でも不思議、1万字以下。世のデュエル小説書きの方々はよくあの量を投稿できるもんですね〜…
それでは変わらず喫茶店要素のカケラも見当たらない二話、どうぞご覧くださいませ。
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新 LP8000 手札3
場 モンスター [聖炎王]攻 2700/1700→3100/1700
魔法・罠 [炎王の聖域]
フィールド [炎王の孤島]
菖蒲 LP8000 手札2
場 モンスター [ライゴウ] 攻 3000
[サラマ] 攻 1500/1500
魔法・罠 セット1([破械雙極])
全身全霊をかけた本気のデュエル。
風鳥 菖蒲はそう言った。
実際、進藤 新が求めても得られなかったそれをこの女は容易く披露してみせた。
「はっ…ははっ!!はははははっ!!」
気付けば笑っていた。
自分を超える可能性を見た。自分が求める先の景色を垣間見た。
デュエルに魅入られて以来、周囲が変わり始めてから幾年ぶりか。新の歓喜は最高潮に達していた。
「面白え!!俺が狩る側じゃないだのデュエリストは甘くないだの大袈裟な事を言うと思っていたが…構わん!!アンタはそれを言うだけの資格があると認めてやる!!
だがな、それだけの腕を見せても所詮一度循環を断ち切っただけだ![ライゴウ]とやらも大層な効果を持っているが、この領域を崩すには一手足りねえ!さぁどうする!?俺をどう狩ってみせる!?」
「ふふっ、お褒めに預かり光栄です。私もつまらなそうにあしらわれるよりずっと楽しいですよ。
ですが…惜しい。意識が変わってなお、あなたの限界は変わらない。ある程度敵の行動を予測しようとはしていますが、見えているものに思考が引っ張られ過ぎです」
挑発を繰り返してなお、この女は一歩も引かない。影響されない。それどころか、こちらの事を分析する材料として利用している。
「知ったような口を…いや、実際にアンタにはもうわかってるのかもな。俺の考えも、このデュエルの流れも」
「それが『相手を見る』という事です。
あなたは自分の最前手を押し通す。わたしは相手の最前手を潰す。結果的には同じ蹂躙でも、必要な練度と確実性が違う」
「どこまでも見下した物言いをしやがる…だったら見せてみろ。
俺の打つ手を、勝ち筋を。潰せるもんなら潰してみろ!!」
その言葉に、菖蒲はただ笑顔で応じる。
「期待されたら応えなきゃですね。
バトルフェイズ、[サラマ]で[聖炎王]に攻撃します」
「ははっ、啖呵切った後にやるのが自爆特攻とはカッコつかねえな!!だが勿論俺を殺すための一手なんだろ?受けてやる!!蹴散らせ、[聖炎王]!!」
挑みかかる紫の童子を、[聖炎王]は羽ばたく風の一吹きで返り討ちにする。
菖蒲LP8000→6400
「まったく、本当はライフを削らせてあげるつもりなんてなかったのに。でも、派手な方が楽しいですものね。私も、あなたも!!
場のモンスターが破壊された事により、[聖炎王]を対象に[ライゴウ]の効果を発動!それにチェーンして破壊された[サラマ]の効果!デッキより呼び出すのは─[雙極の破械神]!!」
[サラマ]が散った後には紫煙が残り、それを突き破って黄衣の鬼神が現れた。
鬼神の顔は残虐な笑みに染まり、掌で紫電を纏うエネルギーの塊を弄んでいる。
雙極の破械神 攻
レベル8 3000/1500
「[雙極]の特殊召喚成功時、手札1枚をコストに相手の場のカードを対象を取らず破壊します!![聖域]を破壊!そして自身の効果以外で効果による破壊が行われた事により[ライゴウ]の二つ目の効果![孤島]を破壊!!」
新のフィールドが壊滅する。
これまで誰1人として崩し切れなかった牙城が、たった1枚すらも残さずに。
「手札を投げ捨てて首を取りに来たか。アンタも案外余裕が無いんじゃねえか?」
「さぁどうでしょう。少なくともあなたはご自分の心配をした方がいいと思いますよ?
