いせかるメンバーにナツキ・スバルの人生上映会を観せる   作:リーグロード

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なんか中盤の文章がバグっていたみたい。
だから2回目の投稿です。感想で教えてくれたtatatata31さんに感謝を!!!


偽り、あるいは怠惰な復活

 そして、エミリアは話は終わりとばかしにスバルを部屋に残して去っていった。

 ベッドの上に残された彼女のローブを抱きしめながら、ナツキ・スバルが静かに涙を流す。

 そんなスバルを尻目に、自分の座っていた席に戻ったカズマもまた胸を痛めながらアクアによって慰められていた。

 

「よしよし、友達が悲しい目にあって、何も出来ずにただ見ているだけは辛いわよね。あっ、スクリーン殴って手が痛いの?う〜ん、いつもならヒールしてあげられるんだけど、この部屋じゃ出来ないから。痛いの痛いのとんでけ〜!」

 

「誰だ、あの女神は……?」

 

「あ、アクアさんですよ、少佐!」

 

 普段からその姿勢でいれば、まだ素直にいつもの女神発言を信じてやれるというのにと、ターニャは信じられんものを目撃したように驚愕しながらも呆れた溜め息を吐いた。

 

『ふぁんぶる──っ!?』

 

 中庭にてヴィルヘルムと木剣による打ち合いをしていたスバルがいつものふざけた声と共に宙を舞う。

 

「フシュ~!ナンダアレハ?チャンバラ遊ビノツモリカ……?」

 

「いえ、きっと稽古でしょうな。ただし、今の自分の愚かさから目を背けるための現実逃避が過分に入っているようですが」

 

 武人であるコキュートスは、ひと目でスバルの動きからスバルの心の根を見抜き、不愉快げに冷気を漏らす。

 それに応答するセバスも無表情ながらも、どこか今の映像に映るヴィルヘルムに近しい顔をしていた。

 

 そして幾度目かのダウンを取ったスバルの元に、クルシュがやって来て、スバル達の様子を見物しに来ていた。

 その後に続いて、ラインハルトもスバルの元に訪ねて来て、謝罪をしてきた。

 

『余計なお世話だってんだよ……』

 

 ただし、最強であるラインハルトのフォローは無自覚に弱いスバルの心を傷つけた。

 一応、形だけの感謝を伝えたスバルは突き放したようにラインハルトを追い払う。

 

「学園で奴の事は隣りのクラスとはいえ、多少は見てきたが……」

 

「その、空気を読むことはちょっと苦手みたいですね」

 

 最強様の意外な弱点を知ったとばかりに、ターニャは呆れて物も言えないとばかりに首を振り、他のクラスメイトである面々も似た様な感想を抱いていた。

 

 そして、中庭に戻ったスバルは再びヴィルヘルムに稽古を願い出ると、先程と同じ様に芝生へとダウンした。

 恐らくは気絶していたのだろう。倒れてスバルの視界が暗くなったと思えば、次に目を覚ました頃には空の色は夕焼けに染まっていた。

 そして、今のスバルの視界を占領するレムの姿。位置的に膝枕でもしてもらっているのだろう。

 

『……俺は、弱ぇな』

 

 自分を慰めるような自虐に、レムは否定することなく自然に肯定する。

 流れ的にまさか肯定されるとは思わなかったスバルだが、膝枕された状態で睨み上げるようにレムにやり直しを要求する。

 

「なんか、もう羨ましいって感情が湧かなくなってきたな……」

 

「っていうか、膝枕なら前に紅魔族の里に行く際にオークに襲われたカズマさんの為に、私がしてあげたんだし、羨ましいならもう一度私がしてあげるけれど?ただし、一回につきシュワシュワ一杯奢りでね!」

 

「……調子に乗んな駄女神」

 

「あっれ~?なんだか罵倒のキレが全然ないんですけれども~?……って、ちょっとふざけ過ぎたかしらね」

 

 スバルの調子の悪さが伝染したカズマの様子に、アクアはカズマを揶揄うのを止める。そして、寄り添うようにカズマの手の上に自分の手を重ねる。

 

