いせかるメンバーにナツキ・スバルの人生上映会を観せる 作:リーグロード
いせかるメンバーにナツキ・スバルの人生の上映会を観せる
ここは異なる異世界の主人公達が集う異世界の学校……ではなく、何故か用意されていたこっちの世界での自宅から事件は起きた。
「ふむ……」
ナザリックに比べれば数段劣るが元のリアルの頃と同じレベルの自宅の部屋で寝ころびながらアインズが本を読んでいる。
アンデッドゆえに睡眠を必要としないため、自己啓発セミナーの本を暇つぶしも兼ねて読み進めていると、登校時間を知らせる時計のアラームが鳴り響く。
「今日はここまでか。さて、降りるとするか」
部屋を出てリビングに降りると、テーブルの周りに守護者達が集まっているのが見えた。
「ん?どうした、お前たち?」
「あっ、アインズ様!」
主人の起床に気が付いたアルベドがうやうやしく頭を下げつつ、困惑したような顔で答える。
「実は今朝からテーブルの上に例のアレが……」
「アレ……?」
アルベドの視線の先を見ると、テーブルの上にはこの世界に来ることの原因となった謎の赤いボタンが置かれてあった。
「コレは……。一体いつからここに?」
「はっ、発見したのはアウラとマーレで、起床の時間は6時ちょうどです。昨夜リビングを最後に出たのはデミウルゴスで就寝時間は2時頃だとのことです」
「そうか。なら、2時から6時までの4時間に何者かがここに置いた。もしくは出現したということで間違いないな」
「はっ、それ以外の時間には守護者各位は自室にて睡眠を取っていたと証言は取れてますので間違いはないかと」
「ふむ、なるほどな……」
アルベドから視線を外し、アインズは例の謎のボタンに向き直る。
(それにしても、なぜ急に再び出現したんだ?やはり何者かの策謀?しかし、だとしたら何が目的で?)
アインズはそこまで考えた後、不意に視線を感じそちらに目をやると、アインズからの命令を今か今かと待ちわびていた守護者達と目が合った。
きっとここから自分達では及びもつかない深謀遠慮を披露してくれると期待しているのだろう。
それをアインズはゴホンとわざとらしく咳払いすることで、誤魔化そうとする。
「ま、まずは我々と同じくこの世界に召喚された皆に連絡を取るとしよう」
そう言うや否や、
『朝早く失礼する、ターニャ』
『っ!?この声は、アインズ君なのか?』
『ああ、これは私の魔法によるものだ。急で申し訳ないのだが、少々聞きたいことがあってだな』
『なるほど、このタイミングでアインズ君が連絡を寄越すということは、例の謎のボタンの件かな?』
『っ!?そうか、薄々あるだろうなと考えていたが、君のところにもあのボタンが出現したか』
『ああ、今は様子見で警戒しているが、そちらもまだあのボタンには触れていないのだろう?』
『もちろんだ。押せば元の世界に帰れるという可能性がないわけではないが、それでも押せばどこへ飛ばされるか分からんボタンに不用意に触れるつもりはない』
『当然だな。だがそうなると、これの扱いをどうすればいいのか?』
『ひとまずは様子見で対処するとして、まずは学校に行ってみないか?この状況で先生役となっている者達の反応も気になる』
『それもそうだな。しかし、そうなるとこのボタンから目を離すことになってしまうが……』
『なら、ボタンを押さずに持ち運ぶとしよう。幸いなことに、このボタンは見た感じ持ち運べるタイプのようだ。動かす程度なら問題はあるまい』
『だな、ならそうするとしよう』
互いに有意義な情報交換が済んだと判断すると、アインズは伝言を切る。
(ふぅ~、流石はターニャだな。これで向こうにもボタンが出現したことは確認が取れた。となると、カズマやスバル達の方にもボタンが出現したと考えてもよさそうだが……)
慎重派なターニャは押さずに様子見という選択をしたが、カズマ達は……カズマは大丈夫かもしれないが、アクアやめぐみん辺りが何も考えずに押してしまいそうな気がするな。
スバルの方も……いや、スバルもああ見えて慎重派の人間だ。彼の周りの人間も無策で行動を起こすような者達ではないだろうし、やはりまず先に連絡を取るのならカズマの方からがいいだろう。
問題は引きこもり体質なカズマがこの時間に起きているかどうかなのだが……?