──[ライゴウ][雙極]、ダイレクトアタック」
鬼獣、鬼神が牙を剥く。
身を守る臣下を失った新は、その身で攻撃を受けるしかない。
新 LP8000→5000→2000
「ほら、あと一撃でも喰らえば終わり。次のターンに最初と同じ手を打てば即座に[ライゴウ]が仕込みを壊す。
最後のターン、どう足掻くか期待させてもらいますよ?…バトルフェイズ終了、メインフェイズ2、エンドフェイズ」
新は動かない。動けない。
心が、どうしようもなく昂るのだ。先程よりも、さらに強く。
こんな思いをしたのはいつぶりか。その時はどうやって発散したのだったか。とっくに忘れていた。
自分が超えられない壁、その存在が──どうしようもなく、心を熱くする!!
「そうだよな、こうでなくちゃな。
このくらいじゃなきゃ…強者じゃなきゃ、アンタじゃなきゃ俺の本気を受け止められねえ!!
この出会いに感謝するぜ。よく声をかけてくれた!!よく俺に勝負を挑んでくれた!!」
菖蒲は相変わらず笑みを崩さず黙ったまま。
まったく驚かせ甲斐がない。だが新はなおも笑う。
「最後まで何が起こるかわからないと言ったな!!あぁその通りだ!!こんなに追い詰められるとは思わなかった!!
だが俺は負けてはやらねえ!!俺の全てで、アンタの首を獲る!!俺の、ターン!!」
引き抜いたカードは、何の因果か懐かしいカードだった。遊戯王を始めて暫くした頃、コンボというものを意識し始めた頃にデッキに入れたカード。
シナジーはあれど拙いチョイスに、新は苦笑いを禁じ得ない。
「…ったく、俺の目はとんだ節穴だったな。自分のデッキの異物、それもコンボしかできないパーツを見落としてたなんてよ。
でも、コイツを使うには最高のタイミングだ!!スタンバイフェイズに[ポニクス]をサルベージ、メインフェイズにそのまま召喚!再び展開しろ、[聖域]、[孤島]!!」
1ターン目と変わらない、1枚から連鎖する3枚のリソース源。このまま[ポニクス]を破壊して[聖炎王]を展開すると、場のカードが破壊された事に反応して[ライゴウ]の除去を受けてしまう。故に新の取る手は。
「[孤島]の効果を発動!手札か場のモンスターを一枚破壊し、[炎王]モンスターをサーチする!俺が破壊するのは──手札の[九尾の狐]!!」
「[九尾の狐]…?」
ここで初めて、菖蒲が怪訝な顔を見せる。
「炎属性とはいえアンデット族、[炎王]のサポートは殆ど受けられねえ。でもな、コイツは[孤島]と合わせる事でちょっとばっかし便利な事が出来るんだぜ?
