転生したら滅却師だった件   作:抹茶オレン

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        誰も見えない光景

        誰も成し得ない所業 

        誰もが諦める夢

        まだ足りない  

        また奪い続ける 

    たとえどのような未来になったとしても 



運命

 戦闘は再び、接近戦に移行していた。

 少し違うのは、ギィが先程と同じように剣を手にしている一方で、ユリウスは霊子兵装を消し、投手格闘による肉弾戦を行っている点だ。

 

「うぉっ!」

 

 鋭い貫手が剣を弾き、そのまま顔へと迫る。ギィは紙一重でそれを躱したが、次の瞬間、足元をユリウスに踏みつけられて逃げ場を失う。

 

「(……空中だぞ?)」

 

 空中に足場などあるはずもない。だが、ユリウスはご丁寧に霊子で足場を形成していた。

 

 後に引けなくなったギィが振りほどこうと動くより早く、ユリウスが崩拳を繰り出す。剣でそれを防いだギィだったが、直後にユリウスのもう片方の手が剣を持つ手首を掴み、そのまま宙へと投げ飛ばした。

 

「(ちっ……!)」

 

 不意を突かれた形だったが、ギィは空中で一回転する間に即座に体勢を立て直し、ユリウスとの距離を詰めたまま再び至近距離からの元素魔法“熱龍炎覇(ナパームバースト)”を叩き込む。

 

「……同じことの繰り返しが好きだな。だが、いい加減飽きてきた」

 

 炎を軽く防いだユリウスは冷めたようにそう呟いた。前回のゼロ距離攻撃で効果が薄いと分かった時点で、ギィの魔法が通じないことは明らかだった。

 

「(硬すぎる……)」

 

 ギィは内心で苦々しく思う。

 究極能力を絡めた魔法は、まともに命中すれば竜種にすらダメージを与える。にも関わらず、ユリウスはほぼ無傷。

 

 無傷で済ますには、竜種以上の膨大な魔力が必要だ。しかしギィが見た限り、ユリウスの魔力は膨大ではあるが、竜種を凌駕しているわけではない。

 

「…………試すか」

 

 ギィが小さく呟くと、空間が白に包まれていく。気温はみるみる内に低下し、ユリウスの吐く息が白く染まっていく。

 

 ギィの究極能力(アルティメットスキル)傲慢之王(ルシファー)』は、視認したスキルであればコピーし、自身に合わせて最適化することも可能という汎用性に優れたスキルだ。

 

 発動したのは、ヴェルザードの究極能力『忍耐之王(ガブリエル)』と、竜種として性質の"停止"を組み合わせた技能(アーツ)"凍れる世界(エターナルワールド)"。それはあらゆる物質・空間・時間などを停止させる。

 

 常時吹雪が吹き荒れ、自然影響無効すら突破する永久凍土を顕現させる権能が戦場を支配する。そんな極地の世界は、ユリウスの身体に確実に影響を与え始めていた。

 

「なるほど…………これが竜種の権能か。わかっていたが、通常の静血装(ブルート・ヴェーネ)では完全に防ぐことは無理か」

 

 ユリウスは静血装をすでに展開していた。それでも震え始めた自らの手を見て、長くこの空間に留まるのは危険だと判断する。

 

「やっぱりな。あの重瞳以外でも何か隠してるな?」

 

「手札を隠すのは当然の戦略だ。第一、それは貴様も同じだろう」

 

 二人が持つ手札の枚数は豊富だ。しかし、ユリウスは手数でギィには敵わない。ギィがコピー出来るスキルは、数え切れないほど豊富のはずだ。

 

 例えばさっきの自爆。核撃魔法に死霊魔法を組み合わせて威力を底上げする手法は、あの場だからこそ上手く機能した。

 

 だが原初の悪魔たるギィなら、そんな回りくどい方法を使わずとも、威力を底上げすることは幾らでも出来るはずだ。

 

 ギィだけではない、悪魔という種族は魔法の申し子だ。変人でもなければ、死霊魔法を用いた核撃魔法の底上げをしようとは思わない。腕を再生させる分のエネルギーを消費するだけで無駄が多く、効率が悪いと考えるのが自然だ。

