転生したら滅却師だった件   作:抹茶オレン

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新年、あけましておめでとうございます。
最近始めたばかりの本作品ですが、今年もよろしくお願いします。

というわけで第二章の始まりです。今回は説明と導入ですね。

あと、今後の参考にしたいのでアンケートに答えてもらえると幸いです。


二章 迷宮探索編
光の帝国の現状と風精人


「ねぇ、ユーリ?」

 

「どうした?」

 

「初めて会ったときのこと覚えてる?」

 

「覚えてるよ……お前はとんでもない我儘女だった。今もだけどな」

 

「一言余計よ……ねぇ……」

 

「どうした? さっきから」

 

「私は中立と言ったけど、負けても貴方だけは助けるから」

 

「やめろ。そんなこと頼んでない」

 

「貴方の意見なんて聞いてないの。これは決定事項」

 

「…………アレが俺を許すとは思えないけどな…………」

 

「その場合は、覚悟を決めるわ」

 

「国と個人を秤にかけるな」

 

「みんな貴方の事を知っているもの。知ってる? 貴方、結構慕われているのよ?」

 

「ほとんど関わりはないだろ?」

 

「人類が滅亡しないように影から守る。人類の守護者なんだから当然でしょう?」

 

「人類を守っているんじゃない。世界が滅びないようにしている過程で人類が滅びないようにしているだけだ」

 

「みんなからすれば同じよ。あまりにも馬鹿げていて、無謀な夢。

 けれど、そんな夢物語を可能にするから貴方は勇者であり人類の守護者なのよ」

 

 

       とあるエルフと人間の会話

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 光の帝国(リヒト・ライヒ)の建国から約15年バラバラだった者達は、1つの国へとようやく纏まり始めていた。

 

「陛下、今日の報告書はこちらです」

 

「あぁ」

 

 ユリウスもとい皇帝ユーハバッハに報告書を渡すのは、皇帝代理であり皇帝の右腕であるエレナ・ハッシュヴァルトだ。

 

「ハッシュヴァルト、軍の方はどうなっている?」

 

「問題なく機能しています。これも陛下のお力かと」

 

「一旦は、落ち着いたと言うべきか」

 

「まだまだ問題はありますが、何もなければ陛下が直接手を出さずとも光の帝国(リヒト・ライヒ)は国家としての機能を果たすと思います」

 

「ならば、そろそろ私は旅に出る。留守の間は任せるぞ」

 

「かしこまりました。陛下」

 

 ユーハバッハはそう言って、己の影の中へと消えていった。それを見届けたハッシュヴァルトは即座に今後のことを思案した。

 

 ひとまずは国家の雛形としての形は成った。だが問題は山積みだ。

 

 実際、光の帝国(リヒト・ライヒ)を建国の宣言をした15年前、から数々の問題があった。

 

 まずは砂漠化問題。光の帝国は帝都跡地にある。だが西側の大陸の北部は、ギィ、ミリム、ユリウスの戦いにより汚染した魔素が発生し砂漠化。周囲には汚染されている暴風が渦巻いている危険地帯と化した。しかもその砂漠化は徐々に広まっていた。30年もすれば帝国も砂漠になってしまうだろう。

 

 だがこの問題に関しては、すでにユリウス様が解決していた。の大聖樹(ハイリッヒ・バウム)聖隷(スクラヴェライ)ほどではないにしろ周囲の魔素を分解し霊子を生み出していた。

 その効果範囲は大聖樹を中心に半径1000km以上の円状になっている。そのため光の帝国は砂漠化の心配がない。

 

 次の問題は人手不足だ。10万人の難民たちに対して、元帝国ので残っているのは辺境伯や若い男爵や子爵の領地の人間の生き残りの約10万人。はっきり言って手が足りていなかった。自分の領地の維持すら厳しい中で難民の世話など出来るはずもなく、周りの貴族からは大反対された。

 

 これもユリウス様が解決した。まずは霊子創造によって帝都跡地に巨城『銀架城(ジルバーン)』や城下町を作った。維持するための霊子は大聖樹から出るため問題はなく、全ての民たちに住居を与えた。

 

 次に全ての民に自身の血を飲ませ、滅却師の力を貸し与えた。そして影の力を使い影の領域(シャッテン・べライヒ)に元帝国の領地を繋ぎ移動時間を短縮した。

 

