転生したら滅却師だった件   作:抹茶オレン

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初投稿です。



一章 皇帝誕生編
転生と鍛錬


 

「陛下、魔国連邦(テンペスト)への侵攻は問題なく進んでいます」

 

 玉座に座するその男に、金色に輝く髪を腰まで伸ばした美しい女性が報告する。眠ったように目を閉じていた男が、ゆっくりと目を開き報告に反応を見せる。

 

「そうか⋯⋯⋯侵攻が進み次第、我々も行くぞ」

 

「何故、ここまで直接的な侵攻を?」

 

 侵攻は事前に決まっていた訳では無い。陛下の一言で決まり、星十字騎士団(シュテルンリッター)を動員した。攻め入ること事態に疑問は無いが、タイミングと方法の理由だけがわからなかった。

 

「リムル・テンペストは、私が思っていたよりも大きな影響を人類に与えている。予想はある程度出来ていたとは言え、このまま放置すれば、人類に甘い毒をバラ撒き続けるだろう。

 どのみち、これは警告でもある。無視をするなら殲滅を視野に入れる必要もあるだろう」

 

「何処まで、先を視たのですか?」

 

「先はまだ視ていない。視るまでもない、魔王の役割を逸脱するのであれば、粛清するのが私だ。行き過ぎた人間達を、ギィ・クリムゾンが滅ぼすようにな」

 

 玉座から立ち上がった男は、俯くように礼をしている女性を通り過ぎた辺りで止まる。

 

「いつものことだ。ただ眺める時間が終わり、背中を押す時が来た。そこに正義も悪もない」

 

「存じております。私は、ユリウス様に仕えていますから」

 

 小さく宣言した女性は、男の後ろに控えるように追従していく。

 

 玉座の間から出る大きな扉が鈍い音をたてながらゆっくり開くと、男は雰囲気を変えて、嘆いた様子で呟いた。

 

「⋯⋯⋯⋯何年経っても、必要とはわかっていても、争いは醜くくて反吐が出る」

 

「そのために、我々がおります」

 

「そうだな⋯⋯⋯⋯いい加減、決断の必要がありそうだ」

 

 そう言い残し、玉座は伽藍と化して冷たく残る。それは男の心情と現実を色濃く現していた。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 ユリウスが転生した自覚を持ったのは3歳の頃、何故自分が転生したのかは分からないし前世については曖昧なとこが多く、知識は覚えていても記憶がなくなってしまったようで自分が何歳で、何をしていて、誰といたのか等の事を何も覚えていなかった。

 

 せいぜい前世も男だったことくらいであとの知識は覚えているというより<前世の知識>という本を無理やり脳にぶち込まれた気分でとにかく最悪だった。

 

 すると重厚にも感じる木製の扉が開いて、ぞろぞろと人が入ってきた。一目見ただけで高級品とわかる程の紫色のローブを羽織った老人にメイドらしき女性たちにも気になったが、それよりも最初に入ってきた男女2人が目についた。

 

 男は黒髪で目つきは鋭く鷹のような見た目しており服装は派手ではないが見ただけで高級品と分かるような服を身に着けている。

 

 黒髪の女の方はこちらもシックだが高級品と分かるようなドレス? を身に着けておりどこかソワソワしているように見える。すると男が言った。

 

「この子の状態はどうなっている?」

 

 するとローブの老人がどこか自信なさげに語る。

 

「まず確認させてもらいます。ユリウス様は生まれたときから視覚、聴覚、触覚、声帯の4つがなかったのですね?」

 

「そうだ。だが問題はそこではなくその後だ!」

 

 目つきの鋭い男はどこか威圧するようにローブの老人に言った。

 

「その後がその子に触れた侍女達四人は視覚、聴覚、触覚、声帯の4つがなくなった! 綺麗に1人一つずつだ!!」

 

 ローブの男は恐ろしいようなどこか興奮した様子で言った。

 

「スキルの影響でしょう……ユリウス様は<奪取者(ウバウモノ)><付与者(アタエルモノ)><滅却師(クインシー)>3つのユニークスキルを持っています。一度奪ったものもまた与え直せばもとには戻ると思いますが……いかがいたしましょう?」

 

 どうやら俺はユニークスキルを3つ持っているらしい正直どれだけ凄いのかよくわからないが、ローブの老人の言葉聞いてかなり目つきの鋭い男や他の者たちもかなり驚いているのでかなりすごいのかもしれん。

 

