いせかるメンバーにナツキ・スバルの人生上映会を観せる   作:リーグロード

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いいサブタイトルが急にパッと思いつくことってあるよね。


姉妹の再会×殺人鬼の再会

 スバルの殺されていないかという心配をよそに、元気な笑顔で帰還を喜ぶペトラの無事な姿に、心優しき者たち……あるいは、小心者たちは安堵の息を吐いて安心する。

 

『どうかしたのスバル様』

 

 にっこりと髪型を整えて、精一杯の可愛らしい笑顔を浮かべるペトラにスバルが感極まって抱きつきに掛かる。

 

『あーもう!可愛いなぁお前は!』

『わ……わあっ!!』

 

 突然の抱擁に顔を赤めて動揺するペトラと、そのペトラに嬉しそうに抱きしめるスバル。そんな微笑ましい光景に、アクアが余計な一言を放つ。

 

「なんかアレね。何も知らずに見ると、スバルがロリっ子好きの変態さんに見えるわね」

「おい、やめてやれ。そうやって風評被害をまき散らそうとするんじゃない!」

 

 カズマはすかさずアクアの余計な誤解が生まれる発言にツッコミを入れた。

 とはいえ、ツッコんだ本人であるカズマも、何も知らずにあの場面を見せられていたら、めぐみんをスバルから少し距離を置かせようと思ってしまったかもしれない。

 

 短い別れを終えて再会したペトラを存分に抱きしめたスバルは、近況を聞きつつ、特にフレデリカの様子について尋ねた。

 

『フレデリカ姉様?変なところなんて全然……。森の結界の見回りに出てます。戻るのはもうちょっと先かも?』

『間がいいのか悪いのか。……バルス、どうするの?』

『──あっちの出方が見たい。その間にレムのところだ』

 

 世界から存在を消された妹との対面に、表情こそ変わらないものの、ラムの心中には複雑な感情が渦巻いているはずだと、なんとなく見抜けてしまう。

 

「屋敷でのループでレムが死んだとき、普段は弱さを絶対に見せないのに、あの時ばかりは涙を流したラムが、今のレムを見たらどんな反応をするんだろうな?」

「俺的には……せめて思い出せなくても、涙の1つぐらい流してくれることを願うけどな」

 

 ダクネスとカズマの言葉が落ちた瞬間、上映会の空気は静かに沈み、誰もが胸の奥をぎゅっと掴まれたような感覚に包まれた。

 期待と不安が入り混じる空気のなか、スバルに案内されてレムの部屋までついてきたラム。そんな2人の神妙な空気を察して、ペトラは仕事に戻ると申し出る。

 

『緊張してるな』

『緊張なんて……』

『いや、むしろしろよ。するべきだと思うし、して欲しいとも思う』

 

 スバルは真剣な眼差しで、記憶にない妹だという人物との再会に緊張するラムにそう告げた。

 その言葉には重みがあり、ラムも逆らわず、黙って部屋へ入っていくスバルの後をついていった。

 そうして部屋に入ると、最後に見たときと変わらず、眠り姫のように眠り続けるレムがいて、その変わらぬ姿にスバルは思わず安堵の息を漏らした。

 

『──バルス』

『なんだ』

『少しだけ2人にしてもらえる?』

 

 その頼みに素直に頷いて部屋を後にするスバルの心境がどんなものだったのか、それを察した者らは、密かに入れていた肩の力をゆっくりと抜いていった。

 そうして部屋を出て課題の一つをクリアしたと、廊下に出て肩の力を抜いたスバルに声をかける人物が現れる。

 

『お早いお戻りでしたのねスバル様。驚かされましたわ』

 

 その言葉とは裏腹に、大して驚いていないような声で話しかけてくるフレデリカに、若干の警戒と部屋の中にいる姉妹の邪魔をしたくないい気持ちから、スバルはたった1人で潜在的な敵かもしれないフレデリカと対話を試みる。

 

「さて、ここからが屋敷での本番だな。フレデリカが敵であった場合、どのような行動をしてくるか?」

「少なくとも、あのガーフィールの血縁であるのならば、スバルが真っ正面からの戦闘で勝てる見込みはないからな。なんとしても、会話による解決が望ましいんだが……」

 

 未だメイドとしての体面を保つフレデリカと、それに踏み込もうとするスバルのやり取りを、ターニャと尚文は息を呑んで見守っていた。

 何しろスバルは深く考える慎重な側面を持つと同時に、子供らしく素直で感情のまま動く一面も持っている。

 その為、最終的に正解のルートを選びはすれど、その前に自分の予想を大きく外れる行動を何度も繰り返す。その振れ幅こそが、知恵者らにとってスバルの選択を読みづらくしていた。

 

