案外少なかったです
「1年の神崎君、至急事務局、会議室まで来て下さい」
?、森瀬ちゃんの声だ、講義中に呼び出し?しかも俺だけとは珍しいな、
急いで会議室へ行き入ると数人の中年男女、いきなり
「おぉ!神崎君!」
ビシッとしたスーツの男が立ち上がる
……え?誰?
「あ、あのこんにちは…?」
俺の表情で察したのか
「あぁ、制服着てないと分からないか」
笑うと
「ほら、クリスマスの時トンネルの…」
「あ!」
◯◯署のビシッとした制服警官だ!
そして
「その節はありがとうございます!」
「娘を助けて下さってありがとう!」
「貴方が!聞いてた通りです!」
JK2人の両親が来てくれた様だ、何で大学に?
ついでに貸したライダージャケットとフリースもわざわざクリーニングして返してくれたが……
コレ本人達に言われたかったw
「さて、実は言いにくい事なんだけどね?」
「?」
「本来は署に招いて感謝状を贈りたい、なんならマスコミも入れて大々的にやりたい所だったんだが、事件の詳細が漏れた場合…被害者達の将来の事もあるので…」
あぁ、飲酒の件がバレたりしたら進学とかに…
それでこっちに来たのか……
「俺SNSとかやりませんよ?やってても書き込んだりしませんし」
◯カッターになりたくないしな
両親達の顔が明るくなる
「やっぱりそうか!でないと我々警察に協力させるハズもない」
何度も頷き感心する警官
「なんなら感謝状も無くても……」
(うぉう!俺カッコ良いー!)
「いやいやいや!そういう訳にもいかない!感謝状だけでも受け取って貰わないと、だから後で署に来て貰えないだろうか」
「いえ、目立つの苦手なので……」
「いやいや、来て貰わないと私も立つ瀬が……」
終始感謝されっぱなしだった
…………………………………………
「俺達普段から協力してっから今更感謝状ってのもな」
「でも褒められるのも悪く無い」
「その女子二人と距離縮められたんじゃねぇの?w」
「親に連絡先聞くのか?何の罰ゲームだよw」
中庭で駄弁ると
「よっ!」
「「麻理恵さん」」
一応今の所体に異常は無いそうだ、気軽に言える事ではないだろうに…
本当は傷ついているから無理に明るく振る舞っているかもしれない
尾形さんの常連だったらしいが、今では毎日の様に行ってるらしい、一緒に連れて行かれる千尋さんが怒りそう
「麻理恵さん、ちょっと聞いて良いか?」
「何を?」
「なんかさ、言っちゃ悪いけどよ?麻理恵さんと千尋さんてキャラ違うだろ?」
「あぁ!それ?」
陽キャと陰キャがいつも一緒の理由が不思議ではあった
理由は入学直後、学校から借りたpcを利用規約に反して勝手にネットに接続、ウィルス塗れにしたまま返却しようとし注意されたそうだ
バカな陽キャの部分が強かった訳だ
その時pc内を綺麗にしてくれて不具合を直してくれたのが千尋さん、大きな借りを作った訳だ
「千尋さんてもしかしてPCのプロですか?」
部品に凄い詳しかったよな
「千尋は基盤のコンデンサ1個の配置理由単位から理解出来てるんだよ?」
「はぁ?!マジか?!」
「だってココに入る前から基盤の設計のやり方知ってたからね、効率化重視とか冷却重視とかで」
「何で部品に詳しいんだろ」
「高校の時引き籠もり気味で、家でゲームじゃなくPCそのもので遊んでたせいらしいよ?分解したり組み立てたり、あと色々なソフトの起動実験したり、その辺りの知識が独学で飛び抜けてんのよwモノによっては教授よりね?」
「そんな凄い人なのか…」
「代わりに旋盤とか鋳造、鍛造の金属加工とか溶接とかはまるでダメw電子部品のハンダ付けと設計は一流w」
なるほど、色々偏った人だわ、そういえば教科によっては留年ギリギリなんだよな
「……なぁ、麻理恵さん、あの時の事聞かないのかよ?」
下を向いた木村
「……アンタ達が何も言わないって事はさ、多分それが一番良いんでしょ?」
笑う
俺達を凄く信頼してくれてるんだ、なのに俺達はその気持ちを少し裏切ってる気がしてならない、犯人と動機が分ってるけど何も出来ないし……
沈黙してしまう
「……で?どっちが責任取ってくれるの?w」
ニヤリと笑う
「「えっ?」」
「真っ裸見といて責任取らないってのは無いんじゃない?w」
あぁ…コレ逆に気を遣わせてる、笑いに変えようとしてるんだ…
「麻理恵さん…」
「何か…すいません」
下を向くしかない
「また頼りにするかもしれないから、その時は宜しくね?」
