最近自分の意思で心霊スポットに行ってない(クリスマスはノーカン、アレは自分でもどうかしていた)
久しぶりに検索してみるとY◯uTubeの動画が更新されて増えている、関東から出たらまだまだいっぱいあるのは知っているが…
せっかくオフロードバイクがあるんだ、山奥の廃村とか……行ってみたいな
「おーい神崎ぃ、暇だ、何かねぇの?」
遠慮なく入る木村、学年末考査近いのに
「今色々見ててな……」
木村も画面を見ると
「何だ?また心霊スポットか?w」
「泊まり掛けなら行ける所多いけど…今は無理だなぁ」
学生だし『バイト』もあるし
「探せば関東……ってかお前の地元もあるんじゃね?」
「あるにはあるんだ、けど廃村って聞かないんだよなぁ」
千葉じゃあ聞かない
「……何で廃村限定なんだ?」
「?、あれ?何でだ?」
「もしかしてよ、お前心霊スポットが好きなんじゃなくて廃墟が好きなんじゃね?」
「あれ?どっちだろ?」
この二つのジャンルって……同じとか?
…………………………………………
連休を利用して来てみた、場所は紀伊半島
「スゲェ山の中なのに道があるのな」
「実況者も通った所だし」
インカムで話しながらツーリング、県道?これが?って道を走る、歩道も無いし車ならキツそうだが、オフロードバイクは突然倒木があっても楽、その上冬だと蔓草も蜘蛛の巣も無い、実は夏より冬の方が廃墟は見易い
細い山道をスマホのGPSを頼りに脇道に入る、と、更に狭い、車1台分しか無くない?
暫く進むと鎖が1本道を塞いで通行止めの札がブラさがっている、くぐって辛うじて残る道を10分程進んだ所に
「あった!」
道端に崩れた廃屋、錆びたガードレール、鉄屑になった車、更に進むと数件の廃屋と電線の無い電柱
「おお?!雰囲気あるな!」
アスファルトの道に沿って十数軒、更に奥には更地になりかけた家が何軒も
「全部木造だなぁ」
落ち葉だらけの広場?にバイクを停めてヘルメットを脱ぐ
「50年位経ってるか?」
散策を始める、山の斜面に杉林に囲まれた平地、林業の職人達が住み着いて村になった所かも知れない
その原因は江戸時代に杉を植林しまくったからだそうだ、花粉症の人が聞いたら腹立つだろう
村の中にも木がいっぱい、落ち葉が積もって森に飲み込まれかけてる
一件、まだ何とか立ってる建物を玄関から覗く、と落ちた天井、枯れ草に戻った畳
「お邪魔しまーす…」
中に入るとミシミシ床が揺れる
「木村、中はダメだ崩れそう」
床も抜けそうだし
「あぁ、こりゃやべぇわ」
最悪生き埋めになりそう……外からの観察限定にするしかない、倒れた襖の隙間にウル◯ラマンのソフビっぽいモノが見えるのに……惜しいが諦めよう
家の前に井戸を見つける、中を覗くと落ち葉で水が見えないが、俺の頭にはジャパニーズホラーの有名映画が思い出される
「木村、貞子居るか?w」
「あのなw井戸イコール貞子って考え止めろw全国に居る事になるだろw」
数万人?の貞子w………あ!
「ブフッ!ち!千尋さん!w」
「だっひゃっひゃっ!おま!ヒデェ!w」
同じ絵面を想像した、あの動きで井戸から出る千尋さん、井戸の中はゴミ屋敷w
「は!半年前の!千尋さん!w」
「ほ!本人の前で言うなよ?!w」
良く半年で貞子からオカ◯トマニアに進化したモンだw
笑いながら村の奥に進むと……ブランコとジャングルジム、そして大きめの平屋、この建物だけ全体がトタン?スレート?、普通のドアで施錠されてる
「神崎、コレってよ?」
「多分学校かな?」
一軒に平均4〜5人として200〜300人の村って所か、分校があったんだな
「……木村、霊いるか?」
「いや、なんも居ねぇよ?」
辺りを見回す
「事件も無い平和な場所だったんじゃね?」
更に奥へ、墓石?だった石が並ぶ中を歩く
「んで?タダの廃村見物じゃないんだろ?」
「噂では神社に幽霊が出るって言われてる」
「?、どんな?」
「ソレが変なんだ、女とも男とも言われてる、ぼんやり白いらしい」
「まぁ俺が見れば分かるわなw」
木村ほど霊を視覚で見られるのは天才だ、と前に尾形さんに言われたしな
村の奥、苔だらけの石垣が積まれた上に木製の朽ちた鳥居、水音がする、湧き水がある様だ
朽ちたガタガタの石段を十段程登ると
「うおっ!!」
「居るのか?」
「居る、居るけどよ……」
「?」
木村の肩を触ると……何だろうこのシルエット?