「マジでどうしたよ?なんか今のアクア、女神っぽいんだけど?」

 

「ぽいんじゃなくて!正真正銘の女神なんですけれども!!」

 

 いい雰囲気だったのが一気に消えてなくなった。ただまあ、あの2人に関してはアレで良いのかもしれない。

 

 そして、映像の場面は次の日に移り変わり、エミリア含める5人の王選候補者の似顔絵が街の掲示板に貼られていた。

 それを覗き込んでいるスバルの隣に、果物屋の店主がズイッ!と顔を近づけて現れた。

 

『偉いさん方が決めたわりには馬鹿な話だ。よりにもよってハーフエルフ……いや、半魔にどうして国が任せられるかよ』

 

『半魔……』

 

『ハーフエルフのことだ。魔女の係累にはお似合いの呼ばれ方だろ?』

 

「どうやら、貴族の間だけでなく、一般市民の間でもハーフエルフの扱いは変わらないようだな」

 

「昔話のただ語られるだけの存在とはいえ、今もなお恐れられ疎まれる存在か……。これは、エミリアの分がますます悪く感じるな」

 

 果物屋の店主の反応から、これがあの世界での一般的な反応だと察したアインズとターニャは、焦るでも怒るでもなく、ただ冷静に分析する。

 

『ハーフエルフだからってひとくくりにして、勝手に見切りつけんなよ。その、エミリアって子だって、すげぇ……こう、国のためとか思ってるかもしれないじゃねぇかよ。なんかすげぇいい子かもしれないじゃねぇか』

 

 途切れ途切れに怒鳴るように擁護するスバルに、果物屋の店主だけでなく、周囲の人も怪訝そうな顔でスバルを見る。

 更にヒートアップしそうなスバルに、果物屋の店主は誠意が感じられない謝罪をして止める。流石に謝罪されてしまえば、スバルもそれを落としどころにするしかなかった。

 

『だがよ、お前がどう思うかは自由だが、ハーフエルフが国王になるなんざ不可能だ』

 

『まだそんなこと……! なんでだ? 嫉妬の魔女が理由か? その魔女様ってのがハーフエルフだったから、他のハーフエルフも全部危ないってか!?』

 

『──そうだよ』

 

 また熱に浮かされたまま議論しようとしたスバルに冷や水を掛けるように、果物屋の店主の声は冷徹に響いた。

 そして忠告されるこの世界のハーフエルフの認識に、スバルは自分との認識の差に大きく動揺する。

 

『得体の知れない魔女が恐ろしくてたまらない。なら、わかっているだけの内容でもそれを遠ざけずにいられるものかよ』

 

「まったく、下等な人間というのは知らないというだけで随分と怖がるんでありんすね」

 

「それは仕方のないことだよ、シャルティア。自らの想像の及びもしない存在に恐怖する。それは脆弱な人間が持つ防衛本能みたいなものだからね」

 

 果物屋の店主の言葉に、シャルティアが小馬鹿にした様な笑みを浮かべ、それにデミウルゴスが教師の様に優しく説明する。

 

「脆弱か……。悪魔らしい言葉だな。まあ、間違ってはいないが」

 

 2人の会話を盗み聞きする形で聞いてしまった尚文は、デミウルゴスの言葉に引っ掛かりを覚えながらも、モンスターに襲われて逃げ惑う村人の姿を脳裏に浮かべ、脆弱という部分には納得していた。

 

 そうして、自分の中の世界とこっちの世界の違いにスバルがわだかまる感情を持て余してしながら、店番をしているレムを引き下げて家路に着いた。

 それから、屋敷に帰ってフェリスから治療&からかいを受けたスバルに、レムが対抗してスバルを抱きしめる積極的なアプローチの応酬もあったりしたが、その裏ではフェリスがこっそりと洗脳染みた真似をしていたという事実があり、驚愕するスバル。

 

「水の魔法って洗脳まで出来んのかよ!?いや、まあ、元祖異世界ファンタジーの金字塔の小説でも、水ってそういう感じだったし、不思議でもなんでもないのか」

 

