ブルーアーカイブ―連邦の活動記録―   作:一般連邦職員

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巨災対みたいな連邦捜査部を見たいから書いてます。


丸の内暴動

【速報】都心丸の内区で強盗未遂 連邦準備銀行など複数が被害

  中央日報 18:00 配信  236件

 

 本日午前11時ごろ、丸の内区の銀行で大規模な銀行強盗未遂事件が発生した。強盗団は重火器で武装し、貸金庫を襲うなどしたが、銀行から非常通報を受け駆けつけた警察が強盗未遂容疑で現行犯逮捕した。いずれも被害は軽微であり、店内の行員や客にケガはなかった。

 

 被害に遭ったのはカイザー銀行とシティ・バンク・オブ・D.U、連邦準備銀行。いずれもベイカーストリートに面したキヴォトス経済の中心地であり、一時周囲は騒然とした。

 また、今回の事件を受け、ヴァルキューレ警察学校は一時ベイカーストリートを含む第4業務中心地区の緊急ロックダウンを実施。現地に所在する会社の職員など約2000人がエリア内で待機した。

 

 ヴァルキューレ警察学校によると、犯行グループは閉鎖した学園の元生徒の集団とみられ、調べに対し「学校が廃校になり路頭に迷い犯行に及んだ。生きるために必死だった」と容疑を認めている。

 

 今回の事件の影響を受け、キヴォトス平均株価は一時21,021.15円まで下落。降下率-6.34%を記録するなど影響が広がっている。

 市場では大規模な自治区の崩壊や金融不安による利益確定の売りが加速し、不安が広がっている。今回の事件はさらに降下トレンドを加速させる動きにつながると見られている。

 

 市場関係者は「最新の経済見通しでは、地政学的な亀裂の深まりが貿易や投資に悪影響を及ぼすおそれがあるとの指摘があった。先月末から続く急速な治安の悪化と連邦生徒会の不祥事が相次いでおり、経済の先行きの不透明感から売り注文が優勢となった」と話している。

 

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hgd*****

連邦生徒会のへまで学校が潰れるのホンマにクソ。マジでお偉い役人は現場のことが見えてないのか?

 ↪mra*****

 交通システムもダウン、勘定系システムも障害、学園ネットワークも落ちて廃校決議で役満

 ↪otr*****

 連邦生徒会長何とかしてくれよ、あんただけが頼りなんだ。

ery*****

D.U.の中心なのにヘルメット団が我が物顔で練り歩いてきてるんだけど……何が始まるんです?

 ↪pra*****

 連邦生徒会長「第三次大戦DA☆」

 ↪tyr*****

 あながち間違いでもない雰囲気なのがね

cvb*****

うちの学校ないなったんやけど。あしたからどうすればいい?

 ↪rut*****

 今ならトリニティに逃げる一択。お嬢様に入り込んでコネ作って転校狙えばワンちゃんあり

 ↪wej*****

 ミレニアムは身分証無いとキツイぞ。住めないどころか飲み物すらも買えんからな。

 ↪aaq*****

 ブラマで身分証買ってもいいが足着くと矯正局だからな。複数乗り換え前提で持つのがいいゾ

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D.U.連邦生徒会中央合同庁舎で爆破テロ、ゲヘナ学園の生徒3名現行犯逮捕 行政官19名と一般生徒53名が怪我・ヴァルキューレ警察学校

クロノススクール報道部 16:45 配信  94件

 

 5日夕方ごろ、連邦生徒会中央合同庁舎4号館前で複数の生徒が火炎瓶のようなものを投げたあと、連邦生徒会本部前の柵に車で突入した。その場で逮捕された生徒の車の中からは、多数の手りゅう弾や火炎瓶、銃弾が見つかったということで、警察が詳しいいきさつを調べている。

 

 【写真ニュース】事件があった合同庁舎4号館前

 

 5日午後4時50分ごろ、D.U.シラトリ区の中央合同庁舎4号館前でゲヘナ学園生徒が火炎瓶を8本ほど投げ込み、複数の生徒が負傷した。投げ込まれた火炎瓶は燃え広がり、建物の一部を焼いたほか、警備に当たっていたヴァルキューレ警察学校の車両が全焼した。

