今回キャラ崩壊があります。今回だけだと思うので許してください。オナァシャァス
「ここまで、待った甲斐がありましたわ。ようやく…………お会いできたんですもの」
ブランは、感極まった様子だった。尻尾があれば、きっとブンブンと振り回していたと断言できるくらいには、歓喜しているように見えた。
「やはり……お前、俺の眼のことに気づいているな?」
「陛下の時の口調も凛々しいですが、ユリウス様の口調もとても可愛らしい…………」
「質問に答えろ」
ブランはユリウスと対峙してから、正気とは思えない程に話が通じていない。そんなブランに、ユリウスは語尾を強めて詰め寄る。
「申し訳ございません。これほど時間が長く感じたのは初めてでして、取り乱してしまいました。
それで、ユリウス様の眼についてでしたわね? それに関しては、知っていると言うのが正解ですわ」
「いつから見ていた」
「そうですわね。では、一から話させていただきます」
そうして、ブランは先程の様子とは打って変わって、事の経緯を語り始める。
あれは、西側が何やら騒がしいことに気づき配下に探らせていた時のことでした。
「ギィが人間と一緒に戦った? 何の冗談なの?」
「確かに確認いたしました。ギィ・クリムゾン様と人間が共闘していました」
「ギィがそれを許す人間なんて、ナスカ王国の勇者くらいかしら?」
「いえ、あれはルドラ・ナスカではありません。別の人間かと」
「………………気になるわね。もう少し西側に勢力を広げましょうか」
あのギィと共闘する人間が珍しく思い、探ろうとしていました。当時は、ちょっとした興味本位でしかなく積極的な行動はとらずに水面下で行動に留めました。
西はジョーヌやヴィオレの勢力が居ますから、慎重に徐々に人間の国々に毒を巡らせました。カルテン王国は中央諸国の最西端にある国でしたので、そこを起点に勢力を広げるつもりでした。
そしてついに、カルテン王国でユリウス様の姿を見ました。本来であればすぐにお会いしたかったのですが、その時ちょうどジョーヌとヴィオレが、光の帝国にちょっかいを出そうとした事を把握しました。
すぐに第三者を介してギィに情報を流し、事態を沈静させようとしました。
「待て、どうして光の帝国にその情報が回ってこなかった?」
「わたくしが情報をいち早く流したことによって、ギィは精神世界である冥界の方でジョーヌとヴィオレを同時に相手しました。その結果、現世の被害は何事もなく終わったのです」
「冥界か…………」
原状、光の帝国は大聖樹の周囲に情報網を敷いている。しかし、悪魔のいる冥界にまで干渉することは難しい。並の聖兵では警戒網すら意味をなさないので、対処できる人員は非常に限られる。
そもそも物理的に干渉するには、世界に散らばっている地獄門を介さなければならないため、普通の人間にはまず無理だ。対処が可能なキルゲやエレナ、ドーラ、ザイドリッツは常に他の仕事に追われている。
ギィと情報を流したブランがいなければ、それ相応の被害が出ていたはずだ。
「話を戻しても?」
ブランの確認にユリウスは無言で頷いた。
事態が収束する頃には、すでにユリウス様はカルテン王国を出ていました。
「確かアレは、お前の配下の勝手な行動だったな」
「…………えぇ、その通りですわ………………」
ブランは苦々しい顔で頷く。カルテン王国の事件の主導だったあの女悪魔は、ブランの目が外れている内にユリウスを嵌めるつもりだった。ギルドの依頼も時間を稼ぐための手段に過ぎなかったのだろう。
偶然が重なった結果、ブランはユリウスと会う機会を逃し、ユリウスは冥界の騒動について知ることが遅れた。
ユリウスが考えている間に、ブランの語りは続く。