[孤島]でサーチするのは[キリン]。そして、効果によって破壊された[九尾の狐]の効果!自分の場に狐トークンを2体特殊召喚できる!」
狐トークン×2 守
レベル2 500/500
「成る程、リンクやシンクロに使えるわけですか」
「メリットとしちゃ小さいもんだろ?基本的に1回きりのコンボだしな」
「いいえ。[孤島]本来のサポート対象である[炎王]には存在しない、2体のモンスターを展開する手段。いいアイデアじゃないですか。リンク召喚が存在する今、場にいるモンスターならトークンであっても価値はあります」
菖蒲からの素直な称賛が妙に照れ臭い。
最後にこんなこそばゆい思いをしたのも、きっと何年も昔だ。
「褒めても手は緩めねえぞ。自軍の炎属性が破壊された事により、墓地の[聖炎王]を自己蘇生させる。デッキから[炎王獣 ガネーシャ]を破壊し、攻撃力の半分を吸収。そして[ガネーシャ]の効果で墓地の[キリン]を効果無効・エンドフェイズに自壊するデメリット付きで蘇生する」
これで新は[ライゴウ]の効果を回避しつつ場に5体のモンスターを並べた。
ここからが本番。自分の場を壊滅させてみせたあの敵の場を。今度は自分が焼き尽くす。
「俺は狐トークン2体で[灼熱の火霊使い ヒータ]をリンク召喚。アンタの墓地から炎属性モンスター、[破械童子 アルハ]を俺の場に蘇生する。そして[ヒータ]と[アルハ]で[賜炎の咎姫]をリンク召喚。[咎姫]の効果で墓地の[ガネーシャ]を蘇生。
…さぁ、もう一度更地にしてやるよ。[キリン]と[聖炎王]でオーバーレイ!!世界を飲み込め、永遠の炎!![ガルドニクス・エタニティ]!!」
黄金の炎が再び吹き荒れる。鳳凰の本来の姿が見えないほどに眩く、激しく。
自分の場も巻き込んだ炎は菖蒲のモンスターも壊滅せしめた。
「墓地の[神天焼]の効果だ。コイツを墓地から除外する事で[ガネーシャ]と[ポニクス]だけは破壊を免れる」
「場のレベル8・悪魔族モンスターである[雙極の破械神]が墓地へ送られた事で墓地の[抹殺の邪悪霊]の効果を発動。自身を手札に加えます」
「[抹殺の邪悪霊]?…そうか、[雙極の破械神]の手札コストか」
[抹殺の邪悪霊]は悪魔族・レベル8モンスターのサポートカード。相手の攻撃するダメージステップの開始時、手札から捨てる事で墓地から悪魔族・レベル8モンスターを効果を無効にして蘇生し、攻撃対象をそのモンスターに変更してダメージ計算を行う効果を持つ。
これにより、新は攻撃力3000以下のモンスターの攻撃を実質制限された形になる。
「見たところ[禍霊]、[雙極の破械神]を蘇生したいんだろうが…[エタニティ]を防ぐには足りねえな![エタニティ]の第三の効果!相手の場の魔法・罠を対象として、それを破壊する事で自身の打点を500上げる!さぁ、使うか?それともデッキから壁でも呼んでくるか?」
「ふふ、流石に墓地に落ちたカード全ては把握し切れてないみたいですね。前面のモンスター、後詰めの魔法・罠に分けた妨害をどちらもケアしてみせたのは素晴らしいですが…まだ詰めが甘い。
[破械雙極]を発動。墓地より[破械神 ラギア]を蘇生します」
先程[禍霊]により[キリン]を糧にして呼び出された青の獣が再び場に姿を現す。
「そうだ、アンタは何かしらのモンスターを出さざるを得ない!![咎姫]!!」
突如地面が崩れる。崩壊の元は、[ラギア]と[エタニティ]の真下。
ぽっかり空いた穴の中は暗く、まだ何も見えない。
「相手の場にモンスターが特殊召喚された場合、自分の場の炎属性モンスターと相手の場のモンスター1体ずつを対象に発動!!双方を破壊し、[賜炎の咎姫]自身を甦らせる!!
