いせかるメンバーにナツキ・スバルの人生上映会を観せる   作:リーグロード

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聖域編が長すぎて、もう1年が経つんだが!?
まだ半分程度しか書けてないのに、本編はこれ以上の文章量なんだから、なろうのトップは化け物だって理解させられちゃうね。


名探偵尚文

 目を覚ましたスバルは、隣に倒れているエミリアを見てほっと息をついたが、そんな彼女へと伸ばす指先が震えている。

 

『エミリア……。なに震えてんだ。俺は、まさか……』

 

 歯をガタガタ鳴らして怯える様子はまるで子供のようで、エミリアが嫉妬の魔女に取り憑かれているのではと、臆病な気持ちが顔を覗かせていた。

 

「ふむ、あれほどの絶望を目の当たりにした後では当然の反応だろうが、いやはや……。こうして安全な場所から眺める立場で言わせてもらえば、まるで王都でエミリアを嫉妬の魔女と結び付けて怯える民衆と大差ないではないか」

 

 額に玉のような汗を浮かべ、恐怖に震えるスバルの様子を見たターニャは、そう評して肩をすくめた。

 周りでその評価を聞いた者らは何か言いたげな表情を見せたが、試練に挑んだ末にうなされているだけのエミリアに怯えるスバルの様子は、まさにあの王都でエミリアの王選参加を知った民衆の反応と変わらなかった。

 

『──エミリア』

『……すば、る?』

 

 恐怖を振り払ってエミリアの頬にそっと触れ、起こすと、目を覚ました彼女は嫉妬の魔女ではなく、いつものエミリアだった。

 

『ここって……私、さっきまで……』

 

 試練のことを思い出しているのだろう。いつも通り取り乱し、泣きながらスバルにあやされて墓所を出る。

 そんな流れになるだろうと予想しながら続きを観賞する。

 

『……スバル?どうして、そんなに辛そうな顔をしてるの?』

『……ぇ?ぁ、う、え?』

 

 エミリアに頬を撫でられ、心配そうな表情と声色で問いかけられたスバルは、ひどく動揺していた。やがて、心の奥で何かが決壊したのだろう、瞼を閉じた目から涙が溢れ出した。

 その涙が緊張の糸が解けたことによる先の出来事への恐怖からか、それともエミリアが嫉妬の魔女に憑依されずに済んだ安堵からなのかは、見ているだけの第三者には分からない。だが、試練に挑み打ちのめされた自分よりも、さらに酷い状態のスバルを前に、エミリアはいつか屋敷で見せたように、優しい母親が子供を慰めるようにそっと抱きしめた。

 

「本当に、エミリアさんはお優しいですね。ご自身も試練に失敗してしまわれて心の中では取り乱しているはずなのに」

「まあ、エミリアが優しいのは否定しないが、人間誰しも自分よりも酷い状態の奴を見ると落ち着くもんだぞ。俺も、あの頃はそうだったのかもな……」

 

 異世界に召喚され、意味も分からず裏切られ、陥れられたあの頃、その時に奴隷として買ったばかりのラフタリアのことを思い出す。戦いを怖がり、波のトラウマで夜泣きする彼女に手を焼いた記憶もあるが、振り返ればそれもまた、当時の自分が投げやりにならずにいられた理由の一つだったのかもしれない。

 今もスクリーン越しに泣き叫ぶスバルと、理由も聞かずに彼を抱きしめるエミリアを眺めながら、尚文はそんなことを思っていた。

 

 そうして、今までのとは逆に、エミリアに肩を貸してもらう形で墓所を出るスバル。当然、墓所の前で待機していた皆にその情けない姿を目撃されるわけで、そうなると彼女が出張らないはずがない。

 

『それで、エミリア様が泣き虫バルスを連れて戻ったと。あれだけ大見得切って飛び込んだあげく、助けるはずのエミリア様にご迷惑をかけた。なんのために生きているの?』

『そこまで追い打ちかけられる筋合いはねぇよ!?』

『そうよラム。スバルは私を心配してくれたの。その気持ちが大事なのよ。中でうっかり倒れちゃったり、不安で泣き出しちゃったのはすごぉ~く残念だけど……』

『エミリアたん。また泣くよ、俺……』

 

 善意による助け舟がまさかの死体蹴りレベルの威力に変換され、落ち込んだ声を上げるスバル。

 そんな3人のやり取りを見て、嫉妬の魔女の脅威に内心で怯えていた者たちの緊張もいくらか緩む。

 

「く、ぷくくく……!泣きっ面に蜂じゃねえか、スバルのやつ!!」

「ちょっと、笑っちゃ可哀想よカズマさん!ぷふっ!!」

「アクアも笑っちゃってますよ。まあ、面白いのは認めますが」

「だな。はぁ、しかし相も変わらずラムの罵倒は切れ味が鋭いな。私も、この部屋から出れたらスバルのように口汚く罵倒を……!!」

 

