転生したら滅却師だった件   作:抹茶オレン

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今回はキャラ崩壊している人がいます。後悔はしてません。作者の癖です。癖です。


酔いどれ知らず

「桐乃、そんなにキョロキョロしてたら不審者みたいだよ?」

 

「そんなこと言われても、魔物の国ですよ?何が起きるかわからないじゃないですか。レオナルドは警戒心がなさすぎます」

 

レオナルドと桐乃の二人は、現在魔国連邦(テンペスト)の開国祭に参加していた。目的が特にあるわけでも、何か命令があるわけでもない。

 

二人は、ただその場に居ればよかった。具体的な理由については聞かされていないが、休暇代わりに開国祭を楽しんで良いとのことなので、レオナルドがはしゃいでここまで来たのだ。

 

「でも、道中にあったラーメンとか餃子も美味しかっただろう?」

 

「確かに美味しかったですけど⋯⋯⋯なんと言えばいいのかはっきりしませんが、ここまでオープンに異世界の物を使っていいんですかね?」

 

「真意まではわからないけど、それが魔国連邦の方針なんじゃないかな?」

 

光の帝国(リヒト・ライヒ)では、異世界の技術や情報の扱いは厳しく管理された上で利用されている。普段使っている道具や食べている料理が異世界の物を参考にしていることを知っている人間はほとんどいない。

 

それに対して、魔国連邦はまるで隠す気のないようにも感じる。むしろ積極的に周りに広めているのではないだろうか?

 

「元異世界人だって噂だからね。件の魔王はさ」

 

「異世界人が魔物に転生して、しかも魔王になると言うのはとても想像出来ませんが、ここまで異世界の物が多いと本当なのかもしれませんね」

 

桐乃は道路脇に並んでいる屋台を見ながら言う。屋台は日本の夏祭りなどで使われるような見た目の屋台で、焼きトウモロコシや焼きそば、チョコバナナなどが売られている。

 

「まぁ、これを考えたのが日本人なのは間違いないね」

 

ここまで完璧に再現された日本の屋台を見て、レオナルドが呆れたような声を出す。桐乃としても、ここまで隠す気すらない再現っぷりにはなんとも言えない。

 

「とりあえず、件の魔王とやらを見た後は祭りを楽しもうじゃないか」

 

「行かないと駄目なんですかね?」

 

「記念だよ、き・ね・ん。魔王なんて直接見る機会なんてそうそうないんだから、見とかなきゃ損だよ」

 

「(動物園でやってる期間限定のイベントみたいなノリで、魔王は見るものじゃないと思います)」

 

珍しいもの見たさで桐乃の手を引っ張るレオナルドに、口には出さずに内心でツッコんでおく。一応魔王の国なので、その手の例えは不敬罪とかになりそうという判断で見送られた。懸命である。

 

 

 

[その後ーーーーーー]

 

 

 

「スライムのイメージが、わたしの中で音を立てて崩れ去った気分です⋯⋯⋯⋯」

 

魔王リムル・テンペストの演説を入り乱れる人混みの中で聞いた桐乃は、広場に置いてある休憩用のスペースにある椅子に座りながら一息ついていた。正直、桐乃のイメージするスライムはドラ○エとかの雑魚モンスターだ。それが魔王とかいう悪の権化みたいな名を名乗っているのは、何かの冗談だと思っていた。

 

「作品によっては物理攻撃無効とかもあるし、魔王になるスライムだってどっかにはいるよ。⋯⋯⋯⋯⋯きっと」

 

「レオナルドだって自信なさ気じゃないですか⋯⋯⋯」

 

魔王リムル・テンペストは、恐ろしい姿の化け物という訳ではなかった。

 

桐乃と同じくらいの背丈に、可憐な美少女にも幼げな美少年にも見える中性的な顔立ち、水色の長髪と金色の瞳が特徴的な可愛らしい見た目をしていた。

 

その演説は歓迎と警告を含めたものであり、桐乃としては色々と考えさせられる内容だった。

 

「魔王とは思えないくらいには温厚そうでしたね」

 

『桐乃はそう感じたかい?』

 

演説の感想を述べた桐乃に、レオナルドが開発した指輪型の魔法道具での思念伝達が桐乃に伝達される。なぜ思念伝達なのか一瞬疑問に思った桐乃だが、レオナルドに合わせて思念を送る。

 

『レオナルドは違うんですか?』

 

『温厚そうだったのは認めるよ。警告のような言葉も使っていたけど、全体的に人類に友好的に見えたさ』

 

『じゃあ何が問題なんですか?』

 

