転生したら滅却師だった件   作:抹茶オレン

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色々と意見をもらったので、この作品ついて少し語らせてください。

まず、リムルとユリウスのどちらが正しいという答えはありません。リムルを応援するも良し、ユリウスを応援するも良しです。
ただ、作者以外を批判するようなことをやめていただけると幸いです。

この作品は原作キャラを貶すような意図はありません。転スラもBLEACHもにわかながらも好きなので、どちらもリスペクトする描写を意識してます。

ユリウスのこれから行うリムルに対する行動や考えなどは、これまでの章を見れば自然と予想出来るような描写にしているつもりです。明確なユリウスの心理描写は、今後しっかりとしていきます。

この作品に意味のない描写はありません。キャラの兼ね合いなどの一つ一つに、そのキャラがどう行動するかの考えや話している相手に対する気持ちなどを態度や話し方などで、細かい意図を交えながら描写しています。

作者が小説初心者なことで描写不足だったり、誤解や批判などを招くようなこともありますが、それも一つの意見として受けとっています。

これからも本作品をよろしくお願いします。


巡り巡る想い

 開国祭二日目の朝、エルメシアは絶え間なく襲いかかる頭痛のせいで酷く青い顔をしていた。

 

「うぅ、飲みすぎた。ユーリィー?」

 

「知るか、早く毒無効を発動して治せばいいだろ」

 

 エルメシアが宿泊したのは旅館形式だったためか、エルメシアが起きた頃には朝食が既に用意されていた。ユリウスは黒い鎧姿で、態度も素っ気ない。

 

「先に朝食の準備はさせておいた。冷める前に食え」

 

「なんか扱い悪くなってない? 一応護衛よね」

 

「昨日の自分の行動を振り返るんだな」

 

 毒無効を発動させ、引いていく頭痛や倦怠感から徐々に解放されていったエルメシアは、ユリウスのその態度に気づく。

 

「あんまり覚えてないのよね。ユーリだって飲めばよかったのに⋯⋯⋯」

 

 あまり酒を飲まないユリウスに文句を言いながら席に着いたエルメシアは、珍しい朝食に目を輝かせる。

 

「あら、これお米よね。前に食べた時は手で食べるやつだったけど、こっちだと普通に食器を使うのね」

 

 朝食に用意されたのは白米・味噌汁・焼き魚・漬け物・とろろ・海苔・玉子焼き・大根おろしのついた定食だった。あまり見られない朝食に興味津々にフォークを延ばすエルメシア。

 

「朝にしてはちょっと多いけど、どれも美味しそうね。ユーリも食べなさい」

 

「必よ⋯⋯「命令」⋯うない」

 

 結局、エルメシアの命令(わがまま)のままにもう一食分を用意してもらったユリウスは、同じ卓を囲むことになったのだった。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 開国祭二日目。一日目が無事に終わった俺は、二日酔いしたことをラファエルさんに叱られながらも毒無効で治してもらい、来賓と共に闘技場へと訪れていた。五万人がゆったりと観戦出来る巨大建造物だ。

 

 そのすべての席が埋まる超満席の観衆の中で行われるのは、魔国連邦の開国祭におけるメインイベント、武闘大会だ。

 

 闘技場の四方に貼られた巨大スクリーンに、拡大して戦闘状況を映し出すことも可能で、一般人にもかなりわかりやすいようになっている。光学魔法の刻印も組み込み、拡大投影など造作もないことだった。

 

 安全面に関しても抜かりはない。常に二種類の結界によって観客席は守られており、万が一に備えての医療班なども充実している。

 

 そんな気合を入れて準備した武闘大会が今始まり、俺達のいる貴賓席に向かい、八名の選手が横一列に並ぶ。

 

 司会のソーカが、スクリーンに映し出される一人一人を紹介していく。

 

「最初に紹介するのは、一番人気のこの人でーす! 

