イナズマイレブン 〜伝説への挑戦〜   作:花咲蒼雪

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ちなみにまだほとんど決まってません。


覚悟

円堂守の物語(原作)は何事もなく終わり、続く栗松や壁山、その次の虎丸の世代も先月中学を卒業し、ついに中学サッカー界から第1回FFI優勝メンバーがいなくなった。

そして迎えた4月。

 

始まりを告げる満開の桜とともに、新たな出会いを迎える。

 

それはここ、神奈川県に居を構える清翔(せいしょう)清学園も例外ではない。

 

私立清翔学園。

進学よりも部活動に力を注いでおり、多くの部活動が好成績を残していることで有名なスポーツ名門校。ただし、この学校にはどういうわけかサッカー部がなかった。

 

だからこそ彼、天翔蒼斗はここを選んだ。b》ゼロからサッカー部を作り上げてFFで優勝し、伝説(円堂守)に挑戦する《/b》ために。

 

 

とはいえここから先が難所といってもいい。

残るは部員集めとフットボールフロンティアで優勝。フットボールフロンティア優勝はどこの中学に入ろうが難しいが、最大の難所は部員集めである。

 

円堂守が雷門中サッカー部を作った時は、染岡と半田の3人のみ。その次の年で壁山、栗松、宍戸、少林寺が入ってまだ7人。伝説の物語が幕を開けたときは部員が揃っていなかったのだ。

 

いくらイナズマジャパン効果で競技人口が増えてきたからといってその多くはサッカー部のある中学に行く。むしろ彼のようにサッカー部のない学校で1から作る方が異例だ。

 

だからといって何もしないわけではない。

 

一年目からサッカー部として上手くいくことは確率的に低いが、女子選手もフットボールフロンティアに出場できるようになった今ならば、初心者も加えれば不可能ではない。

サッカー部を作ろうとしている人がいることを周りに知ってもらえれば、興味を持ってきて来てくれる人がいるかもしれない。サッカー経験者の目に留まれば、入部してくれるかもしれない。

 

そのためのまず最初の行動として、彼は今、生徒会室前に来ていた。

学校に来てまず最初に来る場所が生徒会室になるとは誰が予想できただろうか。

 

 

「失礼しまーす」

 

 

扉を開けて生徒会室に足を踏み入れる。室内にいたのは1人だけ。

薄い桃色の、後れ毛をたくさん残したツインテールの少女。身長はかなり低く、一瞬小学生かと間違えそうになるほどだ。

 

 

「新入生……ですよね?教室は三階か四階ですよ?」

 

「ああいえ、生徒会に用がありまして。校内に張り紙の提示の許可を貰いに来ました」

 

「張り紙?」

 

「そうっす」

 

 

そしてバックから今日この日のために自腹で作ってきた何十枚もの張り紙をバンッと机に叩きつける。

 

 

「サッカー部、創部希望です」

 

 

校内のあらゆる場所に掲示することによる宣伝。ありきたりだが、だからこそ効果は出やすい。

それにここに来る前に少し見たけど、掲示板に部活動勧誘の張り紙が多数あった。

だから貼ることはできるはず。だからといって勝手に貼るのはいただけないので恐らく管理しているであろう生徒会に赴いたってわけだ。

 

 

「サッカー部……ですか」

 

「何か問題でも?」

 

「いえ、そうではなく……私は書記なので許可を出すことはできませんし、会長は厳しいお方なので許可を出す以前に創部できるかどうか……」

 

「俺を呼んだか?」

 

「か、会長!?」

 

 

入ってきたのは眼鏡をかけたキリッとした表情の黒髪の男。しかも立ち振舞いからして隙が全く無いし強者特有の圧もある。

 

 

「新入生か?お前の教室は三階か四階だぞ」

 

「それ、さっき私が言いました」

 

「そうか」

 

 

すると生徒会長が俺の手元にある紙に目を向ける。そして一瞬だけ目を細くし、俺の目の前に立つ。

強者特有の圧を間近でぶつけられ、気圧されそうになるが、俺の闘争本能がそれを抑える。

 

 

「サッカー部か。悪いが創部は認められない。諦めてくれ」

 

「……どうしてですか」

 

「我が清翔学園は部活動に力を注いでいる。昨年の大会では野球部、水泳部、女子バスケットボール部、男子バレー部、卓球部が全国大会出場。それ以外の部活動も、運動部なら最低でも県大会ベスト8以内。文化部は何かしらの賞を取っている。そして、俺が所属している空手部は団体戦、個人戦共に優勝。ほぼ全ての部活が結果を残している」

 

 

ほぼ全ての部活動において、結果を残す。

それがどれだえ難かしいことなのか、前世を知る蒼斗なら理解している。

 

そしてここ神奈川は、雷門、帝国、木戸川と全国トップクラスが3校もいる東京に比べればマシだが、それでもかなりの激戦区だ。

 

 