 

 アレは人間の技術だ。本来の使い方は、魔力量などの関係で威力の底上げが出来なかったり、未熟故に発動出来ない魔法を生贄を用いた死霊魔法で代用することだったのだろう。

 

 魔法だけではない。人間の技とは不足を補い、模倣と工夫の積み重ねの果てに編み出されるもの。

 何千、何万の人間が知恵と失敗を積み重ねてきたからこそ、様々な発想が生まれてきた。どれほど優れていようと、寿命のない悪魔には絶対に得られないないモノだ。

 

 

ギィ・クリムゾンを除けば

 

 

 人間の強みを理解しているギィは、技や魔法の発想を模倣しては改良し、自らのモノとして習得している。

 

 究極の権能にてあらゆるスキルをコピーし、他者の知識・技能・経験を最大限に活かす。智の究極を極めた最強の存在、それがギィ・クリムゾンだった。

 

 ユリウスは最初から、手札の多さで負けていることは理解していた。否、今後ギィ以上に多くの手札を持つ存在が現れることはないと確信している。

 

 万の手札を持つ相手に勝つには、唯一無二の“究極の一”で対抗する他なかった。わかってはいたが、技のみでギィに勝てるほどの差は、ユリウスにはない。

 

「…………まだ、足りないな。これも結果である以上、受け入れる他ないか………………」

 

 そうしている内に、ユリウスの身体を蝕むように吹雪は強まり続け徐々に四肢から霜が這い始める最中、ユリウスはゆっくりと口を開いた。

 

 

「ソロモン……限定段階を解除しろ」

 

 

『限定段階解除を確認。

 

 規定以上の攻撃時のみ使用された概念【聖霊子】を使用されている霊子と全変換。

 

 同時に、概念【霊子融合炉】及び【霊子増殖炉】の起動を開始』

 

 

 ユリウスの身体を覆っていた霜が消え、深く濃い青の霊子が全身から立ち昇る。その姿を見たギィは、試した甲斐があったと獰猛に笑った。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「第二ラウンドってやつだな」

 

 そう身構えた瞬間、光の槍が正面から飛来する。ギィはその槍を回避ではなく、防御を選んだ。理由はない、直感的にそう行動しただけにすぎない。

 

 ギィの展開したのは、あらゆる波長を断絶させることが可能な絶対防壁“雪結晶盾(スノークリスタル)”だ。それは霊子すら例外ではなく、容易く防げる…………はずだった。

 

増殖(アンヴァクセン)

 

 一本の光の槍が雨のように増殖して降りかかり、雪結晶盾に命中する。しばらくは光の槍を防いでいたが、やがてミシミシと不吉な音を立てながら雪結晶盾に亀裂が走ると、ギィは光の槍の雨を突っ切るように接近していく。

 

 直感的の行動は功を奏し、雪結晶盾はバラバラに砕け散り、複数の光の槍がギィの体に突き刺さりながら、至近距離からの魔法を放つ。

 

 それは、氷結吐息(フリージングブレス)というヴェルザードが竜形態で放つブレスを基盤に、魔法で再現・強化したもの。"凍れる世界"と相互干渉して威力が上がったブレスは、万物を氷結させる死の吐息へと変貌していた。

 

 白いブレスがユリウスごと戦場を呑み込むが、その中からギィの顔を狙って貫手が迫る。ギィはなんとか顔を傾けて直撃を避けるが、掠っただけで片目が潰れる。

 

 現状、ギィは片目を損傷と光の槍に肩や太腿を貫かれ、ユリウスはブレスの影響で先程消えた霜が、再び全身を侵している。

 

 二人はそんなことも気にせず、同時に攻撃し互いの拳が衝突したその時、世界がヒビが入ったように割れて次元に穴が開いた。

 

 本来なら、ブラックホールのようにすべてを吸い込むはずの次元崩壊。しかし“凍れる世界”の影響により、ありとあらゆるものが停止したまま、彫刻ようなヒビ割れた穴が存在する異空間。

 ヒビ割れた次元世界が形成されてしまっていた。

 

