いせかるメンバーにナツキ・スバルの人生上映会を観せる 作:リーグロード
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スバルの異世界転移初日が終わり、アナウンスから休憩の時間だと知らされて、アクアが真っ先に席を立つ。
「休憩ならちょっと席を外しても問題ないわよね」
「なら私も一緒に行きましょう!この部屋がどういう造りになっているのか気になっていましたので」
アクアに続いてめぐみんも席を立つ。
その後ろ姿を元気だなと見送るカズマの隣にダクネスが腰掛けた。
「大丈夫か、カズマ?」
「大丈夫ってなにがだよ……」
「色々と……だ。先程のスバルの人生は中々に辛いものだったからな」
そう言ってダクネスはカズマに優しく、まるで子どもをあやす母親のように微笑みかける。
「……ありがとな」
「別に礼など不要だ。この程度のこと──」
「そうじゃねえよ。いや、そうでもあるんだけどさ……」
いつものカズマらしくない反応にダクネスは首を傾げた。
「お前さ、スバルが最初に死んだ後ぐらいからずっと無理してただろ?」
「な、なんのことだ!?」
「いや、だってお前って本気で自分以外の奴が苦しんでたり、悲しんでたりする時は普通に心配するじゃん。なのに、お前ってスバルが死んでも全然そんな素振り見せずに、いつもの自分を演じてただろ?」
「……いつ気が付いたんだ?」
「最初から……って言えりゃかっこよかったんだけど、正直に言えばついさっきだな。お前に優しくされてようやっと気付いたよ」
照れくさそうに告げるカズマに、ダクネスは感心したように息を吐いた。
「そうか。お前に気が付かれるとは、私もまだまだだな……」
「なんだよ、その言い方!?言っとくけどな、俺とお前がどんだけ長い付き合いしてると思ってんだ!」
「そうだな、確かにそうだ……」
カズマが憤慨したように告げると、ダクネスはくすくすと笑った。
「でもさ、それって……。あ~、俺の為……だったりするんだろ?」
「っ!?そうだな。お前は冒険者の癖に、ヘタレで臆病で優柔普段で──」
「おい、なんで急に俺の悪口になって──」
「それで、とても傷つきやすい心を持っている」
「っっっ!!?」
「図星だろ?」
ダクネスの指摘にカズマは顔を赤くした。
そして、そんなカズマを見てダクネスが優しい顔になる。
「前に酒の席で酔ったアクアに聞いたぞ。キールのダンジョンで他の冒険者の死体を見て泣きべそをかいていたとな」
「んな!な、泣いてなんかねえよ!ただちょっとビックリしただけで……」
「そうかそうか……」
慌てるカズマに、ダクネスが慈愛の籠った微笑みを向ける。
「つか、それでなんであんな事してたんだよ……」
「お前のことだ。下手に隣に行って慰めようとしても、皆がいる手間じゃ変に見栄を張りそうだったからな。ならば、私もスバルを見習って道化を演じてるのも悪くないと思ってな」
ダクネスの言い分に、ぐっと言葉に詰まるカズマ。
確かに自分だったらちょっとありそうな展開に何も言えないでいる。
「ふふ、私がお前とどれだけ長い付き合いをしてると思っているんだ?」
先程の意趣返しとばかりにダクネスが茶目っ気たっぷりに返す。
するとカズマは照れたように顔を背けて、小さく「ダクネスの癖に……」と呟いた。
と、その時だった。
突然、あのボタンを押した際に出るピンポーンという音が部屋中に響き渡った。
「総員警戒!!!」
ターニャの鋭い声に、皆は一斉に構え臨戦態勢に入る。
しかし、そんな緊張もすぐに解けた。
何故なら……。
「何処だここは……?」
突然、何もない空間に転移の魔法で移動したみたく、尚文が立っていた。
いや、尚文だけではない。よく見れば部屋の中に先程までいなかった人物が何人もいた。
「クリス!お前も来たのか。ってか、1組の奴ら全員来てんじゃねえか?」
「あっ、カズマ君!ここは何処なの?」
突然転移してきた面子に皆が驚く中、カズマがいることに気が付いたクリスが話かけてきた。
「何処って俺らも詳しくは知らねえんだ。ってか、なんでクリス達もここへやって来たんだ?」
「ん~、それはね。1時間目の授業が終わって、休憩時間にユリちゃん達が2組の方へ顔を出したんだけれど、そこで皆がいないって大騒ぎになっちゃって。それで私達も一緒に皆を探そうと2組の教室に手掛かりがないか調べてたら、アインズ君の席にあのボタンがあったんだ」