 肩を震わせながら笑いを必死に堪えるカズマとアクア。めぐみんも注意はしているものの、その顔には笑みが張り付いており、ダクネスに至っては恍惚とした表情でラムの罵倒にニヤつくという危ない顔をしていた。

 そして笑っているのはカズマたちだけではなく、唇をわずかに歪めたターニャやヴィーシャたちも同じ。尚文も3人仲良く共に笑っており、アインズたちも全員ではないが、何人かは笑みを浮かべている。もっとも、その中にどれだけ邪悪な笑みが混じっているかはあえて触れないが。

 

『でも、私はスバルに助けられてばっかりで、だからこんな風にスバルが弱いところを見せてくれて、ホッとした部分もあるの』

『俺は、あんまりエミリアたんにそういうとこは見せたくないんだけどな』

『へ?どうして?』

『エミリアたんにはいつでも、かっこつけてる俺を見ててほしいからだよ。俺が本当は弱くて情けなくてどうしようもない奴だなんて、忘れてて欲しいんだ』

『もぉ~、ちょっと弱いところ見せたぐらいで、私はスバルのこと嫌いになったりしません』

『はん!その意地っ張りも、大泣きした後じゃ説得力がないわね』

『いちいちそうやって、姉さまは水を差す』

『まあまあ、ラムさんの態度は心配の裏返しですよ』

 

 スバルとエミリアの会話がすれ違い、ラムは切れ味鋭い茶々を入れつつ、裏に隠したデレをオットーに暴露されて睨みつける。見た目はとても平和な光景だが、その中にはたった一つだけ不穏な要素が潜んでいる。

 

「さて、アインズ君の懸念していたエミリアが再び嫉妬の魔女に憑依されるという最悪の展開は消えたわけだが……」

「ああ、前回のループではなし崩し的に味方になったガーフィールの奴が、今回はどんな反応を見せるのかだな」

 

 ここまでスバルたちの会話に参加してこなかったガーフィール。魔女の残り香を嗅ぎ取り、スバルを危険人物と見なした彼が、果たしてどんな行動に出るのか。

 その懸念点を口にするターニャに、尚文が応えると、ちょうどガーフィールが動き出した。

 スバルをはじめとした部屋の全員に緊張が走る中、ガーフィールが最初に口にした一言は、

 

『まァ、一時はどうなるかと思ったが、無事に戻って安心ッしたぜ。『ガフガロンの実は風で落ちない』ってのも馬鹿にゃァできねェなァ!』

『痛ぇっ!!ん?それだけ……か?』

『あァ?んッだよ、泣き虫ちゃんの慰めに頭ッでも撫でてほしいってのかよ?』

 

 いつも学園で見せている年相応な笑みでスバルの帰還を歓待するようなガーフィールの態度に困惑するスバル。

 

「さて、これはどっちだと思う?」

「ふむ、周囲にエミリアやラムがいるから追求をしないのか?はたまた、この時点でスバルを敵と……聖域における危険分子である魔女教徒だと判断していないのか?そういった質問と捕らえてよろしいか?」

「ああ、その通りだ。学園での態度があいつの素ならば、小賢しい腹芸は得意じゃないだろう。普段のあいつだったら、墓所から魔女の残り香を纏ったスバルが出てくれば、レムと違って即座に問い詰めるはずだ」

「そうでないと言うのなら、やはりガーフィールを裏で操っている何者かが存在する。それが、ロズワール先生なのか、はたまた、あの時一緒にいたリューズ・シーマなのかはまだ確実な判断は出来そうにないな」

「ん~?でも、黒幕はロズワール先生じゃないんじゃないか。だって、ガーフィールの奴、ロズワール先生のこと嫌いだろ?」

 

 尚文とターニャの会話にカズマが割り込む。カズマの言う通り、これまでのやり取りや学園での生活での2人の関わりを見る限り、ガーフィールはロズワールを好んでいないようだ。

 だが、それとこれとを結びつけるのはナンセンスだと言わんばかりに、ターニャと尚文は揃って溜め息を吐く。

 

「カズマ、一つアドバイスしておくが、この手のケースでは人間同士の好き嫌いは関係ない。特にロズワール先生なら、その感情すら利用してガーフィールを手駒にするくらいの手腕を見せてもおかしくないだろうからな」

「もっとも、ロズワール先生が犯人な場合、その動機がなんなのかは理解出来んがな。だが、それはリューズ・シーマなる人物も同じこと。つまり、今ここで考えるだけ無駄なことやもしれん」

 

