日英同盟召喚   作:東海鯰

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空中要塞鹵獲作戦

カナダ空軍バゴットビル空軍基地

作戦室

 

「・・・・これが敵の姿か・・・」

「諜報部からの報告では、カナダに向かっているクルセイリース大聖王国の巨大要塞はキル・ラヴァーナル2号機。無人機を活用し、ミサイル攻撃や自爆特攻を試みるも猛烈な対空砲火に阻まれ、自爆特攻は失敗。ミサイル攻撃は一部を撃墜されるも、9割は命中。だが、有効打を与えられたとは思われない・・・か」

 

資料を読んだオグリとラスティ。

 

「おそらくは、使ったミサイルは空対空ミサイル。弾頭の炸薬量は対艦ミサイルより少ないだろうし、要塞相手には石を投げつけるのと変わらねえだろうな」

「対艦番長はカナダにいないからね〜。かと言って、未知の戦力に艦艇を出せないしね〜」

「通常の戦闘機では、あの猛烈な対空砲火を潜り抜けることは不可能。それに、対艦番長を持ってきたとしても、あの空中要塞に効くかも分からねえ。なら、手は一つしかねえよな」

 

オグリがウッチーの顔を見る。

 

「・・・・・やれやれ、またオグリの無茶振りに振り回されそうだね〜」

 

内容を察したウッチーは呆れながらも、オグリの考えに同調する。2人のやり取りを見たハイネとラスティも、作戦内容を把握した。

 

「・・・・ラスティ少佐、皆様方は一体何を始めるおつもりで?」

 

唯一理解出来ずにいたイグザべがラスティに問う。

 

「・・・・F-37のイカれた性能を活かして、要塞内部に突入。要塞を内部から爆破した後にまたF-37で脱出するって作戦ですよ」

「・・・・・・・・Huh?」

 

意味不明過ぎて思考が停止しているイグザべを他所に、オグリがカナダ空軍の関係者に要塞内部の図面を求める。要塞内部の図面はサナダ公国の諜報部が入手しており、G5各国の上層部のみが知る特定機密情報である。

 

「成る程な、ここから入れそうだな」

 

ハイネが排気口と書かれた場所を指差す。

 

「巨大要塞とあって、排気口の大きさも桁違い。ギリギリではあるが、F-37が飛行出来るだけの幅があるな」

「一歩間違えれば壁と衝突だけど、確実に内部に繋がっているし、他に入れそうな場所はないもんね〜」

「排気口とは言うものの、地上配備事は乗員や物資の搬入にも使うようだな。その為か、ご丁寧に戦闘機が駐機出来そうなスペースもあるし、何なら緊急脱出用の1人用のPODまである」

「某サイ◯人が潰しそうだな」

 

オグリらは冗談を交えながらも、真面目に作戦を立てていく。カナダ空軍の関係者は彼等に全てを任せるという態度であり、求められた情報を開示したり、記録を取るだけ。イグザべには理解出来ない空気だった。

 

「では、作戦は決まった。今から役割分担を発表する」

 

オグリがホワイトボードを用いて作戦内容を伝える。

 

「まず、敵は生半可な攻撃では進撃を止める事は出来ない巨大要塞だ。故に、内部から破壊する必要があるのは、皆承知しているだろう」

「で、ですが・・・敵は猛烈な対空砲火を浴びせる事が可能であり、F-37の機動性を以てしても近付くのは困難では?」 

「イグザべの言う通り。故に、囮をばら撒く。ウッチー、説明してやれ」

「はいよ〜。まずは新兵器である28式地中貫通弾を1発搭載したF-37を2機投入。敵要塞を高高度から爆撃し、敵の進撃を止める。その後、ブリカス発案のリサイクル兵器、無人戦闘機爆弾を投入する事による波状攻撃を実施するよ〜」

 

「無人戦闘機爆弾」

 

戦後軍縮が進むムー軍やNATO式に再編が進んでいる新生グラ・バルカス帝国軍や神聖ミリシアル帝国軍では、余剰または旧式化とした機体が多数存在していた。多くは鉄屑として売却されていたものの、その数はあまりにも多く、処理が追いついていなかった。そんな中サナダ公国より、クルセイリースが保有する巨大要塞の情報が紅茶をキメた技術者達にもたらされる。そこで彼等は考えた。