 この影の領域は霊子で繋がっている場所であればどこにでも行けるそうで、大聖樹の中は霊子が豊富な空間になっているため、滅却師であれば影の領域を使い、簡単に移動可能になった。

 

 その後、兵士達をつれて海へと向かい、滅却師の力を使って、魚を獲っては影での輸送を繰り返した。森でも同じような事を繰り返し、ひとまずの飢えを凌いだ。

 

 難民たちにその事実を伝えると大いに喜んだ。難民たちのほとんどは農民になってもらい、農作業をして貰うが、農具がないため最初は農具から作る必要があった。

 

 だが誰が始めたのか、霊子兵装で農具や調理器具などを作る者が出始め状況は大きく改善した。本来霊子兵装で弓を作り出すのには才能や努力がいるが農具などは誰でも簡単に作り出せた。

 

 この事実を知ったユリウス様は、何とも言えない顔で霊子で作った鍬で畑を耕す光景を見ていたのは私だけの秘密だ。

 

 こうして、食事面も改善の余地が見られ始めた。ただ、どこにでも愚か者というのはいるもので、ユリウス様の力を使い蛮族もどきになり始める者達もいたがすぐに捕らえ、民衆の前で粛清された。

 

 粛清の光景は民衆の心の緩みを大きく締め出しただろう。なにせ、空から降り注ぐ光が罪人を呑み込み死体すら残さずに跡形もなくなくなるのだから。首吊りよりよっぽど効果がある。まさに神の裁きと言える光景だった。

 民衆にはユリウス様のお貸しになられた力を悪用する者は力を没収され、粛清されると伝えると治安はかなり良くなった。

 

 小さな犯罪者はいるがそれは元帝国の法律に基づいた裁きを与えればいい。ただ力の没収という名の粛清刑が追加されただけだがその効果は大きい。

 

 農作業や調理器具、果てには建築工具などにも霊子兵装は使われ出した。壊れることはなく、劣化もせずに持ち運ぶ必要もない。小さい変化だが楽に慣れた者達のほとんどは逆らう選択はとらないだろう。

 

 こうして15年の間、様々な問題はあれど、陛下の力で大抵のことは解決した。そしてようやく、ユリウス様なしでも国が周り始めた。粛清刑の追加と滅却師の力の付与に民衆はユリウス様を敬いそして恐れている。ユリウス様という象徴によって国が1つに纏まっていると言っていいだろう。

 

 今後、ユリウス様の直接的な力の介入は避けるという事になっている。理由は幾つかあり、1つ目はユリウス様の聖文字(シュリフト)を与える相手の厳選。今現在、聖文字を与えられているのは私とキルゲ、ドーラ、アンネリーゼの4人だけだ。聖文字には何らかの適正、または条件があるらしいがそれはまだわかっていない。光の帝国内でも何人か適正者がいるようだが、与えるのには慎重にならなくてはならない。

 

 聖文字は無色の力であり、与えた者の才能、価値観、性格によって能力が変化するらしい。だがその能力は総じて強力だ。そのために与える相手は選ばなくてはならない。ユリウス様が旅に出られるのも、聖文字の適正者を探すためでもある。

 

 帝国の状況を振り返っていると扉をノックする音が部屋に響く。

 

「入りなさい」

 

「お呼びでしょうか? 宰相閣下」

 

 入って来たのは、左目に眼帯をつけた白髪の老人ヨハン・ザイドリッツ。

 ザイドリッツは元々帝国の将軍を務めていた人物だが高齢のため引退し領地で隠居していた所をを滅却師の力を得たことで聖人となり、現在は聖兵軍の将軍として陛下に仕えている優秀な男だ。

 

「先程、陛下が旅立たれました。そのため一時的に私は皇帝代理としての立場になります」

 

「かしこまりました皇帝代理陛下」

 

「ザイドリッツ、最近南にある海辺の国が何やら騒がしいと報告を受けました」

 

「えぇ噂になっております。何やら第一王子が王に反逆したとか」

 

 今、渦中の国となっているのは南の海沿いに位置するシーゲル王国。海沿いの国は運良く15年前の被害がなく、帝国が滅んだ事を良いことに隣の2つの小国を取り込み成長を遂げた国。

 大聖樹の範囲に海沿いも入っているため、砂漠化の心配もない。運だけで大きくなった国だ。光の帝国としては目の上のたんこぶのような存在であり、最近まで自国の安定に奔走していたため、大きく関わりが無かった。