 2人の説明に、カズマだけでなく他の何人かも納得した様子を見せた。

 ただ、未だに納得できな部分も存在するが、スバル視点の映像だけでは理解できないことも多い為、考察も推論も終えて続きを観賞する。

 

 そして、スバルたちは墓所から村まで戻り、繰り返されてきた今までのループの中でマシな状況の中で、スバルはラムに声を掛けて頼み事を依頼する。

 

『嫌な目をするわねバルス』

『妙な勘繰りはやめろ』

 

 だが、スバルのその目に覚えのある尚文なんかはラムの言い分に同意の声を上げる。

 

「あいつの立場や状況を知っているからこそ、嫌悪感は湧いちゃこないが、確かにあの目……いや、人を陥れようとするような雰囲気は、まるでロズワール先生と同じような……もの……」

 

 何かに勘づいた尚文は言葉を途切れさせ、そのまま黙って考え込み始めた。

 そんな彼に、ターニャたちは訝しむような視線を向けるものの、誰も声を掛けることなく、考えに没頭させる。

 やがて、何かしらの結論が出たのか、尚文が口を開く。

 

「まさか、ロズワール先生の目的は、ナツキスバルを育てることか?」

「育てるって……。何故そのようなことを?」

 

 尚文の推理にヴィーシャが困惑の声を漏らす。他の者も尚文の推測に戸惑いつつも、とりあえずは理由を尋ねた。

 

「ロズワール先生はどうにもスバルの死に戻りの力を完全にではないにせよ、薄々とだが勘づいている節がある。まあ、あの強欲の魔女であるエキドナの信奉者なら、何かしらの手段で探り当てた可能性はあるだろうな」

 

 なるほど、確かに道理だろう。と、特に矛盾らしき点も見えない尚文の推理を聞き続ける。

 

「そして、こういった場合、この手の黒幕は好感度が下がるだろうが、ロズワール先生もスバルも、最終的な目的は同じくエミリアを王にすることだ。その意味することは違っていたとしても、共通する目的であることは変わりない」

「ほんほん、それでどうしてロズワール先生がスバルを育てるってことに繋がるんだ?利用するとかの方が手っ取り早くていいんじゃないのか?」

「簡単なことだ。利用するにしても手駒がポーンよりもクイーンの方が扱いやすいだろ」

 

 カズマの質問に尚文は至極わかりやすい例えで答えてくれる。

 

「なるほど、確かにその通りですね。操る手駒が想像以上の愚物であった場合、打ち手の予想に反した愚策を勝手に取るやもしれませんからね」

「操る駒は愚かであればいいという考えだけれど、一定以上の知力は必要よね。特に、ナツキスバルは王都の王城で取り返しのつかない失態を犯してるんですもの」

 

 デミウルゴスとアルベドの実体験を交えた意見に、ますます尚文の推理の信憑性が高まってきた。

 

「なによりも、俺がこの考えに行き着いた最大の理由は、ロズワール先生の行動とスバルの類似だ」

 

 前回のループで、嫉妬の魔女に呑まれた際に混ざり合った他者の記憶を頼りに、聖域内を駆け回るスバルを睨みつけるような目で見つめる尚文。

 

「魔女教の襲来を予想出来る立場の人間が全てナツキスバルに丸投げしたのも、四百年前の祖先の悲願の為に身を犠牲にして墓所に侵入したのも、常人からしてみれば狂気のイカレ具合だ。そして、その狂気は他人の為に命を投げ捨てられるスバルも同様だ。なら、あとはそのイカレ具合をもっと深める。つまるところ、自分と同じ深さまで引きずり落とす。それがロズワール先生の狙いなんだろう」

「つまり、それがロズワール先生が黒幕であった場合の動機というわけか」

「なんつうか、途方もなさ過ぎてイマイチピンとこねえけど、なんとなく尚文の推理が正しそうなのは分かる」

 

 尚文の推理に、カズマは頭をポリポリとかきながら首をひねった。あまりにも縁遠い世界の話についていけずにいたが、周囲の切れ者たち、特にアインズが何も口を挟まない様子から、それが正解だと察する。もっとも、当のアインズはロズワール先生の所業にドン引きして、言葉を失っているだけだったが。

 

『はぁ、はぁ、見つけた……』

 

 尚文の推理が終わると同時に、スバルは聖域内での探し物。秘密の隠れ家を探し当てるのだった。

 




そろそろダクネスのドM発言をもっと出していこうって気持ちと、主人公同士だけじゃなくて、周りのキャラを主人公を介さずに会話させようと努力しようかな。まあ、難しいけど……。
あと、投稿が0時になってなくてごめんなさい。感想を待ってます。

PS.推理とかで間違っているとか、このキャラがおかしなことを言っているとかがれば教えてください。

スバルの第二の試練後にIFストーリーを入れる

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