日英同盟召喚   作:東海鯰

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破滅の道

パーパルディア皇国国歌

「偉大なる祖国の同盟」

 

1.

自由なる諸国の同盟を

偉大なパーパルディアは永遠に溶接した!

臣民の期待と意思を受け建設されし

強く団結したパーパルディア同盟万歳!!

称えよ! 我々の自由なる諸国の同盟を!!

諸民族友好! 信頼の砦!

パーパルディア皇国皇帝ルディアスの力が

我らをパーパルディア皇国による世界統一と世界平和へと導く!

 

2.

雷雨を越え我々に自由な太陽が輝いた!

そして偉大なる皇帝ルディアスが我々の進路を照らし出した!

正義の事業に臣民を団結させ!

労働へ! 偉業へ! 我々を触発した

称えよ! 我々の自由なる諸国の同盟を!!

諸民族友好! 信頼の砦!

パーパルディア皇国皇帝ルディアスの力が

我らをパーパルディア皇国による世界統一と世界平和へと導く!

 

3.

無敵のパーパルディア皇国の勝利に

我々は祖国の未来を見た!

栄光ある祖国の赤旗に

我々は常に献身的忠実である!

称えよ! 我々の自由なる諸国の同盟を!!

諸民族友好! 信頼の砦!

パーパルディア皇国皇帝ルディアスの力が

我らをパーパルディア皇国による世界統一と世界平和へと導く!

 

 

アルタラス王国首都ル・ブリアス

アルタラス王国駐イギリス大使館

 

「え? これが奴らの国歌なの? 殆ど共産主義のアカと変わらんじゃん」

 

駐アルタラス王国大使のハルトはパーパルディア皇国の国歌に対して率直な感想を述べる。

 

「しっかし、パーパルディアの奴らはホンコンを狙ってるらしいなあ・・・殆どホンコンには戦力がないから不味いんだよなあ・・・」

「それにコンホン条約に基づき、アルタラス出張所を更地にしてしまいましたから、怨みはあるでしょうな」

 

コンホン条約に基づき、パーパルディア皇国アルタラス出張所に強制捜査を実施したイギリス軍。アルタラス出張所職員を武力で黙らせながら手当たり次第に怪しい壁や床を破壊し捜査を実施。その結果、地下に作られた隠し部屋から50人以上の若いアルタラス王国の女性を発見。直ちにイギリス側が手配したバスに乗せられ、彼女らはアルタラス王国で開業したアルタラス中央病院へと搬送された。中には昨日までは生きていたと思われる女性や無理やり産まされた赤ん坊も発見され、アルタラス出張所の職員全員の身柄をイギリス大使館側はアルタラス王国の要請を受けて拘束。罪人となった彼らは一人残らずアルタラス王国の民に石を投げつけられ、見るも無惨な姿で死を迎えた。アルタラス出張所はその後イギリス大使館の手により更地され、現在はパーパルディア皇国による性犯罪の歴史を伝えるモニュメントが建設中である。

 

「ちなみにパーパルディア皇国の連中はアルタラス出張所がもう存在しないってことを知ってるのかな?」

「それは分かりかねます・・・」

 

イギリス軍がアルタラス王国警察と共同で強制捜査を行った際にイギリス側はパーパルディア皇国本国と直接連絡可能な魔信機(FAXのようなもの)を2台押収。1台は解析の為にクワ・トイネ公国に送られ、残りの1台はパーパルディア皇国本国からの通信傍受の為にイギリス大使館に設置された。

 

「お、なんか出てきたぞ。本当に気付いてないんじゃないか?」

「取り敢えず内容を確認しましょう」

 

アルタラス王国に滞在するパーパルディア皇国人により、アルタラス出張所が更地になったこと自体は第三外務局に伝えられていた。しかし、同時期にカイオスら幹部がグレナダ当局に犯罪人として引き渡されていた為に機能が停止。この情報は他の報告書と共に書類の山に埋もれてしまい、レミールがこのことに気付くのはまだ先の話になる。