 

 その後、犯行生徒は軽自動車で連邦生徒会本部の方向に逃走。軽自動車は約700メートル先の連邦生徒会本部前で境界防護柵に突入した後、周囲の生徒や行政官に対し火炎瓶や手りゅう弾を投げたが、駆け付けた警察に取り押さえられた。ヴァルキューレ首都圏警察局は生徒3名を爆発物取締規則違反で現行犯逮捕した。

 

 この事件により行政官19名、その場に居合わせた一般生徒53名が怪我をするなどの被害を受けた。また、合同庁舎のネットワーク設備が火災による損傷を受けたため、一時連邦生徒会ホームページへのアクセスがしずらくなった他、住民基本ネットワークが使えなくなっていた。現在は復旧している。

 

 ヴァルキューレ警察学校によると、逮捕されたのはゲヘナ学園の生徒3名で、調べに対し、連邦生徒会の対応に不満があったためとしている。警察は詳しいいきさつを調べている。

 

 容疑者の運転していた車の中には多数の手りゅう弾、重機関銃とその弾薬数千発、火炎瓶が数十本見つかった。車には防弾プレートなどが取り付けられており、車両を使ったテロを計画していたとみられる。

 

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ksh*****

テロリスト養成校ってのも間違いではない気がしてきた

 ↪ytr***** 

 何をいまさら!半世紀ほど言うのが遅いぞ!(某少佐並感)

 ↪mzc*****

 美食研究会とか温泉開発部が余りにも存在感でかすぎるんだよ

 ↪gac*****

 やはり暴力……暴力が全てを解決する!

 ↪返信をもっと見る(2件)

iun*****

あらゆる爆弾テロにゲヘナが絡んでるのいっそ清々しい。なんで潰れないんだあそこ

 ↪fgd*****

 そりゃ穏便に暴力で済ませてるからだろ。どっかのトリカスとは違って平和主義なの!

 ↪etr*****

 ヘイワシュギ???(宇宙猫)

 ↪Lba*****

 完全派閥社会トリニティも暴力の支配する世紀末世界ゲヘナもどっちもどっちなんだよなぁ

kwq****

ゲヘナ生にしてはまともな理由でテロしてんな

 ↪zdf*****

 うちらに政治がおかしいと思える知性があったとは……

 ↪uyj*****

 逆に普段どんな気持ちでテロ起こしてんだよ

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―――15時55分 連邦生徒会中央行政ビル 本部前三号交差点

 

「尾刃局長、報告します」

 

 ヴァルキューレ機動捜査隊の隊員が敬礼をするのをみて、カンナも同様に答礼して先を促した。

 

「現在内部の検索は全て終了、不審物は確認できませんでした。建物内も同様に確認を進めていましたが、正常性を確認できたとのことです」

「……そうか、了解した」

 

 カンナは少しばかり頭を上げる。相変わらず周囲は騒然としていた。銀行強盗にしては異例の規模での封鎖を行っている現状は、いつもとは異なる上に市民の不安も大きいだろう。さらに今回の事件では、ヴァルキューレ警備局の機動隊の車両はもちろん、強行犯係の刑事や首都圏治安維持警察機構の機動隊まで投入される力の入り様だ。

 だが同時にその統率も取れているとは言い難い。複数の警察機関が入り乱れる現状は指揮官が決まっていないという点で非常に()()()()()

 

「撤収……といいたいところだが、まだ他と連携が取れない。一応第二だけ残して残りは撤収――」

「おい、そこの婦警! 本当に大丈夫なんだな? ここまで封鎖したんだ、何もないといいながら何かあってはいけないのだぞ!」

 

 そう声を荒げるロボット(サイボーグ)の男は首都警の特機隊隊長。首都警、ヴァルキューレ、行政管理局警察に交通警察と所管も管轄も違う以上、こういった衝突やいざこざはあらゆると事で起きていて、そのたびにカンナがそれを抑えに行っている。

 それにやはりというか、警察関係のロボットは相当威圧的な顔をしている。警察という業務の性質上致し方ないのかもしれないが、報告に来た生徒が怯えているのはいただけない。