「その後は超魔導大国の迷宮の戦闘を拝見させて頂きました。あれは非常に胸が高鳴るご活躍でした…………。特に、風精人を庇いながら原初の魔人と剣を交える姿は、とても凛々しく。それ以外にも眼を使って翻弄するユリウス様の冷たい表情も、わたくしが睨まれているのかと勘違いしてしまう程でした。何より、最後の攻防は胸を撃ち抜かれました。あえて攻撃を受けて、敵の愚かさを自覚させ、一度使った技で屠る……。原初の魔人は、圧倒的上位存在だとユリウス様認識したことでしょう。なんとも羨ましい……。ではなく愚か者ですが、皇帝の威厳を見せつけ、屈服させ、尚且つ服従を許すその器の大きさ! このブラン、感服致しました…………。その後のユリウス様の懺悔の言葉も可愛らしかった……。矛盾を抱えながらも貫く姿はまさしく勇者のようで、いっそわたくしも魔王となり、因果を持とうかと数日間ずっと悩んでしまいました。それに、ギィにも嫉妬してしまいました。ユリウス様がまるで自分のお気に入りのように主張して、ジョーヌとヴィオレを半殺しにするだけでは飽き足らずに独占しようとするなんて! わたくしにも探りを入れているようですし、何様のつもりなのでしょうか? やはりあの男は傲慢の化身ですわ。ですが、ご安心を。このブラン、ギィはもちろんジョーヌやヴィオレ、ノワールからもユリウス様をお守り致します。その為に、邪魔になるであろうこの国を混沌に陥れたのですから。
どうか、この忠義をお受け取りくださいませ?」
息一つつかないで言いきったブランは、恐ろしいくらいの微笑みを浮かべている。というか、経緯の話のはずが色々飛んでいる。ユリウスでなければ何を言っているのか、まるでわからないだろう。
「…………もういい………………」
こうなることがわかっていたとはいえ、実際に見せつけられて思わず頭を抱えそうになるユーハバッハ。
「もうよろしいので?」
「あくまで、直接説明を聞きたかっただけですでに視えていたことだ」
「やはり、未来を視ていたのですね」
ブランとしては、確実にユーハバッハが未来を視えている保証はなかっただろう。だが、迷宮での戦闘を観て予想はしていたのかそれほど驚く様子はない。
「ここに一人で来た時点で、半ば確信していましたわ。わたくしの情報はほぼなかったはず、その状態でここまで読み切るとなると、手段は限られてしまう」
「カルテン王国の騒動は、お前の配下が起こしたことだ。だがお前の考えとアレの行動は一致しない」
「アレが暴走する危険性もありましたが、あの国をバレないように支配するとなると、わたくしの配下ではアレが適任でした」
「それに関してはもういい。あの女悪魔が起こした騒動で情報を早く認識出来た。謝罪も要らん」
ユーハバッハにとっては、すでに終わったことであり、特段気にするようなことはなかった。むしろ暴走を起こさなければ、ブランの情報得ることが著しく遅れることになっていた。
「では、わたくしを「どういうことだ!! ブラン!!!」…………あら、シーゲル王。ご機嫌いかが?」
ブランがようやく本題に入ろうとしたところで、50代程の髭を生やした一人の男が、慌てた様子でブランに近づいてくる。ユーハバッハのことなどはまるで気づいていないようで、血走った目でブランに詰め寄ろうとするが、途端に動かなくなる。
どうやら、ブランの魔法で一定以上の距離から近づけなくなっているようだ。シーゲル王は、近づけないことに驚いたようで、驚愕を表情を浮かべている。やがて、これ以上進めないことに諦めたのか、その場で声を荒げブランを問い詰める。
「どういうことだ! お前は我が国を繁栄させると契約したではないか!!」
「えぇ、契約通りシーゲル王国はここ十年で大きく発展したでしょう?」
「ふざけるな! なんだこの有り様は! 何故王都が燃えている! 貴様の仕業なのはわかっているぞ!!」
ブランは嘘は言っていないが、恐らく契約において最も大事な部分を説明していない。そもそも、契約するのであれば絶対に必要なことなので、知らないでは済まないことだが…………
「何故……ね。貴方との契約はこの国を発展させることの代価については、何一つ言及された覚えはないわね」
「代価だと! この私の役に立つことが対価だろう! たかが悪魔が、王族たるこの私に対価を要求するだけで許されざることだというのに、それを許す私の器の大きさがわからんと言うのか!」