「「はい!」」
実習棟に向かう背中を見送る
何か俺達、一生麻理恵さんに頭が上がらないかも知れない
「デカイ借り作ったかもな」
「あの人を悲しませる事はしたくないな」
………………………………
少し前、大晦日、とある会議室の隣の控え室
二人の男が密談する
「何ですか児島審議官?私は今夜から海外でね、こんな会議は早く片付けましょう」
背は高くないがガッシリした体型
眼力が強い
「須田局長、面白い話がありましてね?つい最近とあるトンネルの事件を後藤警部が再調査したそうです」
糸目の温和なモデル体型
「だから何ですか?」
「愚息が音声データを送ってきましてねぇ?聞いて頂きたいんです」
スマホから流れる大木家での会話、もちろんコピーで霊の話はカット
「……それで?これが何か?」
「おや、ご記憶にありませんか、貴方が管理官の時の事件ですよ?」
「何?」
もう一度聞くと
「……フン!よくある事じゃありませんか」
「そう、初動捜査の方向を間違う事は良くあります」
スマホを仕舞うと
「しかし捜査本部まで立てて、三十人体制で一月掛けた事件を、たった1人で、たった数日で、真実まで辿り着いた事実…」
糸目が開く
「この話が広がれば後藤警部の能力の高さ、それと同時に…」
間を置くと
「辞めさせた者への批判が出るかもしれませんね?」
「昇進試験も受けずに特例続きで来た男だぞ?定年で終わらせて何が悪い?」
「不自然な手柄が多いと監視の意味で本庁へ引き抜いたのは…須田局長、貴方ですよね?」
「……まぁそれはそうだが…」
苦々しい顔
出世がしたい人間は他の人も『出世がしたい』と当然考えてると思っている
だから出世を餌に後藤さんを利用しようと考えた
しかし後藤さんは出世に興味があるタイプではなく、コントロール出来なかった
更には派閥にも興味が無く、敵対派閥の児島に
『好きに捜査して下さい、貴方の現場の経験が何より貴重です』
と言われたらアッサリ鞍替え、その途端次々デカイ事件を解決
辞めさせたくもなる
「理由はどうあれココでの実績は大きいですよ?このまま手放すのは惜しくありませんか?」
ニコリと笑う
「児島審議官、御子息を預けたからと言って甘すぎやしませんか?」
「いえいえ、それとは関係ありません、後藤警部は今やノンキャリの憧れ、このまま定年させ、そのあと万が一音声が流出すれば……批判されてもおかしくないと申しているんですよ」
「…脅すつもりか?貴方がこんな手を使うとは」
睨む
「いえいえ、心配しているんですよ、批判になった場合真っ先に槍玉に上がるのは…切られるのは…誰でしょう?」
「……なるほど…………言いたい事は分かった……音声データは渡してもらえるんだな?」
「もちろんですよ」
2人で会議室に入ると
「お待たせして申し訳ありません、そろそろ決を取りましょうか」
…………………………………………
同日本庁
女性職員にチョッカイを出しながら軽薄そうな中年男が、とある小さな部屋に入り扉を閉めた
「失礼するよ、児島警部補」
ニヤけたスーツの男
「ノック無しは論外だ、落ちこぼれを笑いに来ましたか?」
報告資料から目を離さずに
「うっわぁ辛辣ぅ~」
後藤さんのノートPCを開くと
「バン!」
向かいに座った児島は叩いて閉じる
「あっぶね!なぁに怒ってんだよぉ〜?」
「勝手に見るな」
メガネを直すと
「首尾は?」
「はぁ…昔はガンプラ作ってやると、お兄ちゃんお兄ちゃんって言って着いてきた可愛い弟みta」
「どうだったんですか?近藤警視殿?」
「まったく、真面目だねぇ……」
姿勢を正すと
「先ずは……あの連中の頭は俺達の後輩に当たる奴らだったよ」
「やはりですか」
溜息、ホテルで配信をやってた連中
「大学内で金貸し、ネットではネズミ講紛いの事までやってたよ、大学名にブランドがあると信じる奴って今でもいるんだなぁ」
児島の飲みかけのコーヒーを手に取ろうとする
「なぜか数年に一度犯罪に走る者が出るんですよね、ネットの記事から学ばないと言うか、学べないと言うか」
その手を払う
「ま、この逮捕のきっかけ作ったのもこのチームだ、上に報告に行くんだろ?」
上を指差す、今会議が行われている
「いえ、それは父に任せてあります」
「おいおい、後藤警部の進退が決まるんだぜ?」
「父から頼まれまして」
PC画面を見せると
「この火事の調査に行かねばなりません」
「あ、これ家のオヤジ(警視総監)も気にしてたな」
