仮面ライダーオーズ10thIF 大罪と欲望の輪唱 作:大島海峡
周囲に何もない悪路を、一台のトラクターが進んでいく。
廃車同然のものをどこからかくすねてきたものらしく、頻繁に動作不良を起こし、大きめの石をタイヤが噛むたびに、大きく揺れて荷台に詰めている三人の身体が軽く浮く。
「頭打った!」
そう声をあげたのは、その内でも一際がっしりした大男……すなわちガメルだった。
そうなったのは人間体でもなお有り余る図体にも原因があり、そして実のところ痛みなど全く無いのだが、それでも同席するメズールの気を惹きたくて、彼はそう言ったのだった。
「大丈夫、ガメル? ……ちょっとウヴァ、もう少し丁寧に走って頂戴」
その意を汲んでかガメルを甘やかす少女姿のメズールは、運転席のウヴァをそう咎めた。
「やかましいっ! ……なんで俺がこんなことを」
ハンドルを掴む手には不自然なまでに力が込められ、肩をいからせ、眉間は限りなく険しく寄っている。
元よりマトモに補装された道ではないにせよ、明らかに運転に不慣れな所作である。かつては人間を操って自らを運ばせたこともあるが、自分の手で操縦するのとは勝手が違うのだ。
「鬱陶しい!」
フロントガラスの辺りにぶら下がる、何処かで見覚えのあるような不気味な人形のストラップが、車体が揺すぶられるたび左右する。それをいちいち手で払いのけながら、ウヴァは毒づいた。
その背のシートは、緑。
他の三者も、アジトから持ち去った、それぞれのパーソナルカラーの布地を敷いている。数十センチ四方のそのスペースが、今の彼らの陣地であった。
「それで結局、アンクとオーズの坊やは元鞘に……私たちは上手く担がれた、ってところかしら?」
まだ運転席でブツブツとぼやいているウヴァは半ば無視を決め込んで、メズールは向かいで、青年の姿で寝転ぶカザリにそう問うた。
「でもないさ。こっちもそれなりに得るものはあった」
車外に両脚を投げ出し、腕を枕にしつつ、カザリは不敵に返した。
「得るもの? 私たちの本当のコアメダルの一部も、あの棺の中に封印されたかもしれないのに?」
「復活して、王の支配から脱出して、ゴーダも倒せた。それに、粗製乱造されたものでも、人間たちはコアメダルを作る術をふたたび得つつある。それを利用しない手は無い。あとは、正直眉唾物ではあるけど、アンクの言うところの、『メダル以外で僕らを満たす方法』を模索するのも悪くない」
怪訝そうなメズールに対し、カザリは左手で銀縁のタカメダルを弄びつつ答えた。
「……なに、焦る必要はないさ。時間はたっぷりある。今度こそ、上手く立ち回ってみせようじゃないか……しばらくは、オーズたちの目と手の届かない場所で、ね」
そう嘯く彼に、同類は目を眇めて見せた。
「? どうかした?」
「いえ……ただ、ずいぶん人間みたいな表情をするじゃない。満足してるように見えるけど?」
揶揄を交えてそう指摘されて、はじめてカザリは、自分の口角が意図せず吊り上がっていることに気が付いた。
「満足……するわけないでしょ。グリードが」
つれなく返して、カザリはあらためて空へと目を向けて細めた。
――不思議と雲はゆったりと流れ、そして空は青く、心なしか澄んでいるように思えたのだった。
というわけで、だいぶ間延びしましたが、ようやくリクエスト消化できました。
製作にあたり、依頼者様よりお出しされた条件は以下の通り
・映司、アンクの生存及び、アンクは泉刑事無しでも自律可能という事。又、泉刑事はアンクが抜けても無事であるという事
→ヨシ!
・オーズのテレビ本編に出てきた主要コンボの登場
→(活躍してないし使ったの敵だけど)ヨシ!
・バースXの活躍シーン(バースXが敵のグリードを一体撃破する)
→ヨシ!
・古代オーズと仮面ライダーゴーダ、恐竜以外のグリード完全態の総登場
→(古代とゴーダ瞬殺だけど)ヨシ!
よし、条件は全クリしたな!(頭現場猫)
まぁ多少解釈違いがあってもバレへんやろ、行間縫って遊んだろ、の精神でやらせていただきました! おかげで楽しくやらせてもらいました!
まぁそれでも、単なる逆張りしてもただ私の性格と頭の悪さが露呈するだけなので、原作を反面教師……げふん、もといあえて大胆なアレンジをしてエンタメとして成立させようという腐心だけはいたしました。
大筋においては、多分に拙い技量ながら、「私の見たかったオーズ10th」を再現することができたと思います。
とはいえ、自分の本来の領分ではまずやらなかったと思いますので、このような場を与えてくださいましたBURNING様、ありがとうございました(というかごめんなさい)
そして最後までお付き合いいただきました読者様、ありがとうございました!
それではまた、何処かでお会いできれば幸いです。