冬休みも最終日、家電量販店の一角
「俺はやっぱりMGの方が作り応えあって好きだな…」
「でもよ、HGだってスケールでかいやつは…」
プラモデル売り場で語る二人
「最近としては水〇の魔女辺りが可動域とプロポーションの再現が…」
「いや神崎、CGのは最初から立体物にする前提のデザインだ、繁さんの言う通りCG入る前のヤツを立体物にする方が技術的には難しいぜ?」
「それは分ってるけど…」
確かに昔のアニメは作画崩壊している所がある、そのイメージを崩さず立体化、さらにそこに可動範囲まで加えるのは並大抵の設計技術ではない
棚を見ながら歩き俺は立ち止まる、目線の先にはメカっぽい美少女、いわゆる美プラ
「…神崎、手ぇ出すなよ?多分戻って来れねぇぞ?w」
「……分かってるw」
俺達オタクの中でもある程度の深度と言うかラインがある
コレに手を出したら止まらなくなりそうなのだ
メカ、美少女、アニメなどの複合体……
棚の端まで歩くとワゴンに水〇の魔女の女性主人公のプラモデルがある、手に取る、肌の露出など少なくて…
「おい神崎w」
「いや木村、コレはセーフじゃないか?」
「いやアウトだろwこれジャンル的に美プラだろw」
「いやいやギリセーフだろ、コレはガンプラだろ?w」
お互いに持論を展開する、線引が難しいグレーゾーン
「ほら、やっぱり木村と神崎だ」
!!!
「「麻理恵さんっ?!」」
「あ、本当だ」
と千尋さん?!
髪をバッサリ切ったらしく肩までの長さ、しかし今まで重さでストレートになっていたのか、軽くウェーブがある
そして紫っぽいワンピース?に黒いコート、あとはカチューシャでも着けたら……
棚の裏は塗料やニッパー、デザインナイフなどがあった
……そして俺の手にはスレッタ〇ーキュリー
「どうしたんすか?こんな所で?」
「千尋がニッパー見たいって、工具大好きだしw」
「最近のプラモデル用は凄いってネットにあって、持ってるのコードニッパーばっかりだから…」
俺の手にはスレッタ〇ーキュリー
「で?木村達は?」
「暇だしブラついてるだけッスよw」
固まってると、じーっと見てくる千尋さん
俺の手にはスレッタ〇ーキュリー
全てを投げ出しダッシュで逃げ……
いや、そーっと置いて知らんぷり……
いやいやいや、この状況からどうやって……
「やっぱり神崎君ってそういうの好きなんだ?」
首を傾げ俺を見るオカルトマ〇ア
グサぁっ!と胸に見えないナイフが刺さる、聞いた事がある、言葉は時に刃物以上の凶器になると
その目線には軽蔑の意味は無さそうだが、やっぱり見た目でそう思われてるよな俺
「い、いや千尋さん、偶々手に取っただけだぜ?神崎も流石にコッチは手ぇ出してないんだぜ?w」
「え?私部屋借りた時に見たよ?」
「「えっ?!」」
一斉に俺の顔を見る
カタカタ震える、手に汗が出る…
なぜ?なぜ知っている?
衣装ケースの一番奥に隠してあるプライズのフィギュア、小学生の時に簡単に取れそうな段階で放置されている台を発見、急いで両替して二百円で取った性癖歪みそうなアレ
「ま、まぁアレだよな?関節の構造とか可動範囲が知りたかっただけだよな?w」
「そ、そうなんですよ!ロボット物とどう違うのか知りたくて(汗)」
助かったぞ木村!ナイスフォロー!
「ふーん、あ!そうだ聞こうと思ってたんだ!」
スマホを取り出す麻理恵さん
「あんたら心霊スポット好きだよね?コレどう思う?」
画面には『呪いの人形寺』とある
「乗り換え一回で行ける距離だし行ってみない?」
っしゃああああ!!話題変わった!!助かったぁ!!
「行きます!」
行きましょう!とっとと行きましょう!