桐乃には、人類に敵対するつもりがないのであればそれで良いようにも思うのだが、レオナルドは違うようだ。神妙な顔になったレオナルドが、賑わう周囲の光景を眺めながら話し始める。

 

『怖いじゃないか。配下が死んだといえ、軽く二万の人間を殲滅した魔王が人間と友好的な関係を結ぼうなんて、私には裏があるとしか思えないよ。

西側諸国に隠している辺り、バレたらマズイことだとはわかってるみたいだけどね』

 

レオナルドの言葉に、桐乃は何も言えなくなってしまう。この国の様子が、どれだけ活気に溢れていたとしても魔物の数は非常に多い。

 

『どれだけ人間に近い見た目や感情を持っていたとしても、人間とは根本的に別の生き物であることは変わらないんだ。肌の色や宗教の違いですら争う人間が、この国を受け入れるのはきっと簡単なことじゃないさ』

 

『周りの人や魔物達は、少なくとも楽しんでいるように見えます』

 

『魔物に怯える人間は、最初から開国祭には参加しないよ』

 

レオナルドの言葉は正しいように思える。少なくとも、咄嗟に反論する言葉が、桐乃には思いつかなかった。

 

『リムル・テンペストは、一体どこまでするつもりなんだろうね。私は政治家じゃないし、各国の情勢についても詳しくないけど、間違いなく魔国連邦の存在は周囲をその名の通りに巻き込んでいくだろうさ』

 

『⋯⋯⋯⋯陛下はどういうつもりで、わたし達に魔国連邦へと行くように命令したのでしょうか⋯⋯⋯⋯⋯』

 

『それこそわからないよ。陛下の考えることはいつも遥かに先のことばかりだ。未来をいつも見ている訳じゃないとは言ってるけど、どこまでホントなのやら⋯⋯⋯⋯』

 

レオナルドと桐乃はお祭り騒ぎで賑わう人混みを見ながら、薄々察していた。

 

光の帝国は知られざる人類の砦。それは物理的な滅びだけを指すものではない。もし魔国連邦が粛清対象になれば、この国を抹消することになる。

 

平和的な光景を消すのは、きっと星十字騎士団である自分達だ。何が正しいのかは置いたとしても、平和を壊すのはとても気持ち良いとは言えないことだ。

 

「ふぅ〜せっかくの祭りにしんみりとした空気は似合わないよ。屋台に行こうぜ?」

 

空気を悪くしてしまった自覚があるのか、気分を切り替えて提案するレオナルドに、桐乃は素直に頷いた。

 

何が正しいかなんて⋯⋯⋯⋯⋯考えるだけで苦痛でしかない。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「屋台の焼きそばって、なんでこんなに特別感があるんでしょうね?」

 

「かき氷のシロップが全部同じ味なのくらいの思い込みだろうね」

  

「聞きたくなかったです。それ⋯⋯⋯⋯⋯⋯」

 

ふとした疑問をとんでもないカミングアウトで返された桐乃は、手元にある焼きそばを食べて忘れることにする。

 

ギメイとかいう、あからさまに偽名を使っている褐色肌の青年の屋台で買った焼きそばは、美味しかった。焼きそばに紅生姜は使わない派の桐乃も、思わず唸るくらいには美味しい焼きそばだ。

 

「クァーーーッハッハッハ!貴様でこの我の焼きそばを買った100人目の客だ。サービスしてやろう!」とか言ってサービスで目玉焼きを乗せてくれたが、大声で言われたせいで周りから目立ってしまい、嬉しさよりも恥ずかしいさの方が上回ってしまった。

 

「桐乃、次はチョコバナナにしよう。ほらお駄賃あげるから買っておいで」

 

「わたしははじめてのおつかいの子供じゃないんですよ?」

 

「恥ずかしくて顔真っ赤にしてた桐乃には経験が必要なのだよ」

 

勢いで押し切られた桐乃は、納得いかないままチョコバナナを買いに行く。

 

「(別に買いに行くのは良いんですよ。以前まともに買い物が出来なかったからって、子供扱いは納得出来ません)」

 

「六本いただけるかしら?」

 

「すいません、チョコバナナ二本ください」

 

「「ん?」」

 

綺麗にタイミングが噛み合ったのか、ほぼ同時に注文してしまう。そのことに気づいた桐乃は慌てて相手に譲ろうとする。

 

「す、すいません。気づかなくて⋯⋯」

 

「私の方も気づかなかったから気にしなくていいわ。こっちの方が多いし、お先にどうぞ」

 

これがコミュ力の違いなのだろうか、謝ることしか出来なかった桐乃と比べて、相手は桐乃にフォローする余裕まであった。しかも、自分の注文数が多いから時間がかかるであろうという断りにくい理由まで付けてだ。