「カズマさんカズマさん。私って水の女神だけれど、洗脳なんて怖い魔法なんて持ってないからね!クリーンなイメージで売ってるから」

 

「仮にも女神がイメージを売ってるなんて口にしてんじゃねえよ。つか、お前にクリーンなイメージはねえ。あっても酔ってゲロ吐いたイメージだな」

 

「むぅ~~~っ!!」

 

 涙目になりながら、頬を膨らましたアクアがポカポカとカズマの肩を叩いてくるが、それを受け流しながらカズマは適当にあしらう。

 

 夜になり、1人自室に引きこもって外の景色を眺めていると、薄い部屋姿のクルシュがスバルを訪ねてきた。

 そこから流れるようにテラス席のような場所に案内され、酒と一緒に現状の確認程度の会話が行われる。

 色々と気になる会話もあったが、そこへフェリスが乱入して有耶無耶になってしまった。更に、フェリスのからかいの延長でエミリアとの喧嘩別れも口にされ、スバルは言い返せない悔しさか自責の念か、たまらず下を向いてしまう。

 

『下を向くなよ、ナツキ・スバル』

 

 スバルが下を向いたその瞬間、そこにクルシュの激励する声が重ねられた。

 顔を上げたスバルの視界に、凛とした佇まいのクルシュが、その瞳を真っ直ぐに向けてくる。

 

『瞳が曇れば魂が陰る。それは未来を閉ざし、生きる意味を見失うということだ。己の正しきに従うとき、下を向いて行う者にどれほどのことが出来る。顔を上げ前を向き手を伸ばせ。私は卿の事はつまらぬ敵とは思いたくないのでな』

 

「かっけぇ~……」

 

思わず女性ながらに、その男も顔負けのセリフにカズマが惚けるように呟く。

 

そんなクルシュと同様に、フェリスもまたスバルに対して軽い激励を送る。

それを受けて、今まで惚けたような面をしたスバルが、これまで自分がどうやって皆を救ってきたのかを思い出し、気合の入った面構えに切り替わる。

 

「さて、ようやく立ち直ったように見えるが、これがいい方向に進むのか、悪い方向に進むのか?」

 

「少なくとも、死に戻りを大前提に考えて行動しようものなら、奴なら足元を掬われかねんがな」

 

 腐ったような目から、いつも以上にギラついたような目へと変貌したスバル、大人組であるアインズとターニャはそんなスバルの様子に思い至るフシがあった。

 それは仕事での失敗を挽回ではなく払拭しようとした結果、熱意や行動だけが空回って失敗した人間のそれによく似ていた。

 

 そしてそれは、スクリーンに映るスバルの傍にいる大人もまた気が付く。

 

『強くなるつもりのない人間に、強くなるための心構えを説くことはあまり意味のないことではと思ったものですから』

 

『それはどういう?』

 

 日課となった朝のヴィルヘルムとの剣の稽古の最中、スバルの心情を理解したヴィルヘルムが稽古を途中で止める。

 

「やはり、ヴィルヘルム殿は人をよく見ておられる」

 

 常日頃からヴィルヘルムと恋バナで語り合っている仲のセバスは、ヴィルヘルムの指摘に深く同意するように頷く。

 

『──スバル殿、どうやら今朝はこれまでのようです』

 

『え?』

 

『スバルくん。──お話が』

 

 慌てた様子のレムが駆けつけて来たことに、今のスバルが望んでいた非日常が──これを観ている多くの者が絶望する敵の襲来を告げる。

 




前回の話でいせかるメンバーの大人組に不満があるような声がありましたが、ふふふ!これも作者の計算通りです。
彼らの態度、その理由の伏線は既に張り巡らされている(ジョジョ風)

まあ、作者は伏線とか苦手なので、ちょっとご都合主義過ぎない?って言われたらヘコみますが……。

4章でのスバル視点外の放送

  • エミリアの試練
  • ラムの告白
  • ガーフィールとエルザのバトル
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