まさか連邦生徒会唯一の男が夜な夜な謎の美少女としてミステリアスムーブかましてるとは誰も予想だにしないだろうなぁ 作:ゆずっこ
あと、評価の一言欄無くしました。
「もっとしっかりしてください! あなたはアビドスの生徒会長なんですよ!? もう少し、その肩に乗った責任を自覚したらどうなんですか!」
ビリビリッ――――アビドス砂祭りのポスターを破く音とともにユメ先輩の悲しげな吐息が生徒会室に響く。
「…ごめんね」
そう言い残し生徒会室から出て行ってしまったユメ先輩を呼び止めることは出来なかった。いや、『呼び止めなかった』の方が適切なのかもしれない。
なんてくだらないことで怒ってしまったのだろうか。とは思ったがわざわざここで呼び止めなくたって、どうせ次の日の朝には何食わぬ顔でいつものように「おはようホシノちゃん!」と言ってくれるはず。という根拠のない確信があったせいだろう。
だがその翌朝、ユメ先輩が登校してくることはなかった。
いつもユメ先輩がお弁当を半ば強引に押し付けてくるのが恒例になったお昼の時間になっても、一緒に帰ろうと呼び掛けてくれる下校時間の夕方になっても、【おやすみホシノちゃん、明日も頑張ろうね!】とモモトークが送られてくる夜になるまでアビドスに居続けたがそんなユメ先輩の影も形もなく、その日はそのまま生徒会室の机に突っ伏して眠ってしまった。
次の日、目覚めたのは太陽が空の頂点を通り過ぎて傾き始めた頃だった。
いい加減心配になってユメ先輩のことを探し始めたが、宝探しをした場所や一緒に行ったごはん屋さんなど思い出の場所を巡れども見つけられず、残すは広大な砂漠の中から探すことのみになり焦燥感が高まっていく。
まさか、また一人で無鉄砲なことをして行き倒れてしまっているのではないか。
私があんなことをしたせいでユメ先輩は――――
今考えても仕方のないことが頭の中を回る。
何もない砂漠を探し回ってようやく見つけたのは、巨大な何かが横たわっていたような跡とすっぽりとくり抜かれた大きな穴。そしてユメ先輩がいつも持っていた盾とよくわからない色合いのメガネのみ。
周りを探し回ってわかったことはアビドス全体に直接影響を及ぼせるほど巨大な何かが一撃で葬られ、その死骸は誰かが跡形もなく回収していったことと――――そしてかすかに残った市街地の方へ向かう靴跡だった。
だがその靴跡はいつもユメ先輩が履いているスニーカーではなくローファーのようなもの。明らかに怪しかったが、ユメ先輩につながりそうな手がかりはそれだけなので跡を追うことにした。
結局、市街地に近づいた時点でその靴跡も消えてしまっていたが、目の前にはいまだに閉鎖されずに残っているものの中では最も大きい病院があった。
「梔子ユメ、という人がこの中にいませんか?」
受付の人にユメ先輩がいないか聞くと、ちょうどついさっき熱中症で運ばれて来たと言われ、ユメ先輩のいる病室の場所も聞かずに走り出した。
一番大きい病院と言ってもあくまで荒廃したアビドスでの話。病室は狭い二階にしかないのですぐに見つかると思ったのだが、なかなかユメ先輩の病室は見つからない。
「ユメ先輩…ユメ先輩…!」
「貴女、ユメの知り合いなの?」
うわごとのようにユメ先輩のことを口走っていると、一人の少女に話しかけられる。
「ユメ先輩の病室を知りませんか!?」
まったくもって見覚えのない彼女がユメ先輩のことをなぜ知っているのか…そんな疑問が浮かんだのも一瞬、とにかくユメ先輩に会いたいの一心で病室の場所を聞くことにした。
それが夜空の一部を切り取ったように黒い髪と端正で整った顔立ち顔をした少女―――小野川ライとの出会いだった。
ライの言う通りの病室に向かうと、そこには難しそうな顔であごに手をやりながら手紙を読むユメ先輩の姿。
ユメ先輩にたくさん話したいことがあった。どうして熱中症になってしまったのか、あの少女は何者なのか、そして何より―――激情に身を任せてポスターを破ってしまったことへ謝罪。
とりあえず、謝るべきだと思い私が開こうとした瞬間。
「うーん、よく分かんないけど借金が減ったならいっか!!」
「良いわけないでしょこのバカ先輩!!!!!」
ふざけたことをいうのでいつも通りの調子で咄嗟に言い返してしまったけれど、結果的には謝ることができた……はず?
