転生したら滅却師だった件   作:抹茶オレン

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原作でも我儘娘のエルメシア、この時期はまだ15歳なのでさらにはっちゃけてます。ユリウスはそんなエルメシアにに振り回されます。

今回ギルドが出ますが、原作の様に自由組合がまだないのでちょこちょこ違う点があります。深掘りはたぶんしないので覚えなくていいです。


依頼と世間知らず

 中央諸国の1つカルテン王国は広大な土地が豊かで、特に農業が盛んな国である。中央諸国のほとんどは食料の2割をカルテン王国の輸入に頼っており、中央諸国の中で独自の地位を確立している国だ。

 

 そんな国に来た俺達だが正直、エルメシアとはもう旅はしたくない……なにせこの女とにかく我儘だ。最短で行きたいと思っている俺とあっちこっちへと寄り道するエルメシアとはとにかく合わなかった。

 影の領域(シャッテン・べライヒ)については影に空間を作れるスキルで移動については応用で便利ものではないと誤魔化したが、エルメシアはずっと喋り続けてはスキルについて聞いてきた。

 

 静かにしたい俺と喋りたいエルメシアとでまた合わずにとにかく疲れる旅だった。

 

「ようやくついたわね。ここがカルテン王国よ」

 

「一ヶ月で着くはずが、寄り道のせいで2ヶ月になったんだろ?」

 

「わかってないわねぇ……旅は寄り道してこそよ?」

 

「目的地に着いてからでいいだろ……」

 

「それじゃあ寄り道にならないじゃない?」

 

「何で寄り道にそんなこだわりがあるんだ…………?」

 

 寄り道に対して謎のこだわりを見せるエルメシアに疑問を持っていると一際大きな建物の前に着いた。

 

「ここがギルドよ」

 

「案内ありがとう。じゃあこれで」

 

「ちょっと待ちなさいな」

 

「ぐぇッ!!」

 

 そう言って急いで離れようとする俺の首根っこをエルメシアが掴む。

 

「実は私も冒険者をやってるのよ。だから色々教えてあげるわ?」

 

「いや、結構です…………」

 

「まぁそう言わずに、この国で冒険者登録をするには銀貨一枚が必要だし? 確かユーリは一文無しだったわよねぇ?」

 

「…………」

 

 そう俺は今回の旅で金を一銭も持ってきていない。そもそも西側諸国と中央諸国とでは通貨が違う。中央諸国の金もあるが、あくまで国の金なのであまり使いたくなかった。スキルを使えば旅なんて簡単に出来るし、冒険者になればその場で金を稼げると思っていたが見通しが甘かった。

 

 そもそも旅をするのが初めての時点で色々用意しておくべきだった。どうせ影に仕舞えば負担にはならないのに無駄に節約しようとしたせいで水や食料、替えの衣類などの旅が楽になるものしか持って来なかった。完全に失敗した…………

 

「金……貸してください…………」

 

「いいわよぉ利子は安くしとくから」

 

 そうして、言いづらそうに金を借りるユリウスとイイ笑顔で金を貸すエルメシアの姿があったのだった。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 色々不満はあったが、金を持っていないのは俺のせいだからと自分を納得させつつ、イイ笑顔のエルメシアから金を借りた俺はギルドで冒険者登録をしていた。

 だがさっきから視線を感じる。見ない顔だからだろうか? ちなみにエルメシアはギルドの受付嬢に呼ばれてギルドの奥に行ってしまった。

 

「オイ、お前。そこの黒髪のガキ、てめえだよ」

 

 何やら厳つい顔の大男が話しかけて来た。あれか? 新人潰しってやつか? ガキと呼ばれるのは心外だが、俺は15年前から体が少ししか成長していないので見た目はガキと呼ばれてもおかしくないのかも知れないが……

 

「てめえエルメシアちゃんとどういう関係だ?」

 

「何でそんなこと聞くんだ? エルメシアと知り合いなのか?」

 

「当たり前だろ! 俺はエルメシアちゃんが冒険者になった時からの付き合いよ。エルメシアちゃんは俺が育てたと言っても過言じゃあない! だがエルメシアちゃんに男はいなかったはずだ! 何処で知り合った!?」

 