 それにしても、俺に視覚がなかったって言ってるしもしかしなくても奪取者で俺が五感を奪ったってことでいいんだよな。

 

 とんでもないチートスキルを持ってしまった気がする。内心かなり冷や汗をかいている俺をよそに、目つきの鋭い男がまわりのものに厳命した。

 

「このことは国家機密とする。口を滑らせれば分かっているな?」

 

 まわりの侍女達やローブの老人は真剣な顔で頷いていた。すると先ほどからソワソワしていた黒髪の女が目つきの鋭い男に話しかけた。

 

「アルベルト、この子を……私の息子をどうするつもりなの?」

 

「どうも何もない一人息子なんだ隠すわけにもいかないだろう。妹はいるがエルザは体が弱いこれ以上子供を産むこともできん。側室も今は時期が悪すぎる。ドレーク、ユリウスのユニークスキルに危険性はどのくらいある?」

 

 目つきの鋭い男(アルベルト)ローブの老人(ドレーク)に聞く。

 

「ユリウス様が奪ったものはユリウス様が持っていなかったもののみです。他に何か奪う様子がないことから暴走の危険性は低いでしょう。付与者に関しても問題ないかと、ただ滅却師に関しては儂の鑑定ではわかりませんでした。あとは成長とともにスキルを使いこなせるように教えるほかないでしょうな」

 

「そうか……暴走の可能性が低いのはひとまずは良い。うまく使えば強力な武器になる。今の時期にわかっただけでも幸運かもしれんな……」

 

 父がいきなり俺を抱き上げた。先ほどよりも落ち着いているように見える。

 

「ユリウス、お前はいずれこの帝国の王になるのだ。そのためにもそのスキルをうまく使いこなせ」

 

 俺を抱き上げる父の目はどこか希望に満ちているようで狂気を孕んでいるように俺には見えた。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 そうして俺は十歳になるまでに、色々な教育が施されれた。

 魔法やスキル、自国の歴史や他の国の歴史などまぁとにかく覚えることが山程あった。

 特に最悪なのは礼儀作法やダンスの類だ。そんな知識はないし、必要とはいえ自分を偽るような振る舞いをするのは酷くストレスだ。

 そんな勉強嫌いな俺でも楽しみな事があるそれは、鍛錬だ。

 

「おや、相変わらず勉強は逃げようとするのに鍛錬だけ真面目ですね、皇子」

 

「そう言うなよキルゲ、取り繕おうと嫌いなものは嫌いだし好きなものは好きだ」

 

「そういうのを開き直りと言うのですよ。取り繕うことも必要だと教えたでしょう」

 

「わかっているし必要なときはするさ、けど自分を偽るようなことは嫌いだ」

 

「それが皇子のいいところではあると思いますが、まぁ必要なときにしていればいいでしょう」

 

 キルゲ・オピーはユリウスの教育係で、元騎士団長の実力者。

 今は団長の座を若いのに譲り、自分は新兵の教育をしているのだが、それと一緒にユリウスの勉学や鍛錬をやっている。

 

「それでは皇子、今日は剣を使いますがいつも通りで構いません」

 

「今日も一撃いれるからな」

 

「今まで一度も攻撃を当てたことはないではないですか」

 

「今日こそ、いれるんだよッ!」

 

 俺は足に力を入れ全力で地面を蹴る。一瞬でキルゲに近づくと、袈裟斬りにする。

 

「だから言っているでしょう。身体能力の高さを生かして速攻は構いませんが、ただ剣を振るだけではタイミングを読まれて止められると」

 

 はずだったがあっさりと剣で受け止められる。まぁ止められるのはわかっている。だが違うのはここから、バックステップで少し離れ霊子兵装で霊子の矢を放つ。キルゲをあっさりと剣で斬ろうとするが、

 

増殖(アンヴァクセン)

 

 すると1本だったはずの矢が10本に増えてキルゲを襲う。

 キルゲは一瞬驚いたような表情を見せるが、あっさりと矢をすべて斬ってしまう。

 

 ここまでは予想通り本命はこっちだ! 