先ほどから気になっていたどうして熱中症になったのか、という疑問を問いかけたところかなり濁して説明されたけど、でっかい白蛇に襲われていたところを先ほど病室を教えてくれた少女―――ライが撃破して助けてもらった。とのこと。
そのでかい白蛇、というのは砂漠で見つけた何かが横たわったような跡に関するものだろう。
そう考えるととんでもないスケール感であることが容易に想像できるが…新たに疑問が湧き出す。
そんな化け物をおそらく一撃で葬ったとされるライの正体と、その場に居合わせた目的は何なのか?
これについてユメ先輩は「うーん?言われてみれば確かに…?」と言っていて知らない様子だった。
偶然その場に居合わせたというにはあまりにも理不尽な力を容赦なく振るったことから、もともとは何らかの目的――――特にその白蛇についての用事があったのだろうと予想は立てられたが、詳しいことはわからないままユメ先輩の退院日を迎えていつも通りの日常が戻った……とはいかず、ある日私一人で例の戦闘跡を調査していたところライを見つけた。
「ライさん……で良いですよね?何か用でもあるんですか?」
「貴女は…ホシノちゃん、でよかったかしら?」
名乗った覚えのない相手に名前を呼ばれ一気に警戒を強くしたのもつかの間、ユメ先輩によって半ば無理やり交換させられたモモトークでいろいろ教えられているので私のことを知っていただけ。ということを伝えられた。
だが警戒を緩めることなくなぜあの時ここにいたのか、また戻ってきたのか聞いてみることにした。
「ライさんはなんでここに来たんですか?」
「今ここに来た理由のことかしら? …お恥ずかしながら、落としてしまったメガネを探しに来たの」
あまりに単純で簡単すぎる答えに拍子抜けした。
メガネ……そういえば、ここに不思議なメガネが落ちていたことを思い出す。
「メガネ、というのはここら辺に落ちていた度の入っていないメガネのことですか?それならうちの落とし物入れに保管してありますが…」
「あら、そうなの?ならそちらまで行かせてもらうわね。ありがとう、ホシノちゃん。」
あと、さんは付けなくても良いわよ。と言い残してアビドス校舎へ向かう…が、あまりの速度に砂埃が砂嵐のように舞い姿が見えなくなってしまう。
「ちょ…ちょっと待ってください!」
最初、なぜここに来たのかについてまだ聞けていないのに目の前から消えてしまい、この声が届かないのはわかっていても口に出してしまった。
「…はあ、あの様子だとアビドス校舎に向かったはず。急いで後を追えば間に合うでしょうか」
私がアビドス校舎にようやくたどり着くと、生徒会室の方からいつもはしない紅茶の匂いがしていることに気が付く。
まさかと思い生徒会室の扉を開けると、そこにはジュースを飲みながら楽し気な顔をするユメ先輩と一目みて上品だと感じる仕草で紅茶を飲んでいる、胸ポケットにメガネを入れた少女がいた。
「ホシノちゃん!ちょうどいいところに来たね!この人がライちゃんで―――「ユメ、先ほど彼女とは会ったわよ」あれ、そうだったの?」
「はい、先ほど砂漠で出会いましたよ。ところで…」
そこまで言ってからライがそれ以上言わなくてもわかる、と言いたげに目配せをしてくる。
「私がそこにいた理由は…そうね。まだこの場で教えることは出来ないわ。」
少し悲しげに目を伏せながらそう答える彼女に、ユメ先輩は私に制止するように目配せをしてきたのでそれ以上追及することは出来ないまま、その日は下校時刻となりお開きとなった。
「……やっぱり怪しい。次また来たのならどうやって追い返そうか…」
「そんなこと言ったら駄目だよホシノちゃん! ライちゃんはいい子なんだから…きっといつかライちゃんと心から話会うことができればわかるよ!」
思わず考えていたことを口に出してしまい、少し焦ったが…
「その口ぶり……ユメ先輩はライと心から話し合えた。ということですか?」
「あっ、いや~それは…そのぉ~」
目をそらして答えにならないことを言って誤魔化そうとするユメ先輩を見て、せっかく助けてもらって悪いけれど、あまりライをここに居させるべきではないと判断して、次またここに来たのなら何とかして追い返そうと決める。
約1週間後の昼、柴関ラーメンでまた彼女と出会うことになった。
休日なので少し肩の力を抜こうと思い、一人でラーメンでも食べに行こうと行きつけの柴関ラーメンに行くと、ライがちょうどカウンター席で物珍しげにメニュー表を見ているところだった。
「また会ったわね。ホシノちゃん」
隣に座ると、ライはこちらに気づいたようで声をかけてきた。
「ええ、こんなところでまた会うとは思っても見ませんでしたよ」
「ところで、ライもラーメンを食べるんですね。てっきり良いとこのお嬢様なのでこういう庶民的な食べ物は食べないと思ってました」
「ふふ、貴女からはそう見えたのね」
少し嫌味を込めて言ったつもりの言葉を、彼女は正直に受け取った様子でこちらを見ることなく微笑んだ。
なんだか調子が狂う気がする……
「はぁ……まあいいです。大将、特製味噌ラーメンと炙りチャーシューのトッピングをお願いします」