「どこも何も西の森で偶然会って、ここまで案内してもらっただけだけど。俺はエルメシアの男でもないし」

 

「あぁん!? あり得ないだろ! お前みたいなヒョロイ奴にエルメシアちゃんが案内なんてするはずがない!」

 

 そう言い切る大男と賛同する周りの冒険者達、どうやらエルメシアは随分と人気らしい。まぁあの容姿なら納得だが、俺にまでとばっちりが来るのは勘弁してほしい。

 

 さてどうしたものか……冒険者になっていきなりトラブルをおこすのは避けたいし、適当に言い訳するか? でもこいつら、話聞いてくれなさそうなんだよなぁ……

 

 ユリウスが悩んでいると受付嬢がユリウスの名前呼んだ。

 

「ユーリさん。冒険者の登録が完了しました。それと奥の部屋へどうぞ」

 

 受付嬢はそう言って奥の部屋にユリウスを案内する。受付嬢が木製の扉を開きユリウスを通すと、部屋の中にはエルメシアと髭の生えた男が向かい合ってソファに座っていた。

 

「君がユーリ君かね?」

 

「そうだけど。貴方は?」

 

「私はコールだ。この冒険者ギルドのギルド長をしている」

 

 どうやら、髭の男はギルド長らしい。身なりが良かったし雰囲気的にもそこらの冒険者じゃないのは分かったが、だとすると疑問が残る。

 

「それで? 新人冒険者にギルド長が何の御用で?」

 

「まぁ掛け給え」

 

 座るように促され、渋々座る。この時点で嫌な予感しかしない。明らかに厄介事の匂いだ。

 

「実はエルメシア君には、西側諸国の状況についての調査を依頼していてね。その道中で君に出くわしたそうじゃないか」

 

「そうですね。でもどうして俺にそんなことを言うんですか?」

 

「15年前に西側諸国のほとんどが滅びたことは知っているかね?」

 

「えぇ、まぁ」

 

「当時、カルテン王国はひどく混乱していた。なにせこの世のものとは思えない程の超常現象が連続して起きていた。王国は調査隊を結成し西側諸国へと派遣した。だが調査隊からの報告は信じられないものだった。

 なにせ数多の国は瓦礫の山となり、森は消え、山があった場所は削り取られていた。まさに天変地異と言っても過言ではない。それに魔素の影響で周囲は砂漠化、まともな調査も行えなかった」

 

「そこでね。私に白羽の矢が立ったのよ。私なら魔素の影響を大きく受けないし冒険者だから国としてはちょうど良かったみたい」

 

 深刻な様子で話すコールの話をエルメシアが引き継ぐ。だが国にいいように利用されている事が気に食わないのかどこか不満気だ。

 

「まともに調査出来ない西側諸国の現状を詳しく調査してきてくれって国からギルドに来たそうなのよ。私も興味があったから受けたのだけど、そこで会ったのがユーリってわけ。

 ユーリってたぶん西側の出身でしょ? 現地の知識がある人に色々聞きたかったのよ」

 

「現地の知識ね……確かに俺は西生まれだけど、西側諸国については存在していたってことしか知らないよ。物心がつく時から、あそこはあんな感じだったし」

 

「君の両親は何か知らないのかね?」

 

 コールが俺に聞いてくるがなんて返すかはもう決まっている。

 

「生憎と両親は俺に当時の事を話そうとしなかったし、もういないから話も聞けませんよ」

 

「そうか……まぁ現地の地理に詳しい者の案内があるならエルメシア君も楽だろう」

 

「何で案内する前提なんですか……」

 

「あぁ、すっかり話がそれてしまった。改めてユーリ君にはエルメシア君の調査の協力をしてほしい。もちろんこれはギルドからの重要な依頼だ。報酬は弾もう」

 

「何で俺なんですか? 西側諸国の生き残りは他にもいるでしょう?」

 

「それはね。西側諸国の生き残りのほとんどは光の帝国っていう新たに出来た国にいるからなの」

 

 エルメシアが俺にそう告げる。わかってはいたが、光の帝国はこっちでも確認され始めたか。

 

