転生したら滅却師だった件   作:抹茶オレン

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前々回の予告は嘘です。レグネジィの話は何処に入れても良かったけど、早く出したくて止まりませんでした。

今回こそ、桐乃の話になります。(導入回)


新たな視察先

 城の中で迷子になった事をギリギリ隠し通せた数日後、桐乃とレオナルドの2人は馬車の中にいた。

 

 2人は以前の私服と違い、白い軍服姿だ。唯一違うのは桐乃が白のプリーツスカートでレオナルドが白のショートパンツな事くらいで上はガッチリとしていて、着ているだけで圧を感じる。

 

「それで今日は何処に行くんですか?」

 

「実は今日から色々仕事に行こうと思ってね。長旅になるから、桐乃には私の助手としてついてきてもらおうと思うんだ」

 

 想定していない回答に思わず桐乃はフリーズしてしまう。すぐにフリーズから取り戻し、慌ててと問いかける

 

「長旅って…………わたし何の準備もしてませんよ」

 

「大丈夫だよ。準備は既に済ませてるし、荷物もある。何か欲しくなったら幾らでもあっちで手に入るから困ることはないよ」

 

 そう言う問題ではないと、声を大にして言いたかった桐乃だが、その気持ちをグッと堪えて質問を続ける。

 

「助手って何をすれば良いんですか?」

 

「私の側にいれば基本はいいかな。これはどっちと言うと、桐乃の為の旅でもあるんだ」

 

「わたしの為ですか?」

 

「桐乃はここ半年間、私の部屋に閉じこもっていたからこの国の事について何も知らないだろう? この旅を通して知っておいて欲しいんだ。きっと桐乃の為になるさ」

 

 それはとても有り難い提案だった。わたしを取り巻く状況はおそらく非常に不味い状況だ。おそらくと付くのは、現状で何の問題も起きていないからだが、得てして悪い事は畳み掛けるように続く物だ。油断など出来るはずもない。

 

 今のわたしには、皇帝に返しきれない借りがある状態だ。

 一つ目が足を治して貰ったこと。現代医療では治療が出来ない障がいをいとも簡単に治す力は、異世界とはいえ簡単な事とは思えない。

 

 二つ目が不老になった事。正確に言えば精神生命体になった事で、食事も睡眠もなく寿命すらないと言う。レオナルドに聞いた時は半信半疑だったが、実際に食事をしなくても体調が悪くなる事はなかった。

 

 わたしは習慣的に食事と睡眠は行っているが、レオナルドは食事はしても睡眠は一切していないらしい。実際、半年間でレオナルドの寝ている姿を見たことは一度も無い為、おそらく本当の事なのだろう。

 

 三つ目が聖文字と言う力らしい。一つ目と二つ目はこの聖文字を与える際に、陛下の魂を与えた結果起きる副次的な効果であって、本来の目的はこの聖文字を与える事の様だ。ついでで障がいの治療と不老ってどんなサービスだよ。と思ったわたしはきっと間違っていないはずだ。

 

 レオナルドから聞いた限りでは聖文字は無色の力であり、いずれわたしの魂の色に馴染み、体を動かすように使う事が出来ると言う。要は、わたしに合わせたチート能力を貰ったという事なのだろう。

 

 はっきり言ってとんでもない借りだ。わたしが欲しいと言って貰った物ではないのでノーカンかも知れないが、そんな楽観的な事は考えてられない。

 

 そもそも皇帝とわたしは碌な会話すらしていない。気づいた時には、薄暗いだだっ広い空間にわたし1人で放り出され、周りを探っていると、少し上におそらく男性であろう影と真っ赤な眼が見えただけだ。

 ただ、皇帝の言ったあの一言がわたしの頭から離れてくれない。

 

 

 

「自らの価値を示せ、それがお前にとって最善の結果に繋がる」

 

 

 

 全くと言ってピンとこない言葉に疑問が頭を埋め尽くしたが、質問する間もなく、レオナルドの研究室に飛ばされてしまった。皇帝の言葉を聞いたのはその一言のみで、いつの間にか足が治ってるし、チート能力が与えられた事も、レオナルドが教えてくれただけだ。

 

 正直、足を治してくれたのは感謝しているし、精神生命体になった事で病弱な体も健康体になった。だからこそ、意味不明な助言? を頼ろうと思ったのだ。

 