 穴の内部は、まるで宇宙空間を思わせる広大な異界。ギィとユリウスは、その中で拳を交わし、剣で斬り結んでは互角の戦いを繰り広げていた。

 

「ここまで楽しめる戦いは久し振りだっ!」

 

 ギィは高揚したように笑いながら、殺意を込めて辺り一面を魔法による絨毯爆撃で牽制する。

 

「そう何度も同じ攻撃が牽制になると思うな! ギィ・クリムゾンッ!」

 

 その爆撃の中をものともせずに突っ切り、ユリウスは至近距離へと間合いを詰める。

 

「以前のように、痛みだけで済むと思うなよ」

 

聖なる道(ザンクト・ヴェーク)

 

 お返しと言わんばかりに、ゼロ距離からの放たれた青い光の奔流が、ギィを呑み込んでは異空間を削るような傷跡を残す。

 

「…………意趣返しのつもりか…………? 根に持ちすぎだろ。モテないぜ?」

 

「あの竜種の傍にいる貴様が言うと、羨ましいとも思えんな」

 

 光の奔流が収まり姿が現したギィは、全身に裂傷と火傷を負いながら、傷跡から煙を上げている。今までで一番の重傷だった。

 

 ユリウスの負傷は、災厄の魔幻爪(カラミティクロウ)の一撃と、“凍れる世界”の発動時、ブレスによる四肢の氷結。

 

 対してギィは、両腕の損失と光の槍による肩と太腿の貫通、貫手での片目の失明。

 

 既に治癒しているとはいえ、両者が積み重ねたダメージも互角に等しく、戦況は完全な一進一退だった。

 

 そこに、ユリウスが大きな一撃を加えてリードした。その事実は理論ではなく、精神的に大きな意味があった。

 

「ようやく、それらしい姿になったな。以前とは真逆の立ち位置だ」

 

 かつて、ギィの停止世界によって動けなかった時に食らったミリムの竜星爆炎覇(ドラゴ・ノヴァ)は、ユリウスを死にかけにまで追い詰めた。

 

 ギィのダメージは死にかけとは言わずとも大きく、そう簡単には治せない。奇しくもそれは、丁度数百年前とは逆の構図になっていたのだ。

 

「あの時は時間がなかったからな。ミリムの攻撃が丁度良かった」

 

「………………まだ何か企んでいるな? その無駄な挑発も、私を誘っているのか」

 

 ギィはボロボロの状態でも、その顔は余裕の笑みを浮かべている。目はまだ死んでおらず、むしろこの場には似つかわしくないほどに輝いていた。

 

「なぁ、今楽しいか?」

 

「私が戦いを楽しんでいるように見えるのか? 戦闘行為に手段以上の意味はない」

 

 ギィとユリウスのスタンスは、依然として対照的だ。戦闘を楽しむギィと、手段としての価値しか見出そうとしないユリウス。そんな二人の価値観が交わることはなく、ルドラ・ナスカのような関係には決してならない。

 

 だからこそ、ギィは悲しくもあり、それでいて夢の奴隷のように生きるユリウスに憐憫の情を抱いていた。

 

「オレに勝ってどうする? いずれオレを倒す勇者を待つんじゃなかったのか?」

 

「そんなことを言ったこともあったな。だが忘れろ…………お前の存在は、ただの勇者が打倒するにはあまりにも大きすぎる。いっそここで消しても、きっと同じことだろう。

 所詮、個人が世界に与える影響などたかが知れている。消えればいずれ忘れ去られ、歴史すら残さずに消えていく。それが世界だ」

 

 ユリウスの言葉には、どこか失望と諦念が滲んでいた。数百年で生物が進化することはない。それでも、人はあまりにも変わっていなかった。

 

 数百年の間、各国の小競り合いは絶えず、戦争の火種は常に燻っている。

 そんな状態を一人の勇者が抑えた。しかし、各国はそんな勇者を籠絡や暗殺を仕掛け、今なお足を引っ張り続けている。

 

 そもそも、勇者が一人で中央諸国を収めた訳では無い。その裏には、ルミナス・バレンタインがいることは調査によって判明していた。

 