 昨日の予選第一試合の覇者! その名は、勇者、マ〜サ〜ユ〜キ──ーッ!!」

 

 普段ソーカからは考えられないノリノリなアナウンスだ。というか結構上手いな、今まで見られなかったソーカの意外な才能だ。

 

 そんな感想を考えながら、ソーカの堂に入った紹介は続く。

 

「その華麗な剣技を見た者はいない。何故ならば、その剣が抜かれたその時は、既に相手は死んでいるからだ!!」

 

 それじゃあどうやって今まで勝ってきたんですかね? まぁ紹介だから誇張表現かもしれないが、本戦を勝ち残ったのは間違いないはずだ。

 

「昨日の試合はどうだったの?」

 

「それが⋯⋯⋯⋯まるで参考になりませんでした」

 

 ソウエイの話では、マサユキは昨日の予選試合でも剣を抜かなかったらしい。なんと参加者の中にマサユキの仲間がいたらしく、バトルロワイヤル形式の試合の参加者を全員薙ぎ倒し、マサユキに勝利を譲ったらしい。

 

 それアリなのか? ルール上禁止にしてなかったこっちにも落ち度はあるが、そんなあからさまなことをしたら観客からブーイングものだと思うのだが⋯⋯⋯⋯⋯

 

 そんな俺の考えとは真逆に、観客からは「ウオォ──────!!!」という歓声で埋まっている。どうやら、閃光の勇者という名はそんなことを気にならないくらいに人気らしい。

 

 それからも、ソーカによる選手のアナウンスが響き渡る。

 

 マサユキの仲間のジンライや華麗なる剣闘士ガイとかいうAランクの冒険者の説明が続く。

 

 四人目は、知っている顔からの参加だ。一人はゴズール。予選でメズールとの死闘を勝ち抜いたらしく、その気合は充分だ。

 

 五人目は、どこかで見たことある男だ。俺はその正体に気づいて思わずジュースを吹き出しかけた。

 

「続いて、先日凄まじい強さを見せつけた、謎の仮面男の登場だぁ──ー!! 

 正体不明の獅子覆面、正義の味方か悪魔の使者か!? 果たして今日はどのような試合を魅せてくれるのか!?」

 

 どう見てもカリオンだ。獅子仮面なんてつけても知り合いにはバレバレだろうに⋯⋯思わず呆れるが、十中八九ミリムの差金だろう。

 

 盛り上がりはしそうだが、如何せん強すぎる気がする。相手になるのはゲルドくらいじゃなかろうか。まぁ、マサユキの実力がわかるチャンスかも知れないし、前向きに捉えよう。

 

 そうしている内に、予選を勝ち抜いた六人目が紹介される。

 

「予選出場枠最後の一人! 突如現れた漆黒の流星が瞬く間に相手を薙ぎ払い、その実力を魅せつけた!! 魔導王朝サリオンからの参加、天帝直属護衛ユ〜リィ──ー!!!」

 

「ぶふぅ!」

 

 あまりにも意外な参加者に、俺は今度こそジュースを吹き出してしまった。「護衛が普通に参加していいのかよ!」という俺の内心のツッコミへの答えのように、ソーカが補足紹介をしていく。

 

「えぇ、今回はエルメシア陛下の粋な計らいにより、本来は表に出さない護衛の参加を認めてくださったようです」

 

 ソーカの説明に、観客からもエルメシアへと大きな歓声が向けられる。

 

 そんな護衛を大会に出して大丈夫なのだろうか? そんな不安が俺の心に湧き上がりエルメシアさんの方を見ると、当の本人は歓声に微笑みながら軽く手を振っている。

 

 エルメシアさんは俺の視線に気づいたようで、こちらにも軽く手を振ってくる。大丈夫そうではあるが、美人に手を振られるような経験がない俺はどう対応すればいいかわからず、精一杯の笑顔で対応する。

 

「ソウエイ、あの護衛の人⋯⋯ユーリだっけ? 予選ではどうだった?」

 

「申し訳ありませんリムル様。勇者マサユキと同様、その実力はまるでわかりませんでした」

 

 ソウエイ曰く、五十人近くいた対戦相手を右手で軽く小突いただけで勝ってしまったのだと言う。これは相手が悪かったのだろう。強さに差がありすぎると似たようなことになってしまう。

 

 ん? この話を聞く限りだと、閃光の勇者の名前に相応しいのは護衛の人の気がするのだが⋯⋯⋯⋯まぁ細かいことはいいだろう。

 

 というか、昨日普通に護衛にいたよねあの人? 

 

《解。個体名ユーリは確かにあの場に存在していました》

 

 ラファエルさんもそう言ってるし、分身体だろうか。

 

《⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯》

 

 ラファエルさん? 

 

《告。個体名ユーリの不確定情報の処理と解析を進めてからの判断を優先しましたが、現段階におけるこれ以上の解析は不可能と判断します》

 

 不確定情報? 解析は不可能? どういうことだ? 

