ユリウスは鳴り響く爆発音で目を覚ました。
「な……にが、おき…………た」
気づいた時には、攻撃を食らっていた? わからない。いつ攻撃受けたのか認識出来なかった。
あの時『
体はボロボロだ。すでに体の感覚はなく、手足どころか全身が動かせなかった。よくこれで生きてるものだな我ながら頑丈だ。
今まで鍛えてきた剣術は軽くいなされた。
滅却師の力はすぐに対処された。
無敵だと思っていた『
ギィ・クリムゾンには何一つ通じていなかった。
自分が強くなったと勘違いしていた。俺は
だから俺は、ここで死ぬ?
嫌だ
嫌だ
嫌だ
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ
嫌だ!!!
ユリウスは泣いていた。
ここで死ぬかも知れない恐怖に怯え
生まれて初めて戦いの中で絶望し
帝都の民までを犠牲にして得た力をろくに使えない自分の才能に怒り
己の無力を呪った
こんな終わりは認められない
奪われて終わるなんて認められない
負けを認められない
意味のない犠牲だなんて認められない
全てを認められない
ユリウスとって、初めての挫折だった。転生して得たのは知識だけで経験や記憶などはなかった。今までは恵まれた環境と才能のおかげで何不自由なく生きてこれた。ユリウスにとってギィ・クリムゾンは初めての越えられない壁だった。
だからこそ決断した。この気持ちは間違いなくエゴだろう。使命感でも正義感でもない。ただ負けたくないと言う我儘で独善的な行動。
人によってはユリウスを外道と罵るかも知れない。だがユリウスはすぐに割り切った。今、何をしたところでギィ・クリムゾンに勝つことは出来ないだろう。だから勝つことは一度諦める。
だが、夢までを諦めるつもりはユリウスには毛頭なかった。
「
無数の糸状に縒り合わせた霊子の束を全身に接続し無理矢理体を動かす。なんとか体を座った体制にする。
覚悟を決めろ。もう30万の魂を食らったんだ。
だったら自分を一度捨てることだってわけないじゃないか……
「私は、私に名を与える!」
「我が名はユーハバッハ!!
《確認しました》
掲げよ
銀の紋章 灰色の草原
光に埋もれた円環の途
瑪瑙の眼球 黄金の舌
頭蓋の盃 ヴェルダナーヴァの逆鱗
掲げるものはお前の魂
本来、肉体が死んだ者の魂はすぐに霧散してしまうが、聖別は時間や空間すら遡り、霧散した魂を収束させる。
つまりミリムが暴れた過程で死んでしまった死体の全ての魂とスキルを収束出来ると言う事になる。その数はおよそ4000万の魂がユリウスに集まり出す。
「オイオイ……マジかよ……」
暴走したミリムと戦っていたギィは混乱していた。長く生きてきた原初の悪魔でもある彼が、見たこともない光景に絶句していた。
「あれは高濃度の霊子か?」
上空に存在する高濃度の霊子はおよそ直径4000kmある円環だった。円環は鐘の音色を西側の大陸全土へと響かせる。すると円環に青い粒子が集まり出す。
ギィは円環が何を集めているのかを悟った。
誰がこんな事をしている? ただでさえミリム相手で忙しいというのに、こんな馬鹿げた真似、正気の奴がすることじゃねぇ。
あの聖人か? いやあいつはミリムの竜星爆炎覇で死んだはずだろ。いくら強かろうとただの聖人はアレで死ぬはずだ。
ギィはユリウスが竜星爆炎覇が直撃するのをしっかりと確認していた。だからあり得ないはずだ。
だが、ギィの本能が間違いなくアイツだと囁いていた。ただの勘でしかないが、こういう時の勘をギィは信用している。
「ミザリー、レイン、俺達に割り込んで来た聖人を探せ」
思念伝達でそう伝えると2人は困惑したようだが、すぐに命令に従い捜索を始めた。そうしてしばらくミリムの攻撃を捌いているとミザリーから連絡がくる。
「ギィ様、例の聖人を見つけました」
「様子は?」
「今にも死にそうではありますが、まだ生きています」
やっぱりアイツか。ミリムの攻撃をまともに食らって生きているのも驚きだが、上のやつの規模を考える放っておくわけにもいかないな。
「殺しますか?」
「あぁ、何かされても面倒だ。殺れ」
俺の前に1人の悪魔が降りてきた。緑色の髪でメイド服を着る悪魔というかなり突飛な姿だが、悪魔ってことはギィの手下か何かかな?