 

「処分に困ってる旧式戦闘機に爆薬を詰めて、敵にぶつけたらいいんじゃね?」

「人が乗るスペースがあるから、無人機改造の際に必要な機器も無理なく乗せられるやん」

「爆薬が足りないなら、翼下にぶら下げたらええやん」

「ドローンより速くて威力も出せて、在庫整理にもなるやん」

 

と、水を得た魚もとい、紅茶を得た紳士の如く、新兵器の開発に着手。構想から3日で試作機が完成。試験として、廃艦予定であったムー海軍の旧式駆逐艦に突撃させた。旧式駆逐艦は瞬く間に大破し、その威力を見せ付けた。また、第二次世界大戦末期の特攻機とは違い、無人である事からイギリスの技術者達はこれを、

 

「世界で最も人道的な兵器」

 

として絶賛。また国連軍副司令官アオイ・バイオレット・アリス・ハミルトン准将が、

 

「敵空中要塞に対して、水上艦艇や戦闘機から対艦ミサイルを撃たせるよりは安全」

 

と意味深な発言をした事で、対空中要塞決戦兵器として量産化が開始。無論アオイの発言は、量産化の指示としての発言ではなかったのだが、時すでに遅し。300機以上の無人戦闘機爆弾が落成し、空中要塞が進撃するカナダへ配備されてしまっていたのである。

 

「曰く付き過ぎませんか?」

「そんなもんだよ、ラスティ。まあ、とにかくこのイカれた特攻機をぶつけまくる。無論、敵は猛烈な対空砲火で迎撃するだろうけど、その隙をついて俺とオグリ、そしてイグザべの3人が操縦するF-37を敵要塞内部に突入させるよ〜」

「「お〜!!」」

 

パチパチと拍手するハイネとラスティ。一方イグザべは理解が追い付かない。

 

「へ?」

「突入に当たっては、通常時は各種爆弾を搭載するスペースに、工作用の武器弾薬その他サバイバル機材を搭載し、突入後は機体を盾にしながら展開。その後内部へと進行。イギリスからの情報では、この要塞は1人乗りであり、更にはサナダ公国からの情報だと、筋骨隆々の変態1名しか乗っていないらしい。俺がその変態を相手している間に、ウッチーとイグザべは要塞の動力装置を爆破。その後パラシュートなり、乗ってきた戦闘機で脱出だ」

 

よし!それで決まりだな!と言わんばかりに納得するイカれた連中にイグザべが意見を述べる。

 

「ちょ、ちょっと待ってください!! 士官学校でそんな作戦習ってないんですが?! そもそも貴重な戦闘機パイロットに工作員させるって正気ですか?!」

「「??」」

 

何がおかしいんだ?と言わんばかりの表情のオグリとウッチー。

 

「イグザべ少尉。ここに来ちまった以上、今までの常識は捨てな」

「大丈夫です。イグザべ少尉なら出来ますよ」

 

ハイネとラスティがイグザべの肩を優しく叩く。

 

「ちなみに、撃破出来なかった場合は?」

「そりゃあ勿論、核を撃ち込む」

「困ったら取り敢えず核を撃ち込む大英帝国が味方で良かったですね」

 

いや、そうじゃないよ・・・と思ったイグザべだったが、作戦は承認。各員愛機に乗り込むと、順次作戦行動を開始するのであった。

 

「行くぞラスティ! 俺に続け!!」

「はい!!」

 

滑走路に5機のF-37が並ぶ。先行して敵空中要塞に対峙するハイネとラスティが先に離陸する。そしてそれを追い掛けるように無人戦闘機爆弾も次々と離陸。誘導機となるハイネ機とラスティ機に350機が続く。

 

「こりゃあとんでもない規模だな」

「全くだね〜。さて、俺達も離陸しますか」

 

無人戦闘機爆弾が全て離陸して暫く経った後にオグリ機、ウッチー機、イグザべ機が離陸する。

 

「待ってろよ敵空中要塞。このバーニングクイーンが叩き落としてやるよ!! イーグル1、小栗闘子一等空佐、出撃する!!」

 

機体が変わっても引き続き彼女固有の識別コールであるイーグル1を使用し、オグリは出撃。

 

「さてさて、行きますか。イーグル2、内闘也一等空佐、出撃するよ〜!!」

 