「気を遣ってくれるのは嬉しく思いますが、せめて事前説明くらいして欲しかったです」

 

「それはごめんよ。色々忙しくてね」

 

 急遽決まった長旅に動転した桐乃だが、報告だけはして欲しかったと呟きながらも、内心は感謝の気持ちでいっぱいだった。

 

 本来であれば感謝を口で伝えるべきなのだが、伝えた場合まず間違いなく、レオナルドは桐乃の事をからかい始める事が予想出来るので内心に留めていた。

 

 そうして、桐乃の長い旅が始まるのだった。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 かつて、西側の大陸には様々な特色を持った国があった。しかし、災厄によって殆どの国は滅びた。そこに突如現れた皇帝ユーハバッハが光の帝国を建国し、西側の大陸に唯一存在する巨大国家が生まれるのであった。

 

「ここまではいいかい?」

 

「えっと、首都ゼーレはかつて栄えた帝国の跡地で他の六大都市も他の国の跡地を再建したんでしたよね?」

 

「大正解だよ。ちなみに今向かっているのは、北東都市ヴァルトで農業や稲作などが有名な農業都市だよ」

 

 大人が数人、足を伸ばして寝れる程の大きな馬車で、レオナルドは桐乃に光の帝国についての授業を行っていた。態々メガネまでつけて、さながら女教師の気分の様だ。

 

 そんな気分良さ気に教えてくるレオナルドを、桐乃は微笑ましく思いながら問いかける。

 

「例の品種改良のやつですか?」

 

「察しが良いね。北東都市ヴァルトは私が特に協力していてね。今回はその視察が目的なんだ」

 

 光の帝国の首都ゼーレを囲むように存在する六大都市。その一つの北東都市ヴァルトは、名前の通り北東に存在する都市のようで都市の北側には大きな森が広がっており、そこには限られた者しか入れない場所だという。

 

「数日かけて行くつもりだから、存分に授業が出来るから覚悟するように」

 

「わかりました。レオナルド先生」

 

「先生……先生かぁ〜。良いね! 桐野君、助手の間は私を先生と呼び給え」

 

 わたしがノリで言った先生呼びが余程琴線に引っかかったのか、レオナルドは過敏に反応し始める。さながらワトソンになった気分だ。レオナルドがわたしを君付けで呼び始めたのが非常にらしい。

 

「先生呼びは、周りの目がある時限定にして下さい。呼び方を毎回変えるのは大変なので」

 

「そうかい? まぁ仕方ないか…………」

 

 仕方ないと言いつつしょんぼりしだすレオナルド。そんなに先生が嬉しかったのだろうか。

 

 桐乃は一つの疑問を覚えた。品種改良なんて、異世界では難しいはずだ。そもそもそんな発想すら出るかも怪しい。そんな中でレオナルドに助手が居たっておかしくは無いのではないだろうか? 

 

 しかし、桐乃は一度も研究室で助手の姿や他の研究員は見なかった。聞いて良いのか迷ったが、桐乃は聞くことにする。

 

「あの、レオナルド」

 

「ん? なんだい? 少し休憩したいならそれでも良いよ?」

 

「いえそうではなく、レオナルドに助手や同じ研究員はいないんですか?」

 

 レオナルドは桐乃の質問にすぐに答える事はなく、黙ってしまう。聞いたら不味かったかと、失敗を悟った桐乃にレオナルドが口を開く。

 

「まぁ、ちょっとね。私は色々訳ありだったからさ、研究は一人でやってるんだ。そもそも私のやり方は、他の純愛派研究員から清楚系科学ちゃんをNTRったようなもんだからね。邪道も良いとこだよ」

 

「そのわかりにくい上に、下品な例えをやめてください」 

 

 茶化して誤魔化してはいるが、明らかに話を逸らそうとしていた。どうやら聞いては駄目な部分を質問してしまったようだ。

 

 桐乃は質問した事に後悔を覚えながらも、この話をスルーする事に決めた。

 

「えっと、霊子兵装でしたっけ? それってわたしも使えるんですよね?」

 

「もちろんだよ。光の帝国の全ての民は産まれた時に陛下の血を飲まされるんだ。おかげで私達は陛下の力である滅却師の力が使えるようになるってわけだよ」

 

 赤ん坊に血を飲ませるのは、どう考えてもアウトな気がするが、この国ではそれが有り難い事になっているらしい。

 

「でもわたし、陛下の血なんて飲んでませんよ?」

 

「……………………ん?」

 

 桐乃の言葉に壊れたロボットのように硬直するレオナルド。桐乃の言葉がとても信じられないようだ。

 

「でも聖文字はちゃんと貰ってるじゃないか。いやでも、ん〜?」

 

 過去一の動揺をし始めるレオナルドだが、そんなに大事な事だろうか? 

