転生したら滅却師だった件   作:抹茶オレン

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消えた時の予備を間違えて投稿するとかいう大ポカをかました作者です。なので今日も投稿します。

あと評価バーが真っ赤になりました!嬉しさ事とやらかした事が同時にきて、めっちゃ複雑な顔になってました。


燃えたぎる心臓と冷たい鉄

「いつまでこの茶番を続ける」

 

 ユリウス。否、ユーハバッハの一言に会場は静まりかえる。先ほどの熱狂が嘘だったように全員が口を閉ざし、ユーハバッハに視線が集まる。

 

「お前だ。さっきから黙って見ているお前に言っている」

 

 ユーハバッハはそう言ってガルテン王の隣にいる女に指を差した。すると女はユーハバッハに嘲笑うかのような笑みを浮かべながら大袈裟にお辞儀をしながら喋りだす。

 

「これはこれは皇帝陛下、わざわざ今宵の舞踏会に出席いただきありがとうございます。しかし、どうしたのですか? そんなにも怒って? カルテン王は貴方に宣戦布告したのですよ? もっと慌てるべきでは? いえそれとも以前のトラウマでも思い出しましたかぁ?」

 

 その美しい顔立ちから発せられる声はキーキーと喧しい声だった。人の嫌な記憶をわざわざ掘り返し、嘲る。女悪魔はユーハバッハの様子が愉快で仕方ないようだった。

 

「勘違いするな。確かにお前の茶番は酷く不快だった。だが、問題はそこじゃない。カルテン王、お前だ。悪魔に唆されはしたようだが、精神支配を受けている様子はまるでなく、自らの欲で動いている」

 

 ユーハバッハの迫力に少したじろいだようだが、カルテン王はユーハバッハに冷たく言葉を向ける。

 

「それがどうした。貴様の国は西に影響力を広げるのに邪魔なのだ。そもそも貴様の国は国として認められていない。これは勝手に国を建国し、人類を支配しようとする蛮族に下す正義の鉄槌なのだ」

 

「私は戦争をするなとも、欲で動くなとも言っているのではない。言っているのはこの有り様だ。自国の貴族を悪魔の力で支配し、挙句の果てに正義の鉄槌? 悪魔の力でしか威張ることしか出来ない貴様の何処が王だ。誰が貴様を人間の国の長だと思う? 貴様は悪魔にいいように使われているだけの人形だ」

 

 ユーハバッハにとって悪魔の煽るような茶番は不快ではあった。だが問題はそこではなく、カルテン王の愚かさだ。悪魔と契約交わしユーハバッハを追い詰めたと思っているようだが、実際は違う。

 

 悪魔はユーハバッハの経歴をある程度知っている様子だった。ならばこの程度では何の障害にはならないことをわかっているはずだ。なら悪魔の目的はなにか? 少なくともユーハバッハから冷静さを奪おうとしているのは確かだ。

 

 ユーハバッハの言葉に怒りを覚えたのか。カルテン王は顔を真っ赤にして兵士達に命令する。

 

「私を……人形だと!! 殺せ! その愚か者を殺せ!!!」

 

「動くな。まだ話は終わっていない」

 

 ユーハバッハが英雄覇気を解放して命令すると、精神支配を受けているのにもかかわらず兵士達は動けなくなる。

 ユーハバッハは仮面を取り、霊子創造で白い軍服のような服に漆黒のように真っ黒なマントを纏う。

 

 女悪魔はユーハバッハの様子を見てさらに煽るように喋り続ける。

 

「あぁ、お怒りなのですか? 皇帝陛下? 皇帝ともあろうお方がこの程度でお怒りとは貴方の器もたかが知れますねぇ?」

 

 

 女悪魔の言葉はユーハバッハには何も響かない。王でもないただの悪魔が王を語るなど、愚かとしか言えない所業だ。

 

 

「貴様に王の器を説かれる筋合いはない。王とは、燃えたぎる心臓を持ち冷たい鉄の骨格を持つ者を指す言葉だ」

 

 

 この言葉は戒めでもあった。燃えたぎる心臓とはユリウスを指し、冷たい鉄はユーハバッハ指す。ユリウスである事もユーハバッハである事も否定しないという決意であり、自ら定めた王道であった。

 

 

「燃えたぎる心臓? 冷たい鉄の骨格? 比喩表現でしょうか? イマイチわかりませんねぇ。私には、のこのことやって来た脳筋にしか見えませんよぉ?」

 

 

「貴様はどうしても私を怒らせたいようだな。目的は、私が無様にも怒り狂い暴れる醜態を晒すことか?」

 