さあ、アンタの最後の壁には生贄になってもらうぞ!」
先程あれだけリンク召喚で展開した後に[エタニティ]で消し去ったのは無駄ではない。場に出た時、墓地へ送られた時、または墓地にいる時。新のデッキのカードはあらゆる領域で敵の喉笛を狙っている。
「いい仕込みです。ではこちらも応じましょう。
[ラギア]の効果を発動。相手の場の特殊召喚されたモンスターを対象に、自身と対象のモンスターでリンク召喚を行います。対象は[エタニティ]」
宣言されたのは想定外の効果。先程の[禍霊]、[アルバ]を見た事で想像はできた筈の吸収効果。しかしあの時新は破壊を介さない除去に動揺し、中継点としてあっさり消えた[ラギア]のテキストを確認できていなかった。
「リンク3より2の方が厄介だなんて想像できるかよ![ガネーシャ]の効果をチェーンだ!その効果の発動を無効にし、手札・場の自身以外の炎属性モンスターを破壊する!無効にするのは[ラギア]、破壊するのは場の[ポニクス]だ!!」
ガネーシャの炎の太刀が[エタニティ]に飛び掛からんとする[ラギア]を牽制。足が止まった[ラギア]と[エタニティ]を地中より飛び出した2対の黒竜が丸呑みにする。
モンスター同士の効果の応酬の末、場に残ったのは──
賜炎の咎姫 攻
リンク3 2700
炎王獣 ガネーシャ 攻
レベル4 1800/200
炎王神獣 キリン 攻
レベル8 2400/200
「お見事。こちらの防御はほぼ潰されてしまいましたね。[ラギア]の被破壊時の効果で墓地の[ラギア]以外の悪魔族、[サラマ]を手札に戻します」
「手札に[抹殺]を抱えといてよく言うぜ。[ガネーシャ]を使わされた以上、[抹殺]は超えられねえ。バックを1枚セットしてターンエンドだ」
新 LP2000 手札2 ([キリン]込み)
場 モンスター
賜炎の咎姫 攻
リンク3 2700
炎王獣 ガネーシャ 攻
レベル4 1800/200
炎王神獣 キリン 攻
レベル8 2400/200
魔法・罠 [炎王の聖域] 伏せ1
フィールド [炎王の孤島]
菖蒲 LP6400 手札3([サラマ][抹殺]込み)
場 モンスター なし
魔法・罠 なし
「随分差をつけられちゃいました。
認めざるを得ませんね。あなたは荒削りながらも強い。それこそ、戦う相手に飢える理由を理解して同情してしまうほどに」
「今更世辞はいらねえよ。俺が、いや俺のデッキが強いって事なんざとっくにわかってる。
今はもうそんな事どうでもいいんだ」
ビッ、と新は菖蒲を指差す。
「アンタは俺の布陣を崩し、追い詰めた。俺の想像を超えてみせた。
そんな事ができるんだ。アンタは強いんだろ?これだけアドバンテージの差があっても、勝てるんだろ?俺はそれが見たい。俺よりも上の景色が見たい。
だから見せてくれ。俺が行き止まったその先を。デュエルの可能性を!!」
最早新は自分が勝つ事よりも菖蒲が繰り出してくる技を見る事を望んでいた。菖蒲のカードが、プレイングが。行き詰まった自分には放てない輝きをもっているように見えてしまう。
自分の望みが形を成して目の前にいる。そう思えてならなかった。
「まったく…私も罪な女ですね。あれだけやさぐれてた男の子をこんなに喜ばせちゃうなんて。
重い期待だけど、いいですよ。お姉さんが背負ってあげましょう!
