霊感ってカッコ良いか?   作:天海つづみ

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第22話 忌地 結 裏 人身御供

 

京都、とある有名神社

 そこを訪れた占い師

「何だい、外国人ばっかりだね」

 鳥居を潜り玉砂利の広い境内には大勢の観光客、真っ直ぐ社務所に向かうと横の扉から入る

 

「えっ!?」

「ちょっと!?」

「お客様は入らないで下さい!」

 バイトの巫女さん達

 御守りと御神籤のダンボール

 

「フン、新しい顔ばっかりで分からないね、責任者どこだい?」

 

 怪しい婆さんが突撃してきたのだ、出てきたのは当然警備員

「はいっちゃダメだよ」

 60歳位のお爺さん

 

「あんたに用はないね、責任者呼べって言ってんだ」

 

「とにかく外に出なさい!」

 

「うるさいね!神主でも何でも良い!呼べ!」

 境内で騒ぐ、と、

 

「止めなさい!どうされたのです?」

 箒を持った袴のお爺さんが小走りで

「ここは神域ですよ?お静かに 」

 

「!!、お前……コウタか?!」

 

「は?!」

 暫し見つめ合うと

「千鶴子……姉ちゃんか?」

 

「おう、何十年振りだ?良く分かったねぇw」

「昔から口が悪かったろw」

 笑い合うと

「聞きたいのは師匠の事だ」

 

………………………………………………

 

 あのラブホから数百メートルの家、平屋の立派な日本家屋

 納屋にはネギや野菜、花が多い綺麗な庭

 呼び鈴を押すと

「こっち来とくれ」

 縁側から声がする、そっちに向かい

 

「こんちわ、師匠w」

「千鶴子だぁw良く来たねぇw」

 椅子で日向ぼっこしている80を過ぎて居るだろう小さなお婆さん

 

「わざわざ京都まで行って損したよw近所に師匠が居たとはなwあのコウタが今や表側の神主だよw」

「元気だったかい?」

「すっかり爺さんになってたwアタシも婆さんになる訳だw」

 縁側に腰掛ける、門柱の間からあの建物が見える

 

「千鶴子が嫁に行ったのは……近所の市だったね」

「師匠、町村合併で今は同じ市になってるよw」

「そうかいw今は何してるんだい?」

「占い師だよ、修行途中で嫁に行かされたからな」

「アンタは腕が良かった、問題無いよ」

「いや、腕はともかく家庭に入るのは大変だったよ」

 我が子に追い出された事を話す

 

「……そうだったのかい……辛い思いさせたね、本宮に戻っても良かったろうに」

 

「世間ってヤツを知らなかったからね、戻るより世の中知りたくなっちまった……それに拾われた身だ、文句は無いよ」

 

「今……幸せかい?」

「孫が元気でやってる」

「そりゃ幸せだw」

 一頻り笑うと

 

「さて本題だ、あの土地、まさか地上げ屋に頼まれて師匠が動くとは思えないけど何があった?」

 廃墟を指差す

 

「あれはね」

 国の都市計画にあの土地が引っ掛かって調査が入った

 暫くして調査の役人の様子がおかしくなってね、気が付くとあの場所近くに行っちゃったそうだ、

 それが数回あって遂にはあの場所で死んでいた

 当時は人が入れない程の藪の中に入ってまでだよ?

 調べたら他にも複数の遺体が見付かってこれは只事ではないと私が呼ばれた

 

「昔国の依頼で忌地をお祓いして周ったのを古い官僚が覚えていたんだ」

 ここも忌地である事を伝えると国道の計画を変更

「そこまでは良かった」

既に地上げで奪ってしまったあの土地は宙に浮いた

「あとは分かるよね?」

 

「国の汚れ仕事をやってた地上げ屋……気にしないでビル建てたか……」

 あの時代、土地の暴騰は凄かった、金になると踏んだ訳だ

 

 霊が騒ぎ出してね、ヤクザ者が逃げ出した後にまた呼ばれてあのビルに火を点けて封じようとしたんだ

 

