クロスアンジュ 天使と竜の輪舞〜リベレイター〜   作:エルドラス

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地獄と訓練 後編

訓練を始める前にサリアから急遽配給された男性ライダースーツ(パイロットスーツ)を渡されて着替えたリュウマ。

 

カラーリングは黒と青のツートンカラーでリュウマはかなり気に入っていた。

 

「ふぅ。男性のノーマは貴重らしいですから、服の心配はありましたが、取り敢えずスーツは問題ないみたいですね。」

 

そう言うリュウマは訓練所に向かう途中でとんでもない物を見てしまう。

 

「ん?ファっ!?」

 

何とアンジュが生まれた姿のまま廊下で立っていて女子更衣室のドアを叩いており、その様子にリュウマは思わず顔を真っ赤に視線を逸らしながら話しかける。

 

「なっ!何やってるんですか貴女!?」

 

「キャッ!? み!!見ないでください!!!」

 

アンジュはリュウマの姿を見るとすぐにしゃがんでなんとか裸姿を隠す。

 

「ごっ!ごめんなさい!」

 

そして片腕で目を覆うと、そのまま女子更衣室のドアを叩く。

 

「サリア!リュウマです!開けてください!」

 

リュウマの返答に答えるかのようにサリアが顔を出してきた。

 

「あら、終わったの?」

 

「あら、終わったの?じゃないですよ! なんでアンジュがは、はだ、裸で更衣室の外に出てるんです!?」

 

「簡単よ、その子が『そんな服を着るくらいなら、裸になった方がマシです!!』っと言ったから、その要望に応えただけ」

 

「だからって本当に裸で外に出す人がありますか!?」

 

っとツッコミを入れるリュウマにサリアはアンジュのライダースーツを見せる。

 

そのライダースーツに血痕の後が残っており、恐らく前の持ち主の者であろうとリュウマは思った。

 

そしてそれならせめて血ぐらい落としておけやとも思った。

 

そして結局アンジュは、自分で着替えた事がないためサリアに手伝って貰ってやっと着替える事が出来たのだった。

 

 

 

 

 

 

 

アルゼナルの医務室

 

「あ~らこんなに真っ赤に腫れ上がっちゃってぇ~。ジュクジュクになってるじゃない~」

 

医務室の医者が何やら腕の治療を受けているジルのを見て言う。

 

「ぐ…痛っ!?」

 

「あら痛い?痛い?痛いよねえ!」

 

ふざけているのか、人が痛がっている様子を見て危なく興奮しているその医者。

 

「つぅ…酒臭いよ! マギー!」

 

「あたっ!? ゴメンねえ~」

 

ジルの腕を治療しているアルゼナル軍医『マギー』のおふざけにジルは鉄拳を振り下ろす。

 

「たくっ…ジャスミン、そっちはどうなの?」

 

「外側のボルトが全部イカレちまってる。ミスルギ製の奴に替えとくけどちょっと値が張るがね」

 

「指令部にツケとくよ」

 

「毎度あり!」

 

アルゼナルの唯一の市場『ジャスミン・モール』でその経営者であり店主の『ジャスミン』がジルの義手の修理して結果を伝える。

 

ジルの義手をマギーが取り付けて、ジャスミンは何やら呆れる様子でジルに言う。

 

「だけどもうちょいデリケートに使って欲しいものだねえ、そいつはアンタ程頑丈に出来ちゃいないんだ」

 

「悪いね、じゃじゃ馬が暴れてさ」

 

ジャスミンに申し訳なさそうに言うジルは立ち上がって煙草を吸い始める。

 

「ああ、例の皇女殿下かい?」

 

「いいのかねぇ?皇女殿下と貴重な男のノーマを第一中隊なんかにブチ込んじゃって?」

 

「ふ~…それでも駄目なら死ぬだけだよ」

 

っと、煙草を蒸しながら不敵に笑うジル。

 

「やれやれ、それにしてもあの男…リュウマ・レイラって言ったかね? あのレイラっと言う名前を聞いた時はアタシは少々驚いたがね…」

 

ジャスミンはリュウマの名を思い出しながら頭をかいて、マギーも机にもたれながら腕を組む。

 

「レイラね…、もしかして“あの二人”は彼がここに来ることを予想していたのかしら?」

 

それにジルは窓の外を見ながら言う。

 

「恐らく…予想していたんだろうな」

 

っと吸っていた煙草を義手で握りつぶす。

 

 

 

 

 

 

 

アルゼナルの訓練所、既に新人たちが訓練を開始していた。

 

「パラメイルデストロイヤーモード、シュミレーター起動!フリーダムチャンバー、チャージ完了!」

 

「フリーダムチャンバーチャージコンプリート!」

 

「アレスティングギアリリース!」

 

「あ…アレスティングギアリリースコンプリート!」

 

その中でリュウマとアンジュはサリアからマシンの説明を聞いていた。

 

「…これがドラゴンと戦う為の武器ですか?」

 

「そう、『パラメイル』、私達ノーマの棺桶よ」

 

(棺桶?、どちらかと言うと兵器のような感じですが…?)