崩れた小さな社の右奥、チョロチョロ水音がする小さな滝の辺りに
…………オッサン?俺が言える事ではないが、腹が出てだらしない体型のオッサン?
しかも服着てなくない?
「……木村…なんかオッサンっぽいんだが?」
「あぁ……多分オッサンだ」
やたら色の白い小太りのオッサンがフンドシ一枚で立っているそうだ
その上顔に『へのへのもへじ』と書いてあるらしい
「…………木村…俺凄く変なモノ想像してんだけど?」
「…多分それで合ってるぜ?」
………………こいつぁヘンタイだ
「どんな様子なんだ?」
「なんつーか……動いてはいるんだ」
自然な、呼吸してるというか、格闘ゲームの放置してる感じらしい
「ただ何の反応もねぇ、何だコイツ?」
「よし、ちょっと聞いてみる」
肩を触ったまま集中、と!
突然こっちを見る影!
!!!
「ひっ!」
「何だぁっ?!」
ゆっくり俺達に向かって来る影!
「ちょ!何だよ!」
後退りの木村、俺も一緒に
「ど!どうする?!」
「神崎!何て言ってんだ?!」
「無理!聞く余裕無い!」
「逃げるぞ!」
振り返り落ち葉に足を滑らせながらバイクまでダッシュ!
「やっべぇ!アイツ走れるぞ!」
「え?!」
走る?!木村しか見えなくなるけど仕方ない、手を離しバイクへ
ヘルメットを被る余裕も無い、腕に引っ掛け
「ブォン!」
村から逃げ出す!
…………………………………………
鎖の所まで来た
「何だよアレ!」
「怖すぎる……」
ヘルメットを被りインカムを通じて
「俺等ヤバいもの起こしたか?」
「でも何もしてないのに」
何で?何が起こった?村の守り神か何か?
と
「なんだぁ?!!」
斜面を見上げる木村
「どうした?」
「アイツ来てる!追って来てる!」
「マジかよ?!」
「真っ直ぐ来るぞ!逃げんぞ!」
白い人影が杉林を降りて来るらしい
………………………………………………
急いで県道まで出て路肩に止める、どうやら人の走る速さ程度らしい
「どこまで追って来んだアレ?」
「まさか埼◯まで来たりして」
「こえぇよソレw」
振り返る木村、と
「ウッソだろ!マジかよ?!」
「は?!まさか?!」
「杉林に白いのが居る!アイツまだ追って来てる!」
「思いっ切り引き離そう!」
県道からアスファルトの国道へ、そのまま川沿いを走りながら話す
あれは飛行ユニットに近いんだ、恐らく地形に沿って直線で追って来てる、そして障害物を擦り抜ける
こっちはバイクだがカーブの連続、
あっちは人の走る程度の速度だがほぼ直線、そして恐らく体力の限界は無い
行動範囲から出られれば逃げ切れるかも知れないが…
「じゃあどうするよ!」
「こんな時は!」
ネットのオカルト話では都合良く神社や寺が出て来るが…と、
ナビに熊◯古道!そして寺もある!
「行こう!」
…………………………………………
駐車場に入ると急いでバイクを停め
「急ぐぞ!」
石段を登る
「おい神崎!」
「わ!分ってる!」
辛い!50段位あるよコレ!他の観光客を避けながら全力で駆け上がる!