 

完全に対応力の差を見せつけられた桐乃は、言葉に出来ない敗北感に苛まれながらも店主にチョコバナナを二本頼んだ。

 

「貴方⋯⋯⋯⋯」

 

「⋯⋯はい?」

 

チョコバナナの渡された桐乃はお金を払って後にしようとしたが、声をかけられる。恥ずかしい気持ちがまだ消えていない桐乃はさっさと去りたかったが、無視する訳にもいかずに立ち止まる。

 

「その顔立ち、もしかして日本人?」

 

「⋯⋯えっ?」

 

そこでようやく、桐乃は恥ずかしくて顔を見ることも出来なかった相手を視界に収める。

 

見る者に冷たい印象を与える鋭くも整った顔立ちに、濡羽色の黒髪の麗人がそこにはいた。

 

「えっと⋯⋯貴方も?」

 

「えぇ、そうよ。まさかこんな所で同郷と出会えるとは思わなかったけれど」

 

日本人同士の偶発的な出会いに、未だ頭が整理仕切れていない二人にさらに新しい情報が迫ってくる。

 

「ヒナタさん遅いよ!」

 

「チョコバナナ食べたい!」

 

「ちょ、あんまり迷惑かけちゃ悪いよ⋯⋯」

 

麗人の連れであろう子供達5人が続々とやってきたのである。ここまで来ると桐乃は完全に蚊帳の外。子供達の対応に手一杯になったヒナタと呼ばれた麗人は、桐乃を気にしながらも手を持ったチョコバナナを渡す。

 

「何やってるんだい?本当にカメラマンとかが必要かな?」

 

「ひゃっ!」

 

背後からかなり近い距離で聞こえる声に思わず変な声が出るが、それがレオナルドだと気づき、桐乃は慌てて振り返る。

 

「ちょっ⋯⋯驚かせないでください!」

 

「別に驚かせようとしてないよ。桐乃が勝手に驚いただけさ」

 

本当にそんなつもりがなかったのか呆れた視線を送ってくるレオナルドに、桐乃は負けないように睨みつけるしかなかった。

 

「お姉さん達、綺麗⋯⋯」

 

「ん?」

 

いつの間にか近くいた黒髪の少女が、レオナルドと桐乃の二人をじっと見て褒め始める。おそらく、思わず思ったことが口に出てしまったのだろう。

 

「おやおや、それはお姉さん達のことかな?嬉しいことを言ってくれるじゃないか。そんな私達と同じくらい可愛い君にはチョコバナナを進呈しよう」

 

流れるように子供の目線に合わせるように屈んだレオナルドが、自分のチョコバナナを渡して頭を優しく撫でると、黒髪の少女は嬉しいのかはにかんで笑う。

 

なんて返せばいいかわからず固まってしまった桐乃とは雲泥の差である。

 

「お~いクロエ!何してんだよ」

 

「あっ、ケンヤ。チョコバナナもらった」

 

「えっ、いいな〜。クロエ二本も食えんのかよ」

 

「ちょっと貴方達、あまり離れないでって言ったでしょ」

 

「ごめんなさい⋯⋯⋯」

 

「別にいいじゃんかよ。ケチはおば⋯⋯⋯」

 

先ほどのヒナタと呼ばれた麗人が、チョコバナナをもらった黒髪の少女とケンヤと呼ばれた少年に注意する。クロエは素直に謝っていたが、ケンヤはおばさんと言いかけて圧をかけられている。

 

「ごめんなさい。お金はちゃんと払うわ」

 

「いやいや、こんな可愛い子に褒められたらチョコバナナの一本や二本くらい安いものさ」

 

「俺にもくれよ〜」

 

「駄目だぜ少年、レディの扱いを学んでから来たまえ。私は悪ガキも好きだけど、可愛い子供はもっと好きなんだ」

 

「ちぇ〜」

 

初対面の少年をさらっと受け流しながら、もう仲良くなっているレオナルドに戦慄を覚えた桐乃は、ヒナタが来たことでようやく再起動する。

 

「あの⋯⋯⋯」

 

「ごめんなさい、子供達の相手だけで忙しくて。もっと話したかったけど、行かないと。同郷と会えて嬉しかったわ」

 

「あっ、はい。私も嬉し⋯⋯かった⋯⋯⋯です」

 

桐乃が返答する間もなく、子供達に連れられて去ってしまったヒナタ。 

 

「初対面に対する対応は赤点もいいとこだね」

 

「そんなの、わたしが一番わかってますよ!!!」

 

