仮面ライダーオーズ10thIF 大罪と欲望の輪唱   作:大島海峡

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12.アンクとかつてと今のグリード

 時は、この決戦前に遡る。

「必ずゴーダは、俺たちのメダルを奪いにやって来る。策も無いままそれと戦えば、一方的に狩られるのがオチだ」

 ウヴァを救出してきたアンクは、アジトにてそう切り出した。

「だからその時に俺が奴と映司……本来のオーズを分離させる。お前らはそれまで奴の注意を惹き、時間稼ぎをしろ」

 そう言った彼の右手には、王のベルトのバックルが握られている。それが、説明するよりも早い手段だった。

 

 一応、それまで黙してアンクの言葉に耳を貸していた残るグリード達であったが、

「なるほどね。悪くない提案だとは思うけど」

 少年の姿で脚を投げ出し、指でこめかみを支えるようにしているカザリが返した。

「ただ……かつて似たような状況で君が何をしたのか、忘れた訳じゃ無いよね?」

 そう、声を低めて冷ややかに。

 

 そう、確かに前例がある。

 一同結託して八百年前のオーズ、王への謀反を企てた。

 だがその裏で、アンクは実は王と内通しており、他の四名を裏切り、彼ら無力化。封印のきっかけを作った。

 

「そうだ! 今更お前のことなど信用できるかッ」

 ……助けてやった恩などすぐに忘れて、ウヴァが声をあげる。

 その屈辱、その怒りと不信は、なおそのコアメダルに刻まれていた。剣呑な空気が、彼らの間を流れた。

 

「別に、あえて信用してもらう必要なんて無い。そして選択の余地なんざあるはずもないが」

 そう前置きをした上で、アンクは瞑目する。

 二つの影が、瞼の裏に浮かぶ。まるで天秤に掛けるように。

 陰のある笑みを浮かべた男が。そして盲目の少女が。

 

「俺は、もうあの頃の俺じゃない……良くも悪くも、な」

 そしてゆっくりと刮目し、己に言い聞かせるように呟いた。

「お前らはどうなんだ?」

 と見回し、問いを投げかけた。

 

「完全体になっておきながら、あるいはそれ以上の力を手にしながら、それでも満たされなかった。だったら変わるしかない、探すしかない。メダル以外の、俺たちを満たす何かを。そして十年前、お前らが体験したものは、本当にただのメダルの勘定だけだったのか」

「何を……」

 声を詰まらせたウヴァの横で、ガメルが

「メズール……」

 どうすれば良いか、問うような目線を向ける。

 その彼の図体を制し、メズールは進み出た。

 

「前にも似たようなことを言っていたわね。『私たちにはメダルしかないのか』って。貴方は、あの坊やを通じてその答えを得たとでも言うの?」

 そう細い声で問い掛ける彼女に、しばしの黙考の間を置いた後、

「さぁなぁ」

 ぞんざいに言い放ち、首を反らすようにして不敵に笑う。

 

「それを知るためにも、まだ世界には必要なんだよ。あの『使えるバカ』はな」

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