門を入ると掃除をしている人
「助けて下さい!」
「?、はい?何ですか?」
作務衣で掃除の手を止める20代位の坊さん
「助けて下さい!」
「追われてるんです!」
「…えーと…何か困ってるんですか?」
どうしよう!どう説明する?!
色の白いへのへのもへじが地形エフェクト無効で追って来る?
普通の人には見えない変態のオッサンに追われてる?
どうする?テンプレでは直ぐに対処してくれるが説明出来ない
「あ、あの、廃村からずっと着いて来てて!」
「とにかく変なのに追われてんだよ!」
「……警察呼びましょうか?」
明らかに(何言ってんだコイツら?)って顔、いや分かるよ?だけど急いでるんだってば!!
と、
「こちらへ来なさい!」
奥の寺務所?から偉そうな中年の坊さんが呼ぶ
キターーーー!
急いで行くと
「先代、来ましたが……普通ですよ?」
入り口で上から足元までジロジロ見る…眼力強くて不快だなこの坊さん、着物や袈裟が立派だが
すると中から
「入りなさい」
老人の呼ぶ声、偉そうな坊さんに付いて入ると白い顎髭の……老人が布団に寝ている、90歳位か?
この人坊さん?テンプレでは本堂で念仏とかで祓ってくれるモノだが?
まぁ何かしらの対処はしてくれるだろう
「ありがとうね、慈円さん」
「いえ、御用の際はいつでも」
頭を下げて出ていく、この偉そうな坊さんより立場が上なのか?
「済まないなぁ、もうお迎えが近くてこのザマでなぁ」
寝たまま話す
「さて……今なぁ、山門を普通ではない気配が通ってなぁ」
「「え!?」」
振り返る、まさかもう追い付いた?!
「いやいやアンタラだよw、守護が憑いてるなぁ、で?追われてるって?騒ぎが聞こえたよ」
上体を起こす、すごくゆっくり、体が不自由というか……老衰?
シラヌシさん!そうだ!何で忘れてたんだ?!
「ふぅ…まぁ良い、話してみぃ」
ニコニコ笑う
廃村で変なモノ見つけたら追い掛けられている事を話す
「うん、で?アンタはそんなにハッキリ見えるのかい?」
「俺は普通に見えてんだ、で神崎は俺に触ると影に見えんだよ、そんで声とか聞けるし記憶も見えんだ」
「ふぅん……」
シワだらけの顔の目が開く、すると違和感、何だこの目?
「あぁ、ただの白内障だよ気にせんで良い、もうすぐお迎えが来る歳になって私も見える様になって来たんだわ」
禿頭を撫でると
「未熟なんですわ」
フェフェフェと笑う
「何とかなりませんか?」
「…………その前になにかせんかった?」
「俺聞こうとしただけなんですよ?」
そしたら動きだしたよな
「んー?アンタなぁ『聞く』って言ってるけどなぁ?それは『話し掛けてる』って事じゃろ?」
「?、話かけ…?」
「だからこの世のモノでないヤツにアンタは話し掛けてるんだわ、良く今まで無事だったの?w」
「えっ!!」
…そうだったのか?…今まで『見せてくれ』って俺は言ってたのか?
そんなつもり無い時もあったのに
いや……見ようとする事自体が話し掛けてるのか!
「んー?…………来たなぁ」
「えっ!」
「もう来やがったのかよ!」
山門の方を見ようと入り口を見る木村
「うおおっ!」
後退り、目の前まで来てるんだ!!
「助けて下さい!」
老人に言うが
「…この子?が追い掛けてたのかい?初めて見るなぁ」
寺務所の中まで来た様だ
「?」
何だ?この余裕?
「神崎!」
木村の肩を触ると目の前に人影
「ひっ!」
そのまま座り込む
「アンタラが作ったんじゃないんだな?」
「え?!」
「何の事だよ!!」
「フェフェフェ……コレは珍しいなぁ、文献で読んだ事はあったが…まだあったのかい」
白いオッサンを見ながら、ニコニコ子供の様に笑う
「アンタらに害はないよ?いや、誰にも害は無い、この子式神だよ」
「式神っ?!」
「マジか?!」
式神って御札から動物とかネコマタ美少女とか召喚出来るアレじゃないのか?