彼も固有の識別コールであるイーグル2を使用してウッチーは出撃。

 

「・・・・・・とんでもない場所に来てしまった。でも、やるしかない。バルーサ0、イグザべ・オリバ・2世、出撃します!!」

 

彼の固有識別コールは故郷バルーサと0からのリスタートを組み合わせたバルーサ0。オグリとウッチーを追い掛ける形て出撃する。

 

 

カナダ南方海域2000キロ沖合

 

キル・ラヴァーナル2号機

 

「・・・・・だんだんとカナダに近付いてきたな。途中蠅どもが邪魔しに来たが、流石は空中要塞。びくともしなかったぜ!!」

 

引き続きクルセイリース大聖王国の秘密兵器はカナダの首都オタワに向けて進軍を続けていた。

 

「ぐふふ・・・・」

 

デット・グレファーは汚い笑みを浮かべる。

 

「カナダで一体何人の女が手に入るか・・・楽しみだな・・・ん?」

 

グレファーはレーダー画面に変化があった事に気付く。

 

「ま〜た蠅どもが・・・・な、何だこの数は!?」

 

レーダー画面には100を優に超える機影が表示される。

 

「100は遥かに超える数か・・・・だがその程度で・・・」

 

次の瞬間、大きな衝撃をキル・ラヴァーナルを襲う。

 

「な、なんだ!?」

 

各種計器を確認するグレファー。

 

「内部で火災発生だと!? 一体何処から攻撃して来やがった?!」

 

必死にレーダー画面を確認するグレファー。しかし、レーダーには攻撃を仕掛けてきたと思われる機影は映っていない。

 

「ひとまずは火災が起きた区画を封鎖だ! 出力は下がるが、致し方あるまい」

 

計器には第二エンジンが停止した事を示す表示が出る。先の衝撃で第二エンジンのある区画が被害を受け炎上。直ちにグレファーは第二エンジンを停止させ、被害を抑えたのである。

 

「ふう・・・・何とかなっ・・・」

 

再び大きな衝撃。

 

「今度は第一エンジンがやられただと!? どうなっていやがるんだ!!」

 

 

国連軍カナダ派遣軍

ハイネ・オストフルス機

 

「良くやったぞラスティ!! 敵の足を止める事に成功した!!」

 

国連軍は空中要塞撃墜作戦の第一段階「地中貫通弾攻撃」を敢行した。最新鋭ステルス戦闘機F-37を用い、敵のレーダー網を掻い潜り爆撃。本来は地上目標に対して用いられる地中貫通弾を使用し、空中要塞にダメージを与えた。今回使用された28式地中貫通弾は、本来は対グラ・バルカス戦に向けて開発されていたものであり、今回の使用は目的外である。

 

「オストフルス中佐こそ、お見事です!!」

 

ハイネ機は第二エンジン、ラスティ機は第一エンジンのある区画を的確に命中させ、敵空中要塞の足を止める。キル・ラヴァーナルの有する魔導レーダーからのレーダー波を吸収する特殊コーティングが施されたF-37を捉えるのは至難の技であり、敵からはいきなり攻撃されたようしか見えない。

 

「よし! 無人戦闘機爆弾を一斉に突撃させる!!」

 

ハイネとラスティがスイッチを押すと、一定速度で巡航していた無人戦闘機爆弾が一気に加速し、敵空中要塞に迫る。

 

「敵空中要塞、迎撃を開始した模様!!」

「凄い・・・・エンジンを2つ潰したのに、あんなに弾幕を張れるなんて・・・」

 

猛烈な対空砲火が無人戦闘機爆弾を襲う。

 

「だが、完全に足が止まったぜ。エンジンを2つ潰された影響で、対空砲火を浴びせるのと、浮かせるので精一杯みてえだな」

 

 

「エンジンを2つ潰されたぐらいで落とせると思うなよ!!」

 

グレファーは対空砲火を開始。瞬時に自動計算され、適切な弾幕を無人戦闘機爆弾に浴びせるキル・ラヴァーナル。

 

「しかし、出力不足は否めん。第一エンジンはコックピットの真下。一番頑丈な場所にあり、予備の第四エンジンもあって良かった」

 