『すまない、カズマ。少々聞きたいことがあるのだが』
『この声!!アインズか!?』
『ああそうだ、それで聞きたいことが』
『ぬおわぁぁぁ!!!いい加減に止まれぇ!アクアにめぐみん!!!!』
『あ~、大体の状況は察した』
『察してくれるか。そうなんだよ!あのボタンが朝起きたらリビングのテーブルの上に置いてあってさ、押したら帰れるってアクアが勝手に押そうとしたり、めぐみんも便乗して暴走したりで大変でさあ!!!』
『そ、そうか、それはその……大変だな』
『そうなんだよ!ってぇ、お前らはちょっと目を離した隙にぃぃぃ!!!と~ま~れぇ~!!!』
『あ~、ターニャには既に伝えたのだが、ひとまずはボタンを持って学校で合流することになってるので、カズマもそれで異存ないか?』
『ああ、分かった。って、だから勝手に押そうとしてんじゃねぇ!!!』
『本当に、大変だな……』
伝言を切るとアインズは今も頑張っているカズマに向けて心の中で頑張れとだけエールを送る。
だが、これでカズマ達もまだボタンを押していないことの確認は取れた。
残るはスバル達の方だが、先程のカズマ達みたく大変なことにはなっていないだろうと、アインズは楽観的に考えながら
「これは……」
アインズがかつてのギルドメンバーに
それはすなわち、
「お前たち、学校へ急ぐぞ!」
「「「「はっ!」」」」
何があったかなど聞く必要はない。主人であるアインズが命令を下したならば、何も言わずに行動するのが臣下の務めだ。
アインズが例の謎のボタンを持って家を出ると、そのすぐ後ろにアルベドとシャルティア、マーレとデミウルゴスをつれ、アウラが先行しその後ろにコキュートスが続き、最後尾にセバスが追従する。
仮に元の世界に戻ったのならばまだいい。だが、もし仮にまた別の異世界、それもこんな平穏な場所ではなく、過酷な環境の世界へ送られたのならば、学友として見過ごすことは出来なかった。
しかも、その可能性は自分達にも十分すぎるほどある。それがアインズの心を逸らせる。
(それにしても、スバル達が消えたという事実に俺自身があまり動揺していないとはな)
アンデッドの特性で強い感情は抑制されるのだが、スバル達が消えたという事実が抑制される程ではないとアインズに訴えかける。
それが言外に自分の中に人としての残滓がほとんど残っていないのだと言われているみたいで、アインズは自嘲する。
スバル達の失踪の真相を知るために、そしてこれ以上ないほどに危険な予感を覚えながらアインズ達は学校へ急いだ。
結果として、各陣営の中で一番に学校の教室に到着するアインズ達、教室の窓からは未だに学校へ登校する他の者の姿は見えない。そこで少々焦りすぎたかと落ち着きを取り戻す。
「ふぅ、少し落ち着こう。まだスバル達が完全に消えたと決まったわけではない。まずは情報を集めてからでも遅くはないだろう」
「でしたら、まずはパンドラズ・アクターを探してみるのはいかがでしょうか?」
「ああ~、そうだな。うん、奴にも今の現状を聞いてみるのもいいかもしれな──」
アルベドの提案に賛成し、例の謎のボタンを机に置いて席に座ろうとしたその瞬間、机の上からアインズが座ろうとした席へとボタンが転移した。
「あっ!?」
ピンポーン!