 

「ふむふむ・・・こりゃあ傑作だな。アルタラス王国と戦争して、列強の威厳を取り戻そうって話か」

 

内容は以下の通りであった。

 

・アルタラス王国は魔石鉱山シルウトラスをパーパルディア皇国に献上すること。

 

・アルタラス王国はイギリスとの同盟を破棄し、イギリス人を一人残らずパーパルディア皇国に引き渡すこと

 

・アルタラス王国王女ルミエスを奴隷としてパーパルディア皇国へ差し出すこと。

 

以上3点を2週間以内に実行することを要請する。出来れば武力を使用したくないものだ。

 

「戦争する気しかないな、これ」

「如何致しましょう?」

「取り敢えず本国に報告だ。アルタラス王国はホンコン防衛の重要拠点。喪うことは許されない。幸いにもアルタラス王国軍の近代化は順調であり、陸軍戦力ではパーパルディア皇国に負けることは有り得ない。ただ海軍は日本から輸出された巡視船や哨戒艦ばかりであり、沿岸警備主体。モガミクラスはまだ建造すら開始されていない。空軍に至っては戦闘機はなく、旧式のワイバーンと僅かに導入したPAC-3があるのみ。それも首都防衛の為に動かすことは出来ず、防空は基本的に我が国のユーロファイタータイフーンが担う状況。だが、日本と共同開発した自走対空機関砲が20台も導入された。まあ、何とかなるだろう」

「となると問題は」

「ホンコン、エストシラント、そしてデュロだ。何れにも我が国並びに同盟国の邦人が多数滞在している。奴らのことだ。邦人を人質に取り、要求を突き付けてくるだろう。最悪の場合は・・・・こうだ」

 

ハルト大使は右手を首に当て、切る動作をする。

 

「とにもかくにも報告だ。本国からの指示を待つ。アルタラス王国には警戒するよう、この要請書と共に伝えよ」

「ははっ!」

 

パーパルディア皇国からの要請書という名の宣戦布告を受け取ったアルタラス王国は直ちに戦争の準備を開始した。予備役を全て召集し、各種装備品の一斉点検を開始。上陸が予想される地点の住民疎開や迎撃部隊の移動等を進める。また、ハルト大使がパーパルディア皇国本国に対して「バカメ」と返答。返答内容から異変に気付いたレミールはようやくアルタラス出張所が更地になっていたことを知るのであった。

 

 

パーパルディア皇国エストシラント

第3外務局局長室

 

「アルタラス出張所が当の昔に更地になっていただと!? 何故今まで分からなかった!!」

「どうやら、第3外務局が機能不全に陥っていた時に入った情報のようで、他の情報に埋もれてしまい・・・」

「言い訳はよい! それでアルタラス王国はなんと!? バカメでは許されないぞ!!」

「今のところ返答はありませんが、アルタラス王国に滞在している者からは予備役が全て召集され、イギリス軍と共に活発に活動。また一部情報ではホンコン防衛を兼ねた援軍がクワ・トイネ公国や西ロウリア王国を経由して送られる見込みであると!」

「援軍が来ては面倒だ。何か手はないか・・・」

「レミール様! エルフェウス騎士団がデュロに到着した模様です!!」

「よろしい。では特命を実行するのだ。上手く行けばイギリスの侵攻を止められるやもしれない」

「ははっ!」

 

 

パーパルディア皇国デュロ

イギリス総領事館

 

「最近エストシラントからエルフェウス騎士団が此方に向かっているらしいが、一体何事だろうか?」

 

イギリス総領事館の総領事ホップ・シールド・ハロンは書類に判子を押しながら側近に訊ねる。

 

「分かりません。エストシラントの大使館に聞いてみますか?」

「いや、アイツの手を煩わせるのは悪い。取り敢えず本国からの指示を・・・」

「た、大変です!!」

 