 結局、魔王の手助けなしには何も出来ず、中央諸国の半分がオークディザスターによって滅ぼされる始末だ。仮に中央諸国が復興し、発展したとしても魔王の支配下であるという事実に変わりない。

 

 ギィ・クリムゾンを打倒する勇者など、生まれはしない。それがユリウスの導き出した結論だった。

 ならいっそ、自分で殺したほうが早い。半ば自暴自棄のような考えだが、どのみち戦うつもりだったのだから、丁度いいとすら考えてしまった。

 

「運命とは残酷なものだ。誰もがソレに抗うことが出来ない。かつては、もっと人が特別だとすら思っていたが、思い上がりにもほどがあった。

 貴様のように、生まれたときから特別な存在でもなければ、大抵は誰かの糧にしかならない」

 

「諦めるのか?」

 

「一度は始めた大偉業だ。それを途中で投げ出すつもりもなければ、その権利もない」

 

 世界はずっと無情だった。弱肉強食、諸行無常、盛者必衰、世の中のほとんどの生物にこれが当てはまる。例外は、生まれが特別な者達や、異界からの来訪者、異世界人などの存在ばかり。

 

 だが諦めるつもりなどなかった。この世界で人として誕生し力を得た者として、数多の命を踏み躙り、屍の道を築いて進む覚悟を遥か昔から決めている。

 

「これ以上の言葉は不要だ。時間稼ぎに付き合った。つまらん策を弄すのであれば、先に光に消えるとしれ」

 

 静謐な雰囲気は鳴りを潜め、眼光を鋭くさせたユリウスが告げる。

 

苦悶の環(クヴァール・クライス)

 

 数百にも及ぶ大聖弓が、ボロボロのギィを取り囲むように現れる。

 その矢が放たれたと瞬間、全ての矢が一つの環状に変化して檻のようにギィを拘束していく。

 

「ツッ!!」

 

 全身を縛られたギィが即座に転移しようと試みるも、力が入らずに転移魔法も失敗する。力任せに破ることも出来ずに拘束されたギィに、もう一度"星屑"が放たれる。爆風で辺り一帯が煙に包まれるも、ユリウスは油断することなく警戒を続ける。

 

「なっ………………!?」

 

 煙が晴れた先、ギィのいた場所には何も残っていなかった。跡形もなく消失したと思えたが、ユリウスは楽観的ではない。消失したことに驚愕しながらも、周囲を即座に索敵する。

 

 すると、真上と真下から全く同じ反応を確認する。反応といってもギィと断定できる反応ではない。だが、この激闘が繰り広げられる異空間において全く同じ反応が二つ存在するのは、血が繋がっていないのにも関わらず、DNAまで瓜二つの人間が存在するのと同じくらいにありえないことだ。

 

 ギィが突如消える現象に、同一の反応が二つ。この不可思議な現象を説明できる力は、一つしかなかった。

 

聖堂…………(ザンクト)

 

 ギィの策が思い当たった瞬間、上下から超光速の熱線がユリウスを呑み込む。

 

 それと同時に二本の熱線が交差し、かつてないほどの爆発が起こす。それは形成された異空間と“凍れる世界”を跡形もなく破壊した。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 異空間が完全に崩壊し元の世界へと戻った上空では、爆発の余波が次元を超えて伝わり、異常気象を引き起こしていた。分厚い黒雲が発生し、雷鳴が轟いては暴風のような風まで発生している。

 

 姿を消していたギィは、攻撃があたったことを確認して姿を現す。ギィが注視するのは、爆発とともに熱線が溶岩のように粘性を帯びてユリウスのいた場所に残存している一点。

 

 この状況に至るには、ユリウスが“聖なる道”を放つ少し前に遡る必要がある。ギィは核撃魔法による絨毯爆撃の最中に、並列存在を使用していた。

 

 並列存在は、能力が低下する分身体とは異なり、本来のスペックと殆ど変わらず行動可能で、ギィはヴェルダナーヴァが使っているのを見たのをきっかけに編み出した秘策の一つだ。