 

「ドーラに潜入させていますが、何やら不穏な動きがあったそうです」

 

「不穏ですか…………」

 

「王子は野心家らしく、帝国を狙っている可能性もあります。問題は、王子が反逆を成功させた事が問題です」

 

「第一王子はあまり良い噂は聞きませんが、人望はあったのでしょうか?」

 

「いいえ、ろくに無かったそうですよ。横暴で傲慢、魅力や力など欠片もなく、民からも臣下からも好かれていなかったとか」

 

「だとすると少し妙かと」

 

「えぇ、そんな王子が1人で反逆を成功させられる訳もありません」

 

「とすると協力者がでしょうか?」

 

「個人か集団かは定かではありませんが王は有能な人物でしたし、貴族が協力しただけでは反逆を成功させるのは無理でしょう。まぁ詳細な報告はドーラを待つ必要がありますが、もし何らか手段で力を得た強欲な王子がすることは1つです」

 

「狙いは帝国との戦争ですか……無理があるのでは?」

 

「すぐにとはいきませんが、王子の人柄を考えれば、急に出てきた光の帝国は鬱陶しいでしょうし、可能性は充分にあります。なので軍部で調整を任せます」

 

「かしこまりました。聖兵(ゾルダート)はまだまだ滅却師の力に慣れておりませんが、できる限り仕上げましょう」

 

 そう言ってザイドリッツは敬礼し、部屋を後にした。

 

「厄介ごとというのは、どうしてこうも連続に来るのでしょうか…………」

 

 度々くる厄介ごとに思わずため息が出てしまう。だが陛下いない間にこの程度の問題も解決出来ないようでは、皇帝代理など務まらない。エレナは先程、旅に出たユリウスの事を考えながら山積みになっている仕事に取り掛かった。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「さて、ひとまずは中央諸国で冒険者になるとするか」

 

 影の領域(シャッテン・べライヒ)を通じて大聖樹の外の森に出てきたユリウス。ユリウスはこの旅の中で自身の身分を隠すためにユーリと名乗るつもりでいた。誰もユリウスという名前を知っていないと思うが念の為だ。

 

 ユーリとして旅に出たユリウスだが早々に冒険者になるつもりでいた。冒険者とは光の帝国より東の中央諸国が運営している何でも屋らしく、身分を農民から盗賊くずれなどが副職としてやっている職業らしい。

 

 帝国付近では、なかった風習なので詳しくは知らないが身分を明かす必要がなく余所者でも怪しまれないため、ユーリとしては丁度良かった。思ったよりひどい職業だったら自分で生計を立てればいいだけなのであまり期待はしていない。

 

「ちょっと! そこの貴方! 黒髪の!」

 

 後ろから声が聞こえ振り返ると、そこには腰まである綺麗な銀髪に翡翠色の瞳のエルフ? がいた。

 

「ねぇ! 今のどうやったの? 影から出てきたやつ! スキル? それとも魔法なのかしら!?」

 

 矢継ぎ早に聞いてくるエルフを面倒に思っていると、エルフから思わぬ提案があった。

 

「中央諸国に行きたいのよね? なら私が連れて行ってあげるわ! だからその影について教えて!」

 

 興奮気味にこちらに提案してきたエルフだが、ユーリとしてはありがたい提案だった。ここから中央諸国までは距離がある。知らない森を歩いて行くのは時間がかかるし、飛んで行くことも出来るが誰かに見られたら面倒なので却下だ。影については誤魔化せばいいのでユーリは提案を受けることにした。

 

「いいぞ。教える代わりにちゃんと連れてってくれよ」

 

「もちろん! この森は何度か来たこともあるし、中央諸国にもいったかことがあるもの。任せて!」

 

「それは良かった。俺はユーリだ」

 

「私はエルメシアよ。よろしくユーリ」

 




エルメシアちゃん(15)の登場です。さてドコのサリオンさんなんでしょうね。

さらっと登場した砂漠化問題ですが大聖樹のおかげで光の帝国の周辺は砂漠化しません。光の帝国は原作の不毛の大地の中央よりの南にあります。

ダガルマニアやルベリオス、西方諸国の場所には大聖樹の範囲に入っていません。なので不毛の大地の中に巨大なオアシスがあるような状態だと思ってください。


【挿絵表示】

転スラとBLEACHについてどれくらい知っていますか? 転スラ書籍版を1、BLEACHを2と表記します

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