私のターン、ドロー!」
最初と同じ、鋭いドロー。このまま負ける事をよしとしない、自分と相手。その期待を背負い引いたカードは。
「スタンバイフェイズに[ポニクス]を墓地より回収する。…さぁ、しけた引きなら容赦しねえぞ」
「んー…まぁ及第点、ですね。[七精の解門]を発動します!」
一度阻止された永続魔法。今度は新にそれを止める術はない。
「今度はこちらで[暗黒の招来神]をサーチし、召喚!効果により同名以外の[三幻魔]の関連カードをサーチします!」
「ここで止めてもいいが…折角だ。アンタの手の内を見てやる。[ガネーシャ]は使わねえ」
「ご親切に。では[混沌の召喚神]を手札へ。そして[招来神]の効果により、私はこのカードが存在する場合に攻守0の悪魔族を追加で通常召喚できます。[召喚神]を場に出し、2体の悪魔族でリンク召喚。─[破械神王 ヤマ]」
[解門]、あるいは[招来神]1枚から繰り出される[破械]のエンジンの一つ。
[雙極の破械神]の若き日の姿が場に降り立つ。
「このカードのリンク召喚成功時、デッキか墓地から[破械]モンスターを手札に加えます。チェーンはありますか?」
「成る程、アイツらは[幻魔]とは関係ない悪魔族の出張パーツとしての採用だったか。1枚からリンク2を出しつつ[破械]をサーチ…[シャバラ]を手札コストに[解門]の蘇生効果を使えば無駄が少ない。いい噛み合いだな」
だが、と称賛の言葉を切る。
「ここまでだ。[ガネーシャ]の効果を発動。[ヤマ]のサーチを無効にし、[キリン]を破壊。そして[キリン]の効果で[バロン]を、自身の効果で[聖炎王]を蘇生する。キリンの被破壊時の効果で蘇生と同時に[ヤマ]を破壊、[聖炎王]の効果でデッキから[バロン]を破壊する」
ここからはタネの割れた手品。見る必要はないと断じ、新は仕留めにかかる。[ヤマ]の墓地効果は把握していたが、場に残しておけば容易に第二の[アルバ]の素材になってしまう。故に相手の特殊召喚されたモンスターを処理できる[咎姫]ではなく、即座に[ヤマ]を除去できる[キリン]を[ガネーシャ]のコストで切った。
新の場はこれでほぼ元通り。対する菖蒲の場は[解門]のみ。手札は[サラマ]と[抹殺の邪悪霊]、そして見えない一枚。
この勝負の行く末を決める一枚は──
「これで、動けます!手札より[炎魔の触媒]の効果を発動!自身と手札の悪魔族を公開し、片方を特殊召喚してもう片方を手札から捨てます!
[サラマ]を公開し、特殊召喚![炎魔の触媒]を墓地へ!」
「ここで[サラマ]…!?召喚権被りを力技で解決したってのか!?」
新は[解門]を見てからこの時点まで[サラマ]の存在を思考から外していた。
[サラマ]の再展開効果は強力だが、所詮場に出なければ使えない。故に、菖蒲が[解門]から召喚権を使用して動いた時点で『[招来神]から巻き返せなければ、次のターンを守備表示で蘇生した[招来神]と[ヤマ]、[抹殺]で凌ぐしかないのだろう』と判断していたのだ。
「ええ。『召喚権を潰されたら動けない』なんてなんの言い訳にもなりません。ただ一手しか打てない、相手の妨害がない事を祈るしかない。そんなのカッコ悪いですもの。
だから、こうやって押し通すんです![解門]により[抹殺]をコストに墓地の[招来神]を蘇生![サラマ]の効果で[禍霊]をセットし、破壊![禍霊]の蘇生効果にチェーンし、[ヤマ]と[抹殺]の効果を発動![抹殺]を手札に加え、墓地より[アルバ]を蘇生!そして最後![禍霊]によって[ライゴウ]を墓地より呼び覚まします!」
歯車が回る。仲間を壊し、自らも壊す破壊の輪廻が巡り、やがて敵の喉笛にその牙が届く。
「[アルバ]の効果を発動!相手モンスター1体を吸収します!対象は守備表示の[バロン]!!」
「チッ、このターンでケリつけるつもりか…!?通しだ!」
[アルバ]が[バロン]に食らいつく。しかし今度は凄惨な狩りは起こらず、2体共が砕けて光を放った。
「物量戦も嫌いではありませんが、無駄な引き伸ばしなど面白くないでしょう?だから、全身全霊、最高に燃える幕引きをお見せします!!
