「あざふせ?」
「顔が無くてへのへのもへじって書いてあったんだろ?」
人型の紙をヒラヒラ
「あぁ、なんつーかこう…のっぺらぼうみてぇな顔に」
顔を撫でる木村
「昔外法の一つで読んだ事があるよ」
式神にする死体は当然一般人より霊能者の方が適正が良く強い
であるならば有名な霊能者の死体が欲しくなる、だが殺してそのまま式神にしたら自分が犯人だと言っているようなもんだ
「証拠隠滅みたいな物ですね」
「隠蔽じゃね?それで顔にへのへのもへじかよ」
「そうだよ、最悪師匠の死体とか使ってな?顔も名も消す意味で『字伏』だ」
「はあっ?!自分の師匠?!」
「式神って……」
なんとも夢が無い……アニメやゲームと全然違う
「術者が死んでも存在出来たとなると元は相当な霊能者だったかもな、それより神崎、お前の話が気になるねぇ?」
「俺半分死んでるって言われたんですよ」
「意味分かんねぇよな?」
「アタシにも分からないし見えないね、もしかしたら名のある坊さんかも知れないよ?寿命が来たらアタシにも『魂』ってヤツが見えるのかねぇw」
この人俺達より長生きしそうだがなw
結局『気にすんな』の一言で終わった
…………………………………………
「廃墟……廃村……んー?」
「何だよ?まだ気に病んでんのか?」
部屋でアニメ見ながら呟いてしまう
「いや、考えてみれば廃墟と心霊スポットって確かに同じかもって」
「やっぱそうだろ?」
モニターには警察のロボットものが流れている
「これ平成の初期だろ?原作は昭和とか?PCが一般化し始めの頃にもうOS書き換えの危険性がテーマに入ってる…凄いな」
「だろ?これ昔から好きなんだぜ、攻◯機動隊なんかも原作の年代考えると予言者か?って位当たる所あるよな?」
「予言者…あの坊さんも予言者とかなぁ」
「気にすんなって、今お前生きてるだろ?それで良いじゃねぇかw」
「…なぁ木村、一度シラヌシさんの効果確認しないか?」
「あーそうだなぁwいっつも忘れんだよなw」
「んじゃ廃村調べとく」
「まぁた廃村かよw」
…………………………………………
次の日曜、隣の県
「おい神崎、話が違うぜ?」
「記事が古かったか…」
数年前まで過疎化が進み廃村寸前だった集落…が
リノベーションだかリフォームだか知らないが古民家を改装して、カフェ、蕎麦屋、民宿などなど田舎を体験する観光地になっているし外国人も居る
バイクに乗ったまま呆然と眺める、日曜ということもあり人が多い、ここが数年前まで廃村寸前だったとは……
悪いがこんな公共事業の匂いがする場所に用は無い
「どうするよ?」
「シラヌシさんは『森の中』なら助けるって言ったよな」
そのまま通過して暫く峠道を走る
「考えてみりゃ森ってどっからが森だ?」
「森の定義ってなんだろ?とにかく何処かに脇道位あるだろ、そこから何とかしてみよう」
「適当過ぎねぇ?w」
ガードレールの切れ目の先に雑草だらけの道、舗装もされてなくて二本の轍が少し残っている
「農道?かコレ?」
「行ける所まで行ってみよう」
元は畑なのだろう、錆びて放置された農機具?ポンプか発電機みたいな物が放置された場所、夏だったら雑草の背が高くて進めなかったかも、エンジンを唸らせ突き進む
道も無くなり杉林
「良し、降りよう」
道無き道に歩いてガサガサ入る
「なぁ?山の女の子思い出さねぇ?」
「怖い事言うなよ」
「恐いと言えばよ、夏だったら熊とか出そうじゃね?」
「今だと冬眠中か……」
熊の方が恐いかもな、冬に廃村巡りはそんな利点もあったのか
雑草も蜘蛛の巣も無い、そして何より蚊が居なくて良い、足首まで杉の皮や枝に足を取られながら緩い斜面をガサガサ登る
「そういや神崎、お前式神に夢持ち過ぎだぜ?w」
「じゃあ木村はどんなの想像してた?」
「俺はあれよ、スサノオとかタケミカヅチとかな?」
御札を投げる動きをする
「そっちの方向か…」
「お前半分美少女系ばっかりじゃねぇかよw」
「ふっ、木村よ、それこそが日本の文明風土と言う物だよ」
めっちゃ良い声で
「?」
「木村君、君は半分馬と半分戦艦をどう思うかね?」
ニヤリ
「おっ…おぉ!……確かにそうだわな…」
納得した木村、この日本には確かにあるのだ、『擬人化』というジャンルが
特に戦艦と馬に関しては凄いのだ
そして偶にハシビロコウなどという可愛さのカケラも無い鳥まで擬人化するんだ……なぜ?
