バットエンド地雷原な巨大都市でほの字にアーカイブ 作:即オチスキー
技術開発部
それはミレニアムサイエンススクールに所属する中でも両手で数えられる程度の人員により構成されているクラブ活動。
活動のコンセプトは『誰かの助けになれる技術を作る』である。
しかしミレニアム校にはいくつもの部活があり、その中では弱小な部類だ。
記録に残せることとして大舞台であるミレニアムプライスの賞に過去辛うじて一回受賞したことがある、それくらい。
愛弐フルカの所属している部活がそれである。
今日も今日とて誰かの日々の暮らしを便利にするために活動中なのだ。
そして今年も当然例のコンテストがあり、そのためにも動いている。
「今年は取りに行くぞ、幸いにも我々の研究開発はそのラインにいる!」
「「「おおーー!!!」」」
「しかぁーし!まだ公開段階どころか試験実験機もいいところだ!当然我々の最優先開発プロジェクトであるモアパワード・スーツのことだ!」
モアパワード・スーツ。
ただの強化スーツではない。
従来のメカ要素が強い補助マシンではなく本当にスーツに近い新技術の人体強化スーツである。
このスーツのコンセプトは超収納、超出力、超クール。
「一気に仕上げるぞぉぉぉ!」
「「「うおおーー!!」」」
皆がやる気に燃えている。駆けた熱意と予算に報いる成果があると信じて。そして稼働したときの性能に惚れ込んだから。
部室内にはいくつものコードが存在しその半数は試作らしい強化スーツに接続されていた。
作業中にフルカはそれを覗き込む。
形状は人型、暗い赤のメインカラー、高さは180cmを優に超えている。
澄んだ青い世界から程遠い不気味な赤い様相はなんとも世界観に噛み合わなく感じた。
(…毎度思うが色の主張強いな?赤がいいと言ったのは自分だけどさ。)
頭の片隅で考えながら機械パーツに仕込む内部プログラムを調整していく。
ついでに起動試験で出力に耐えられずパーツが焼き付いたらしく修理も兼ねて高性能なパーツを交換。
(あの部品だけでいくらするんだか?似たようなのが五万くらいしてた気がするけど……)
こうして自分達の制作したものには凄まじい予算が投じられていることを改めて実感する。
(……締め切り日までには完成してもらわないとな。)
あと一ヶ月程しかない。
全身は一応完成している、だから修復と同時に中身を仕上げている。
そのために皆頑張っている。あっ_
「_ここも焦げてる。まさか耐熱素材ケチった?」
腕部の仮定仕様書を開いて確認する。
腕部内の排ガス放出機構の膨張パーツがエネルギー供給系と隣接して熱を貰ってしまっているのが原因と気づく。
(特注なんてする予算があるか怪しいし、今から改善するとしたらもう予備を外付けにするしかないな。ザ〇Ⅱのパイプみたいに。)
頭部をメンテナンス中の部長へその旨を伝える。
「部長!」
「なんだね愛弐一年!」
「腕部のガス放出チューブは外付けに変更してもいいですか?内部でエネルギー系と隣接してやられてますので。
「うーん困ったな。それでは想定してる強度が落ちてしまう……あぁそうだ!」
部長が何か閃いた様子を示す。
「愛弐一年!脚部に使う予定だった冷却機とチューブがあった。アレを使え!」
「……冷却材ですか?しかしそれでは内部の_」
「いや、君の言う通り外付けするしかない!冷却機やチューブを保護してる表面材料を剥がしてあてがうんだ!硬く耐熱性もそこそこ期待できる故、覆える装甲として気休めにはなる!」
「わかりました。やってみます!」
「くれぐれもそのまま足用チューブ本体を外付けに使わないでくれ!似てるが規格が違うものだ!」
「はい!」
脚に取り付け予定が消えた倉庫の肥やしパーツ、焦げた放出機構の一部取り除き、予備に変えて、冷却機の部分の表面材料をガス放出放出用チューブに付け替えていく。
(……パーツの相互補完性が高いのか?すぐになんとかなりそう。)
本来この『モアパワードスーツ』は現在のような半ば小破状態になる予定はなかった。
壊れない程度に稼働させて性能テストをするだけに留めて改善点を引き出すはずだったのだがある争いに介入したのだ。
場所はアビドスの砂漠_小鳥遊ホシノ奪還を目的としたアビドスとカイザーPMCの闘争が勃発しスーツの実験中に巻き込まれたという体で。
_______________
−モモトーク履歴−
フルカ
[先生、少々よろしいでしょうか?]
先生
[いいよ。どうしたの?]
[アビドスの件、お聞きしたいこと
があります]
[アビドスのことってなる
とアビドス校だよね?]
[はい。単刀直入に聞きます、ホシ
ノ先輩が行方不明とのことですがど
こにいるか知っておられますか?]