 

「おやおや確かに貴方の醜態は見応えがありますが、それは貴方が勝手に晒しただけでしょう? 先ほどから王の器だの。勘違いするなだの。そんなに自分を肯定する言い訳が欲しかったんですかぁ?」

 

 

「根拠も言っていないのに、随分と饒舌だな」

 

 

「饒舌なのはいつものことですよ。大した根拠もないくせにペラペラと得意気に語って、さぞかし楽しいのでしょうねぇ〜結局、自分が暴れまわる理由が欲しいだけでしょう!!?」

 

 声を大きくして、叫ぶようにユーハバッハを罵倒する女悪魔にユーハバッハは煽り返す。

 

「段々と貴様の願望が混ざっているぞ。自分のコンプレックスを突かれて動揺しているのか?」

 

 

「……………………」

 

 

 女悪魔はついに黙ってしまう。それもそうだろう。まるで心が読まれているかのように自分の考えがバレているのだから。

 

 

「何故自分の事がそんなにもわかるのか不思議か? 自分は大した情報を与えてもいないはずで、目的がわかるわけが無いと? それとも、私があの方とやらの恩寵に相応しいと思ってしまったか?」

 

 

 その言葉は地雷だったようで、先ほどの様子は鳴りを潜め、怒り狂ったようにユリウスを睨みつけ叫ぶ。

 

 

「貴様如きが!!!! あのお方を!!!!! 語るなドブネズミがぁぁぁ!!!!!!」

 

 

 女悪魔の叫びで大広間の窓は割れ、外を囲っていた悪魔達が大広間へと侵入し、ユーハバッハを囲む。

 

 

「本性を見せたな。ついでに貴様の勘違いを訂正しておこう。私は確かに怒っている。だがな、私が感情で行動しているのであれば、ここはすでに更地と化している」

 

 

 ユーハバッハの言葉と同時に悪魔達は一斉に魔法で攻撃する。当然ユーハバッハにただの上位魔将(グレーターデーモン)の攻撃など通用するはずもない。

 

 だが悪魔達はそれを承知の上で攻撃を続ける。その様子にユーハバッハは確信する。悪魔達は最初からユーハバッハを殺したいわけではない。醜態を晒させることが目的なのだ。

 

 ユーハバッハは剣で悪魔達を全員蹴散らすが、あの女悪魔がいない。どうやら逃げ出したようだ。まぁあの小物に出来ることなどないだろう。もはや短い命だ。

 

 興味を失ったと言わんばかりにユーハバッハはカルテン王に近づいていく。カルテン王はユーハバッハが悪魔を一瞬で倒す光景を目にし、顔を青ざめている。

 

「カルテン王」

 

「な、何なんだ貴様は! 上位魔将だぞ! それも一匹や二匹ではない! 10体はいたはずだ! それをあんな一瞬で……!!」

 

「貴様は皇帝である私を蛮族と侮辱し、光の帝国を邪悪だと評した。貴様の行動は光の帝国の皇帝として許されざる大罪だ」

 

「ま、待て! 私が間違っていた。謝罪もしよう! 間違いは誰にでもあるものだ。私が死ねば他の国が我先に、我が国を狙ってくるはずだ!」

 

「悪魔が言っていたぞ! 貴殿は人類の進歩を目指しているのだろう? ならば我が国と協力しようではないか! 貴殿の国は食糧が不足しているのではないか? それに我が国が呼びかければ、貴殿の国も国として認められるはずだ!!」

 

「(そこまで考えられるのであれば、もっと手段はあっただろうに)」

 

「確かに私は人類の進歩を目指している。だがそれを知る権利は、貴様らにはない。そして、国として認められる必要もない」

 

 ユーハバッハの言葉を聞いて絶望するカルテン王。そんな王に追い討ちをかけるように続ける。

 

「そして、人類の進歩以前に一国の皇帝だ。ならばそれ相応の罰を与えねばならない。貴様らはここで死ぬ。恨むなら恨むといい、私は力を持つ理不尽として、貴様の国を滅ぼす」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 晩餐会の夜が明け日が出始めた頃、ユリウスはエルメシアと共にカルテン王国を早急に出国していた。

 

「悪いな、結局俺一人で終わらせて」

 

「いいわよ別に、私はユーリを助けるために動いただけ。皇帝を助けるためじゃないの」

 

 冷たいように聞こえるエルメシアの言葉だが、要は気を使ってなにもしないようにしてくれたのだろう。

 

「それにしても良いの? あんな中途半端で?」

 