 

「獅戸警部、そう責めないで上げてください。ヴァルキューレの捜査員が検索し、危険はないといっているのですから」

 

 そう窘め、報告に来た生徒に視線で離れるように促すと脱兎のごとくその場を立ち去る。相当怖かったらしい。

 それを窘めるために獅戸隊長を少し睨めばどこか気まずげに目線をそらす。

 

「し、しかしなぁ尾刃公安局長……ロックダウンまでして何もありませんでしたじゃ、我々のメンツというものがあるんだよ。何にもないのは一番だが、市民はそれに納得するかどうか……」

「お気持ちはお察ししますが、我々の仕事は市民の安全を守ること。何も出なかったことはそれでよいことです。それに、今回の判断も我々ヴァルキューレが指揮を執り、判断を行ったということにしてしまえば首都警の風当たりも多少は和らぐでしょう」

「まぁ、そうなんだがなぁ。うちも警備を強く主張した以上はいそうでしたと簡単には言えん」

 

 だが、実際に話してみれば意外と話は通じる。少々見た目で損をしている気がしないでもないが、それは自身も同じ。”公安局の狂犬”などとあだ名される自身と重ね合わせて、少しばかり獅戸への親近感を感じた。

 

「私の方から首都警には説明を行いましょう。多少《つて》はありますから」

「んー……まぁ、尾刃局長がそこまで言うのなら、わかった。警備部長は何とか説得しよう」

「ありがとうございます、獅戸隊長」

 

 中間管理職、上にも気を使い、部下となる隊員の疲労や業務の調整も考えなければならない。その点でいえば、獅戸も尾刃も似た者同士であった。

 無線で状況を報告すれば、最終的には規制解除と連絡が入るのにはそう時間はかからなかった。

 

「はぁ……」

 

 横を見ればやれやれと首を振る獅戸警部の姿があった。

 

「警部、お疲れ様でした」

「あぁ、いいや、此方こそ。話がスムーズに進んだおかげで助かるよ。苦労を掛けるね」

「いえ……お互い苦労しますね」

「まぁ、上と下に挟まれるとな。どうしても現場を知らん上の人間は無茶を言い出す。政治はわからんが、それでも我々はやらねばならん事、守らにゃいかんものがあるんだが……まぁ、尾刃局長は重々承知か。すまんな、こんな愚痴を」

「いえ。我々のすべきことは市民の安全を守ることです。おっしゃりたいことはわかりますよ」

 

 そう話しかければ、サイボーグの面がどこか疲れたおじさんのようにも見えた。

 公安職はどうしてもプライベートよりも職務を優先せざるを得ない。それ故に、責任感がないとこの仕事は務まらない。

 

『至急、至急、本部より各局、本部より各局。中央区管内連邦生徒会本部前においてG事案発生した。本件につき丸の内1丁目15番中心の5キロ圏配備を発令する、全警戒員は定められた警備を実施されたい!』

 

 急に飛び込んできた無線は新たな事件の発生を知らせるものだった。

 カンナと獅戸は同時に溜息をついた。新たな仕事だ。カンナはパトロールカーの無線機を取る。

 

「《中央112了解、警戒配備を実施する》 聞いたな諸君、機動捜査隊は私と共に現地に移動、現地のロックダウンは解除。鑑識と現場検証以外は直ちに移動!」

「全く儘ならんものだな。特機隊集合! 装備点検の後緊急配備だ! ぐずぐずするな」

 

 二人の警察官は再び各々の持ち場に戻る。数々のトラブルを鎮圧に回る職員の姿は、何処の記録にも残らない。そしてキヴォトスの街はまだ眠らない。

 

 

 

 

 

―――19時35分 クロノススクール D.U.総局4F 政治部編集フロア

 

 

「へんしゅうちょおおおぉぉぉ!」

 

 フロアを生徒が一人駆けていく。ゆるふわな見た目と軽くウェーブのかかった栗色の髪の毛が愛くるしい印象を醸し出しているが、だがその目の奥には燃えるような熱があった。

 彼女はところどころ書類の山を崩しながら、気にすることなく突き進む。やがてその眼鏡の生徒は原稿を抱えながら机に突っ込んだ。その勢いであらゆるものが床に散乱した。

 