血相を変えた領事館の職員がノックなしで入ってくる。

 

「どうした?」

「申し上げます!! エストシラントから向かって来ていたエルフェウス騎士団が日本の総領事館を襲撃!! 日本総領事館職員全員の身柄が拘束された模様です!!」

「領事館を襲撃だと!? 外交官に危害を加えるとは正気か?!」

 

驚くホップ総領事と側近。直後、向かい側のニュージーランド総領事館から火の手が上がり、多数の職員がイギリス総領事館に逃げ込んでくる。

 

「ホップ総領事!! ニュージーランド総領事館では機密書類の焼却処分と共に職員が避難して来ています!! 新たに入った情報ではパプアニューギニアの領事館が襲撃され、此方も全員の身柄が拘束されました!」

「デュロに展開している軍に此処(イギリス総領事館)防衛を要請しろ!!」

「現在オーストラリアの総領事館でオーストラリア軍とエルフェウス騎士団による銃撃戦が発生! 同時に機密書類の焼却処分中とのこと!!」

「我々も急ぎ機密書類の焼却処分を進めるんだ!!」

 

デュロに総領事館を設置している日本、イギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、パプアニューギニア。第3外務局局長レミールの指示により、エルフェウス騎士団は各国の総領事館を襲撃していた。既に日本とパプアニューギニアの領事館職員の身柄が拘束され、オーストラリアの総領事館では職員の待避を支援する為にオーストラリア軍が戦闘を開始。ニュージーランド総領事館は機密書類を焼却処分し、イギリス総領事館へ待避。カナダ総領事館も現在イギリス総領事館へ待避しているところである。

 

「総領事館防衛戦力は!?」

「イギリス軍とカナダ軍、ニュージーランド軍合わせて400名です。オーストラリア軍を含めても500かと」

「ちなみに敵は?」

「5000はいるかと」

「無理ゲーだぞ!! しかもデュロってパーパルディア皇国正規軍の基地もあるから・・・」

「ホップ総領事! 正規軍が動き出しました!! 港が制圧され、脱出は不可能です!!」

 

日本、パプアニューギニア、オーストラリア、ニュージーランド、カナダの総領事館を制圧したエルフェウス騎士団は正規軍の支援を受け、イギリス総領事館の包囲を開始。イギリス側は徹底抗戦の構えを取るが、圧倒的に戦力不足であり、近日中にも制圧されるのは目に見えていた。

 

「本国には伝えたのか?」

「はい。現在我が大英帝国、日本、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドで先進5カ国首脳会議、G5ウェリントンサミットが開催されていますので、各国で共有されたかと」

「そうか・・・グローリア、すまない。俺はここまでみたいだ・・・」

 

翌日、エルフェウス騎士団はイギリス総領事館に突入。イギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド軍の激しい抵抗により、多数の死傷者を出しつつも制圧。イギリス総領事の身柄を拘束し、彼等をエストシラントまで連行した。また並行してデュロに滞在する各国邦人をスパイ容疑で次々と拘束。日英と商売している一部のデュロ市民から猛抗議を受ける一幕もあったものの、エルフェウス騎士団と正規軍は邦人の拘束を完了。現地人により匿われ、イギリス領アルーニを経由して帰国した極一部を除き全員が罪人としてエストシラントへ送られた。

 

 

パーパルディア皇国皇都エストシラント

第3外務局局長室

 

「首尾よく行ったか。では予定通りイギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、日本の大使に出頭を命じよ!!」

「レミール局長、パプアニューギニアの領事も拘束したみたいなのですが、パプアニューギニアは呼ばなくて良いので?」

「ん? 蛮族がまだ他にもいたのか? なら出頭させておけ」

「ははっ!!」

 

 

駐パーパルディア皇国イギリス大使館

 

「・・・・そんな・・・・嘘・・・・嘘よ・・・・ね?」

 

(続く)

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