「この辺りで良いか?」
「林と森の区別が分からないな」
適当な場所に立ち
「んじゃやってみっか!」
「危機じゃないけど……怒らないよな?」
二人で並んで
「「せーの!」」
パンパン柏手を打つと
「「シラヌシさん!!」」
その瞬間空気が変わる!
「おお?!」
「来た!?来た!?」
辺りの木が杉からモミジに、そして緑から黄色、赤に変わる
「うおおおすげぇ!!」
「コレ動画に撮りたい!」
そこから黄色、緑に戻ると……
「おぉ!ここ見覚えあるぜ!シラヌシさんの山だ!」
見晴らしが良く、あの時彼岸花が咲いた場所
「シラヌシさん居ねぇか?!………?………神崎??」
辺りを見る木村
「おい!神崎!?」
なんだよコレ?助けるって場所限定の移動か?どこ◯もドアか?しかも別々?適当?ランダム?
「神崎っ!どこだ!?」
すると木の陰からド派手な花魁が現れる
「シラヌシさん!」
「木村様、申し訳ありません」
深々と頭を下げる簪
「神崎様を奪われました」
「は?!」
………………………………………………
夕方
「お待たせしました!」
「来たか児島!」
「行方不明とは何ですか?!」
駅から走って来たのか珍しく息を切らす児島
地元警察署の会議室、あれから後藤さんに連絡して迎えに来て貰った
「携帯も繋がらねぇんだ」
「バイクの回収に行って辺り見たけどな、神崎君の痕跡が無かった」
「つまりどういう事ですか?」
木村は話す、シラヌシさんの事、助ける方法を知りたかった事、奪われたと言う話
「とにかくそのシラヌシさんと言う…神様だか化け物の話では行方不明……と言う事なんですね?後藤さん、どうします?」
「……よし、木村、お前は尾形と一緒にその……シラヌシさん?にもう一度話を聞きに行け」
向き直ると
「児島、俺達は俺達のやり方で探すぞ」
「では通常の行方不明者捜査ですね?ならばPCかスマホの扱いに長けた鑑識を…」
「待て、正式な手続き踏んだら霊感の事が漏れるかも知れない、ただでさえバイクの回収に署の車と人使ってんのに使用目的誤魔化したからな、この上鑑識まで使うとなれば理由が必要になるだろう、木村、誰かパソコンとかに詳しい人知らないか?」
「おう、丁度良い人が居るぜ」
………………………………
夜
「アンタがアオイさん?かい?」
ニコニコ笑う後藤
「はい、青井千尋です」
神崎の部屋、使用者は神崎だが借り主は警察であるため当然合鍵は持っていた
「あ、この前はお世話になりました」
麻理恵も入る
「お二人共、こんな時間に申し訳ありません」
名刺を出すと
「本庁の児島と申します、お二人共木村君と神崎君の霊感の事は……」
二人とも頷く
「では事情をお話します、神崎君が霊的なモノに拉致された可能性があります」
「はぁっ?!ナニソレ?」
「拉致……誘拐ですか?」
「だが別の可能性もあるんだ、スマホの充電器が見当たらないんだなぁ」
「それが何の関係あるの?」
「……家出するヤツは必ず持って行くんだよ」
「あぁ」
頷く千尋
「今からこの部屋の検索にご協力をお願いします」
頭を下げるイケメン数学教師
「心配しないで、アタシあの二人には借りばっかりだしさ、もちろん協力するよ、ね?千尋」
笑う茶髪ポニテ
「私も助けて貰いました、協力します」
バックを開けるオカ◯トマニア、中にはUSBやノートPC、ハードディスクなどなど