「バッ! 山田お前少しは周り見ろ! またぐちゃぐちゃになっちまったじゃないか!」

「そそそそんなことより、これですこれこれ!」

「あぁ、やかましいとっととこいつを引っ張り出せ!」

「へんしゅうちょおおおお!」

 

 いつの間にか周りには騒ぎを聞きつけた連中が集まりだしていた。

 問題児山田の奇行は今に始まったことではない。編集長は押さえつけられる山田の姿をどこか憐みをもって見ていた。

 その中心で山田は興奮した面持ちでポータブルプレイヤーを振り回す。

 

「聞いてくださいって、これ! マジ、先っちょだけでも!」

「やかあしい、こいつ放り出せ!」

「うわぁぁん待って待って待ってきいてきいてきいて!!」

 

 そうしてがやがやした音が流れ出す。やかましいなこいつは。

 

『連邦生徒会長が失踪? ほんとかそれ?』

『あぁ、この前統括室の行政官が言い争ってるとこ聞いたんだ、間違いないよ。青山先輩マジ切れしててちょっと怖かったし』

『えぇ……もしかしてさ、共通システム停止ってそういうこと?』

『銀行勘定システムもセントラルコンピューターもだ。あんなブラックボックスとっとと廃止しちまえばよかったんだよ』

『こーりゃ参ったね。じゃあ行政権戻るまで何も出来ないじゃん。サンクトゥムタワー使えない連邦生徒会とか一番役に立たないって言われてんのに』

『まぁどうすんだかね。行政官はなんか秘策があるって言ってたけど』

『……今のうちにずらかる?』

『もう遅いって。こんなの隠せないしその内ばれて大炎上。キヴォトスは終わりだよ』

 

「おい、これは何だ」

 

 連れ去られそうになっている山田の手を掴む。

 

「連邦生徒会長の失踪だって?」

「連邦生徒会の食堂で話しているのを聞いてきたんです! ほら、あそこ安いですし」

「だからってわざわざ行くかあんなとこ。それに盗み聞きは関心せんぞ山田」

「ちゃんと裏は取れましたよ? というかこの噂してた子たちに《インタビュー》してきたんですけど」

 

 しっかり録音もありますよーという彼女に溜息をつく。勘はいいのだが、どの道脅迫や脅しで記事をかけばこちらが危ない。事実だとしても連邦生徒会長の失踪を記事にするには情報が足りない。

 

「あ、まってまって、今回はもっと重要な証拠を集めてきたんですよ!! 正直連邦生徒会長の失踪とか霞むレベルの!」

「おい山田、待てって力強ッ!」

 

 同僚の拘束を振り解いて机に駆けよる少女は、カバンからまたいくつもの資料の束やタブレットを取り出す。

 そう言ってきれいさっぱりすべて撤去された机に置かれるのはここ数日の運送業者の動きを纏めた資料の数々。

 

「こちらを見てください、ご存じのとおり予備施設の写真なんですけど!」

 

 タブレットを見せながら、山田は滔々と語り始めた。

 

「あの話を聞いた後、ここ2、3日張っていたんですけど、やはりいつもより出入りが激しいんですよ。定期的な出入りじゃなくて、どうも現在進行形で予備施設に物資を集積し始めているんです。それもかなり大規模に。完全に推測になるのですが、連邦生徒会は既に非常事態体制に移行していると考えられます!」

「……ほう?」

「さらにこれ、連邦の緊急対応マニュアルですが!」

 

 いくつかばらばらと置かれている資料の山から一つの束を取り出す。

 

「緊急時には、指定された執行部員の行政官と各部署の代表者がD().()U().()()()()()()()()()()()()()()()。当然緊急時ではない今は必要のない話! だというのに今回は扇喜アオイ財務室長が()()()()()()()という名目でミレニアムに移動を開始しています。それと統括室、防衛室と交通室から課長級行政官が地方支局への出張で、鉄道局の管理官が視察の名目で、いくつもの部署から同時に出張して、それは最終的に一か所へ集められてます」