 

《対象の情報の解析は一切不能。辛うじて鎧の情報の解析は出来ましたが、中の本人の魔素パターンや生体情報など全てが解析することは出来ませんでした》

 

 はぁ!? なんじゃそりゃ!? ラファエルさんでも一切解析出来ない存在とかいなかっただろ。妨害されたならともかく解析そのものが出来ないってどういうことだよ⋯⋯⋯⋯

 

《⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯》

 

 ラファエルさんも悔しいのか、何も言わずに黙ってしまう。こんなことは今までなかった。ギィだって偽装したりはしてたけど、解析すら出来ないって意味がわからない。 

 

 魔導王朝サリオン。俺の想像以上にやばいのかもしれない。これは認識を改めるのと同時に、あの護衛の実力をこの目で確かめなければならない。

 

 そんな波乱の予感と共に、予選突破者六名と魔国連邦から出場するゲルドとゴブタの八名による武闘大会本戦が始まる。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「予選出場枠最後の一人! 突如現れた漆黒の流星が瞬く間に相手を薙ぎ払い、その実力を魅せつけた!! 魔導王朝サリオンからの参加、天帝直属護衛官ユ〜リィ──ー!!!」

 

 そんな説明を受けながら、ユリウスは兜の内側で不貞腐れていた。

 こんなことになった経緯は前夜祭参加直前の飛行船の中まで遡る。

 

 

 

「知ってるユーリ? 開国祭では武闘大会が行われるらしいの」

 

「そんなのもあったな。予定だと観戦するんだろ?」

 

「えぇ、そうなの。そこでちょっと提案があるの」

 

 とても良い笑顔で提案という名の命令をしようとするエルメシアに、ユリウスの脳内警報が激しく鳴り響く。そんな警報はあまりにも遅かった。

 

「開国祭1日目に予選があるから、ちょっと参加してきて頂戴?」

 

「はっ倒すぞ」

 

 護衛だと言うことを完全に忘れているエルメシアに、思わず辛辣な言葉を浴びせてしまうが、エルメシアの笑みはさらに深まる。

 

「ほぉ~ら、今のユーリの立場ってなんだったかしらぁ〜? 言葉に出して欲しいわぁ〜」

 

「⋯⋯⋯⋯護衛だよ」

 

「それ以前にぃ〜私の配下よねぇ?」

 

 エルメシアが指でユリウスの頬をグリグリと突きながら煽る。

 そうこの女、前夜祭前からユリウスに無茶振りを吹っかけて来たのである。

 

 そのために色々と細工することが増え、ユリウスは魔国連邦の到着以前に後悔の真っ只中だったのだ。

 

 

 

 

「さーて、それではこれで、八名の選手が出揃いました! 

 一体誰が優勝するのか、運命の時はもう間もなくです!!」

 

 いつの間にか選手紹介が終わったようで、マイクは司会からリムル・テンペストへと移る。来賓席から転移門を使って派手に舞台に登場したリムル・テンペストへ、観客の轟くような歓声が闘技場を揺らす。

 

「さて、諸君。今日の試合に勝ち抜き、明日の決勝で勝利すれば我が国での栄光を授けよう──ー」

 

 魔王の風格を舞台だけにわかるように滲ませながら、魔王リムル・テンペストは他の選手一人一人に話していく。

 

 途中ガイとかいうリーゼの『復讐之王(バアル)』と近いタイプの精神干渉受けた男が宣戦布告ともとれる宣言をしていたが、リムル・テンペストはさらりと受け流していた。

 

 報告通り、前夜祭にいたマリアベル・ロッゾの仕業と見て間違いない。似たような精神干渉が西側諸国で観られることは把握済みだが、なんともチャレンジャーなやり方だ。

 

 精神干渉系は強力だが、相手に無効化もしくは察知されると途端に脆くなる。『復讐之王』のように本来の使い方とは違う可能性はあるが、このような目立つ場であからさまな気がする。

 

 こんな大胆な潜入をしている俺の言えたことではないが、ひとまずスルーで良いだろう。魔国連邦という脅威にいち早く気づいてはいるようだし、グランベル・ロッゾの後継は才に恵まれているな。

 

 他者に恵まれず足を引っ張られ続けた男が、今更後継に恵まれるのは中々の皮肉だろうがな。

 

