日本国 東京都 航空自衛隊横田基地
「たった今、イギリスのスターマン首相を乗せたイギリスの政府専用機が横田基地に着陸しました! 地球世界の首相が異世界転移後日本を訪問するのはカナダ、オーストラリア、ニュージーランドに続いて4か国目です!!」
日本とイギリス連邦王国が異世界に転移して2週間が経過した。突如として海外との通信が途絶した日本とイギリス連邦王国は直ちに船舶や航空機を周辺に展開。初日に沖縄県の那覇基地を離陸したP-3C哨戒機が国籍不明の未確認飛行物体と遭遇すると共に、中世ヨーロッパを彷彿とさせる街並みを持つ異世界国家を確認。帰投中に隣国と思われる荒野から石油と思わしき液体が自然噴出している地域も確認した。展開開始3日後にはイギリス空軍のP8A哨戒機が北海道に配置した日本のレーダーサイトに捕捉された。7日後までに日本はイギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、パプアニューギニア、ソロモン諸島、ツバルと接触。10日後には異世界探索の為に展開していた海上自衛隊の護衛艦みくまがジャマイカやグレナダ等カリブ海諸国を確認。その後緊急の首脳会談が必要であるということで各国の考えが一致。現在東京に向けて各国の首脳が航空機で向かっている最中であった。
日本国 東京都 首相官邸
「スターマン首相、この度は遠路遥々日本にお越しいただき感謝致します」
「なにを言いますかプライムミニスター・イシハ。会いたいのはむしろ私の方ですから」
その後、カリブ海諸国の首脳を乗せた航空自衛隊のC-130輸送機が到着。直ちにヘリコプターで首相官邸に移動し、異世界転移後初の首脳会談が行われることになった。首脳会談は2時間超に及び、その後各国首相が合同の記者会見を開いた。
「はっきり申し上げさせて頂きます。我が国とイギリス連邦王国は異世界に転移したということが正式に確認されました」
石葉首相の発言を皮切りに現時点で各国が把握している情報が国民に共有される。内容としては、
・日本、イギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、パプアニューギニア、ソロモン諸島、ツバル、アンティグア・バーブーダ、ジャマイカ、グレナダ、セントルシア、バハマ、ベリーズ、セントクリストファーネイビス、セントビンセントグレナディーン、クック諸島、ニウエ、その他イギリスの海外領土は地球世界から切り離され、異世界に転移した
・異世界転移後も各国の気候に変化はない
・各国の位置が完全に変わっている(挿し絵参照)
・海上自衛隊那覇基地所属の哨戒機が異世界国家の航空戦力と接触。その後中世ヨーロッパを彷彿させる街並みを持つ異世界国家を確認
・旧カリブ海諸国の領海に国籍不明の帆船が多数出現
・旧カリブ海諸国の周辺に異世界国家と思われる島国を複数確認
その後、報道機関による質問が行われる。
「異世界に転移となると、国民生活はどうなるのでしょうか?」
「当面の間は備蓄石油の放出やイギリス、カナダ、オーストラリアで産出される天然資源の共有を行うことを確認致しました。並行しまして異世界国家と国交を樹立し、至急食料や資源の輸入体制を確立します。決して国民の皆様を餓えさせることは致しません」
「アメリカやフランスと離ればなれになったということは、イージス艦やF35、更にはボーイングやエアバスの旅客機の整備に重大な影響が出ることが予想されますが、各国の間で合意した内容はございますでしょうか?」
「先程の首脳会談にて、イージス艦を初めとする旧地球国家製の兵器や製品のリバースエンジニアリングを日本、イギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドの5か国の合同で実施することで合意に至りました。特にボーイングやエアバス製の大型機の代替については、日本、イギリス、カナダの軍需・航空機メーカーの総力を結集し5年以内に新型機をロールアウトさせることを目標とする。その間は代替品の部品の製造を行い、新型機の穴を埋める、となります。また先程F35の話がありましたが、日本とオーストラリアはF35の整備拠点がありますので、それらの拠点に残された機密情報を解析し、日本、イギリス、イタリアの3か国で共同開発予定だったF3計画に反映させることになっています。また、イタリアに代わりオーストラリアが参加することでも合意に至りました。カナダとニュージーランドについては今後も協議を行います」
その後、各国の報道機関による質問が行われこの日の記者会見は終了した。終了直後にメモを持った官僚が石葉首相に耳打ちをする。
「たった今海上保安庁から、異世界国家の軍船と接触したという報告が入りました。軍船にはクワ・トイネ公国の外交官を名乗る者が乗船しており、現在海上保安庁の巡視船が石垣島まで曳航中とのことです。現在お伝え出来る内容は以上です」
突然の異世界国家との接触に報道機関の関係者がざわつく。至急対応する必要があるとして、各国の首脳は足早に会見場を後にしていく。なお、日本のマスコミの一部が石葉首相に対して、
「総理! 国民の知る権利を無視するんですか!!」
と、他の報道機関に白い目を向けられながら叫ぶフリーランスの記者がいたが、ほとんどの国民からも白い目を向けられることになる。
(続く)