「良し、では児島とアオイさんはパソコンとかの解析、俺と高田さんはガサ入れだ」
……………………………………………………
「高田さん、アンタは男物の下着とか平気なんだな」
「男知らない訳じゃないからw」
スーパー◯ちゃ子の箱はベッドへ置き、衣装ケースの中を全部調べる
「でも何で服なんですか?」
ポケットまで全部調べる
「下着の枚数で分かる事がある、自分から居なくなる者は下着を持って行くからな」
「でも神崎って自分から居なくなるとは思えないんだけど?」
「あらゆる可能性から絞るのが警察の基本なんだよ、さて次は洗濯物だ」
「え?……それはちょっと(汗)」
「分かった、コレは俺がやるw高田さんは冷蔵庫を頼む」
「はい」
「ふーん、BIOSはデフォルトで弄って無い、ストレージに変な分割も見当たらない…神崎君ってPC詳しくないんだなぁ」
同時にスマホで神崎のPCのスペックを見ながら調べる千尋
「じゃあ既存のファイルの中か……」
「青井さん、これで全部の様です」
全部のゲームからメモリーカードを集めた児島
「はい、それはこっちでお願いします」
自分のノートPCへ、変換アダプタも用意
「あと本体のストレージも見て下さい」
「なにかしらの痕跡が見つかると良いですが」
千尋のPCでカード内のデータファイルを見る児島
「神崎って料理しないんだなぁ、ジュースばっかりじゃん」
小さな冷蔵庫を開けて呆れる
「高田さん、内張りにガタついてる所無いか?」
「うーん……」
冷蔵庫をガタガタ
「特に無いですけど?なぜです?」
「薬の中毒者なんかはその辺に隠すんだ」
「まさか薬なんてやらないでしょ?」
「まぁ後は…」
上を指差すと
「照明のカバーとかな」
「神崎の身長じゃそれは無いでしょw」
「いやぁ分からないモンだよ、じゃあ高田さんは靴箱を、こっちはゴミ箱を調べるぞ?」
…………………………………………………………
同時刻 国道を2人乗りで走るバイク
「婆さん寒くないか?!」
「それよりこのヘルメットってヤツは緩いもんなのかい?!」
「神崎のだからな!w」
「しっかしバイクってのは恐いねぇ!」
「しっかり捕まってろよ!」
シラヌシさんの山に到着、木村を前に登り始める
田舎の、しかも山の中は星明かりも無い漆黒、頼りは木村の手にあるペンライト
後を着いて歩きながら
「木村、お前にとって神崎は何だ?」
「何だよ改まって?見りゃ分かるだろ?」
「アイツは友達か?」
顔は見えないが低く真剣な声
「そうだぜ?」
「お前が危険な目にあっても助けたい友達か?」
何だか不思議な気分になる、実は山の中には自分一人で、闇に質問されてる様な気分になる……
「……婆さん、俺な?子供の時気が付いたら霊が見えててよ、家族と上手く行ってなかったんだ」
「………………そうなのかい」
「でもよ、初めてなんだぜ?霊感の事普通に言える同年代は」
「お前苦労してきたのかい?」
「あー…なんつーかな、一家団欒っての?w俺は後藤さんに教えて貰った気がするぜ?」
「ふぅん、分かった、それだけ聞けば十分だ」
「何の話だ?」
「気にする事は無い、それよりお前、もう呼び出せないのかい?」
「呼び出す?」
「そのシラヌシさんって狐だよ、お前の加護が消えてるからな」
「…………まさかアレって一回きりかよ!」
第34話 神崎 失踪