 

「とりあえず、滅却師の力が使えない事は誰にも話さないように」

 

「どうしてですか?」

 

「この国ではね、誰もが滅却師の力を持ってる。戦闘用にとして使える人間は限られてはいるけど、簡単なフォークやナイフ程度であれば大人なら皆出来るさ。

 でもね、陛下から血を与えられても稀に滅却師の力が全く使えない人がいるんだ。そういう子供は差別されるから、絶対に言っちゃ駄目だ」

 

 差別と聞いて、思わず体を強張らせる桐乃。異世界だろうとそういうのはあるのだと、妙なリアリティを感じた。

 

 この世界も人は、当たり前のように過ごしている現実なんだ。ここは夢でもゲームでもない。力がなければ、わたしのような子供は見放されたらまず間違いなく終わる。

 

「…………肝に命じます」

 

「怖いかい?」

 

「少し、ここが紛れもない現実なんだと改めて認識しました」

 

「この話はやめるかい?」

 

「いえ、続けてください」

 

 気を遣う素振りを見せてくるレオナルドに、体の強張りが少し和らぐのを感じた桐乃だったが、それは甘えだと振り切った。

 

「滅却師の基本、霊子兵装は周囲の魔素を分解して霊子を生み出す。そして、その霊子を使って武器や食器、工具、農具、練度を上げれば家具や服、建物まで生成する事が出来る万能な力なんだ」

 

「兵装とは何かと言いたくなりますが、便利な物なのは理解しました」

 

 少しこの国の事がわかった気がする。この国は皇帝の力の恩恵による物が非常に大きいのだろう。霊子兵装だけでこれだけの事が出来るのであれば、民衆にとって皇帝の力が偉大な物だと思うのは当然なのかも知れない。

 

 差別はその弊害なのだ。光の帝国の民というだけで与えられる力は、民衆にとっては偉大でありながら持っていて当然な物でもある。それを持っていない人は非常に目立つ上に、不気味に映るのかも知れない。

 

 それ故にレッテルは貼り放題だ。皇帝に見捨てられた者、人間ではない何か、歪んだ本性の表れ、そういった噂という先入観が人を差別へと助長させる。

 

 他者より違うのは、社会的に動物である人間にとってそれだけ大きいのだ。例えば、眼球を持っていない顔を見て不気味に思うのは、至って正常な反応だろう。ホラーゲーム等でもよく使われる手法だ。

 

 しかし、現実にそんな人がいたらどう思うだろうか。友人は出来るかも知れないし、家族は気にしないかも知れない。だが他人は別だ。その人が目を隠していても、眼球がない人間だと知っただけで怖がり、不気味に思う人もいるかもしれない。

 

 脚をまともに動かせなかったわたしには、それがよくわかる。子供は特にそうだ。純粋故に、加減と配慮を知らない。

 

 桐乃は、人に優しさがある事を知っている。同時に嫌いになってしまいになりそうな程に、残酷な生き物である事も知っているのだ。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 長旅の初日はどうやら野宿のようで、馬車を降りた桐乃は既に太陽が沈んできている様子をみながら、一つ不安を覚えていた。

 

「レオナルド、わたし野宿とかした事ないんですがどうするんですか?」

 

「おやおや、もう忘れたのかい? 準備万全だって言ったじゃないか」

 

「でも、荷物なんて一つも見当たりませんよ?」

 

 馬車に荷物らしき物などは一つも積み込まれてはなく、レオナルドは手ぶらだ。

 

「じゃあ見せてあげよう! 最近出来た発明品を! ドーラやっちゃって!」

 

 レオナルドが大袈裟な手振りでドーラさんを指差す。というか、ドーラさんもいたのか……。確か前にエリアスの馬車の御者の人はずだが、レオナルドの馬車の御者もしているらしい。

 