桐乃の渾身の叫びが、虚しく空へと響くのであった。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「これ美味しいわね。ユーリも飲む?」 

 

「護衛中だ」

 

「いいじゃない。ここには私達しかいないんだし」

 

開国祭の1日目が終了した夜、サリオンに用意されていた旅館にエルメシアとユリウスはいた。エルメシアは魔国連邦の特産品である果実酒を煽っており、心なしか頬が赤い。

 

「飲み過ぎだ。明日に影響が出る」

 

「大丈夫よ。毒無効はちゃんと使うし、今は楽しいから酔っていたいの。ユーリも一緒に飲みましょ?」

 

そうは言っているがこの女、今日一日でかなりの量の酒を飲んでいる。好みだったのか林檎の蒸留酒を飲むことが一番多く、大男でもベロベロになるくらいは飲んでいた。

 

表向きの顔が崩れることは終始なかったとはいえ、エラルドはユリウスに注意して欲しいという願望の視線を向けていたことを、ユリウスは忘れていない。

 

「ハァ⋯⋯⋯⋯今日は付き合ってやる」

 

ユリウスは一つ溜め息をついてエルメシアの対面に座る。畳の部屋なので椅子は脚が無く、姿勢は自然と胡座をかく形へとなった。

 

鎧は座るのに邪魔なので消してはいる。部屋に盗聴や監視がないのは確認しているが、一応警戒は怠らない。

 

「もう、そんなに警戒しなくても大丈夫よ。他国の王を監視や盗聴をするなんて不敬、どの国でもやらないわよ」

 

「それは相手に常識がある前提の話だろ」

 

エルメシアの言う通り、常識があればそんな愚行はしない。だが、ユリウスには隠し事が多すぎるため、相手に常識がある前提で物事を考えていない。

 

「そんなに魔王が気になるの?エレンちゃんに聞いていた通りのお人好しだと思うけど?」

 

「お人好しは二万の軍勢を殲滅なんてしない」

 

「魔王なんだから仕方ないじゃない。戦争をふっかけたのはファルムス側なんだし」

 

「それは魔王だけであればの話だ」

 

魔王が二万の軍勢を殲滅することはまったくない話ではない。国を滅ぼすことだってあるのだ。長く生きていればいるほど、魔王とはそういうものだと勝手に納得してしまう。

 

問題はそこではないのだ。魔王であるが故にファルムスを滅ぼし、魔王であるにも関わらず人間社会の経済に影響を与えている。しかもその規模は大きくなるばかりだ。

 

そんな魔王は今までいなかった。ルミナス・バレンタインですら、自分が魔王であることを隠し、神と偽っていたというのに、魔王リムル・テンペストはそんな常識を壊そうとしている。

 

「言いたいことはわかるけど、そこまで焦るようなことなの?わざわざ私の護衛になってまで」

 

「リムル・テンペストがすることはある程度予想出来る。その規模や動く国家などを鑑みれば、西側諸国は無関係ではいられない。お前もそれを分かっていて参加したんだろ?」

 

「まぁね〜この魔国連邦に色々と可能性を感じたのは間違いないわ。ジュラの大森林は資源も豊富、さらに立地的に多くの国家が隣接するもの、ガゼル坊が懇意にしたいのもわかるわ」

 

「ドワルゴンとサリオンが後ろにつけば、魔国連邦は東の帝国と光の帝国を除いたほとんどの国に影響を及ぼすことになる」

 

異世界の料理・技術・娯楽などが周りからの注目を大きく集めることになるのは明白だ。前夜祭で寿司をパフォーマンスとしても使っていたこと含め、異世界の物を全面的に押し出している。

 

娯楽や新しい物に飢えている者は、総じて生活に余裕のある貴族や王族であることが多い。この開国祭は、魔国連邦の良さをアピールするには丁度良い催しだ。

 

「リムル・テンペストは、魔王という存在の意義を破壊しようとしている」

 

「ユーリは西側諸国を滅ぼしてもらった方が都合が良いの?」

 

「経済的に呑み込まれるくらいであれば、物理的に滅ぼそうとしていた方が何倍もマシだな」

 

「今の西側諸国が魔王相手に正面から抗える戦力なんて限られているじゃない」

 

エルメシアの言う通り、西側諸国の軍勢に魔王を止める力はない。魂を糧として使われるのがオチだ。だからこそルベリオスの十大聖人などがいるが、覚醒した魔王相手には心許ない戦力だ。

 

「だから俺がいるんだろ。もしそうなれば、絶滅する数歩前には粛清する」

 

「それで危機感を煽ろうってわけ?」

 