 

「あの、一体何をさせようと言うのですか?この私に・・・」

 

アンジュは頭が混乱している状態でサリアの棺桶発言には耳に入ってなかった。

 

「最初から出来るなんて思ってない。後は飛ぶ感覚を体に叩き込んで」

 

「分かりました」

 

リュウマは承知し、サリアは二人のシュミレーターのドアを閉める。

 

「リクエストリフト・オフ!アンジュ機、リュウマ機、ゴーフォールド!ミッション07スタート!」

 

そしてサリアの号令で景色が一変する。

 

「うおっ!?」

 

「うきゃああー!?」

 

次の瞬間、シュミレーター内部に凄まじいGが二人に襲い掛かってきた。

 

「す!すごい!! シュミレーターでこれ程のGが掛かるなんて!?」

 

「な、何なのですかコレは!?」

 

シュミレーターの高性能のシステムにリュウマは驚きながらも踏ん張り。一方のアンジュは悲痛の声を上げ、操縦桿を手離してしまう。

 

「アンジュ、操縦桿から手を離さない!上昇!そして旋回! リュウマ、ちゃんと集中して前を見て!実戦はこんなもんじゃないわよ!」

 

サリアの更なる号令により機体の動きが変わる。アンジュは必死についていこうと踏ん張る中、リュウマは徐々にコツを掴んでいく。

 

「最後に急降下訓練に移る!降下開始!」

 

「急降下? うわっ!?」

 

「ひゃああああー!?」

 

急降下のGにアンジュの身体が思わず浮いてしまう。

 

「急いで!地面に激突してしまうわよ!機器を上げて!」

 

サリアは万が一の時の為に緊急停止ボタンに手を伸ばそうとした、…が――。

 

「…よしっ! コツは掴めました!!」

 

リュウマは操縦桿を握り、アクセルの一気に回し、機体を急激に上昇させて停止する。

 

「(この感覚は…、エアリア!!)」

 

一方のアンジュもスポーツのやり方に似てすぐに機体を立て直し、遥か上空で停止したのを確認した。

 

「な…何なの?この二人…」

 

サリアは初めてのはずの二人のシュミレーション結果に驚愕の意を隠せなかった。

 

 

 

 

 

 

そして訓練を終えてアルゼナルの浴室でリュウマを除くアンジュ達は汗をシャワーで流していた。

 

「いやあー、大したもんだな皇女殿下とリュウマは。初めてのシュミレーターで漏らさないなんてなあ!なあ、ロザリー?」

 

「っ!い、いえ私の初めてはそのですね…」

 

ゾーラに言われたロザリーはそれに視線を逸らし目が泳ぐ。

 

「気に入ったみたいねあの子と彼が…」

 

その隣でロザリーの代わりに返答するヒルダ。

 

「ああ、悪くない…」

 

そう笑みを浮かべるゾーラ。

 

「ねえねえ!サリア! アンジュとリュウマって何? 超面白いんだけど~♪」

 

ヴィヴィアンにそう質問され、サリアは一番端側でシャワーを浴びているアンジュと今はこの場にはいないリュウマの評価を考える。

 

「…今はそう、凄いの一言しか言えないわね」

 

そして女子のシャワーが終わり、リュウマは一人で浴室のシャワーを使い汗を流し、着替えて髪をタオルで拭きながら浴室から出てくる。

 

「ふぅ。やはりシャワーがあるのは有り難いですね。此処数年は水浴びするだけでしたし…」

 

「リュウマ」

 

と、独り言を言っていたリュウマの元にサリアがやって来て、リュウマはサリアの方を向く。

 

「サリアですか、どうしました?」

 

「今からあなたの部屋に案内するわ」

 

「あぁ、ありがとうございます」

 

リュウマはサリアに部屋に案内される、部屋に到着したリュウマはサリアから鍵を渡される。

 

「あとこれで最低限必要な物資は揃う筈だから」

 

「感謝します」

 

リュウマはサリアから最低限の金を渡され、サリアはもう一言告げる。

 

「それと、起床は明朝5時だから寝坊しないようにね」

 

「了解しました」

 

そう言ってサリアはその場を去って行き、リュウマは鍵を使って開けて部屋に入る。

 

そしてリュウマは部屋に入るとベットに寝転がり、天井を見ながら思う。

 

(約3年ぶりのベット…果たして眠れるのでしょうか…)

 

そう考えていたリュウマだったが、疲れていたのでぐっすりと眠るのだった。

 

 

 

 

 

数日後、格納庫でエマがジルにリュウマとアンジュの適性審査の結果を見せる。

 

「例の新人達ですが基礎体力、反射神経、近接対応能力、更に戦術論のリタイヤ全てにおいて平均値を上回っております。特にリュウマは飛んでもない数値を跳ね上げて、皆より上を行っています」

 

「ほ~優秀じゃないか」

 

「『ノーマの中』では、ですね」

 

エマの皮肉にジルは見て、エマは敬礼し別れた。

一方のジルは格納庫の更に奥に足を運んでいた。

 

「パラメイルの操縦敵性…特筆すべきものがある…か。ならば…」

 

そう言うジルはアンジュから取った指輪を取り出して見て、そして彼女の目の前に一機のパラメイルとその奥に『別の何か』が並んでいた。

 

パラメイルの方はやや錆び付いた白い物で、奥にある物は『人形の18mはあると思われるロボット』だった。




次回予告

(ア)この頃の私って本当世間知らずね。見てて恥ずかしくなってきちゃうわ。

(リュ)作者的にもこの頃のアンジュにはかなりの苦手意識を持ってたみたいですよ。

(ア)まぁ持たれても仕方がないわよね。

(リュ)ちなみに最初の方で一番好きだったキャラはエルシャらしいですよ。

(ア)…マジで!

次回、最悪の現実
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