[正直なところ知っている
よ。 あと、あの子達への
助けが欲しいね…]
[当然そのつもりで先生に連絡しま
した。日和って逃げた身ですがあの
人達を助けさせてください!お願い
します!ちゃんと案だってあります
!]
[私としては来てほしくな
い… 危ないからね。でも
…それでも頼んでいい
かな?]
[もちろんです!]
[ありがとうフルカ]
[『ホシノがいる居場所、奪還作戦
の日時のデータアップロードする』]
[ありがとうございます!]
[気をつけてね。ホシノを、
アビドスのみんなをお願い]
[はい。先生…いってきます]
[いってらっしゃい]
___________
−アビドス砂漠−
フルカが先生へモモトークを送った次の日、PMCカイザーの拠点の数km前までアビドス高等学校の生徒である砂狼シロコ、黒見セリカ、十六夜ノノミ。
その後ろ、支援をする奥空アヤネの四人は来ていた。
既にPMC最前線の守衛は一個大隊がゲヘナ風紀委員会と接敵しその隙により奥に進んでいる。しかしまだ小鳥遊ホシノいる地点には遠い。
『たくさんカイザーの兵士がいましたがまだ序の口も序の口です。まだ先生の指した目標まで距離があります。気をつけて行きましょう。』
アビドス対策委員会の一人、奥空アヤネがドローン越しの通信で
三人に伝える。
「そうね。カイザーも本気の本気って風だったし!」
「ん。」
「はーい、頑張ります☆」
ゲヘナの風紀委員会がカイザー兵士と戦闘している間を抜けたが戦闘がなかったなんてことはない。
彼女達とて数えるのをやめるくらいは相手兵士を倒したのだ。
『_あれは!』
耳障りな警報が鳴り止まない中でドローン越しにアヤネがいち早く敵対者達を発見。
対策委員会に向かって接近してくる。
解析しロボットの兵士達、カイザーと断定。
『3km前方、敵発見です!えっ、速度が速い…い、威力偵察隊でしょうか!?時速70km以上の速度で接近しています!』
彼女の警告を聞き注意を凝らして見ると砂煙が上がっている。
更に接近し輪郭を捉えると正体が分かった。
「あれ、オートバイですねアヤネちゃん。」
『はい。数は…今来ているだけでしたら三個小隊です。ですが_』
「……私もロードバイクを持ってくるべきだった。囲まれたら厄介。」
「いや、自転車は無理に決まってるでしょ。ここ砂漠よ。」
「…そう。……ん、嫌な予感。先生はもっと、もっと下がった方がいい!早く!!」
"ッ!!わかった!"
距離700メートル地点、PMCのバイク兵達の内後ろの座席に乗っていた兵士らがロケットランチャーを一斉に構える。
『ロケットランチャーによる制圧攻撃が来ます!下がってください!!』
「「「!!!」」」
飛来する弾頭が迫る。
高火力兵装は集団で撃つことでより脅威となる。
設備のいくつかが吹き飛び、大量の砂塵が舞った。
「_いたたた…みなさんは大丈夫ですか?」
ノノミが最初に安否確認を取り始める。
"私はシロコのおかげで助かったよ…"
『はい、私も大丈夫です、私というよりドローンが、ですけど。セリカちゃん達は砂と煙で確認が取れません。』
アヤネの操るドローンが降下してノノミに答えた。
改めて周囲の光景を眺めるとさっきまで遮蔽物として利用してたカイザーの中継基地が吹っ飛んでいることがわかる。
先生はギリギリ射程外まで退避して無事だ。
「先生、アヤネちゃん、あれは?」
『あっ!』
"何か動いている!"
近くで積もった瓦礫の一部がもぞもぞ動く。
それら振り払いながら一人出てきた。
「あ〜もう!!痛ったいわねーっ!!やってくれるじゃない!!」
"セリカ!!"
「『セリカ(ちゃん)!!』」
セリカを発見。残りは一人。
しかし安易に探せる時間は終わる。
カイザーのバイク部隊が迫ってきているからだ。
次弾装填の作業を行い、更に近い距離で撃つつもりである。
彼らは対策委員会の生徒達を待つ様子は当然無い。引き金に手をかけて狙いを澄ます。
交戦距離に相手から入って来たため迎撃をそれぞれで相手を何機か撃墜し始めるのだが、
『二射目、来ます!!』
「ヤバいわよ!?百発も来たらどれか絶対当たるわ!」
そこらは足場が悪い。なので逃げるのも難しいのだ。
PMC部隊全員が構える。瞬間、何かが視界を覆う。
『な、何!?』
『うぉあ!?スモーク!?』
『どうなってるんだぁ!!』
『…えっと、敵周囲に煙幕が展開。……誤射でしょうか?』
ロケットランチャーの爆風と砂漠の砂塵にも負けず劣らずな煙が相手の部隊をくまなく妨害していた。
「アヤネ、多分あそこの人がやった。」
『はい、確認します……って』
「「『_シロコちゃん!!!』」」
"シロコ!"