『エミリア様がご一緒ではないということは、まだ『試練』は終わっておりませんのね』

『ああ、聞きたいことは色々あるんだが、まずはこれだ……』

 

 スバルが出立前にガーフィールから渡された輝石を取り出して見せると、フレデリカは目を見開き、声をわずかに震わせながらスバルの手から輝石を受け取った。

 その反応から、フレデリカがガーフィールの姉だと確信するスバル。その確信をフレデリカは肯定し、目尻に浮かんだ涙を拭う。

 その姿を見て、スバルの警戒心は少しだけ和らいだ。スバルは勇気を振り絞り、もう一歩前へと進んだ。

 

『答えてくれ。何のためにお前は輝石を使って、転移の罠を仕組んだ?』

『────』

『これも誓約で話せないか?だとしても、こればっかりは──』

『──スバル様。……転移ってなんのことですの?』

 

 完全に予想外の返答に、スバルは目を点にする。

 フレデリカの目は嘘をつく者の目ではない。誓約で縛られた者の沈黙でもない。

 ただただ、本気で分かっていない者の顔だった。

 

「噓……というには、演技が上手すぎるな?」

「まあ、予想していた展開の1つですね」

「どういうことだよ、デミウルゴス?」

 

 フレデリカが戸惑っている様子を見て、ターニャは軍人としての勘で、それが嘘ではないと直感した。続けてデミウルゴスが、冷静にこの展開を予期していたと告げると、カズマが説明を求めた。

 その質問を受け、デミウルゴスがちらりとアインズの方を振り向けば、アインズはいつも通り「デミウルゴス。お前が理解したことを皆に説明することを許す。……なるべく分かりやすく丁寧にな」と、説明の許可を出す。

 その許可を受けたデミウルゴスは頷くと、カズマを始め、その場にいる者たちに向けて語りだした。

 

「いいですか。あの輝石が聖域の結界に反応して転移の罠が発動しました。しかし、それは果たして、輝石がきっかけで起こったのでしょうか?」

「それって、つまり?」

「もし仮に、あの転移の罠が輝石ではなく、結界の方に仕掛けられていたとすれば?はたまた、輝石の方に仕掛けられていたとしても、転移魔法などという高位の魔法をメイドという身分である彼女が輝石に施せるでしょうか?」

 

 そこまで説明すると、多少の勘の働く者は真犯人の姿がだんだんと浮かんできた。

 

「なるほど、確かに彼女がそんな魔法を使えるとは思えないし、身近にその魔法を使えそうな人物がいる。それも、とても怪しい道化師気取りの男がな……」

「野郎……。自分で仕組んだ罠だから、聖域でフレデリカが怪しいというスバルの発言にも大した反応を示さなかった訳か……」

 

 答えに辿り着いたターニャと尚文は、怒りを通り越して呆れ果てた様子で頭を抱えた。

 領内に襲撃を仕掛ける魔女教の対応をスバルに丸投げし、聖域の試練の資格もないのに墓所へ入るという自作自演を仕掛けた挙句、転移の罠まで仕込むロズワールには、呆れるほかない。

 

 そんな2人の言葉を聞いたカズマも、真犯人がロズワールだと理解したが、それでもなお疑問は残っていた。

 

「なんとなくロズワール先生が犯人だって、今ので理解出来たけど、そしたらなんで転移なんて罠を仕掛けたんだ?」

「ふむ、ここからは確証はないですが、ナツキ・スバルが墓所の試練に挑めたのは、あの転移の罠がきっかけとなった。であるならば、それを期待しての仕掛けだったのかもしれませんね」

 

 そんなデミウルゴスの見解に、カズマ並びにアインズや他の者らもなるほどと納得する。

 

『ラム抜きでフレデリカと一対一。バルスは命がいらないと見えるわね』

『いや、これは──』

 

 デミウルゴスの考察を聞いているうちに、映像内ではラムが部屋に入ってきて、スバル用に用意された紅茶を勝手に口にした。

 そして、ひと口飲んで辛口の評価をすると、それを受けてフレデリカも同じように嫌味を返す。

 喧嘩腰ながらも、2人の間にある空気はまるで長年の親友のようにどこか穏やかであった。

 

「あの感じ、やはりフレデリカは敵じゃなさそうだな」

「そうですね。ペトラちゃんも姉様って呼ぶくらい親しそうでしたし、敵じゃなくてホッとしました」

 

 ラムとフレデリカの気安い関係を見て、デミウルゴスの考察を聞いてなおも疑いの目を向けていた尚文も、ようやくフレデリカは敵ではなさそうだと疑念を解いた。

 それに頷くラフタリアは、明るく優しいペトラの信頼する相手が敵ではなかったことに安堵した様子だ。

 