四発のエンジンを搭載するキル・ラヴァーナル。通常の移動時はエンジン一つで充分だが、戦闘時には対空砲火並びに火器管制レーダーへの魔力供給の為にエンジンを追加で2つ起動させる必要がある。しかし、先のハイネとラスティの攻撃により、第二、第三エンジンがやられてしまい、更に予備の第四エンジンは最低限の飛行のみしか出来ない緊急用の予備エンジンである為、移動しながらの対空砲火は出来なかったのである。

 

「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄あああ!!」

 

しかし、それでも対空砲火は猛烈だった。無人戦闘機爆弾は対空砲火の雨に晒され、次々と撃ち落とされていく。そして、その無人戦闘機爆弾の機影に紛れるようにして、空中要塞に迫る戦闘機の姿があったのをグレファーは知らない。

 

 

国連軍カナダ派遣軍

オグリ機

 

「敵はまんまと囮に引っ掛かったな。ウッチー! イグザべ! 突入するぞ!! 敵の対空砲火に当たるなよ!!」

 

好機と判断した国連軍は第三段階に移る。いよいよ工作員を戦闘機で突入させるのである。

 

「はいよ〜」

「本気で言っているんですか・・・」

 

オグリ機に続き、ウッチー機とイグザべ機も突入を開始する。

 

「・・・・今回はご丁寧にシェルターを閉じていたか。だが、それは意味ねえぞ!!」

 

オグリはミサイルの発射ボタンを押す。爆弾倉の扉が開き、対艦ミサイルが放たれる。

 

「・・・・・・汚え花火だ」

 

オグリ機には現在量産化に向けた最終試験中の空対艦ミサイルASM-3が搭載されていた。

 

「しかし、凄い威力だ。一瞬にしてシェルターを吹き飛ばすとはな。構わず突き進むぞ!!」

 

爆風に紛れるようにしてオグリ機が突入する。

 

「ふおおお!!」

 

急減速をかけるオグリ。エンジンを逆噴射し、強引にスピードを落としていく。

 

ガシャーン!!

 

「止まりきれなかったか・・・・だが、それでも俺は死なないけどな」

 

案の定止まりきれず、オグリ機は壁に衝突。普通のパイロットは殉職不可避だが、そこは選ばれしパイロット。咄嗟に緊急用の射出座席を使用。更にそこから空中で3回転した後に着地。見事無傷で降り立ったのである。  

 

「此方オグリ。機体はお釈迦になったが、俺は無傷だ。続けて突入せよ!」

 

無線で待機中のウッチーとイグザべに指示を出す。

 

 

ウッチー機 

 

「さ〜て、俺も行こうかね〜」

 

ウッチー機が続けて突入。オグリとは異なり、丁寧かつ慎重に突入していく。

 

「逆噴射〜、っと」

 

予めスピードを落としていたウッチーは鮮やかな操縦技術を駆使し、垂直に着陸。機体を降りると、先に突入していたオグリと合流した。

 

「流石はウッチーだな。ウッチーに武器の輸送を任せて正解だったな!」

「未知の敵にも関わらず、臆さずに突っ込んでいくオグリも流石だけどね〜」

 

続けて3機目のF-37が突入する。

 

「・・・・・おっ? イグザべも来たようだな」

 

オグリとウッチーはニヤニヤしながら彼を待ちわびる。

 

「・・・・・彼奴、逃げたかっただろうな」

「まあ、そんな訓練されてないし、仕方ないかな〜?」

「それに、ハイネとラスティには絶対に代わるなと伝えておいたしな」

 

ウッチーよりも丁寧にF-37が着陸する。

 

「・・・・・お待たせしました・・・・」

 

嫌々な顔をしながらイグザべが降り立つ。

 

「まあ、色々思うところはあるだろうが、多くは聞かねえ。今は兎にも角にもこの空中要塞をぶっ壊す。良いな?」

「・・・・・はい」

「さて、行こうかね〜」

 

オグリ、ウッチー、イグザべはウッチー機に搭載していた武器を装備。内装を記した図に従い、内部を進んでいく。既に内部には監視カメラやセンサーの類は存在しない事は分かっており、悠々と進撃していく。

 

「このまま真っすぐ行けばコントロールルームか。さて、どうする?」

 

オグリはウッチーに意見を求める。

 

「・・・・・そりゃあ、答えは一つだよな〜」

 

ウッチーはプラスチック爆弾を手に取る。

 

「コントロールルームに突入して、この空中要塞を鹵獲に決まってるじゃん。破壊するなんて勿体ないしな!」

「だよな」

 

不敵な笑みを浮かべるオグリとウッチー。 

 

(やっぱりあの人達は普通じゃない・・・化け物だ!!)