スタメンの大半がFW登録。超攻撃的サッカーで殴り勝つ。攻めしか知らない青い暴君、桐皇(とうおう)学園。

県内最多優勝。昨年の王者、目指すは日本の頂点へ、横浜名鳳(よこはまめいほう)中学。

 

 

他にも隠れた強者が勢揃いだが、県内でも頭一つ抜けている全国クラスはこの2校。さらにシード権の関係上、ほぼ必ずこの中の2校を打ち破れなければ全国大会には出場できない。

 

 

「だが結果は求めん。俺が求めるのは、この学園の誇りを胸に、最後まで戦い抜く強い心だ。その強い心を持っていれば、結果は勝手についてくると思っている」

 

「強い心……ですか」

 

「そうだ。この学校の名を背負って大会に出場する以上、生半可な覚悟や気持ちで挑まれてこの学校の顔に泥を塗るようなことをされては困るからな。お前、名前は?」

 

「天翔蒼斗です」

 

「天翔。お前に、絶対に諦めないという強い覚悟はあるか?」

 

 

絶対に諦めない心。それは、フットボールフロンティアを勝ち抜く上で必要不可欠なもの。

イナズマイレブンにおける主人公たちはこの心、雷門魂が一際強かった。だからこそ、どんな壁も逆境も乗り越えられてきた。

 

彼のの最終目標は円堂守。そして恐らく、円堂守に挑戦するための最大にして最強の壁は、雷門魂を受け継いだ新たなる王者、雷門だろう。もちろん帝国や木戸川だって怖い存在だが、彼の予想ではそうなると思っている。

そんな雷門に勝つためには技術、知識、身体能力もそうだが、何よりも気持ちで負けてはいけない。

だからこそ、覚悟はできていた。

 

 

「そんなの、最初からあるに決まってるじゃないすか」

 

「……ほう」

 

「俺には野望がある。桐皇も横浜名鳳も、その先の木戸川も帝国も雷門も……全部ぶっ倒して伝説に挑む。そのためにここに来たんだ」

 

 

全国制覇は通過点。彼の目的はその先にある。だからこそ、負ける訳にはいかない。

こんなところで、諦めるわけにはいかない。

 

 

「無謀な挑戦だな。だが俺に対して物怖じせず、ここまではっきりと口答えする輩はお前が初めてだ。その度胸に免じてチャンスをやろう。俺が卒業するまでに部員が揃ったら言え。練習試合を組んでやる。その勝敗次第で、創部を認めてやらんことも無い」

 

「……言いましたね?」

 

「ああ。俺に二言はない。確か第3グラウンドはどこも使っていなかったな。お前達が使用できるよう手配してやる⋯⋯頼めるか」

 

「はい!」

 

「それから、これに許可は必要ない。どこでも好きな所に貼るといい。幸い入学式まではまだ時間がある。今からなら十分に間に合うだろう」

 

「ありがとうございます。それでは失礼します」

 

 

生徒会室を退出すると同時に圧迫感から開放される。

生徒会長───空手部主将にしてチャンピオン。王者ってのはあそこまで風格があるのかよ。もしこれが、伝説とも言えるこの世界の主人公、円堂守だったら。

 

 

(……いや、あの人とはなんか違うな。少なくとも生徒会長が出てた王者の風格とは違うと思うし)

 

 

だがいずれ、フットボールフロンティアを勝ち抜けば似たような雰囲気を持つ強者と戦うことになる。

この経験は次に繋ぐ糧となるだろう。

 

 

「さてと……やるか!」

 

 

入学式までまだ時間がある。準備にも取り掛れる。その上にグラウンドの使用許可も取れた。

 

だが問題が山積みだ。会長が組んだ練習試合で結果を残さなきゃ創部すらできない。

 

 

(……円堂守ってこんな大変なことしてたんだな)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、生徒会室では───。

 

 

「凄いですね彼。会長に凄まれると大体の人が足がすくむのに……」

 

「あいつは最初から戦う覚悟を持っていた強い男だ。そういう目をしていた」

 

「戦う覚悟……」

 

 

思い起こされるのは絶対に成し遂げるという強い決意のこもった真っ直ぐな目を持つ、久しく見なかった強大な壁、絶対強者に挑もうとする、無謀な挑戦者の姿。

 

 

「何より恐ろしいのが、あれでまだ1年だという事だ。大物になるぞ、あの男は」

 

「会長がそこまで言うなんて珍しいですね。今までだって肩入れすることもなかったのに」

 

「……期待しているのかもな。あの男に」

 

 

強者を目前にしても物怖じしない度胸。何がなんでも成し遂げるという強い覚悟。果てなき道に挑もうとする強い探究心。

どれも挑戦者に必要なものであり、かつては彼自身も持っていたものだ。

だからこそ期待しているのだろう。かつての自分と見比べて。

 

 

 

「見せて貰うぞ、天翔蒼斗。お前の覚悟を」

 

 

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