「ん、私は無事。みんなも大丈夫そうでよかった…それよりアレ。」
シロコは指を指す。
煙を出しているのは相手本隊より離れて斜め後ろからのようだ。
その先にPMCバイク部隊とは違うバイクに跨る人物?がいた。
距離が離れてるためまだ赤い人型であることしか把握できてない。
『あー、テステス。アビドス対策委員会の皆さん聞こえていますか?応援に駆けつけました。』
アヤネのドローンを通じてアヤネ本人への通信だ。
『……はい!こちら対策委員会一年奥空アヤネです。えっと通信は私だけが聞こえる状態ですね。他の皆さんにも聞こえるようにしてもいいですか?』
『ではお願います。』
なぜ回線の周波数を知っているかの疑問が頭をよぎるが味方らしいため一度要求を呑む。
『…変更完了です、どうぞ。』
『どうもありがとうございます。』
「この声は…!」
「シロコちゃん?」
シロコが真っ先にバイク乗りの正体に気付いた。
『_ではもう一度、こんにちは先生。そしてお久しぶりです対策委員会の皆さん、愛弐フルカです!』
『ウソッ!?』
「え〜!?」
「フルカちゃん!?」
シロコ以外の皆は驚く。
「ん、久しぶり。」
『はい、シロコさん。本当はもっとお話したいのは山々ですが時間がないのも事実。私がこの場を請け負いますので先生と一緒に迂回して行ってください。』
"……(黙って頷く)。"
「…えっと先生?フルカちゃん一人に任せちゃって大丈夫かな〜?」
『一人では無茶です!更にいくつか小隊が後続として来ていますよ!』
ノノミとアヤネが止めに入る。
煙幕で視界を遮れても状況が厳しいことに変わりないからだ。
『大丈夫です、任せてください。』
「……本当に任せていいのね。」
『もちろんですセリカさん。』
フルカの返事を聞き少しの間沈黙する。
「……ならあんなのに絶対負けないで!約束よ!!」
『_はいっ!』
自らの返事を合図代わりにフルカの銃から硝煙が立ち上る。
バイク兵への狙撃。それがロケットランチャーの弾頭に命中し射手を巻き込んで爆散した。
『のわぁあああ!!!』
『ほぎゃぁああ!?』
狙撃により一つ、二つ、三つと煙の揺れを大きくする爆発が発生していく。
「ノノミ、アヤネ…フルカはきっと大丈夫_」
シロコは赤い背を眺めて続けた。
「だってあんな強そうなのを着て負けるわけがない。」
彼女の確信に根拠なんてない。それでもフルカを置いて突っ走る理由にはなりえる。
なにせそうしなきゃ救えない人がいるのだから。
「……そうね……アヤネちゃん。」
『…はい、行きましょう。フルカさん!何かあれば呼んでくださいね!駆けつけますから!』
『わかりました!皆さんもホシノさんのために頑張ってください!!』
対策委員会の四人と先生はこの場を去る。
(…申し訳ない、全部知っててこの有り様だ。怠慢にも程がある。)
誰にも届かない懺悔を心の中で行う。
対してPMCのバイク部隊、ゴタゴタの渦中でも隊長格の兵士が声を荒げ叫ぶ。
《貴様ら何をモタモタしている!ええぃ、ノーマルセンサも赤外線センサも役にたたんのだ!サーマルセンサを使って互いにぶつからず散開!》
『『『了解!!』』』
兵士らはバイクで移動しながら熱探知により急襲してきた存在を捜索する。
すぐにセンサーが何か物体を認識し振り向く。
『これは、…襲撃犯を探知!排除を−−。』
バイクのエンジンに弾丸が直撃し爆破によりその兵士の通信が途絶える。
(さて、対策委員会の子たちのおかげで何体か沈んだけど残りが軽く200対1…倒すしかないか。)
ライフルを更に二発撃つ。
照準はロケランの弾頭に合わせ二つ爆炎が立ち上った。
(煙の中でも見えるのは本来火事が発生したときに救助できるためなんだけど…結局戦いの中でその技術が光るなんて皮肉だよな。)
《武器を変えろ!ランチャーもカモられてるぞ!》
部隊長の指示で部隊の兵士が武器を持ち替える。
その短い時間にも一つ、また一つと爆破されていったが残り兵士達はマシンガンに装備を変えた。
位置共有でも彼らはしたのかフルカを目掛けて駆け出す。
バイクが砂煙を置き去りにしながら一斉に。
数で立ち向かうPMC兵士達へ啖呵を切るため、冷静になるためにフルカは一息吸う。
そして叫ぶ
「_さぁ来い、戦い方を教えてやる!」
マスク越しの声は離脱したアビドスの生徒達や先生、バイクを駆るPMC兵士らによく響いた。
リオ会長とトキはどちらが好きですか?
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もちろんリオ会長
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当然トキ