 西側諸国のほとんどが滅んだことによって、中央諸国の西の情報網は完全に死んでしまったはずだ。さらに光の帝国は大聖樹の影響で半ば異界と化しているので、今まで見つかることはなかったはずだが流石に見つかったようだ。

 

 最近は精力的に動き始めたし、今まで見つからなかっただけでも運がいい。最悪の場合、救助という名目で帝国の残党狩りが起きたかもしれない。

 

「光の帝国は最近発見された国でね。元帝国領の中心にある国なんだ。だが色々とおかしい国でもある」

 

「おかしい?」

 

 中央諸国目線の光の帝国の情報が得られるのは嬉しいので素直に聞くことにする。ドーラが網を張っているのは知っているが、現地の声は聞いておきたかった。

 

「なんでも、知らない間に城や町が出来ていたらしい。いくらなんでも15年で城や町を作るのは無理があるし、当時集まった人間のほとんどが難民のはずだ。だというのに光の帝国は発展しているそうでね。何より光の大樹が国を覆うように生えているそうだ」

 

「ここまであり得ない話があると一周回って信じたくなる話よねぇ」

 

「実際、幻覚か嘘なのではないかと国も疑ったそうだがどちらでもないようだった」

 

「要はその光の帝国に人が集まっているから西側の出身の人間がいないと」

 

「全くいない訳では無いのだが、心が壊れてしまった人が多かったりして案内役を頼める人間はほとんどいなかったんだ」

 

 なるほど、まぁここまで来れる人間は運がいいか、それ相応の実力を持っているってことだしな。ここまでの道のりはけして簡単なものではない。ただの農民などでは魔物に喰われておしまいだろう。

 

「期間はどれくらいですか?」

 

「危険度も考えて1年以内には戻ってきてほしい。何が起こるかわからない以上安全第一で行ってほしい」

 

「わかりました。金もありませんし俺も少しは興味があります。受けますよその依頼」

 

「ありがとうユーリ君。過酷な調査になるだろうが頑張ってくれ」

 

 ギルド長との話は終わった。どうやらこの調査を終えれば冒険者ランクを上げてくれるらしい。スピード出世になって悪目立ちしそうだが、面倒な依頼をこなさなくて済むのでプラマイ+だな。

 

 ギルド長との話を終えエルメシアと一緒にギルドを出る。その時の冒険者達の視線は気づかなかった事にした。

 

「ねぇユーリちょっと付き合って」

 

「今度はどこ行くんだ?」

 

「いいから」

 

 エルメシアはどこか堅い様子で俺の腕を引っ張る。何かエルメシアには思うところがあるようだ。俺も気になることがあったので素直に引っ張られることにする。

 たどり着いたのはオシャレなカフェのような場所だった。中はかなり広くシックな雰囲気でどうやら個室制のようだ。

 

「ここ、貴族用の店でね。スイーツ専門店なの」

 

「へぇ珍しいな」

 

 貴族用とはいえスイーツ専門の店なんてまずない。そもそも甘味自体あまり食べられるような物ではないので、こんな店がある時点で相当豊かな国の証明と言っていいだろう。

 

「それで本題なのだけどユーリ、貴方何か私に隠してるでしょ?」

 

 エルメシアが注文したケーキを食べながら訝しげに聞いてくる。

 

「隠し事のない人間なんているのか? お前だってエルフであることを隠しているだろ」

 

「それはそうだけど、これは必要なことなの。エルフってだけで奴隷としての価値は高いし、面倒事になっても困るから隠しているだけよ」

 

 エルメシアはこの国に来てからエルフの特徴である長い耳を魔法で人の耳へと変えていた。俺とあった時は慌てていて隠すのを忘れてしまったらしいが、普段は隠しているようだ。

 

「それで? 何を隠しているの?」

 

「別に言う必要のないことだろ。調査とも関係ない話だ」

 

「あら、私の秘密を知っておいて自分は隠すわけ?」

 

「いや、お前が勝手に晒しただけだろ……」

 

「とにかく! 私だけ秘密を握られている状況が嫌なの! ここは個室で防音の魔法があるからキリキリ吐きなさい!」

 

「ヤケになってぶっちゃけやがった…………」

 

 モヤモヤする気持ちはわかるがそう簡単に喋るわけにもいかない。この我儘娘を納得させるには、ある程度情報を小出ししといたほうがいいだろう。

 