『それで、転移のことを知らないなら、なぜバルスに輝石を持たせたの?』

『それは──』

『誓約で話せませんわ。かしら?だとしたらお粗末だわ、フレデリカ』

『──その通りですわ。私の口からお話することは出来ません』

『お粗末を貫くのね。でも、それこそお話にならないわ』

『おい、早まるな!』

『質問に答えようとしないだけで裏切りは明らかよ!』

 

 穏やかな会話をぶった切って杖を抜いたラムを、スバルが慌てて止めようとするも、ラムは全く耳を貸さない。

 

「ちょっ!?いきなり急展開過ぎるって言うか、喧嘩っ早いにもほどがあるだろうが!?」

「喧嘩?あれが?もっと本質と状況を見極める目を養え、カズマ」

「へ……?」

 

 頭のおかしい紅魔の娘と馬鹿にされためぐみん並みに手を出すスピードが早いラムに、カズマが思わずツッコミを入れると、ターニャが呆れと嘲笑を含んだ声でカズマを諭す。

 その意味を理解出来ていないカズマはマヌケな声を漏らすが、答えはすぐに分かるだろうとばかりに、ターニャはスクリーンに親指を向けて黙って見ていろと指示する。

 

『ここで拘束して聖域に連行する。そうすれば、フレデリカにあれこれ指示した相手をあぶり出せる』

『だからって──』

『聖域に連行するというのなら、抵抗は致しませんわ』

『ほら見ろ!フレデリカだって……なんて?』

『ですから、抵抗は致しませんと』

 

 話せないことと話さないことは別物だ。

 その違いを理解していなかったスバルとカズマは、フレデリカの「抵抗しない」という言葉に頭の中で?を浮かべ、戸惑っていた。

 そんな2人の戸惑いを余所に、ラムはターニャと同じように呆れと嘲笑を含んだ声で説明する。

 

『察しが悪いわね。フレデリカは自分の意思で誓約を破ることができない。だからバルスに強引に言わされた……。そんな言い訳が必要なのよ』

『──お前ら、息ピッタリだな……』

『当然ですわね』

『十年近い付き合いだもの』

 

 一芝居終えたラムは、再びソファーに腰を下ろし紅茶を手に取った。

 そんなラムの態度に、緊張していた自分が馬鹿らしくなったスバルはガックリと肩を落とし、屋敷を出ると宣言したところで、聞き覚えのある声に制される。

 

『あら、そんなつれないことを言わないでほしいのだけれど』

 

 声のした方へ目を向けると、掃除の仕事でスバルたちと別れたペトラを人質に取った腸狩りのエルザが、扉の前に立っていた。

 

「なっ!?なんで今ここにエルザがいやがる!!」

「屋敷の襲撃はまだ先のことなんじゃ!?」

「ひぅ、またあの怖いお姉ちゃん……」

 

 予想外のタイミングでのエルザの登場に、尚文たちが驚きの声を上げる。

 そして、その声は尚文たちだけでなく、カズマたちやターニャたちも同じだった。

 

「嘘だろぉ!?なんでこのタイミングで来やがるんだ!!」

「っていうか、ペトラが人質に取られちゃってるんですけれどもぉ!?」

「ま、ま、ま、マズイですよこれは!?ラムもいるとはいえ、あの状況じゃどうしようもありません!!」

「くっ、人質がいる以上、下手な手出しは出来んぞ!?」

 

 エルザの登場に慌てるカズマ、人質の存在に動揺するアクアとめぐみん、見ているだけで何もできない悔しさに歯噛みするダクネス。

 

「くっ、屋敷の襲撃は今日だった?いや、だとしたら、スバルの死に戻りする前の屋敷での不可解な点がいくつも……!?」

「しょ、少佐!ど、どうしましょう!?」

 

 慌てるカズマたちと同じく、爪を嚙むターニャも少なからず動揺しており、ヴィーシャなど完全に取り乱していた。

 

『さあ、交わした約束を果たすとしましょう』

『ねえ……さま、スバ……ル。逃げて……!!』

 

 首筋に刃を突きつけられ、今にも命を奪われそうな状況にもかかわらず、恐怖で涙を浮かべながらも「助けて!」ではなく「逃げて!」と叫ぶペトラ。その健気さを超えた高潔さに、心に騎士道精神を少なからず持つ者らの胸には、なにか熱いものがこみ上げてきた。

 

 そして、ペトラの叫びを合図に、屋敷での死闘が幕を開ける。

 

 

 




まだここでアニメの31話の途中って、聖域編終わるまで残りアニメ19話とか、描き続けられるかな?
その為に、高評価と感想をよろしくお願いいたします!

スバルの第二の試練後にIFストーリーを入れる

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