迂闊にもこの世界に転移させられた時と同じようにボタンを踏んずけてしまうという少々間抜けな押し方をしてしまった。
そして、世界がグニャリと歪み始めると、アルベド達の驚きの表情を残してアインズ達の姿はこの世界から掻き消えるのであった。
「───ここは一体、どこなんだ?」
気がつけば薄暗い大量の椅子と巨大なスクリーンのある部屋に転移させられていた。
周りを見渡せば、一緒の教室にいた守護者達に加えて、ターニャ陣営にカズマ陣営もこの部屋に立っていた。
「アインズ君もここに転移させられたということはあのボタンを押したのか?」
「うむ、少々不覚を取ってしまってな」
「こちらも似たようなものだ。まさか登校中に空から存在Xが乗り移ったあの人形がボタンの上に落ちてくるとは……!!忌々しい!!!」
「そ、そうか……」
鬼の形相もかくやと言わんばかりに怒り狂うターニャを宥めた後、アインズはカズマ達の方へと近寄る。
「カズマ達もここに転移したということは、やはりあのボタンを……?」
「ああ、この駄女神と頭のおかしい爆裂娘が勝手にボタンを押しちまったせいでな!!」
「なによ!ここに皆いるってことは、皆もボタンを押したからじゃない!!!なんで私達ばっか責められるのよ!!!」
「そうですよ、カズマ。それにしても、アインズもあのボタンを押すのは意外でしたね」
「うっ、ゴホン!それには少々込み入った事情があってだな……。それにしても……?」
キョロキョロと周りを見回すが、残りの陣営であるスバル達の姿が見えないことに気がつく。
「カズマ達はスバル達の姿を見ていないか?実は、カズマに連絡を入れた後にスバルの方にも魔法で連絡を取ろうとしたのだが、繋がらなくてな。それで、スバル達の方もボタンを押したのではないかと思ったのだが……」
「いいや、見てないな。そもそも、俺達が気が付いた時にはアインズ達も含めて全員この部屋にいたしな。というか、この部屋に見覚えがあるんだが……」
「カズマもか、実は私もこの部屋と同じ造りの部屋を知っているのだ」
薄暗く大量の席と巨大なスクリーン。この3つの要素が合わさった部屋はアインズとカズマにとっては初めて見る造りの部屋ではない。
「やはり、ここは我々が元いた日本の映画館と同じ造りの部屋というわけだな」
怒りが落ち着いたターニャがアインズとカズマの会話に割って入る。
「だろうな。だとしたら、我々を転移させた何者かの狙いは恐らく……」
「俺達にこれから何らかの映像を見せるのが目的ってことか?」
カズマがそう結論を出すと、部屋に機械音声のアナウンスが流れ始めた。
「ご入場の皆様、お座り下さい」
その瞬間、アインズとターニャは周囲を警戒する。
だが、そこで気がつく。この部屋の中ではいつもの魔力が存在しないということに。
「これは、魔力が存在しない?これでは魔法が使用できんな」
「アインズ君もか、私も同じ状態だ」
周りの者にも同じかどうか目線で問い掛けると、守護者達は恥ずべき事のように申し訳なさげに首を振り、ヴィーシャ達も同じような反応を示す。
「なあ、さっきのアナウンスの指示だけど、やっぱり従った方がいいのかな?」
「ふむ、現状、我々に魔力がない以上はこの場でまともな戦力となるのは我々の陣営だけ。私も魔力がない現状では身体能力は同格には劣るが、格下ならばそれなりの装備を整えれば問題はない。幸いにも、私の普段の装備は魔法なしの戦闘でもそれなりに力を発揮することは可能だ。しかし、君たちを守りながら、それもこんな訳の分からない場所へ強制転移させる謎の勢力と戦闘するのは好ましくない。ここはあのアナウンスに従って少しばかり様子見をするとしよう」
「ああ、申し訳ないが、この現状では我々がアインズ君達の足を引っ張るお荷物となってしまっているのは事実だ。それに、いまこの場にいないスバル達の行方も気になる。ここはアインズ君の言う通りに様子見に徹するのが定石だろう」
そんなターニャの決断にアインズは満足そうに頷くと、それぞれの陣営に分かれて席へと座る。
全員が着席したのを何処から監視していたのか、ブーと上映を知らせるブザーの音が鳴り響く。
「それではこれより、ナツキ・スバルの人生上映会を開演します」
高評価と感想で毎日投稿を頑張れる!!!……といいな。
4章でのスバル視点外の放送
-
エミリアの試練
-
ラムの告白
-
ガーフィールとエルザのバトル