 エルメシアの言う中途半端とは、カルテン王国に対する対応の問題だろう。あの時、王城はユーハバッハの大聖雨で跡形もなくなった。もちろんあの場にいた者は全員死んだ。

 

「あの場にはカルテン王と主要な貴族達は全員いた。それが全員死んだんだ。カルテン王の言っていた通り、他の中央諸国がケーキを分けるようにカルテン王国を分断していくだろうさ」

 

「私はてっきり証拠隠滅も兼ねて、王都を更地にすると思ってたわ」

 

 酷い言いようだが、王都の民達は王城を更地にする原因となった空から降る巨大な矢の雨を目撃したはずだ。徹底するのであれば消したほうが良いのかもしれないが……

 

「民達が俺の力を見たからって、何も理解できないさ。むしろ王都が謎の災厄で滅んだってことになったほうが、よっぽど面倒になる」

 

「そう…………。これからどうするの?」

 

「こんな状況じゃあ旅を続けるのは無理だし、やる事もあるから一度光の帝国に戻る」

 

「エルメシアはどうするんだ?」

 

「私は、ママに見つかっちゃったから、流石に帰らないといけないわねぇ」

 

 2人の間に沈黙が奔る。気まずい空気になる中でお互いがどちらから話しかけるか、気にしているとエルメシアが先に話し始めた。

 

「やっぱり国造りは大変よね…………。今日……もう昨日ね。昨日のユーリの姿を見て凄くビックリしたわ。あの時のユーリはとても冷たく感じた…………」

 

 エルメシアはゆっくりと少しずつ言葉を紡いでいく。自分でも言いたいことが纏まっていない状態で、必死に気持ちを言葉にしようとしていた。

 

 だが少しずつ語尾が小さくなっていき、俯きついには黙ってしまう。ユリウスは何か声をかけようとするが言葉が思いつかない。どうしようかと考え始めるとエルメシアが急に顔を上げて大きく叫び始める。

 

「あーッもうッ!! 私らしくないわね! こんなの。ユーリ!!」

 

「えっ、あっ、う、うん?」

 

 急にテンションが変わるエルメシアの言葉に動揺して、変な返事をしてしまうユリウス。

 

「いい!? 前に言った約束通りに私はバラバラになったエルフを統一して国を作るわ! だから次に会うのは私が王様になってからよ。いいわね!!」

 

「えっと、わ、わかった」

 

「気の抜ける返事ね……。まぁいいわ。涙ながらの別れなんて嫌だもの、これくらいが私達にはちょうど良いのかしら?」

 

 そんな緩い空気のまま、別れたユリウスとエルメシア。彼らが出会うのはしばらく先の未来になるだろう。2人の道は似ているようで違う道だ。しかし、彼らの道は時折交わりながら進んで行く。

 

 

 

「ユリウス坊っちゃん。あの愚か者の悪魔を追わなくてもよろしいので?」

 

 影から出てきたチャンドラーが聞いてくる。チャンドラーの言いたいことはわかるが、その必要はなかった。

 

平和之王(ソロモン)でアイツの過去を見た。悪魔なだけに長く生きているからあまり多くは見てないが、今回の茶番の黒幕自体はアイツだ」

 

「アレにあそこまでの事が出来るとは思えませんぞ?」

 

「元々アレには別の役割があったんだ。それをアイツが暴走して勝手に動いた。アレには支配系のスキルがあったらしい。他の悪魔達も知らず知らずに支配されてたみたいだ」

 

 チャンドラーは女悪魔については理解したようだが、まだ疑問が残っているようでユリウスに質問をしてくる。

 

「アレの役割というと?」

 

「明確に何かあったわけじゃない。ただあのお方とやらの目的は俺にあるみたいだ。だから何かあった時のために中央諸国の最西端にあるカルテン王国の支配を命じていたんだ」

 

 ユリウスの言葉に顔を嫌そうに顰め、感想を捻り出すチャンドラー。まぁそのために利用されるのはたまったものではないだろう。

 

 …………いや違うな。最初から欲に溺れる者を見極めてあの女悪魔を当てたのか。黒幕は何処まで考えていたのやら…………

 

「なんとも性格が出るやり方ですなぁ。して坊っちゃんに仇なすその黒幕とはいったい?」

 

 

 

 

「俺を狙っているのは…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ………………原初の白(ブラン)だ」

 

 




次回はミリムが登場予定です……多分そこまで行くはず。

三章の最初が終わっただけで、悪魔騒動はここからです。

転スラとBLEACHについてどれくらい知っていますか? 転スラ書籍版を1、BLEACHを2と表記します

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