 

普通の人であるイグザべは二人に着いていくので精一杯だった。オグリとウッチーは構わずに指示を出していく

 

「イグザべは最悪の事態に備え、エンジンルームに向かえ。今から30分以内に指示が無ければ、計画通りにエンジンを爆破し、パラシュートで帰還しろ。俺とウッチーには構うな。良いな?」

「は、はい!」

「イグザべ、心配は無用だ。俺にはウッチーがいるからな!!」

 

ここでオグリとウッチーはイグザべと別れて行動する。イグザべはエンジンルームへ向かい、爆薬を準備する。オグリとウッチーはコントロールルームへ向かい、敵と交戦し、機体のコントロールを奪取する。それぞれの役割を果たすべく、動き始めた。

 

 

国連軍カナダ派遣軍

ラスティ機

 

「あれだけの無人戦闘機爆弾をぶつけてもびくともしない・・・オグリ一等空佐の作戦が最善なんて、誰が想定出来るだろうか・・・」

 

一般人からしたら、どこが最善やねん!という作戦だが、既に毒されているラスティは愛機を操り、敵の攻撃を回避し続ける。

 

「うおっ!?」

 

咄嗟に緊急用の防御膜を展開するラスティ。彼らが搭乗するF-37は高純度オリハルコンをふんだんに使用した特別なエンジンであり、通常のF-37には搭載不可能な機能も装備している。

 

「危ない・・・オリハルコンシールドがなかったら撃ち落とされていた・・・」

 

オリハルコンシールド∶F-37の一部の機体のみに装備された防御装置。敵の攻撃に対して使用し、展開した防御膜で敵のミサイルや砲弾、銃弾から機体を守る。だが強度は高くなく、パイロットの腕が試される。ただ防ぐだけでは普通に撃墜されてしまう為、上手く受け流すように受けなくてはならず、高コストの割には得られるメリットが少なさすぎるとして、本採用とはならなかったのである。

 

「頼みますよ・・・・妻よ・・・・」

 

ラスティはハイネと共に、敵の注意を引きつけるべく奮闘していく。

 

 

空中要塞内部エンジンルーム

 

「ここがエンジンルーム・・・・」

 

イグザべの眼前には見たことのない巨大な機械が多数並ぶ部屋が広がる。

 

「これをぶっ壊せば、空中要塞は落ちる・・・・か」

 

イグザべは合図を待ちながら爆薬を設置していく。

 

「・・・・・しかし、ハイネ中佐とラスティ少佐はよくあの二人に着いていけるよな・・・しかもオグリ一等空佐に至っては今は民間人らしいし・・・・」

 

イグザべはその場に座り込む。

 

「・・・・・あんなイカれた人達の中に入れられて、僕はやっていけるのかな?」

 

 

空中要塞コントロールルーム

 

「ぐぬぬ・・・小賢しい!!」

 

空中要塞を指揮するグレファーは必死に国連軍の無人戦闘機爆弾に抵抗していく。グレファーは国連軍の爆撃により、一部のエンジンが破壊され、出力が上げられない中、次々と向かってくる無人戦闘機爆弾の迎撃に総力を上げていた。

 

「雲霞のごとく湧いてきやがる!!」

 

 

カナダ海軍フリゲート艦「ユーコン」CIC

 

「敵空中要塞、我が方の射程圏内です!!」

「展開中のラスティ・オグリ機からの情報とデータリンク完了!!」

「よし! 在庫処分だ!! ハープーンをありったけ撃ち込んでやれ!!」

 

次々と向かってくるのは無人戦闘機爆弾だけではなかった。空中要塞の進行方向上からは、カナダ海軍のフリゲート艦からのハープーン対艦ミサイルが放たれていたのである。4発の艦対艦ミサイルが空中要塞に向けて飛翔する。

 

「・・・・スタンバイ・・・・全弾命中!!」

「されど、敵空中要塞は未だ健在!!」

「やはり・・・か。だが、敵は内部に潜り込んだ工作員には気付かないだろうな」

 