 

 タブレットには、その移動の写真と、複数の災害支援車両が移動する姿があった。その中には指揮車や情報収集車両が含まれていた。

 

「不思議なんですよね。学園なんか沢山ある中、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()んですよ。それにただの視察に、衛星通信車や電源車はいらないですよね?」

 

 恐らく災害支援車両がミレニアムに移動したのも、車両メンテナンスや改造という名目だろう。財務室長は激務だ。そもそも出張に行く必要がないのに無理やり出張に出てること自体が不自然。言われてみればそうだし、これだけ集まるのにも違和感がある。だが、集まるメンツと、推測を組み合わせて考えれば一つだけ答えが出来る。

 

「……D.U.が壊滅しても、最低限連邦の機能が継承できるようにわざと集められた」

「恐らく。指定生存者は何があっても生き残るように指示されてますし。統括室主席行政官に次いで政治的な力を持つ人物は、財務室長です」

 

 編集室は騒然としていた。山田が持ってきた情報もそうだが、ここは社会部記者の集まる場所だ。それぞれが担当を持つが、概ね政治や行政に知識を持つものたちが集まっている。故に、その情報の重大さを誰もが正しく認識した。

 

「記事にしたら荒れるぞ」「自粛するか?」「なんで連邦生徒会は何にもいわないんだ?」「ここまで来たらとことん報道して追及するべきでは?」「キヴォトス中が混乱するぞ!」

 

 状況証拠のみの推測ではあるが、事実なら特ダネも特ダネだ。おそらく連邦生徒会の内部でも一部にしか知らされていない情報。こうしてこそこそと隠ぺいしながら動いている時点で情報統制が敷かれているのも確実。報道すればかなりの大スクープになるのは間違いないだろう。

 熱気が編集部の中を満たしていく。そこに山田はさらに、ジャケットの内ポケットから数枚の写真を取り出した。

 

「ですが! 今までの情報は正直これの前座に過ぎません。一番見ていただきたいのがこれです」 

「次から次になんだ。えーっと、”連邦捜査部?”」

「これは私の”勘”ですが、連邦生徒会の本命はこれでしょうね」

 

 そこには、とあるビルに連邦捜査部と書かれた何かのコンテナが搬入されている写真だった。

 

「先ほど、連邦が非常体制に移行しているという話をしましたが、隠そうとしている割にはどうみても()()()()()()()()()()()。外部の人間でも容易に察知できる規模での行動は、連邦生徒会長の失踪を隠し、混乱を秘密裏に抑えようと動いている今の連邦生徒会の動きと逆行すると言わざるを得ない。それにこの程度の動きなら他社も既に感づいてます」

「……お前の言いたいことは、敢えて感づかれる騒ぎを起こして”連邦捜査部”を隠しているんじゃないかということか」

「えぇ。おそらくこの動きは連邦捜査部の設立を隠すための()()()でしょう。少なくとも連邦捜査部という組織は、知る限り設立された事実もなければ存在したこともない。ですが連邦生徒会長が失踪し、権力の空白が生じようとしている事態にこうして新しい部署が秘密裏に設立されようとしている。対応としては下策にも思うんですが、それを敢えて打つということは、今後ここで何かあるということでしょう」

「……連邦生徒会が、連邦生徒会長の失踪すらブラフにして、何か企んでいる。だがいったい何を?」

「さぁ? そこまでは全く見当もつきません」

 

 連邦捜査部、今まで存在しなかった組織であり、そして必死に隠しながら何かの準備をしている。だがその”何か”がわからない。

 

 生徒会長の失踪もはっきり決まったわけではない。姿を見せないのは確かだが、まだそれを決定できる証拠がない。

 だが動きを辿れば何かがわかる。事実を積み重ねた跡は必ず何かしらが残るものだ。その足跡を丁寧に辿るのが、記者というもの。

 

「それと、先日SRTの廃校が決定され、今年度の連邦予算にはある程度の余裕が出来た。その資金の流れを辿ると、連邦生徒会予算の予備費へと組み込まれている。廃校騒動の影に隠れていますが、同時に承認された補正予算の中で、予備費は複雑な動きをしてとある特別会計へと流れています」