「わかったよ。ある程度は答える何が聞きたいんだ?」

 

「そうねぇ、まずは貴方光の帝国出身でしょ?」

 

「何でそう思う?」

 

「今、西側にある国はシーゲル王国と光の帝国だけ。シーゲル王国には行ったことがあるけど、あそこには貴方が着てるほど上質な服はないわ。王族ですらそんな上質な服を着ていなかった」

 

 思わぬ視点で疑われたらしい。確かに俺の服は特殊な糸から出来た特注品だ。この服を作れるのは光の帝国にしか存在しない。

 ここでも俺の世間知らずが出たな…………服が上質どうかなんて今まで気にしたことがなかった。これからは気をつける必要がありそうだ。

 

「それに、今の西側の大陸は魔境なのよ? そんな場所で1人で旅をしているなんて、自分が普通ではありませんって自己紹介しているようなものよ。後は消去法ね。シーゲル王国の可能性が低いならここ最近台頭してきた光の帝国が一番怪しいもの」

 

 俺を光の帝国出身と断定するような証拠は無さそうだが、疑うには俺は充分に怪しいようだ。言われてみれば俺の設定は一般人とは思えないな。普通とはほど遠い人生を歩んできたせいか普通の感性がわからない。流石に誤魔化すのは無理だな

 

「今の光の帝国の状況を考えれば厄介事にしかならないだろ」

 

「つまり、そこまで各国の状況がわかっている立場ってことね?」

 

 エルメシアの言葉でようやく自分の失言に気づいた。確かに農民などでは周囲の国の状況や自国の危うさなんて知る由もない。もしかして我儘に振る舞っていたのも罠か? 

 

「鎌かけたな?」

 

「当然でしょう? 確証まではなかったけど、鎌をかけるには充分よ」

 

「我儘な態度もわざとか?」

 

「いいえ、私は自分が我儘なのは知っているし、周りもわかっているだろうからそれに合わせた態度をしているだけよ」

 

 当然のように言い放つエルメシアに思わず呆れてしまった。だがその我儘が俺に間違った判断の助力になったのは確かなため何も言えない。

 これは俺の完敗だ。エルメシアは俺の世間知らずを利用して情報を引き出したわけだ。詐欺師とか向いてそうだなコイツ…………

 

「わかった俺の負けでいい。けどもう何も喋らないぞ」

 

「別にもう喋らなくてもいいわよ。知りたいことはしれたし、話はここからだもの」

 

 俺はまだ話が続くことに辟易しながらため息をつくが、そんなことは知らんと言わんばかりにエルメシアは話を続けていく。

 

「ユーリには光の帝国の案内をしてほしかったのよ」

 

「案内? 俺達は西側の調査に行くんだぞ?」

 

「光の帝国も西側にあるでしょ?」

 

「屁理屈だろそれ、まぁ調査前に立ち寄るくらいならいいぞ」

 

「決まりね! 一度行ってみたかったのよねぇ」

 

 こうして、エルメシアと俺は西側の調査に行くことが決まった。ゆっくり旅するつもりが面倒事に巻き込まれた感じはするが、これも旅としてはありだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あっ、光の帝国でオススメの場所って何かある? あと美味しい食べ物とかも」

 

「俺達は観光に行くんじゃないんだぞ…………」

 

 訂正、やっぱりコイツとの旅は不安だ………………




『人類之祖』には、いくつかの権能がありますが、その1つに『人類に対しての2つ目の名付け』が可能になります。魔物に名付けするのと同様の効果が得られる権能で完聖体の名前になる予定です。

ユリウスは皇子だったので世間知らずです。前世の知識はあくまで知識のみで経験や記憶はないのでこういうところでは役に立ちません。
今回は、世間知らずとエルメシアに対して甘さが出て色々バレました。ユリウスは嫌なことはハッキリと言いますが、ある程度は押しに甘いところがあります。

転スラとBLEACHについてどれくらい知っていますか? 転スラ書籍版を1、BLEACHを2と表記します

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  • 1は知らないが2は知っている 
  • 1は知っているが2は知らない
  • 1も知らないし2も知らない
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