って逃げたらそんな視線もすぐ感じなくなったけど…

 

 まさか、な。

 だってさすがにライのことなんか忘れてキヴォトス外の大学に進学したはずだろ?

 

 気になっている人が卒業したら同棲する、なんて息巻いてたし。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ライちゃん、なんで逃げるの?一緒に暮らそうって約束したでしょ?」

 

 

 

 

 






次回はホシノの回想です。
気合の入れどころやで…

紛らわしいので書いておくと、化粧品店にいる時はライの状態でした。





ところで、カイザーPMC理事などのオートマタに性欲があると思いますか?
個人的には機械なのでそんなものあったら解釈違いなのかなぁなんて思うのですが……皆さん的にはどうなんですかね?


一応アンケート置いておきます。結果によってはこの先どうなるかわからないですね。

”そういうシーン”というのはR-18にならない程度で性的な描写のことです。

オートマタに性欲があるのは

  • 解釈違いすぎる
  • 別にあっても良い
  • あっても良いがそういうシーンはいらない
  • 解釈違いだけどそういうシーンはほしい
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。