 

 ここまで使用に踏み切らなかったのは、完成には至っておらず、究極能力の使用制限や同時に維持可能数が二体までという制限があるからだ。

 

 それでも、効果としては充分だった。“聖なる道”を受けたのは二割ほどの魔素を分けた一体。かなりのダメージを受けたものの、囮の役割は果たした。

 

 そして、もう一体の疑似並列存在と共に、ヴェルグリンドの『灼熱竜覇加速励起(カーディナルアクセラレーション)』を放ち、ユリウスに大きな一撃を与えることに成功したのだった。

 

 しかし、ギィは溶岩状になった熱線の残骸が消え、白く輝く聖堂が現れるのを見て、内なるの熱が更に燃え盛るのを感じた。

 

聖堂礼拝(ザンクト・カテドラル)

 

 白く輝く六芒星から顕現した小さな聖堂がユリウスの後ろに鎮座していた。その聖なる光が、ユリウスを熱線から守護していたのだろう。

 

 だが、発動が僅かに遅れたのか、ユリウスの右腕は肩から消失しており、ギィの攻撃の威力を物語っている。

 

「…………分身体ではないな。もっと高次元の力か……記憶や意識まで本人と変わらんとはな。巫山戯た力だ」

 

「右腕一体で済ませておいて、それを言うかよ。巫山戯た力って言いたいのは、こっちだろうよ」

 

 両者の言葉には、冷静な判断を焦がすような熱が籠もっていた。ギィはかつてない程に昂る戦いの高揚に。ユリウスは自分の認識の甘さが招いた失策に。

 

 方向性は異なれど、今更出し惜しむような考えは、互いの脳裏の片隅にも存在しない。

 

 二人の青と赤のオーラが燃え盛るように溢れ、分厚い黒雲に覆われた灰色の空を二つに割る。ギィとユリウスは、ほぼ同時に切り札を抜いた。

 

「誇っていいぜ。オレに剣を抜かせたことを…………」

 

 ギィの右手には、黒い枝のような柄を持ち、虹色に輝く細身の刀身の剣が顕現する。オーラはさらに増大し、剣そのものが鼓動するかの如くギィの力を引き出している。

 

「終わらせてやる…………」

 

 ユリウスの瞳が、血のように紅く輝き、三つの重瞳へと変化する。四肢に血管のように張り巡らせた霊子が輝きを増し、その色はより濃い青へと彩色が変化していく。

 その手には霊子が奔流のように迸り、霊子兵装がパチパチと火花を散らす。

 

 もはや手札を伏せることすら忘れた死闘の域に達した二人の言葉が、重なり同時に告げる。

 

 

 

「見せてやるよ」

 

 

 

「視えているぞ」

 

 

 

 天が真っ二つに割った空の中、世界最強に近い二つの頂点が、ついに全力で激突するその瞬間、複数の影が二人の間に出現した。

 

「そこまでじゃ!!!」

 

 ルミナスの声が、戦場に割って入るように響き渡る。ヴェルザードがギィを羽交い締めで抑え、斬りかかったユリウスの前にテスタロッサが現れ、首を断ち切る寸前でその剣を止めている。

 

 直接抑えているヴェルザードとテスタロッサのさらに間には、ディーノとダグリュールが戦闘体勢で警戒していた。

 

 魔王・竜種・原初などが全員でギィとユリウスを抑え、周囲に緊張した空気が走る。その中で、直接抑えていないルミナスが鋭い声で怒鳴る。

 

「この世界を本気で崩壊させるつもりか、貴様ら!」

 

 ルミナスの言葉は最もだ。二人は、少なくとも終盤辺りから周囲のことを完全に無視して戦っていた。先ほどまでは、異空間や"凍れる世界"があったから無事な側面があったが、今はそんなものはない。

 

 この状況でぶつかれば世界が滅びかねないことは、火を見るより明らかだった。

 

「これ以上は看過できん。続けるというのであれば、貴様らを止めねばならん」

 

 ルミナスの言葉を聞き、剣を消して戦闘体勢を解除するギィとユリウス。しかし、互いに完全に納得したという様子ではない。

 