クリスの説明を少し離れた席で聞いていたアインズがやってしまったみたいな顔で虚空を見つめている。
(あ~、そういえば押した後のボタンってどうなるか考えてなかったけれど、その場に残るのか~)
「アインズ様!どこへ消えられたのか心配しておりましたが、ご無事でなによりでございます!」
そんなアインズの内心には気付かず、ここへ転移させられてきたプレアデス達が跪いてアインズの無事に安堵していた。
「お前達も無事で何よりだ。……しかし、お前達がここへ転移させられてきたということは、あのボタンを押したのか?何処へ飛ばされるか分からないボタンに不用意に触るお前達でもないだろうに……」
「ええ、その、はい……」
「どうした、歯切れが悪いようだが?」
「いえ、実はその……。我々も最初はボタンを発見した際に押すかどうかで議論していたのですが、その隙にフィーロちゃんが……」
「あ~、なるほど……」
その先の台詞は聞かずとも想像が出来た。
アインズが少し部屋を見渡すと、尚文とラフタリアに叱られているフィーロの姿を見つける。
「なんで勝手に押したんだ、フィーロ!!」
「そうよ、怪しいボタンを勝手に押しちゃダメじゃない、フィーロ!!」
「だ、だってぇ~……」
「あ~、そこまでにしないか、尚文。確かにフィーロも勝手に押したのは悪いかもしれないが、あのボタンはかなり悪辣なタイミングで出現して強制的に押させてくる。フィーロが押さずとも、いずれ誰かが不可抗力で押すハメになっただろう」
「骸骨の人~!」
「アインズ、そうは言うがな……。はぁ~、今回はこれで勘弁しといてやる。次からは気を付けるんだぞ、フィーロ」
「は~い!」
本当に反省しているのか疑わしいくらい元気に返事を返すフィーロに、頭痛が痛いみたいに尚文が頭を押さえている。
「それで、ここに俺達を呼び寄せて何をさせたいんだ?」
「うむ、それは恐らく、我々にナツキ・スバルの人生を見せるのが目的のようだ」
「スバルの?他人の人生を勝手に見せるのが目的とは、随分と悪趣味なことだ」
何処の誰かもわからない相手に軽蔑の感情を抱く尚文。
「そういえば、ラインハルト達はいないのか?」
よくよく部屋の中を見渡してみれば、転移してきた1組メンバーの中にスバルと同じ世界からやって来た者らがいなかった。
「なに?いや、確かにボタンを押して転移する前までは一緒にいたんだが……」
「実はスバル達もここにはいなくてな。彼らは今朝から連絡がつかなかったのだが……。こうなってくると、我々をここに呼び寄せた黒幕はスバルの関係者にこの上映会を観せたくはないようだな」
アインズがこの状況を推理しようとすると、それを邪魔するかのようなタイミングで再びブーと上映を知らせるブザーの音が鳴り響く。
「それではこれより、ナツキ・スバルの人生。第二部を上映します。お立ちのお客様はお座りください」
その指示に尚文が不機嫌そうに舌打ちを打つ。
「なにがお客様だ。俺達は望んでここに来たわけじゃない!」
「まあ、よせ尚文。ここでは我々は魔法が使えない。お前もその盾は使えないじゃないか?」
「……ああ、ここに来てから盾の変化どころか、ステータスウィンドウすら開けない」
アインズの指摘通り、尚文の盾はその機能を完全に停止していた。
こうなってしまっては、自分には何も出来ない。
「はぁ~、仕方がない。ここはアナウンスの指示に従うか」
尚文は大人しく空いている席に座って、上映会を観ることにする。
それを待っていたかのように、暗転していたスクリーンに映像が流れ出す。
感想欄で色々言われてたことを補足説明みたいに書きましたけど、満足してくれてるかな?
個人的にこのすばで可愛いと思ってるキャラはダクネスだと呟いちゃったりして。
4章でのスバル視点外の放送
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エミリアの試練
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ラムの告白
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ガーフィールとエルザのバトル