 前回は小窓から声を聞いただけだったので、顔は初めてみる。二十代後半の整った顔の大人な女性で、夕日のようなオレンジ色の髪を長い三つ編みに纏めていおり、格好は白い軍服と似たような格好をしている。

 しかし、何だろうか? はっきりと言語化出来ないがわたし達の服とは何かが違うような…………

 

 桐乃が思考している間に、レオナルドに指名されたドーラが胸ポケットからカプセルのような物を取り出す。それを地面に軽く放ると、それが一つの布で出来た三角錐のテントになった。

 

「ドラ◯ンボー◯のアレじゃないですか…………」

 

 桐乃は思わず呟いてしまう。しかしどう見ても例のアレにしか見えないのだ。

 

「よく知ってるね! 原理は簡単だよ。物そのものを小さくしているんじゃなくて、空間そのものを圧縮しているんだ。今はそこそこの大きさしか無理だけど、目標は船とかを入れることだね。

 ちなみに私は、映画と力の大会しかド◯ゴン◯ールは知らないよ!」

 

「めちゃくちゃにわかじゃないですか…………。もう何処にツッコめば良いか分からなくなってきましたよ」

 

 呆れ通り越して、困惑する桐乃だがやっている事は凄い事だ。これなら荷物が多くて困る事は無いだろう。レオナルドが手ぶらだったのも理解出来る発明品…………正確には模造品だ。

 

「さぁさぁ、中に入ると良いよ」

 

 レオナルドに勧められテントの中に入ると、そこにはかなり広めのリビングルームが広がっていた。

 

「(これはもしかして…………)」

 

 先程のカプセルといい、桐乃の頭によぎる一つの可能性があった。

 

「これは◯リー・ポッ◯ーの拡大呪文のかかったテントの再現だよ! ちなみに、ファ◯タス◯ィック・ビー◯トのトランクもあるよ!」

 

「誰もそんな事聞いてませんよ…………」

 

 聞いてもない解説と捕捉をするレオナルドの作った予想通りの代物に、再度呆れ果てる桐乃だった。

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 その後もレオナルドの解説は続いたが、まともに聞いたら夜が明けると悟った桐乃は解説をぶった斬った。

 テントの中にはそれぞれの個室があるようで、桐乃はそのうちの一つを使っている。

 

 部屋は1人で使うには広すぎる部屋で、とてもテントの中とは思えない。

 

「今夜は寝付けなさそうですね…………」

 

 流石に旅先でレオナルドの部屋に押し掛ける訳にはいかなかった桐乃は、いい加減慣れる覚悟を決めた。

 

『お食事の準備が出来ました。桐乃様』

 

「わかりました。すぐ行きます」

 

 コンコンッとドアをノックする音と共に、ドーラの声が聞こえる。まだ10分程しか経っていないはずなのに、食事が出来ていることを疑問に覚えた桐乃だがすぐに返事を返し、ダイニングに向かうことにした。

 

 

 

 ダイニングには、大きなテーブルに沢山の食事が並べられていて、とても美味しそうだが3人で食べきれるかどうか不安な量だった。

 

「食べ切れますかね?」

 

「大丈夫だよ。私が全部食べるさ」

 

 レオナルドが自信満々に言うが、特に大食漢という訳ではないはずだが何処からそんな自信が出てくるのだろうか? 

 

「桐乃様が食べやすいように油が多い料理は控えておりますので、ご安心ください」

 

 ドーラさんに言われて、料理をよく見てみると揚げた料理や肉類はなかった。野菜と魚中心の料理で、毎朝食べている白パンもある。

 都合の良過ぎるくらいに、わたしの好みばっかりだ。

 

 わたしの疑問を悟ったのか、ドーラさんが先んじて疑問に答える。

 

「桐乃様は油が多い物が苦手な様子でしたので、蒸した白身魚や苦味の少ない野菜などを使った料理を御用意致しました」

 

「よくわかりますね……」

 

「メイドの嗜みですので」

 

 なんてことの無いように言うドーラに、思わず仕事人っぽくてカッコいいと思ってしまう桐乃だが、ふと新事実に気づく。

 

「というか、メイドさんだったんですね」

 

「凄いだろうドーラは? 光の帝国の建国当時から陛下を支えている最古参なんだよ」

 

「なんでレオナルドが自慢げなんですか…………」

 

