超魔導大国のパーティーが終わり帝国に帰還すると、父上は体調を崩してしまった。
無理もない、あの会場の異常な空気に堪えてしまったのだろう。キルゲとドールは魔法かスキルの類で意識の誘導をしていたのではないかと予想していたが、終わったあとでは何の意味もない。
超魔導大国の狙いがわからない。混沌竜を倒させる事が目的?
各国の戦力を削る事が目的?
帝国が討伐に参加するのだとしたらキルゲと俺は混沌竜討伐に参加させたいはずだ。
キルゲは参加しないわけにはいかないだろう。問題は俺だ。
戦争の件は元々戦うために行ったわけではないし、十中八九勝てる戦いだから行けただけだ。生きて帰れるかもわからない混沌竜討伐に次期皇帝を行かせるなど正気の沙汰ではない。
たがこれで俺を無理矢理参加させようとするなら帝国が超魔導大国の狙いになるか?
そもそもこんなことをして何のメリットになる。今まで超魔導大国は、周辺国家の戦争に興味を示さず領土的野心もないと判断されてきた。それは間違いだったのか?
それとも野心を持ったのは最近で、今動き始めただけ?
というか何で王は出てこなかったんだ? その後のことで頭がいっぱいだったからすっかり忘れていた。何であの場で王ではなく王女に演説させる。普通は王がするものだろう。
そうしないといけない事情があったから?
王女が黒幕なのか? それともあの場にいなかった王? いっそ魔王が超魔導大国を乗っ取っていると言われたほうがシンプルでわかりやすいのに。
駄目だ…………情報が少なすぎる。
今確かなのは、超魔導大国が混沌竜を討伐しようとしていること。
そのために周辺国家を何らかの手段を用いて思考誘導していたこと。
俺達は全員が精神異常耐性を持っていたから何とかなっていた可能性が高いこと。
そして、俺達はそれに巻き込まれた。もしくは目的そのものの可能性があること。
正直これだけじゃ対応の仕様がない。そもそも普通に頼まれていたとしても断れるかわからない。表面上は対等ではあるが超魔導大国との国力の差は圧倒的だった。
いっそ本当に混沌竜を討伐するためだけにやった可能性はあるか?
ないとは否定出来ない。
人間が知らないだけで風精人にとっては強引な手段を使ってでも早期に倒したかったのかもしれない。
ただ、俺がこんなにも警戒しているのはパーティーの異様な光景につられたわけじゃない。
まるでこの状況が全て誰かの思い描いた舞台の上で自分達が気づかないうちに踊られされている様なそんな感覚だ。
「やっぱりここにいました」
「エレナ?」
声の方を向くとそこにはエレナがいた。でもどうして? こっちに来るのはまだ先のはず……
「パーティーの件を聞いて、急いで来たんですよ。案の定何か考え込んでいますし、ユリウス様は不安になるといつも庭園で1人になりますよね?」
そんな自覚はなかったが、確かに何かあるとよくここにいる気がする。というか当たり前のように心を読んできたぞコイツ。
「ちょっと、考えていたんだよ。何か裏があるんじゃないかって」
「パーティーで思考誘導をかけられたのは聞いています。ですがそれを糾弾する事は出来ませんし討伐の協力ももはや止められないかと思います」
「わかってるよ。実際、混沌竜と思われるドラゴンの被害は大きいみたいだしゴリ押しされたら断れない」
「でもやっぱり不安でさ、良いように操られてるというか、袋小路に誘導されているような感じがしてモヤモヤするんだよ」
「不安になる気持ちはわかりますが、1人で抱え込まずもう少し周りを信じてあげてください。帝国は超魔導大国に及ばないとはいえ、ただで殺られる様な弱い国ではないのですから、ユリウス様は堂々としていれば良いのです」
「もしかして励ましてる?」
「そういう所ですよ…………」
指摘されて恥ずかしかったのか、頬を赤らめてそっぽを向くエレナ。
確かに今のは言わなかったほうが良かったかもしれない。