「私もホシノちゃんの同じものをお願いするわ」
はいよ! と威勢良く注文を承る大将の声が聞こえた後、ライは珍しいものを見るように周りを見渡す。
「私が頼んだラーメンと炙りチャーシューって結構重いんですが…ライは食べ切れるんですか?」
「貴女が食べられるのなら、私にも食べられるでしょう?」
身長の小さい私が食べられるのだから私にも食べられると踏んだのだろう。私の体を見ながら平然と答えるライに少しイラついた私は、特製味噌ラーメンがたまに大食いファイターがやってくるレベルの量であることを黙っておくことにした。
「はい、お待ちどうさん。特製味噌ラーメンと炙りチャーシューだ。」
運ばれてきたラーメンにいつもほとんど表情の変化がないライの少しだけ目を見開いて驚いた様子を見て笑いそうになるが、このまま残してしまったら大将に悪いと思い、少し分けてもらうことにする。
「黙っていた私も悪いですが……私が注文したラーメンは結構量が多いんです。食べられそうにないのなら私に―――「お気遣いは嬉しいわ。でも自分で注文した食べ物くらい自分で食べ切るのがマナーなのは分かってるから大丈夫よ」―へ?」
まさか初見でこのラーメンを食べ切れるとでも…?
「うへ〜…」
勢いよく啜っているはずなのに自分の服に汁をハネさせることなく良いペースでラーメンを食べる彼女に舌を巻く。
「お客さん、そんなに放置してたら麺が伸びちまうよ」
「す、すみません……」
呆気に取られていた私は大将に話し掛けられてようやく自分がまだラーメンを食べていないことに気づき、少しぬるくなったラーメンを食べ始めた。
……汁がハネないようにライを真似て食べたけれど、むしろいつもより多く汁が自分の服にかかった気がした。
「貴女の聞きたがっていた『なぜ私があの場所に都合良く居合わせたのか』という疑問についてなのだけれど」
「…話す気になったのですか?」
柴関ラーメンを出て体が蒸し暑いような冷えているような表しようのない不快感の中、彼女から話を切り出された。
「ええ。……私は、どこかの学園の生徒では無くて、とある組織に所属しているエージェントよ」
「組織…? エージェント…?」
皆目見当もつかない答えにオウム返しをする。
「それについて詳しくは言えないわ…でも、あの大きい白蛇――――ビナーを討伐するように命令を受けて来たのよ」
「ビナー…?それがあなた達となんの関係があるというんですか?」
「そうね………キヴォトスの平和のためよ」
ライの言っていることは綺麗事だ。確かに彼女にはとてつもない力があるのかもしれない。でもそれだけじゃどうにもならない出来事は沢山ある。
例えばそう、――――アビドスの砂嵐だ。
「でもそんなこと言ったって、アビドスには数え切れない程の借金があって、砂嵐のせいで家を追われた人だって大勢居るんですよ!?この状況が続いても尚、キヴォトスは平和になれると言い切れるんですか!?」
彼女には彼女なりの考えがあって行動してることは分かった。
…それに、アビドスの問題を彼女に伝えたところで何か具体的な対策を講じることが出来無いことも分かっていた。
それでもこの砂まみれになったアビドス自治区が放置されたまま"キヴォトスが平和になる"だなんてこと考えたくなかった。
「安心なさい。――――絶対にこのアビドスは今よりもっとずっと良くなるはずよ」
何の根拠もない発言。それになんだかよく分からない組織に所属していて目的も不明瞭。
それでも彼女の力強い目線と、目的はどうであれユメ先輩を助けてくれたという過去から私は――――――――
「分かりました。小野川ライ、あなたの言葉を信じることにします。だからその言葉、絶対に反故にしないでくださいね」
ライは何も言わず、ただ少し微笑んでから背を向ける。
「うへ…」
ライの微笑んだ顔を初めて正面から見た私は、情けない声をだしてそのまま少しの間立ち尽くしていた。
…なんだか、絵本から出てきたお姫様みたいだったなぁ……
この当時、ライ(ハネタ)はどんな心情でホシノ達と接していたのかはこの後編が終わってから書きます。どんな心情でロールプl……ホシノ達と関わっていたのかが明かされますね!
ちなみにプロットは現段階で半壊しております。プロットとは…?
追記 評価バーの色と量が変わっててとても嬉しい…嬉しい……これからも可変TSとミステリアス美少女を広めるために精進して参ります。
オートマタに性欲があるのは
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解釈違いすぎる
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別にあっても良い
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あっても良いがそういうシーンはいらない
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解釈違いだけどそういうシーンはほしい