「なんであんなに騒いでんだ?あれじゃ霊道どころか冥道が空きそうだよ」

「ビルってのは基礎を作るだろ」

「!、まさか!」

 

「見てみな」

 見る占い師

「ほら、良く見ろ、そして気付け」

 建物の地面の辺り……そして裏の大きな水路

 その辺りに無数の死者の群れ

「あの仏の数……何体いるんだ……」

 

「はぁ?千鶴子、良く見ろ」

 

「?」

 

「もっと全体を見るんだ、木を見ずに森を見るんだ」

 

 

「え?何だ?……何か……煙?」

 目を細めて3つの建物を見る

 

 

「素直に見るんだ、邪魔してるのはアンタ自身の防衛本能だw見るのを拒んでるよ?」

 

 煙が段々濃く見え形を作る

 2つの焼けたビルに絡み付く様に……トカゲ……いや……イモリ?

「何だこれ?!」

 

「ほら、良く見な、そして気付けw私が隠形で隠してるのはビルじゃないよw」

 

 ヌメヌメ光るサンショウウオ?が2つのビルに絡み付いている……が

 

「…………なんだよこりゃあ……」

 頭が人間の子供、しかも複数……

 

 四、五歳の丸坊主、笑顔の子供の頭が4つ生えた数十メートルの両生類が絡みついている

「うっ……ぐっ……師匠……あそこ……刑場じゃないのか?」

 そのおぞましさに吐き気を抑えながら

 

 うんうんと頷き

「そこまでは読めたのかいw上出来だがあと一歩だねw」

 このすぐ下流、利〇川ってやつはね、その昔『坂東太郎』と呼ばれた有名な暴れ川でね、

 困った江戸幕府は今の東京湾に流れてたのを東の方に流れる様に作り変えた程だった

 

「?」

 

「……分からないかい?」

 昔暴れ川を鎮める為に何をした?

 

「……人身御供か!!」

 

「口減らしと生贄……丁度良かったんだろうね」

 

「師匠……まさか」

 

「そうだよ」

 刑場、投げ込み寺、地震、戦争によって忌地になったあの場所、埋まってた骨を邪魔だから砕いて水路に投げ捨てた

 丁度隣の水路にあの子らは居たんだろうね

「バカな事したもんだね、あの子らを起こして生贄与えたようなもんだよ、お陰で大きくなって力が付いて忌地に上がって来ちゃったよ」 

 

「師匠でも……無理なはずだ……あんな化け物」

 一志達に憑いてた気配はこっちか……

そうだ!山の時の気配に似ていた!集合体の気配に、そこまで気付いていながらアタシは……

 

「だから隠形で隠してね、浄化は完全には無理だが御札を交換して行けば何十年後には建物が崩れて……祓えるようになるだろうよ」

 

  

「……師匠、この不動明王真言の御札どこにある?師匠直筆のヤツだよな?」

 懐から取り出す

 

「この下さ、千鶴子、アンタに頼むよ?」

「アタシが面倒見るのかい?」

「年に1回の事じゃないかw」

 

 

「アタシだって後二十年生きれるかどうかだよ?誰か他のヤツ呼んだらどうだい?」

 

「ココに来たのが運の尽きさ、これで安心だw」

 眠たそうに深呼吸すると

「御札取っておくれ」

 

師匠の足元、縁の下の格子を外す、と粗末な箱

 中に数十枚の御札

「師匠、これだろ?」

「そうこれこれ、2年は代えられたんだけどねぇ、隠形で力使い果たしてね、出来なくなったよ」

 

「しょうがない、やっとくよ、じゃあな師匠、話せて良かった」

 

 門柱まで来ると師匠が大声で

「千鶴子!私は何歳になるんだい!?」

 

振り返ると荒れ果てた空家、雑草と竹藪に叫ぶ

「さあねぇ!」

敷地から出ると

 

「……生きてりゃ130歳位だろうよ」

 タバコに火を点ける

「これでやっと京都に帰れるなぁ……師匠」

 ビルのサンショウウオを眺める、何が楽しいのかずっと笑顔の子供

 

「何笑ってんだよ……」

 

 

 

 

 

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