「まさか、ミリム様の攻撃を食らってまだ生きているとは驚きました」
メイドの女悪魔はかなり驚いた様子でそう言う。ギィの攻撃じゃなかったんだな。謎の現象のヒントを貰った気がする。
「そりゃあどうも」
「貴方は危険です。ギィ様に善戦した褒美としてせめて痛みなく殺してあげましょう」
緑色の髪の悪魔はそう言って俺の心臓に魔法で穴を開けた。そしてあっさりと意識は暗転した。
「ふぅ、念の為警戒していましたが、流石にミリム様の攻撃を受けてはまともに抵抗出来るはずもありませんか」
ユリウスを殺し終えたミザリーはギィの場所まで戻ろうとするがそこで気づいた。
上の円環が消えないのだ。この聖人が原因ではなかったのかと落胆するミザリー。これではただの骨折り損だ。他に原因があるのであれば探す必要があると思いながら自分の主へと思念伝達を使用するが使えない。
妨害されたのではない周囲の魔素が分解されていて思念伝達が使えなくなっている。ミザリーは振り返ると周囲の魔素が分解され、高濃度の霊子がユリウスに集まっているのだ。
すぐに消し飛ばそうとするがその瞬間上空の円環が収縮し、光の柱となってユリウスに降り注いだ。
《確認しました。
個体名ユリウスの
ユニークスキル『
《確認しました。
個体名ユリウスの
ユニークスキル『
《確認しました。
個体名ユリウスの
ユニークスキル『
「なんとか間に合ったな…………」
「何がおかしいのですか……」
緑色の髪のメイド悪魔がこちらを警戒しながら聞いてくる。
「いや、俺ってこんなにも割り切る事が出来たのが自分にも驚きでさ……もっと苦悩するんじゃないかと思ってたから」
「何を言って……」
それにしても、本当はギィを無視してミリム・ナーヴァを殺そうと思っていたのに、『
黒幕は超魔導大国の王を乗っ取り、ミリム・ナーヴァを利用しようとしていた
混沌竜の討伐は面倒だった帝国や他国の戦力をミリム・ナーヴァを操り、殺そうとしていたが計画は失敗。
ミリム・ナーヴァのペットだった精霊竜を殺した結果、ミリム・ナーヴァの逆鱗に触れてしまい超魔導大国ごと滅ぼされた。
彼女はただの被害者だった。俺と同じである日当然、奪われただけ。これで憎む気持ちがあったら俺の行動は変わっていたかもしれないが、憎悪は全てリーゼに持っていかれてしまった。
俺に残ったのは失った悲しみと、ミリム・ナーヴァに対する憐れみだけだった。さっきの俺の覚悟が台無しだ。
ユリウスは感傷に浸っていたが、そんな事を言える状況ではないのですぐに気持ちを切り替えた。
「悪いんだけどさ、ギィに取引があるんだよ」
俺は警戒しているメイド悪魔にそう告げた。
「で? オレ相手に取引なんて、何考えてるんだ?」
ギィが訝しげにユリウスに聞いてくる。だが何処か期待している様子だった。
ギィは暴走しているミリムをヴェルザードに任せて、ユリウスとの取引に来ていた。後ろにはレインとミザリーが控えている。
「殺すのはやめだ。お前とミリムとを同時に相手してたら世界の方が持たない」
「まるで世界が持てば、殺れるみたいな言い方だな?」
「無駄な話をするつもりはない。お前もミリム・ナーヴァと戦闘を続けば、世界の方に影響が出るのはわかってるだろ?」
「まぁな、だがどうするつもりだ?」
「俺は未来を視る事が出来る。今、精霊女王がこちらに向かって来ている。精霊女王であれば、ミリム・ナーヴァの暴走を抑られる」