 何故か自慢げなレオナルドは置いといて、ドーラさんはメイドだったのだとしたら色々と納得だ。ドーラさんの服に感じていた違和感は、丈の長いヴィクトリアンメイド服の酷似だったのだろう。

 

 白い軍服とヴィクトリアンメイド服のキメラという突飛な服装だが、不思議と似合っているので相性とは意外なものだ。

 

 実際に食事にとても美味しく、食べきれるか不安だった筈の量は普通に食べきってしまって、メイドさんの凄さがよくわかった。

 

 

 

 食事も終わって深夜、お風呂にレオナルドが乱入して来るという事件もあったが、何とか収束してベットに横になる桐乃。

 

「(やっぱり、寝られない)」

 

 桐乃は未だにこの世界に慣れていない。食事は慣れたしお風呂もあって、ふかふかのベットもある贅沢しているのに不安が桐乃を離してはくれなかった。

 

「(少し外の空気を吸ってこよう。気分転換にはなる筈)」

 

 レオナルドは自分の部屋に籠もっている筈なので、邪魔をしないようにそろりとテントから出た桐乃はふと空を見上げる。

 雲が出ているが、雲の間から月明かりが射し込む朧月だ。

 

「都会じゃあ、こんな綺麗な朧月は見れないだろうな……」

 

「異世界の空はこの世界とは違うのですか?」

 

「…………ん?」

 

 一人の筈の外で後ろから声が聞こえてくる。恐る恐る後ろを向くと、そこには此方を見つめるドーラさんがいた。

 

「何だドーラさんですか…………驚かせないでください」

 

「申し訳ありません。桐乃様がテントを出るのを見かけたものですから。ここは光の帝国領内の草原とはいえ、女性が一人で出歩くのは危険ですから」

 

 ドーラさんに言われてようやく気づく桐乃。ここは日本ではないのだ。危険なのは当然だ。

 

「すみません。勝手に出歩いて」

 

「いえ、メイドですので。お気になさらず」

 

「(そうだ……レオナルドは確かドーラさんは最古参だって言っていた。今が、色々聞くチャンスかも知れない)」

 

 そう思い立った桐乃は、ドーラに質問する事にする。

 

「あのドーラさん、皇帝陛下ってどんな人ですか?」

 

「何故そのような事を?」

 

「いやその、わたし皇帝陛下に恩があるんですけど。正直、皇帝陛下が何を考えてわたしを助けたのかが、よくわからなくて」

 

 ドーラは桐乃の言葉に少し考える素振りを見せるが、やがてゆっくりと語りだした。

 

「私は、陛下が産まれた時から侍女をしておりました」

 

 最古参とは聞いてはいたが、思っていたよりもずっと前だった事に思わず桐乃は驚愕する。

 

「その時から陛下の傍でその成長を見守ってきました。だからこそ言えます。陛下は偉大な御方です。ですが、同時にあらゆる責任をその身に負っています」

 

「責任?」

 

 国のトップであればそれ相応の責任があるものだが、ドーラさんが言う責任とは違うような気がする。

 

「私は陛下にこの身と心を捧げ、滅びまで共にすると誓っています。桐乃様、貴方様にそれを強制するつもりはありません。

 ですが、陛下が聖文字を貴方に与えたのは決して不幸でも悪意がある訳でもありません。

 どうか、桐乃様が陛下のお力になる事を私は祈っています」

 

 ドーラさんの話はあくまで主観だ。わたしには未だ皇帝への印象が定まらない。しかし、その言葉が偽らざる本心でありドーラさんの忠義が篭っているような気がした。

 

「(一人の人間にあそこまでの忠誠を誓わせる程の人間……どんな人なんだろう)」

 

 

 

 桐乃は、あそこまで言わせる皇帝の事が何故か無性に知りたくなった。





光の帝国の実態の一部と最古参のドーラさんのお話でした。

差別云々はフィンションなんで適当に流して下さい。あくまで桐乃の主観です。

ドーラさんに関しては、割と最初から居るのに全く出番の無いキャラだったので覚えてない人もいるかも知れませんが、作中でトップを争うレベルでユリウスを心配している人です。

転スラとBLEACHについてどれくらい知っていますか? 転スラ書籍版を1、BLEACHを2と表記します

  • 1と2を知っている 
  • 1は知らないが2は知っている 
  • 1は知っているが2は知らない
  • 1も知らないし2も知らない
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