日英同盟召喚   作:東海鯰

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異世界国家との接触

日本国 沖縄県 石垣市 石垣島 石垣港

 

「船長! 島です!! 本当に島です!!」

「言われなくても分かっとる!! しかし、本当に陸地・・・いや国家があるとは・・・・」

 

今から二週間前、国籍不明の未確認飛行騎の領空侵犯を受けたクワ・トイネ公国。政府は哨戒騎からの報告から北東の方角に何らかの手がかりがあると判断。海軍に対して調査を命じた。これを受けて海軍は補給物資を満載したクワ・トイネ公国海軍最大級の軍船アカツキを派遣。万が一新たな国家が存在していた場合を想定し、外交官も同乗させた。アカツキはひたすら北東に向けて進路を取るも、見えるのは大海原のみ。本国へ引き返すことを考えると、そろそろ反転させよう。そう考えていた時だった。

 

「船長! 水平線の先に白い船が見えます!!」

 

望遠鏡片手に水平線を監視する見張り員が叫ぶ。

 

「白い船だと!?」

 

船長は直ちに見張り員から望遠鏡を受けとると、言われるがままに水平線を見つめる。

 

「・・・確かに見える。だが、あの白い船には帆が付いておらぬ。列強のパーパルディア皇国の物ではなさそうだ」

「となると、第三国の船舶でしょうか?」

「もしかして先の未確認飛行騎と関連があるのでは?」

「・・・・あるかもしれんな。その証拠か、だんだんあの白い船はこちらに近付いてきている。もしかすると、我々はあの白い船が所属する国の領海に近付いているのやもしれん」

 

待つこと二時間、先程までは望遠鏡でギリギリ見えるぐらいだった船は肉眼でもはっきり見えるぐらいに近付いていた。何やら見たことのない字で書かれており、明らかに第三国の船舶であることは明白であった。

 

「此方は日本国海上保安庁です! 貴船は我が国の排他的経済水域を航行しています!! 我が国の排他的経済水域にて漁業や資源探査等の経済活動は認められていません!!」

 

突如として大きな声が響く。

 

「なんと・・・あの船はあんなにはっきりと聞こえる声を出すことが出来るのか・・・明らかにただの肉声ではない・・・」

 

船長ら乗員は驚くばかりで口をポカンと開けていた。やがて白い船はアカツキの真横に横付けする。

 

「・・・はっ! 外交官を叩き起こせ!! 新興国との外交交渉の時間だとな!!」

「ははっ!!」

 

その後、アカツキから外交官ら数名が白い船に乗り移る。

 

「巡視船よなくにへようこそ。私は船長の三代勇気です」

「クワ・トイネ公国外務局職員のヤゴウです」

「同じくハンキです。と言っても軍務局からの出向ですが」

 

簡単な自己紹介の後、三代から説明が行われる。

 

「現在本船は波照間島の南西300キロに位置しています。貴船を本船で曳航し、石垣島へ向かいます。石垣島到着後につきましては、政府の指示待ちになる・・・としか今は言えない状況です」

 

地図を交えて説明が行われる。異世界転移に伴い、緊急的に作り直された海図がヤゴウとハンキの眼前に広げられ、見たことのない国々がそこには記されていた。

 

「三代殿、我々は二週間前にマイハークに飛来した未確認飛行騎調査の為に派遣されているが、何かご存知だろうか?」

 

ヤゴウは直感的に日本が飛ばしたのではないか?と思い尋ねる。

 

「もしかして、その未確認飛行騎はこのような見た目ではありませんでしたか?」

 

三代は2人にP-3Cの写真を見せる。

 

「これです! 我が国の領空を侵犯したのはこの鉄竜です!!」

「此方は我が国の、海上自衛隊の哨戒機になります」

「海上自衛隊? 海上保安庁のではないのか?」

「役割が違います。我々海上保安庁は海の治安維持を担う謂わば警察であるのに対して、海上自衛隊は貴国でいうところの海軍。つまりは軍人です。哨戒機は異世界転移に伴い周辺海域を探索していた中侵入してしまったと聞いております。まさか、自衛隊が見つけた国は貴殿方の国だったとは・・・」

 

その後、ヤゴウとハンキは海上保安庁の巡視船よなくにの船内を船長三代の案内の下で探索した。初めて見るものばかりであり、2人はまるで子供に戻ったかのように三代や他の船員を質問攻めにした。並行して石垣島までアカツキを曳航する作業も行われ、その日の夜にはよなくにとアカツキは石垣港に入港することになったのである。

 

「しかし、夜になってもある程度は明るいな。魔法をふんだんに使えるのか?」

「でけぇ船が沢山あるな!!」

「なんだあ!? 鉄の箱が走り回ってやがるぜ!!」

 

久々に大地に足をつけた兵士達は初めて見る光景に驚いてばかりであった。その後、石垣市長の歓迎を受けた後にマイクロバスに乗り込み日本政府が緊急的に手配したホテルへと移動する。異世界転移に伴い、観光客がごっそり消えた石垣島ではホテルは半ば開店休業状態であり、久々のお客様であったとか。この日はホテルで一泊することになり、兵士達は久々の暖かい食事を楽しみ、温水で汗を流した後に湯船にゆっくりと浸かり、ふかふかなベッドで泥のように眠ることになる。

 

 

アカツキ副長の日記

 

クワ・トイネ公国を離れて二週間経っただろうか。進めど陸地は見えず、積み込んできた食料や水も引き返す分を計算すればもうこれ以上進めないのは明らかだった。何の成果も得られぬまま引き返すことになるのか。そう思っていた時だった。水平線の先に白い船が現れた。日本国の海上保安庁を名乗る全長90m程の大型船が現れた。帆を積んでいないにも関わらず、波に逆らい高速で進む船の名を彼らは「よなくに」と言った。その後、よなくにに曳航される形で日本国の石垣島に上陸した我々は更に驚かされた。夜であるにも関わらず、道には灯りが灯され、鉄の箱が島中を走り回っている。しかも日本側によれば魔法は一切使われておらず、キカイと言う物らしい。この日は宿に泊まることになったが驚きは止まらない。昼間のように明るい宿は空調が効いており快適そのもの。荷物を置いた後に大浴場に案内され、これまでの船旅の汗と汚れを落としたが、またこれが驚きだった。出てくる水は温かく、非常に質がよい。特にお湯を張った湯船に浸かれば今までの疲れが吹き飛ぶかのような快適ぶりだった。浴衣に着替えた後に夕食になった。夕食に出された様々な品はどれも絶品で私を始め兵士達皆舌鼓を打った。特にアイスクリームは冷たくて甘い為か、兵士達は競うようにアイスクリーム製造機に列を作っていた。私もアイスクリームを食べたが、経験したことのない舌触りと味に感動したものだ。明日、外交官や船長らは政府専用機という鉄竜に乗り、日本国の首都東京に行くという。私は船の管理の為に兵士らと共に石垣島に残ることになるが、代替として海上保安庁の者らによる教育を受けさせて貰えることになった。もし、日本国と友好関係を築くことになれば、間違いなく日本国の巡視船が我が国に供与となろう。そうなった時に備え、私も0から勉強し直さなくてはならない。その第一歩として明日からの教育に祖国の将来をかけて取り組む所存である。

 

(続く)

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