「愚かで操りやすいから、数ある王族の中で貴方を選んだのだけど…………もう少しマシな人間を選ぶべきだったかしら……申し訳ありません陛下、お目汚しを」
「(確か、以前第一王子が反逆し国を乗っ取ったんだったな。強欲で人望が全くないことは聞いていたが、その通りだったな)」
会話を聞く限り、シーゲル王はろくに対価すら決めずに、契約したようだ。その結果がこのザマだ。国民が知れば何を思うか……
ユーハバッハは、ブランの謝罪を受け取りりつつシーゲル王に話しかける。
「会うのは、初めてだな。シーゲル王」
「誰だ貴様は! この私を誰だと思っている! 口を慎め!」
シーゲル王は怒りで興奮しているようで、子供のように喚き散らしている。ユーハバッハは、そんな言葉を無視して話を続ける。
「貴様の軍は、ちょうど壊滅している頃だろう。王都や周囲の街が滅べば、シーゲル王国は終わりだ。ここは我が光の帝国の一部となる」
ユーハバッハの言葉を聞き、シーゲル王は顔を真っ赤して怒鳴り始めた。
「巫山戯るなよ小僧! そうか、わかったぞ! 貴様、あの忌々しいあの光の帝国の皇帝だな! 貴様のような餓鬼に何がわかる! この私こそ、かつての西側諸国を取り戻し、歴史に名を残す名君となるのだ! それを、貴様のような餓鬼が統治する帝国風情に負けるわけがなかろうが!
もしや、貴様がこの悪魔を我が国へと放ったのか! なんという極悪人だ! 人の心を持たぬ悪魔の手先め!」
シーゲル王は言いたいことを全て言い尽くしたのか、ぜぇぜぇと、荒い息を吐いている。
ユーハバッハは、椅子から立ち上がり無慈悲に告げた。
「シーゲル王。お前の言っていることは、ある程度の的を得ている。私は、ブランがこの国を滅ぼすことを知っていた。言い訳するつもりも謝罪するつもりもない。恨むなら恨むと良い。私は、その恨みすら自らの欲で呑み込み、喰らおう」
「
「なんだ! なんなんだコレは!」
シーゲル王の体が、徐々に光の粒子へと変わっていく。光の粒子は、王都上空にある光の円環にへと集まっていた。肉体が分解されていくのは、シーゲル王だけではない。男や女、老人や子供まで、例外を除いて全ての生存者と死んだ魂達が粒子へと変わっていく。
「せめて痛みなく、あの世へと送ろう」
「巫山戯るな! 慈悲のつもりか! 悪魔め! 貴様は人でない! 地獄に落ち……」
シーゲル王は最後の恨み言を吐く前に完全に光の粒子へと消えた。
王都から、声が完全に消えた。それと同時に光の円環は光の雨となり、静かに降り注ぐ。
「ブラン、いやテスタロッサ」
「はい、陛下」
「受肉はしているな」
「少々不満はありますが、王女の肉体を使い受肉しております」
「これは私からの対価だ。お前には、その分働いて貰うぞ」
「もちろんでございます」
テスタロッサは、上機嫌に声を弾ませている。対して、ユーハバッハは無表情で滅びた王都を眺めていた。
「これでいい。皇帝とは、人ではない。皇帝という種だ」
ユーハバッハには、全て視えていた。シーゲル王国が滅ぶことも、テスタロッサが配下になることも、全てだ。テスタロッサは、数多の数の未来の全てでユーハバッハの配下についている。過程で争うことはあれど、絶対にだ。
今回、未来は視ても改変はしていない。視た未来から、最も都合の良い未来を選択しただけだ。これで、フギンとムニンの力の有効性は証明された。
シーゲル王国という多くの犠牲を出しながら…………
以上テスタロッサのキャラ崩壊でした。今回だけなので、安心して下さい。ディアブロみたいな感じなのをやってみたかっただけです。
三章は今回で多分最後ですね。四章に行く前に、キャラ設定を少しやろうかなと思っています。四章では星十字騎士団の新キャラがどんどん出てくる予定ですので、楽しみにしてて下さい。
キャラ設定で書いて欲しいことがあれば、感想と一緒に教えて下さい。ついでに高評価も下さい。
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