未来視と聞いて、ギィがこちらに探るように聞いてくる。ウザったいなコイツ……
「未来視ねぇ…………お前がやった謎の現象もそれが関係あるのか?」
「チッ、取引する気あるのかお前?」
さっきから話を逸らすギィに苛立ち思わず舌打ちするが、一度殺し合ったコイツに丁寧な対応をとっても仕方ないだろう。
「まぁそう苛立つなよ。見たときから面白そうな奴とは、思ってたんだぜ? こんな状況じゃなきゃ殺そうとまではしなかったさ」
ギィは楽しそうに言う。なんでコイツは余裕そうなんだ……いや俺に余裕がないだけか。
ここでも経験の差を見せつけられた気がして少し苛立つが、意味がない怒りなので、内心で抑えることにする。
「要は協力しようって話だ。精霊女王が来るまで俺がミリム・ナーヴァとお前から漏れ出る魔素を抑える。そうすれば周りの影響は多少は収まる」
「言いたいことはわかった。だがどうしていきなり考え方を変えた。初めて会ったときは殺意しかなかっただろ」
ギィがさっきまでの様子とは違って真剣な顔で聞いてくる。どうやら引っかかっているのはそこらしい。まぁギィからしてみればいきなり変わったようにしか見えないよな。
まぁ、過去の閲覧は言ってもいい手札だ。ここで断られた方のデメリットは俺のほうが大きい。ここは誠意を示したほうがいいだろう。
「少し前に、ミリム・ナーヴァの過去とお前がヴェルダナーヴァに調停者の役割を与えられたことをさっき知った」
「なんで知ってんだよ……」
「スキル」
「どんな?」
「
「権能は?」
「…………過去の閲覧…………」
「言いたくないって感じはよく伝わった……」
嘘、本当は全く言いたくない。互いにメリットがあるとはいえ、頼んでるのは俺だ。しかも悪魔との取引なんてしたことがない。無理に隠そうとしても、印象悪くするだけなので聞かれたらすぐに言うつもりだった。聞かれなかったら言わないつもりだったが……
そんな俺の考えを見透かしたのか。ギィは呆れた様子だ。
「まぁいいぜ。嘘はいってないみたいだしな」
「取引成立でいいな?」
「あぁ、協力する。だが俺についてこれるか?」
ギィが俺を試すように聞いてくる。何処までも傲慢なやつだな。会った時の状況のせいがあるとはいえ、俺は正直コイツが苦手だ。
「ついてこれるかじゃねぇ、お前の方こそついてこい」
「クッハハッ、面白いなホント。いいぜ共闘といこうじゃねーか」
今ここに、世界で初めて原初の悪魔と人間の共闘? が決まった。
ちなみにミリムの竜星爆炎覇で死ななかったのは、リーゼの『誓約之神』の権能の一つ、誓約内容の逆転です。
ユリウスとリーゼは戦争の時に無意識に『生きて帰る』誓約を結びその誓約がまだ続いていました。今回の場合は、権能で『生きて帰る』が『帰るまで死なない』というふうになりました。
なので、ミリムの竜星爆炎覇で死にませんでした。
まぁそんなに便利な物ではありません。あくまで死ぬような攻撃を一度だけ死なないようにしてくれるだけです。ダメージはちゃんと入ります。
転スラとBLEACHについてどれくらい知っていますか? 転スラ書籍版を1、BLEACHを2と表記します
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