 

 ユリウスはキルゲの後ろに神聖弓(ハイリッヒ・ボーゲン)を出し、数本の矢を放つ。それは見事キルゲの背中に決まった…………

 

「私は拒絶する」

 

 …………ように見えたがキルゲが一言呟くと、当たるはずの矢はあっさりと霧散した。

 

「げっ」

 

「離れたからといって油断しすぎです」

 

「がッッッ」

 

 作戦があっさりと対応され、動揺したユリウスの目の前に一瞬で現れたキルゲに反応できず、剣の柄から鈍い音が大きく響いた。

 

「痛っ〜〜〜」

 

「途中までは良かったですが、最後は油断しすぎです。作戦を立てて相手の虚を突こうするのはいいでしょう。ですが決まったと思って気を抜きすぎですね」

 

「あとはそうですね、もう少し表情に出さないようにしてください。策があるのがバレバレでした」

 

 模擬戦が終わり、先ほどの作戦を酷評するキルゲ。頭の痛みが和らいできたユリウスは、睨みつけるながら叫ぶ。

 

「御高説どうも、でもユニークスキルを使うのはズルいだろ!」

 

「ずるいですか。戦いに卑怯なにもありません。勝ったほうが正義なのですよ」

 

「それに、皇子のユニークスキルもなかなかの反則じみたスキルだと思いますよ」

 

「軽く捌いたやつがなにいってんだか……」

 

 キルゲはフォローしてくるがもう遅い。どうであれ負けたのはユリウスで、勝ったキルゲの言葉が正論だ。

 

「あまり卑屈にならないでください皇子。私でなく騎士団のものであれば一撃当たられていたと思います」

 

「キルゲに当たってなきゃ意味ねーよ」

 

「お兄様〜〜〜」

 

 白髪赤目の少女がユリウスに近づいて来る。鍛錬の様子を見ていたのか、どこか興奮に気味だ。

 

 説明するまでもなく俺の妹のアンネリーゼだ。うーんかわいい。ちなみに3つ下なのでまだ7歳だ。

 

「すごかったですお兄様! キルゲさんとここまで戦えるのは帝国でもそういません!」

 

「そう言ってくれるのはうれしいけど、言うほど戦いになってないよ」

 

「まぁ! 謙遜しすぎですよお兄様。キルゲさんは周辺諸国でも有名な騎士なのですから。ねぇ、キルゲさん?」

 

「えぇ、私の拒絶者(コバムモノ)を使わせる者などそうはおりませんよ皇子」

 

「嘘つけ、ユニークスキルを使わずとも剣で対応できてたくせに」

 

 アンネリーゼのベタ褒めにキルゲも乗っかろうとするが、ユリウスにはお見通しだ。

 

「はて、なんのことやら?」

 

 そっぽを向いてあからさまに誤魔化すキルゲに、これ以上言っても意味がないと考えたユリウスは、アンネリーゼに話を振る。

 

「まぁいいや。それでリーゼ、なにか用があったんじゃないのか?」 

 

「よくわかりましたねお兄様」

 

「エクストラスキルの直感のおかげだよ」

 

「なるほどそういうことですか。要件はお父様がお兄様をお呼びとのことです」

 

「わかった 汗を流したら行くって伝えておいて」

 

「はい! 伝えておきますね!」

 

 兄に頼まれたのが嬉しいのか、後ろに流した髪をブンブンと尻尾のように振るアンネリーゼを微笑ましく思いながら、キルゲに命ずる。

 

「そういうことだからキルゲ、今日の鍛錬はここまでにしよう」

 

「えぇ、かしこまりました」

 

 まだ幼い兄妹が訓練所を離れていく後ろ姿を見ながら、キルゲは思う。

 

 皇子の強さは異常ですね。10歳とは思えない身体能力に発想力それにあのユニークスキル。神聖魔法でないにもかかわらず霊子を操り弓矢の形成、それに矢が増えたことと言い汎用性の高いスキルなのでしょう。

 

 何やらこっそり1人でスキルの練習をしているようですし、あれでまだ2つのユニークスキルがあると言うのですから恐ろしいですね。

 

 陛下のお気持ちも少し理解できてしまう。皇子であれば良き皇帝にも良き戦士にもなるでしょう。

 

 いずれは超魔導大国に張り合えるかもしれないと、それほどまでに皇子のユニークスキルは危険で同時に1人で国変えてしまう力がある。

 

 今は王妃のユニークスキルで封じているようですが、その封印を解くのもそう遠くないでしょうね。

 

 皇女も優秀のようですが、こうも良いことが続くと碌でもないことがおきそうで不安ですよ。私も歳ですかねぇ…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 





2025年4月11日 加筆修正

2025年6月24日 プロローグ修正

転スラとBLEACHについてどれくらい知っていますか? 転スラ書籍版を1、BLEACHを2と表記します

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