穿て、[アクセスコード・トーカー]!!」
アクセスコード・トーカー 攻
リンク4 2300→5300
「[アクセスコード]は素材にしたリンクモンスターのリンク数×1000、攻撃力を上昇させます。そしてこのカードの効果の発動に対し、相手は効果を発動できません」
「はっ、ここで高打点か…[ガネーシャ]で[咎姫]を割っていても、召喚時に効果をチェーンできないんじゃ無駄だったな。
…完敗だ。こい」
菖蒲はただ頷き、掲げた手を振り下ろす。
アクセスコード ATK5300vs 聖炎王 ATK3600
ライゴウ ATK3000vs 咎姫 ATK2700
新 LP2000→300→0
勝負が終わる。ソリッドビジョンが消え、新は地面に大の字で転がった。
「あ〜負けた負けた…くっそ、負けんのってこんな悔しかったっけか…」
「あらあら、服が汚れちゃいますよ?…でも、私もそうしたい気分かも」
新の横に座る菖蒲。
夕日が沈む黄昏時。2人のデュエリストは先程まで全力の勝負をしていたようには見えないほど穏やかに並んでいた。
「なぁ」
「はい?」
新は空を見上げたまま、隣に問いかける。
「聞きてえ事は色々ある。が、まずはこれだけ。
…俺は、どうすればアンタみたいになれる?」
漠然とした問いだった。
追い詰められても諦めない心か、プレイングの根拠か、デッキ構築のコツか、相手を楽しませる雰囲気か。
どれを求めているかは、きっと新自身にもわからない。
「ん〜…ちゃんと勉強して、デュエルを続ける事、ですかね〜」
答えはありふれたものだった。世の大人が言う、「ちゃんと勉強しておかないと後悔するぞ」というやつ。
流石に新もこれには落胆を禁じ得ない。
「それだけじゃ満足いかねえってんだよ。
アンタ、最初から本気出せば簡単に俺を捻れたろ。それだけの腕を磨くのに、やった事が他の平々凡々な奴らと同じ事だけだと?そんなんで強くなれたり対等な相手が見つかったりすんなら苦労しねえよ」
菖蒲は不思議そうな顔をした後、くすりと笑った。
「その平々凡々な人達がいずれあなたの好敵手となり、応援してくれるファンになるかもしれないんです。今のプロ選手だって最初からデュエルの天才だった人達だけじゃないんですから。
自分に課せられた事を果たした人間だけが、自分の進む先を選べるんです。あなたが目指しているのは、ただ強ければ勝ち取れる席じゃない。
飽きても、嫌気がさしても。自分が目指した道へ進むために、辿り着いた先でなお歩き続けるために。あなたはあなたが思うより沢山のものを身につけなければならないんです」
その言葉は、なぜか新の心に沁みた。
ただ強ければいいだけじゃない。その言葉に、どこか感じるものがあったのかもしれない。
「…ったく、やっぱデュエルが強くても大人は大人だな。月並みな事しか言えねえ、つまんねえ大人だ」
「そう思うのなら、まずは私に勝ってみることですね。『つまんねえ大人』に負ける子供じゃ面白い大人に会っても勝てませんよ?」
『つまんねえ大人』をふざけた声音で言う菖蒲。
腹は立つが、反論はできない。負け惜しみすら言い伏せられてしまったら、敗者に口無しだ。
「なぁ風鳥…さん。また、俺と戦ってくれるか?」
「『せめて少しは強くなってこいよ?』…なんちゃって」
最後まで勝者の余裕でこちらを煽りながら、菖蒲は立ち上がった。
「私も今日からこの街に住むんです。また会えたその時には…楽しませてくださいね?」
ヒラヒラと手を振って菖蒲は立ち去る。
新は動かないままそれを見送る。
「俺が思うより沢山のことを、か。
はっ…明日からはつまんなくなりそうだな」
フルでデュエル書くの本っっっ当に大変ですね!!!!かなり省略したつもりなのですが!!ですが!!!
DSODみたいにカードのテキストは必要な時に最小限の紹介をしていくスタイルのつもりですが、まぁ一朝一夕であの表現できるんなら苦労しませんよねと。
今日はたまたま。たまたま!構想が出来てた上にセリフがすんなり出てきたので連日投稿出来ましたが多分明日以降は…最終的にどんなペースになるやらです…
今回もご覧いただきありがとうございました。次回もお読みいただければ幸いです。