 

空中要塞コントロールルーム前

 

「いよいよだな、ウッチー。準備は良いか?」

 

空中要塞のコントロールルーム前に着いたオグリとウッチー。この戦闘を終わりにする時が近付いていることを実感しながら扉の前に立つ。

 

「何時でも行けるよ〜。早いことやっちゃおうか!!」

 

二人はプラスチック爆弾を扉に向けてぶん投げる。直後二人は身体を伏せ、爆風から逃れる。

 

「行くぞウッチー!!」

「はいよ!!」

 

オグリは抜刀し、ウッチーは拳銃を構えて突入する。

 

 

空中要塞コントロールルーム

 

「何事だ!?」

 

突然背後で起きた爆発。同時にグレファーは何者かが要塞内部に侵入している事を悟った。

 

「誰が来ようと俺には勝て・・・」

 

傍らに立て掛けていた剣を手に取り、振り返るグレファー。

 

パアン!

 

「ぐおっ!?」

 

突然の発砲。左胸筋に銃弾が命中し、一瞬動きが止まる。

 

「何者だ!? 俺の野望を邪魔するのは!!」

「問答無用!!」

 

グレファーの懐に殴り込んで来たのはオグリだった。即座にグレファーの胸筋を刀で斬りつける。

 

「ぐああ!!」

 

思いきり斬りつけられたグレファーからは多量の出血が認められた。これにグレファーは逆に興奮状態に陥る。

 

「女あ!! 良くも俺を!!」

 

グレファーはコントロールを放棄してオグリに向かって進んでいく。

 

「ウッチー! このデカブツは俺が何とかする!! その間にコントロールを奪取しろ!!」

「はいよ!!」

 

オグリはグレファーと刀と剣の鍔迫り合いを始める。金属同士がかち合う音がコントロールルームに響き渡る。

 

「どうした女あ!! その程度で俺を倒せんぞ!!」

「・・・・・・・脳筋の馬鹿が」

 

グレファーは目の前のオグリにばかり注意が行ってしまい、背後でコントロールを掌握しつつあるウッチーに全く気付いていない。

 

「所詮、俺はウッチーの時間稼ぎでしかないからな。ふん!」

 

オグリは隠していた拳銃を早撃ちする。

 

「ぐあ!!」

 

目を潰しにかかるオグリ。弾丸はグレファーの右目付近を掠めていく。

 

「・・・・・勝ったな」

 

次の瞬間、乾いた銃声が多数響き渡る。

 

「・・・・・いつの間に・・・・それに、要塞のコントロールを・・・」

 

グレファーは背後に立つウッチーに撃ち殺され、事切れた。ウッチーは自動小銃を手に取っており、銃口からは僅かに煙が出ている。

 

「ウッチー、コントロールは奪取出来たんだな?」

「おうよ。オグリも時間稼ぎありがとうだよ〜」

 

二人はエンジンルームで待機するイグザべに対して作戦成功を通達。爆破作戦を中止した。その後、予め用意していた専用のIFFを表示。その後、敵空中要塞の鹵獲が国連軍に伝わり、大英帝国の技術者達が大歓喜したとか。

 

 

タルクリス総督府総督執務室

 

「クルセイリースの空中要塞に対して、工作員を潜入させて鹵獲か。流石はバーニングクイーンとしか言いようがないな」

 

空中要塞鹵獲後、国連軍の最前線となっていたタルクリスにも情報がもたらされる。

 

「さて、講和交渉はどうなることか・・・・日本国は気楽そうだが、大英帝国は騙し討ちを前提・・・か」

 

ガルマは国連軍最高司令部からの作戦指示書を手に取る。

 

「講和交渉には、大英帝国最新鋭の戦艦「プリンス・オブ・フィリップ」のみを差し向け、敵意はない事を見せつけつつ、騙し討ちされたら圧倒的技術差で蹂躙。その開戦を合図にタルクリスに集めた部隊を一気に送り込む・・・・か。正直、あの空中戦艦1隻で充分なんじゃないかな?」

 

その裏では国連軍の部隊が続々とタルクリスに結集しつつある。切り札は鹵獲されて丸裸確定。果たしてクルセイリースの選択は・・・・

 

(続く)

 

 

 

 

「」

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