「ありがとう。エレナ、ちょっとネガティブになってたのかもしれない」
「婚約者ですから。当然ですよ」
俺はまだ15歳なんだ。皇帝になるのはまだ先だろう。
父上も長年皇帝なんだし、俺よりずっと良い判断が出来るだろう。父上の体調が良くなったら相談してみるか……
少し心が軽くなった俺はエレナとお茶会を楽しむことにした。
3ヶ月後、帝国の討伐隊が出発した。混沌竜の討伐はあっという間に決まり、各国から討伐隊を編成し超魔導大国の討伐隊と合流の後混沌竜の巣を襲撃するようだ。
巣については超魔導大国が事前に把握していたらしく、後は討伐隊を結成するだけだったらしい。そして各国の事情を加味して予定を組み3ヶ月の速さで混沌竜の討伐が行われる事になった。
10以上の国が協力して、ここまでの速さで討伐隊が組まれるのは異常だが今更文句なんて言えるはずもなく、帝国からキルゲが討伐隊の隊長として参加する事になった。
超魔導大国は俺も参加してほしかったようだが、父上はこれを断固拒否したらしい。何でも「息子の参加を強制させるのであれば、帝国は討伐に協力しない」と言い切ったそうだ。ちょっと親バカ要素出てないか?
結果、俺は参加せずに国に留まることになった。キルゲには罠の可能性があるため気をつけるように言った所、
「皇子、お気持ちは嬉しいのですが、戦場が罠ではなかったことは一度もありませんのでお気になさらず」
と言われてしまい、俺は思わず
「どんな戦場にいたんだお前は…………」
と呆れ気味に言ってしまった。
まぁキルゲなら大丈夫だろうと、つい思ってしまうほど頼りになるキルゲの頼もしい? 言葉に少し安心した。
こうして討伐隊が出発したのは一ヶ月前、そろそろ混沌竜の巣につく頃合いだ。俺とエレナは夜の庭園で星を眺めていた。
「不安ですか?」
「ないと言えば嘘になる。けど先のわからない事を考えて不安になっても良いことなんてないだろ?」
「そうですね。今は討伐隊の皆さんの無事を信じましょう」
「そうだな。案外アッサリ討伐してきたりしてな」
「そのほうが良いではありませんか」
エレナと呆れるように言うが楽しそうだ。すると何やらコソコソしてる影が見える。俺は誰が来たのか察しがついて、影に向かって話しかける。
「リーゼそこで何やってるんだ?」
「どうしてわかったんですか…………?」
リーゼが不貞腐れながら出てくる。かわいいが今は夜だリーゼが外に出ていい時間じゃない。まぁ今日くらいは良いだろう。
「リーゼ、夜1人で外にでたら危ないって言っただろ?」
「だって、お兄様がお姉様と2人でいるから混ざりたくて…………」
なんとかわいい理由なんだろうか。つい許しそうになるが夜遊びを覚えたら大変なのでしっかり注意せねば。
「だとしても危ないからやめなさい」
「はい…………」
「まぁ今日は1人ではありませんし、星が綺麗ですから3人でいれば安心ですよね?」
「うん!」
エレナのフォローでリーゼの機嫌が戻った。まぁこれならリーゼもいじけないだろう。
今日は内緒で星を見ることになった。まぁたまには夜遊びもいいだろう。
「ねぇ! お兄様、あの星はなに?」
「ん? あれはな……なんだあれ?」
「わからないんですね…………」
エレナが呆れ気味に言ってくるが、そうじゃない。あの星はおかしい。星にしては低すぎる場所にあるし眩しすぎる。というよりドンドン大きく眩しくなってきた。
そして、気づいた。
あれは星じゃない。
巨大な魔素の塊だ。
「
気づいた時にはもう遅かった。巨大な魔素の塊が接近すると同時にとてつもない衝撃が俺たちを襲い、俺の視界は黒く染まった。
ユリウスの霊圧が消えた!?
転スラとBLEACHについてどれくらい知っていますか? 転スラ書籍版を1、BLEACHを2と表記します
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