…………………………………………
コレがデートなら最高だがな…電車では会話が続かなくて結局男女別々に座る
小声で
「なぁ神崎、千尋さんの色合いよ、オカルトマ〇アっぽくね?」
「…うん、それもあるけど白い部分があったらフ〇ルンにも見えるw」
「丸くねぇよw言うなよ?w」
「勿論w」
「……で?持ってるフィギュアって何だ?やっぱ巴マ〇か?w」
「……いや、後で言う」
「っつーか見せろw」
……………………………………
1時間位で着いた、短い石段を登ると小さなお寺でオジサンが掃き掃除をしている
「おや?こんにちは」
緑のブルゾンに黒いスウェット、後頭部とサイドに白髪混じりで前と上が無いオジサン
「こんにちはぁ!」
こういう時麻理恵さんのコミュニケーション能力の高さは助かる、数年後には買物袋ブラ下げて井戸端会議してそうなタイプ、話を聞くと
「あぁ、この記事なぁ、迷惑してるんだよ」
てっぺんのハゲたとこを掻く、笑いを堪えて話を聞くと、この人は住職らしい
「この建物はすぐ隣のアレなんだ」
指差す
説明によると隣のデカイ空き家になった家の納屋だそうだ、が、立地が寺に隣接しているために勘違いされやすい、そこに人形はある
「じゃあ直接このお寺とは関係ないんですか?」
「そうなんだよ、まぁ隣の婆さんが居なくなる前に、家の管理頼まれたけどなぁ、こんな呟き書くからアンタらみたいに見に来るんだよ」
想像がつく、イイネが欲しくて勝手に寺をタイトルに寺を入れたのだろう
Y〇uTubeのサムネ詐欺みたいだ
「ソコって見せて貰う事出来ますかぁ?」
麻理恵さんの声のトーンが変わる、流石だ
「あぁ、勝手に見て貰って構わないよ、ただし触るなよ?」
指を立てる
「?」
「建物も古いしガラクタだらけだ、危ないし…」
ソコまで言うと含みを持たせて
「まぁ……縁起も悪いと聞いてる」
そんな事言うから呪いの人形寺なんてタイトル付けられたんじゃ?
………………………………………………
これは土蔵?蔵?名前が分からん、閂が扉に掛かっている、が簡単に引き抜ける、防犯の意味など最初から無い様だ
「じゃあ帰る時に声掛けてくれな?」
寺に戻るオジサン、髪があったらもう少し若い見た目だろうにw
「よし、入ろうぜ」
扉を開け……
「うわぁ!」
「キレイ…」
「すげぇ…」
「こんなにあるのか!」
中には数え切れない人形が木製の棚に並べられている、小さなコンビニみたい
昔の市松人形?とか芸者の人形、雛人形もチラホラ…
ハード〇フの一角の様なフィギュアは流石に無い様だがw
赤や金の鮮やかな着物から、白地に花など地味な色合いの着物まで
「コレ照明あれば良いのになw」
奥は暗くてスマホのライトをアッチコッチ向ける木村、窓が無く明かりが無いとは
「十分名所になる場所じゃない?勿体ないねw」
麻理恵さんもスマホのライトを向ける
「でもお寺の物じゃないなら勝手な事出来ないよね」
麻理恵さんにくっついてる千尋さん、恐いのか?
「博物館にでも寄贈すれば良かったのに…」
フランス人形?ってやつかな?ドレスに青い目の人形もある、ひょっとしたら価値のある……あ!
「もしかしてさっき言ってたのお婆さんのコレクションとか?」
俺は体型もあり、気を付けて歩く
郷土史料館とかにすれば良いだろうに
……どこが呪いだよ
「うわあっ?!」
木村がさけぶ!
「きゃあっ!」
「ひぐっ……」
「どうしたっ?!」
えっ?!子供?!