 報われない光の勇者について思考していると、リムル・テンペストがユリウスに対して問いかける。

 

「さて、君はユーリだったな。何か望みはあるかな?」

 

 前夜祭とは違う口調に若干の違和感を覚えながらも、ユリウスは用意していた言葉で答える。

 

「天帝陛下より命じられただけですので、お気になさらず。陛下の無理を聞いていただき感謝いたします」

 

 その言葉に困ったような顔を浮かべたが、すぐに切り替えて「期待している」と一言を残して次の選手の元へと移った。

 

 やっぱり違和感がある。前夜祭から今日までの短い時間だが、ファルムスの軍勢を皆殺しにしたとはとても思えない。まるでミリムのようだ。

 

 もはや神話の域の話だが、かつての西側諸国を滅ぼしたミリムも、今はそんな様子を見せない明るい姿で振る舞っている。

 

 ミリムはいい。人間ではないのだから、人間と同じ価値観を持っていなくとも不思議ではない。だがリムル・テンペストは元人間の転生者であることはほぼ確かな情報だ。

 

 そう時間が経っていないというのに、何の罪悪感を見せる様子もなく警告までしている。

 

 普段の態度と、人間社会の影響を考慮しない行動はまるで一致しない。あの明るい態度が嘘なのか、それとも⋯⋯⋯⋯⋯

 

 いや大事なのは思想じゃない。行動だ。魔王リムル・テンペストの行動は常軌を逸している。これまでの魔王の印象を覆し、既存の経済体系を破壊しかねない状況にまで来ている。

 

 もし、西側諸国が魔国連邦に降るようなことがあれば、それこそ当初の予定と同時並行で進める必要がある。

 

 情勢の変化があまりにも早すぎる。これから加速することになるのは確実だ。それに西側諸国が自力でどこまで耐えられる? 

 

 最悪の場合、一度解体する必要がある。尻拭いの役目は俺になるのは変わらずだな。未だに気づいていないギィに釘を刺すのも確定事項で良いだろう。

 

 他に臨機応変に対応出来るように調整とリーゼの発散もだ。後はユウキ・カグラザカとカガリか、道化達の行動は派手だからわかりやすい。

 

 人形もこちらを下に見ている分、動きが雑だ。タイミングもある程度の誘導は可能だろう。

 

 竜種は放置だな。あれの対応はギィに押し付ければいい。

 

 不確定要素は取り除き、世界の流れを把握と同時に動きを読んだ上で、状況に応じて対応を変える。『全知全能(ジ・オールマイティ)』のサポートは必須だが、すべては読み切れないな。使ったら間違いなく俺がパンクする。

 

 問題なのはどの不確定要素を排除するかだ。細かく区分すれば排除したいのは多いが、そこも状況次第で変えるしかない。ギィに釘を刺すことが増えた。

 

 この世界は放置したらマズイ戦力が多すぎる。光の帝国でも対応がギリギリになりかねない。俺一人だと間違いなく対応仕切れない、エレナとの共有は早いほうがいいか。

 

 

「ウオォ──────ー」

 

 

 ユリウスが思考に浸っていると、今までで一番の歓声が上がった。何事かとスクリーンを見上げると、そこには対戦相手の組み合わせが決定していた。

 

 

第一試合 獅子覆面(ライオンマスク)VSゴズール

 

第二試合 ゲルドVSユーリ

 

第三試合 ガイVSゴブタ

 

第四試合 マサユキVSジンライ

 

 

 それはまるで集中していなかったユリウスに向けて放たれた罰のように、見事にクジ運に見放された結果になるのであった。

 




[ユリウスの思惑]
ユリウスは神之瞳以上の情報収集が可能なので、現状で一番先を観ています。色々と思考を漏らしてましたが、具体的なことは伏せてます。

何故ユリウスが行動したのかは、思想・合理・情勢による絡み合った状況での複雑な心境と、対応を変えざる負えない部分などがあります。

一言でユリウスはこうだからと表現するのは作者の日本語力では難しいです。

行動よりも何故こんなことをしたのか考えると視点がわかりやすくなります。ヒントはこれまで投稿している話に散りばめられた伏線を入れ替えながら繋げてみてください。

現状だとネタバレ出来る情報と出来ない情報を混合していて答えを出せません。間違いないのはユリウスとリムルは敵対することだけです。

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