「引き分けか…………不完全燃焼もいいとこだが、仕方ないか。お前もそれで良いよな?」

 

 ギィは、一言も話さないユリウスに確認として問いかける。戦闘体勢は解除しているが、一応聞いとく必要がある。

 

「引き際を見誤ったのは認めよう。短気決戦に持ち込めなかった時点で、あり得た未来だ」

 

「次は決着つけようぜ?」

 

「…………次があればな」

 

 そう言い残して、ユリウスとテスタロッサは影の中へと消えていき、歴史に残ることのない一時が終えるのであった。

 

 

 

それは未来の彼方まで見透し、改変する全知全能の力を有している

 

 

それは己の力と魂を与え、昇華させる最優の権能を持っている

 

 

それは常識を凌駕し、■■■の枠組みを超越した真の■■の■■の資格を秘める

 

 

それは冷徹無比なる絶対の皇帝でありながら、誰よりも種の先を行く真なる光の勇者である

 

 

    光の帝国皇帝  【A 全知全能(ジ・オールマイティ)

 

 

        ユリウス・ベルツ

 

 





レオナルドの設定暴露その17

二人の戦闘詳細について

[第一ラウンド]
ユリウスとギィはお互いに牽制を続けていた為、ユリウスは聖霊子を、ギィはヴェルザードとヴェルグリンドの権能を使わずに戦っていた。

ギィは改良した魔法を巧み使い牽制、ユリウスはカウンター気味に牽制した結果、星屑が命中してギィの腕が消失し、その後自爆も一時的な聖霊子の使用によって対処されもう一本も消失。

ユリウスは聖霊子を使わされたものの、有利に戦闘を進めた。

[第二ラウンド]
近接戦闘からユリウスが頑丈すぎることに疑問を持ったギィが、ヴェルザードの"凍れる世界"を再現。もはや静血装では防ぐのが厳しいと判断したユリウスが、聖霊子などの概念を使用した。

異空間が形成されるくらいには戦闘が激化し、二人は少なくないダメージを負ったが、最終的には意趣返しとして放った『聖なる道』で、ユリウスが一歩リード。

[第三ラウンド]
ギィが疑似並列存在を発動して、ユリウスを欺くことに成功する。その間に、ヴェルグリンドの『灼熱竜覇加速励起』を再現した攻撃を疑似並列存在と同時に行う。

しかし、ギリギリ聖堂礼拝を発動させたユリウスが攻撃を防ぐが、疑似並列存在に気を取られて右腕を半ば犠牲にする形で攻撃を防いでいた。

[第四ラウンド]
完全に異空間と"凍れる世界"を破壊し現実世界に戻ってきた二人は、手札を出し惜しむような冷静さは残されてなく、お互いに相手を捻じ伏せることだけを考え始める。

熱中の末に、ギィは創世級の武具【世界】を取り出し、ユリウスは【全知全能】を開眼。二人がぶつかる寸前で、他の魔王達とヴェルザード、テスタロッサが止めに入って戦闘終了。

[戦闘結果]
引き分け

互いにダメージを与えたものの、致命傷にまでには至っていない。一応、ユリウスの『聖なる道』をまともに受けた時のダメージが今戦闘の最高ダメージ。
エネルギーを削り具合もギィの方が大きいので、ダメージレースではユリウスの勝利。



レ「メタ的なことを言うと、ギィがヴェルザードとヴェルグリンドの竜種としての性質である停止と加速を利用した
"凍れる世界"や『灼熱竜覇加速励起』を使えるのはおかしいかもしれないけど。
リムルもヴェルドラの暴風とか使えるし、コピーキャラのギィが使えないのはメタ的にあり得えないと思ったから、この作品では使用可能にしたよ」

小説の方針について少し考えました。1から3章とは違い、4章では光の帝国の掘り下げの為に長いペースでの展開が目立ちますが、その展開についての考えが知りたいです

  • 正直、遅い
  • 普通
  • 気にしていない
  • 掘り下げは欲しい
  • はよ原作入れ
  • 作者の好きにしてくれ
  • 逆に速い
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