「総監と父の投資仲間ですからね、まぁネットの中の関係ですが」
「しょうがない、俺が上行ってやるかぁ」
「その必要はありません、須田局長を落とせますし」
「何かネタ掴んだのかよ?」
「企業秘密です」
「教えろよぉ〜w」
児島の両頬を後ろから摘む、昔から家族ぐるみの付き合い
「子供じみた事は止めなさい…もう一つの方は?」
「真面目だねぇタクちゃんw隠しカメラも盗聴器もこの部屋には無い、んで」
突然真面目な声になると後藤さんのPCを爪で突く
「やっぱりコイツが監視されてたぜ?」
「予想通りですね」
「さすがだな、外部にアクセスした記録さえ無い、お前がそうさせたのか?」
開くと画面には日報のテンプレ
「その認識、違いますよ?」
メガネを直す
「?」
「後藤さんはPCで日報と報告書を書く事しか出来ないんですよ」
間
「!、アッハハハハ!!そりゃ最高のセキュリティだぁ!」
「『足で稼ぐ』を地で行く昭和の警察官ですからね」
「……はぁ……しかしお前が一兵卒になるとはなぁ……」
笑い過ぎて涙目
「やってみると楽しいモノです」
「お前は指揮官向きなんだぞ?俺と違ってな」
PCを閉じると
「躓いた者がまだ警察官で居られるだけでもありがたいですよ?」
立ち上がる
「私は行きます、警視殿も戻られては?」
「見ての通り非番だよ、俺の職場平和でなぁ、つまんねぇ」
「公安が平和って結構じゃないですか」
…………………………………………
再び2月
「そりゃ部屋綺麗にすれば運気なんて上がるモンだよ」
「神崎君の言ってた事って正しいんですね」
珍しく千尋1人で占い
「掃除でストレス解消出来るヤツは運気が簡単に上がるんだよ、余計な事を考えなくなるからな」
「私は掃除でストレスが……」
「寺や神社はいつも掃除してるだろ?あれで『自分の心を清めてる』ってのは案外眉唾じゃなくてな」
今度は千尋の手相を見る
「気になるモノを減らしてるから集中力も上がるし、他の事にも気を使える、要は気が散らない訳だ、だからアンタは身形に気を使える様になって来たんだろ?」
「そう…ですね……あれ?神崎君と木村君って身形に気を使ってませんよ?」
首を傾げるオカルトマ◯ア
「男は自分の趣味や遊びに走るからな、アイツラはアニメとゲームだw」
「少しは……あれ?木村君は一度チャラくなった様な……」
「アイツは顔が良いからな……うん、アンタは就職出来るよ?」
「良かった、卒業は出来るんですね?」
「後は男に気を付けな?アンタは男見る目が全然育ってないからな?」
「…………自覚してます」
「なら良し、真っ当な男捕まえなw」
…………………………………………
「なぁ木村」
「?」
「モテる方法ってあるか?」
「何だよ突然」
レトロな格闘ゲームで対戦
「先ず思い付くのは見た目だな」
「あぁ、児島さんにも散々言われてるし……」
半分猫の女が転がる
「それと不潔に見られないこと位だな」
サキュバスがカウンター
「でもさ、それは前提として顔があっての事だろ?」
飛び掛かる
「いやどうなんだ?他に気を付ける事なぁ……」
難なく対空迎撃
「何て言うか…越えられない壁があると思うんだ」
EXで攻撃
「まぁどんな世界にもあるらしいからな」
難なくガード、コンボを叩き込む
コントローラーを投げ出す
「なんだよこのキャラ差!!」
「じゃあこっち使うか?」
「そう言う事じゃない!」
持って生まれた格差の壁、どうすりゃ良いんだ?
………………………………………………
「おいじゃ!」
「ん~?一志は見えてんのかい?」
とある家の座敷、2歳の一志と千鶴子
「おー、おいじゃ!」
死に装束の中年男性を指差す、霊は真っ直ぐ壁に向かい隣の部屋へ
「バイバイ!」
手を振る
「オジちゃんって言いたいのかい?w」
この子ハッキリ見えてるね、姿形まで、もしかしたらアタシより才能あるかもね
「一志、こっちおいで」
抱っこすると
「コケコッコーって言ってみな?」
「コッコッコ!」
「ニワトリさんだよ?ほら、コケコッコー」
「コッコッコ!」
まだ無理
「良いかい?一番鶏の声は魔除けになるんだ、朝の意味、つまり光の意味があるからね?」
「?」
2歳に分かる話ではない
「今は分からなくて良い、いつか一志を助けるかも知れないからね?」
「母さん!何教えてんだ!」
「ふ…ふぇ……うぅあああ!」
「大声出すんじゃないよ!」
「変な事教えるからだろ!」
これで全部終わります
ありがとうございました