「今の平和ボケした状態よりはマシだ。西側諸国は今の平和が自分達で築き上げた物だと思っている。実際は造られた箱庭だと知らずに、広い檻の中で好き勝手やってるだけで自然の摂理から逃れた存在だと勘違いしている」

 

今の平和を創り上げたのは魔王ルミナス・バレンタインとグランベル・ロッゾだ。異なる国の人間が協力して出来たものではなく、魔王と勇者による思惑が合致しただけの結果にすぎない。

 

自らで掴み取った結果ですらないと言うのに、二千年近く続く平和の中で、人間が魔物の上にいると傲っている人間が生まれてしまった。

 

この世界はいつだって魔物や悪魔が上にいる。人間は保護された生物でしかない。ギィ・クリムゾンがいなければ人間はとっくに滅びていたかもしれない。

 

「やめやめ。こんな話してもお酒が美味しくなくなるだけよ」

 

「⋯⋯聞いたのはお前だろ」

 

「そんな話しろとは言ってないですぅ〜」

 

今までの酔いが一気に回ってきたようで、エルメシアの頬と長い耳は赤く染まってはフラフラと横に揺れ始める。おまけに舌足らずな口調に変わってしまった。

 

一度酔いスイッチが入ると一気にこんな感じになるが、他国でなるのは流石にマズイ。もう少し早く止めるべきだったとユリウスは後悔するが、時すでに遅し。エルメシアが完全に正気を取り戻すまで付き合わなくてはならないことが確定してしまった。

 

「ユーリ!もうちょっと楽しみなさいよぉ!!」

 

「脈絡なさすぎだろ。というか今の俺は護衛だ」

 

「私も屋台を周ってみたい〜!ねぇ〜いいでしょぉ?エラルドもユーリには強く出れないんだし!命令よ!命令!」

 

完全に酔いが周ってしまったエルメシアは、会ったばかりの時のようなわがままを命令しだす。懐かしくはあるが、正直鬱陶しい。

 

「そうだな⋯⋯⋯」

 

「ねぇ〜もっと反応しなさいよぉ!なによその適当な返事!不敬よ!不敬!」

 

「そうだな⋯⋯⋯⋯⋯」

 

「ほら、もっと飲みなさい!ユーリ全然酔おうとしないんだもん。つまらないじゃない!」

 

「そうだな⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯」

 

テンションが上がって立ち上がったエルメシアが、ユリウスの肩を揺らしながら酒瓶を頬に押し付けて飲ませようとするも、ユリウスは適当にエルメシアを受け流すように隣に座らせて、迫りくる酒瓶を片手で取り上げる。

 

「む〜〜〜〜〜ユ〜〜〜リィ〜〜〜〜〜」

 

酒瓶を取り上げられたエルメシアは、ユリウスを頬を引っ張ってはケラケラと笑い、ツマミのチーズを食べ始めた。

 

「お前、ここが魔国連邦だってわかってるのか?」

 

「大ッ丈夫〜!ユーリィがいる、から。問、題にゃい!!」

 

何も大丈夫そうではなかった。さらに酒瓶ごと酒を煽るエルメシアを見て、明日になるまで酔いが覚めないであろうことを確信したユリウスは、このまま心を無にして適当にあしらうことを決心するのだった。

 




[レオナルドと桐乃]
魔国連邦まで遊びに来ていた二人。桐乃はインドア派の上に魔物の国というので嫌がっていたが、レオナルドが無理矢理連れて来ていた。

行くこと自体は命令ではあるが、特に何かしろとは言われていないので開国祭を満喫する気満々。

リムルの演説は原作とまんま同じなのでカット、悪ガキ五人衆とヒナタには見た目で桐乃が異世界人だとはバレているが、レオナルドはバレていない。


[開国祭1日目]
原作とほぼ同じなのでカット。ユリウスはあまり音楽に興味がないので護衛に徹し、ベスターとガビルの研究については興味を持ったものの、後ろにあったとある模型の方が気になったためスルー。

レオナルドには後で記憶ごと発表された内容を伝える予定。


[エルメシアの酒癖]
毒無効で普段は酔わないのだが、ユリウスといる時は毒無効は解除して思う存分酒を煽る。

魔国連邦でもそれは変わらず、1日目の夜は部屋の護衛をユリウスだけに残して晩酌をしていた。ユリウスがあまり酒が好きではないので、エルメシアが酔ってユリウスが介抱する流れが定番化している。

林檎の果実酒は度数が15%はある物を何本も飲み干しているので、そりゃあ酔う決まっている。

エミリアとレムが酒に弱いの、良いよね。ラムが強いのも良い。

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