日英同盟召喚   作:東海鯰

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ロデニウス沖海戦

ロウリア王国東方討伐海軍 

海将シャークン

 

「いい景色だ。美しい」

 

大海原を美しい帆船が風をいっぱいに受け、進む。その数4400隻。大量の水夫と揚陸軍を乗せ、彼らはクワトイネ公国経済都市マイハークに向かっていた。見渡す限り船ばかりである。海が見えない。そう表現したほうが正しいのかもしれない。6年をかけた準備期間。パーパルディア皇国からの軍事援助と諸侯に課した重税を経てようやく完成した大艦隊。これだけの大艦隊を防ぐ手立ては、ロデニウス大陸には無い。いや、もしかしたらパーパルディア皇国でさえ制圧できそうな気がする。野心が燃える。

 

(いや、パーパルディア皇国には砲艦という船ごと破壊可能な兵器があるらしいな・・・・)

 

彼は、一瞬出てきた野心の炎を理性で打ち消す。第3文明圏の列強国に挑むのは、やはり危険が大きい。彼は東の海を見据えた。

 

(・・・・ん?)

 

彼らは海の向こうに1つ小島が見た。

 

(島が動いている・・・・まさか、船か!?)

 

小島と思われた船は、すさまじい速度で艦隊最前列の帆船の横に回りこみ、同船と平行に走り始めた。その距離3km。更にその後ろにも複数の巨大な船が続いている。見たことのない国旗を掲げた船は一斉に前方に配置された主砲を此方に向けてくる。

 

「あの棒はなんだ?」

 

次の瞬間、轟音と共に破壊が吐き出された。距離は3km、至近距離射撃。

 

「なんだ? 勝手に燃え始めたのか?」

 

シャークンが疑問に思った瞬間、最前方を走る帆船が突然大爆発を起こす。爆散した木や、船の部品、人間だった物があたりに撒き散らされ、密集隊形にあった見方の船上に、人間のパーツと共に降り注ぐ。

 

「なんだ!! あの威力は! それにあの距離から当てやがったのか?」

 

経験したことの無い威力に、それを見ていた船団全員が驚愕する。

 

「しかも速い! あんな威力の攻撃をこんなにも速く打ち出せるのか!!」

 

容赦ない攻撃がロウリア王国海軍に対して行われる。日英連合艦隊は先頭を進む海上自衛隊のイージス艦「まや」の砲撃を皮切りに主砲による艦砲射撃を開始。一方的に帆船を海の藻屑へと変えていく。

 

「まずい!! しかし、まだここがワイバーンの届く距離でよかった。通信士!! ワイバーン部隊に上空支援を要請しろ!! 敵主力船団と交戦中とな!!」

「それが、通信が繋がりません!!」

「何だと!?」

 

昨日のギム攻略失敗、巡航ミサイルによるジンハーク爆撃、南西諸侯によるローデシア連邦独立等、王都が危険に晒されていると判断した政府はワイバーンを含めた陸上戦力をジンハークに全て引き上げていた。しかし、縦割り行政の弊害から海軍にはこの情報は伝えられておらず、ギムの惨敗も知らされていなかったのである。

 

「敵船団の攻撃で既に200隻以上が轟沈!!」

「鉄竜が飛来して来ます!!」

 

艦載砲射撃と並行して空母プリンス・オブ・ウェールズ及び護衛艦いずもから発艦したF35Bが戦闘に参加。密集する船団の頭上にJDAMを投下するだけでなく、バルカン砲による機銃掃射を実施。艦載砲の射程圏外の敵船団を沈めていく。

 

「敵船団接近!!」

 

主砲の弾薬切れが近くなった日英連合艦隊は接近し、海賊対策用の12.7mm機関銃を叩き込む。更にいずもに搭載していた陸上自衛隊の攻撃ヘリAH1Sコブラ5機が戦闘に加わる。

 

「あり得ぬ・・・・あり得ぬ・・・・こんなことがあって良いのか・・・・」

 

既に2200隻以上の船団を撃沈され、壊滅状態となったロウリア王国海軍。戦場には兵士達の断末魔が木霊する。

 

「ちくしょう!! 化け物どもめ、あんなのに勝てる訳がねえ! 畜生! ぐあぁぁぁぁ」

 

1隻、また1隻と時間を追うごとに信じられない速さで味方の船が撃沈されていく。

 

「・・・・だめか」

 

海将シャークンは絶望していた。どうやっても勝てない。このままでは、部下の命をただいたずらに殺すだけである。しかし降参して捕虜になった場合、自分たちが捕虜に対してしてきたことを鑑みると、イギリスに宣戦布告されているロウリア人がまともな扱いを承けるとは思えない。彼に残された道は、撤退の二文字であった。ロデニウス大陸の歴史上最大の大艦隊の2分の1以上を失っての大敗北、国に帰ったら、死刑は免れないだろうし、歴史書に、無能の将軍として名が残るだろう。しかし、部下を全て死なす訳にはいかない。

 

「全軍撤退せよ。繰り返す、全軍撤退せよ」

 

魔法通信が各艦に流れる。彼の旗艦も撤退を始めようとしたその時、彼の船に護衛艦もがみから放たれた砲弾が直撃した。

 

「あ!」

 

爆発の衝撃でシャークンは海に投げ出される。海上に浮かびながら見た光景では、彼の乗っていた船が真っ二つに割れ、沈んでいく景色だった。

 

 

日英連合艦隊旗艦隊

空母プリンス・オブ・ウェールズ

 

「敵船団、撤退を開始しました」

「砲弾がまだ残っている艦は?」

「てるづき、あけぼの、ケントの3隻です」

「3隻には追撃の指示を。残りの艦艇は漂流者の救助を開始せよ」

 

てるづき、あけぼの、ケントが艦隊から分離し逃げるロウリア王国船団を攻撃。使用期限間近の砲弾のバーゲンセールが行われた。クワ・トイネ公国並びにクイラ王国の武官は終始信じられないという表情であり、本国になんと報告すれば良いのか頭を抱えていたという。

 

 

「・・・・うう、来るな! 来るなああ!!」

「ヴァルハル様! 敵は来ていません!!」

「嘘だ嘘だ! 3隻の船が追撃に来ていたではないか!!」

「その船も撤退しました! ご安心ください!!」

「・・・・そうか・・・・」

 

パーパルディア皇国の観戦武官ヴァルハルは震えていた。運よく撃沈されなかった。ロウリアの4400隻の艦隊がどのようにクワトイネ公国を消滅させ、記録することが彼の任務だった。蛮族にふさわしいバリスタと、切り込みといった原始的戦法でこれだけの数をそろえたらどうなるのか、個人的興味もあり、彼はこの任務が楽しかった。しかし現れた船は、かれの常識をも遥かに超えたものだった。帆船を増速させる「風神の涙」を使った形跡が無いのに、圧倒的に速い。そもそも帆が無い。100門級戦列艦よりも、大きい船であるにも関わらず、巨大な大砲を1門しか積んでいないのを見て思う。何かの冗談か? 蛮地に無いはずの大砲があったのには驚いたが、大砲はそう当たるものでは無い。なかなか当たらないから、100門級の戦列艦が存在するのだ。しかし、彼らの船は、3km放れているにも関わらず、1発で命中させる。しかも巨大な大砲であるため、一撃で船が撃沈する。さらに驚くべきは、鉄竜を使役していたことだ。神聖ミリシアル帝国の物より明らかに洗練されていた。彼らの存在を知らずに、事を進めると、パーパルディア皇国をも脅かすかもしれない。ヴァルハルは、魔信により見たまま、ありのままを本国に報告した。

 

(続く)

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