オッサンだよ?何か違うよ?
「どこで拾った?」
拾った?つもりは無いけど廃村の場所を言うと
「この紀伊半島自体が修験道の昔の修行場だらけでの?」
その昔、平城京時代や奈良時代など、仏教と馴染みが深い場所だった
おそらく滝行の修行場で、その管理の為に置かれた式神だそうだ
術者が死んでも尚役目を果たしていたんだろうと言う事だった
「どうしたら良いですか?」
確かに何もして来ないけど、どこまでも着いてくるのはやめさせたいよ?
「何て言ってるこの子?」
触れようと手を伸ばしている老人
集中すると
トイテトイテトイテトイテ
「といて?って言ってます」
「フェフェフェ、そうかそうか、木村君だったの?この子の背中見てみなさい、何か無いかい?」
「背中?」
後ろに周ると
「なんだコレ?」
「どうした?」
「人型の紙だ、見た事あるぜ」
「多分この子ね、解いてと言ってるんだよ、役目から解放されたいんだねぇ、久しぶりに話し掛けて貰えて嬉しかったんだねぇ……剥がしてあげなさい」
「大丈夫なのかよ?」
躊躇う木村
「フェフェフェ、怖がらなくて良い、この子はアンタラに助けて欲しかっただけだよw」
ビクビクしながら剥がすと
「ガシャッ!」
「何だあっ!?」
「うわあっ!!」
「フェフェフェ」
突然木村の手に人型の紙……そして
「何事ですか!?」
入り口を開ける中年の坊さん
「お前等!何をした!!」
木村と俺の足元に……茶色い人骨が突然落ちた
「……慈円さん、今式神にされた人を解放したんだわ、滅多にあることじゃないよ、供養してあげようね」
………………………………………………
慈円と呼ばれた偉そうな坊さんは骨を丁寧に拾い風呂敷に包み出て行った
「じゃあ式神って」
「そう、札を付けた物や死体だよ、この子は体が無くなって、霊になっても縛られてたんだねぇ」
この老人は先代の住職だそうで説明して貰えた
「御札から色々出る訳じゃないんですね…」
思ってたのと違う、もっとこう……あるじゃん?半分狐の美少女とか、半分猫の美少女とか半分…
「…………うん、コレは縁(えにし)かも知れないなぁ」
「「?」」
私が今日まで生きた事、
アンタラが式神を連れて来た事、
きっとコレはそのためなんだなぁ
何度も頷く
「何の話ですか?」
「神崎さんだったね、良く聞いておくれ」
私が最近霊感を持ったのは、死が近いからだ、コレは分かるね?
「はい」
木村君は血筋に霊能者が居るんだろう、その遺伝で見えている
「そうなのか?そんな話し聞いた事ねぇな」
神崎さん、アンタは私と同じだ、死が近い
「えっ?」
「神崎って太ってるけど持病もねぇよ?何でだ?」
「……もしかしたら小さい時に死にかけて、魂半分持って行かれたかもなぁ、そんな事無かった?」
知らないと答えると
「……このままこの寺に住んで…仏門に入ったらどうかな?」
「えっ?!」
現実的にそれは無理
「実はな、アンタラが来た時分かったのはな、死人(しびと)が門に入った気がしたからだよ、神崎さん、アンタだ」
「…俺半分死んでるんですか?」
「まぁ困った事があったらまた来なさい、その時私はもう居ないだろうけど慈円さんに言っておくからね」
………………………………………………
「昔はコレ使えるレベルの修験者が普通に居たんだねぇ」
いつもの尾形さんの占い、式神の紙を見せた
「婆さん分かるのかよ?」
「当たり前だろ?」
尾形さんって神社系じゃなかったっけ?
いや、数珠くれた事もあったな、もしかしたら
「尾形さんって陰陽師とかですか?」
「良く分かったねぇwアタシはその系統でもあるんだよ」
人型をまじまじ見る
「式神から式鬼神へか、ご苦労だったねぇ、アタシもここから冥福を祈るよ」
目を瞑り人型を額より上に
「昔は人を式神にしたんですね」
「そういうのもあるんだよ、字伏ってヤツかもな」