 

 予備費は本来、突発的に必要な予算をすぐに使えるように、予算委員会や役員会の決定を待たず使える資金だ。

 莫大な資産と予算が組まれていたSRTが廃校になったことで、その維持費が急に浮いたお金として一般会計へ計上されている。それが丸ごと連邦の予備費として計上されたという記録が残っている。

 だが、その予備費はいくつかの部署や事業へと名前を変え形を変え動いていく。山田が一つ一つ丁寧に資料を辿り、ついには一つの項目に指をさす。

 

「連邦生徒会特別対策チーム予算?」

「これが連邦捜査部の連邦内部での名称だと思います。SRTのお金が、複数の部署を通して一つの部署へと流れる。妙だと思いませんか?」

 

 数字に強い記者が資料と電卓で検証を始める。他にも他会計や地方の団体を経由させたりして複雑な経路をたどっているのを、その分野に詳しい記者が見つけたり情報を補完する。

 今、編集長の机の上で様々なピースが揃いつつあった。

 

「今、D.U.のほぼすべての連邦の出先機関で同様な動きがみられるのですが、この連邦捜査部の入るビルだけは物資の搬入量が多い。馬鹿みたいに予算をつぎ込み、どさくさに紛れて一生懸命に隠している現状―――特ダネの予感がびんびんしちゃいますね!」

「それは確かなんだな?」

 

 鋭く山田を見つめる。それは長年の記者の勘として、特ダネを掴んだ確かな感覚を感じ取っていたからだ。

 

「連邦生徒会が大量のPCや武器を手配したことも、食料や物資を緊急で取り寄せてるのも業者に確認して裏が取れています。既にうちのリオンが連邦捜査部のビル正面の部屋を取って張ってます」

「……よしわかった。皆聞いたな。今からこのスクープの裏取りと情報収集に全力をかける。他の奴らに感ずかれるな。山田、お前に今回の件でチーフを任せる。やれるな?」

「ハイ!」

「とにかく少しでも情報が欲しい、この際予算は気にするな! 使えるものはなんでも使え!!」

「「「「「はい!!」」」」」

 

「面白くなってきたぞ!」「張り番の記者にも伝えろ!今すぐだ!」「食料買い出し行ってきます!」「サンクトゥムタワーの正面と裏のホテル取りました!」「カメラと充電器、それにバッテリーも用意しておいて!!」「車借りまーす!」

 

「山田」

「ハイ、編集長」

「お前の勘でいい。いつ頃来ると思うか?」

 

 編集長から掛けられたのは、具体的な内容を欠いた問いかけ。だが山田は正確にその意図を理解していた。

 この連邦捜査部の急な設立と、明らかに行われる非常事態への備え。連邦生徒会が来るべき何かに備えようとしている事実と、その何かが起きるXデー。それがいつ頃なのかを語外に問われているのだ。

 山田は少しの間だけ、目を閉じる。そして再び開いて答えた。

 

「おそらく10日後」

 

 

 




TBC
Trinity Broadcasting Corporation(トリニティ・ブロードキャスティング・コーポレーション)
トリニティ放送協会。トリニティ総合学園の公共放送。キヴォトスで一番古い歴史を誇る放送局。モデルはBBC(英国放送協会)
トップ・ギア並みの紅茶キメまくった英国紳士みたいなことばかり報道してるからか一部を除き敵が非常に多い。だからトリカスって言われんだ(ry

G事案
ゲリラ・テロ発生の隠語。

連邦準備銀行
元ネタは連邦準備制度。

ナショナル・レール
直訳は国有鉄道。たぶんハイランダー以外にも鉄道を運営する主体はいくつかあるのでは? というところで考えた。元ネタは国鉄。

首都圏治安維持警察機構
警察組織もたぶんアメリカ並みに大量に生えてるのだろうということで生やしました。ちなみにキヴォトスには赤ずきんもセクトも居ません。テロリストはゲヘナで十分です。特機隊は居てほしい。
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