と思ったら木村が照らした先、一番奥の壁際に1メートル位の市松人形が4体
「こっ、恐えぇなコレ……」
「ちょっと!ビックリさせないでよ!」
「……」
千尋さんは凝視したまま固まっている
「千尋さん、大丈夫ですか?」
どうやら驚くと固まるタイプらしいな
「デケェな……多分子供の着物そのまま着せてあるんじゃね?」
白無地の着物や菖蒲の簡単な花柄など、なんだか地味だし小芥子の様な顔で、他の人形に比べると簡素で手作りっぽい
しかし気になったのはその髪、昔の人形は人毛が使われ、根元を縛り一纏めにして頭の中に入れて、頭皮部分の穴から出している
だから根元の纏めた部分が動くと髪が伸びたり縮んだりすると、昔ネットで読んだ事がある
髪が伸びる呪いの人形の正体なんてこんなもんだが
……これも人毛?なのか?結構な量だよな
「で?木村、どうなの?霊的なモノ居ない?」
皆でデカイ人形を近くで見る、麻理恵さんは顔を指で撫でると
「木だね」
「……何も無さそうっす」
「なぁんだw」
「何でこんなに大きいんだろ?」
オカルトマ〇アが妖しい人形を見ている……なんかゲームのシーンになりそう
「着物とかワザワザ人形用に作るの大変だろうし、逆に大きい方が楽だったかも知れませんね」
田舎の人は人形を自作したんだろう
「あぁ、昔は雛人形とかってお金持ちの象徴みたいな話があったような?」
千尋さん変な事知ってるな
外に出ると午後3時の日差し
「今度来ることあったらランタンが必要だな」
木村に振ると
「あ、あぁ…」
深刻な顔、これ何か見たな……
2人を心配させないために黙ってる
実は俺も一つ引っ掛かる事があるんだけど……今言ったら怖がらせるかも知れないな、さてどうするか……
「んじゃ神崎の部屋に千尋が見たフィギュア見に行こうか!w」
「ええっ!?」
忘れてた訳じゃないんですかっ?!
「麻理恵さん!神崎だって男だぜ?女に見られたくないモンの一つや二つあr」
「分かってるってwベッドの下とかpcの隠しファイルとか、スマホのシステムファイル内に作った画像データ見たりしないからw」
!!!
詳しすぎないか?!いくらなんでも!
なぜ男の聖域とも言える場所を……
顔を見合わせる俺と木村
麻理恵さんは俺達を見ると
「男って皆バカよねぇ〜w」
ニヤニヤ
「麻理恵、どういう事?」
「千尋も男と付き合ったらわかるよw」
オジサンに挨拶して寺を後にする、電車に乗ってから麻理恵さんの言葉の意味が分かる
俺達の反応を見たのだ、どこに人に見せたくない物があるのかを
男性経験がある女子はこうなるのか…
女って恐いな
……………………………………………………
「で?ドコにあるの?」
あああああ(濁点を付けてお読み下さい)!!
最悪だ!!俺の部屋に来ちゃったよ!!
「どうしても見るんですか?……」
正座して
「あのホント……ホント勘弁してもらえませんか?」
拝み手をしてみる、が
「千尋、どこ?」
「ここ」
素晴らしいチームワークで迷い無く机のpcモニター横のペン立てをずらす、と!!
横の衣装ケースは半透明!!
しまった!!そうだったのか!!透けて箱が見えている!
ムチムチ水着のフィギュアの写真!
「あの…千尋さん…その…何でペン立てを…」
動かしたんだ?
「レポート書くのにペン借りようって……そしたら倒しちゃってw」
しまった!それで部屋貸したんだった!
麻理恵さんはケースの奥から箱を取り出す
「さて神崎?コレは何?w」
俺は大学生になって、エ〇本見付かって怒られる子供の心情が分かるます(混乱)
「……えーとですね…キャラクターの名前はスーパー〇ちゃ子と言いまして……」
女子の前で何を言わされてんだ俺は?
「はあ?ナニソレ?フザケてんの?」
片方の眉が吊り上がる
だってそうなんだもん……
そういう名前なんだもん……
木村はニヤニヤ見ているが一言も発しない、流れ弾喰らいたくないんだろう
笑ってないで助けろよ
箱を開けて取り出すと
「ほうほうwこれはこれはw」
ニヤニヤとムチムチ水着のフィギュアを色々な方向から見る、俺は真っ赤で顔を伏せる、ナニコレ?新手のイジメ?
「胸大きい…うわぁ…お尻が……」
マジマジ見ないで千尋さん!恥ずかしいです!
「やっぱり胸大きい娘が好きなんだ?」
はい!!
……いや、あくまでも一般論ですが
「こんなモノを隠し持ってるとはねぇw」
ニヤニヤ
「で神崎?コレはナニするモノなの?w」
「ヌードルストッパーと言うらしくてですね……」
「あぁ、だから立たないんだ」
自立させようとしていた千尋さん
「じゃあ神崎、どうやって手にいれた?」
その後十分に渡る取り調べを受ける事になった
…………………………………………………
二人が帰った
「災難だったなw」
「見てないで助けろよw」
地獄だったぞ
「いや助け舟出したらpc見せろとか言われそうだろw」
ソレは一番恐いかも知れない……
「で?木村、あの人形変だったか?」