アルタラス王国アルタラス国際空港
イギリス空軍司令部
「ニュージーランドの哨戒機より連絡! 敵艦隊並びに敵航空戦力を確認!!」
「近傍に上がっている戦闘機は?」
「我軍のタイフーンが哨戒中です」
「哨戒機は直ちに退避! タイフーンは撤退を支援せよ!!」
哨戒機からの報告を受け、イギリス空軍は戦闘機を差し向ける。どうも哨戒機を撃ち落とそうと敵は航空戦力を差し向けたようだ。
イギリス空軍ユーロファイタータイフーン
「蜥蜴擬が哨戒機を狙ってる・・・か。精々エースパイロットになるためのスコア稼ぎにでもなりな! ミサイル発射!!」
タイフーンは空対空ミサイルであるAIM-9サイドワインダーを発射する。此方はアメリカ製のミサイルではあるが、やはり日本によるリバースエンジニアリングが実施されており、改良の上で近々27式空対空誘導弾として量産・配備が開始され、日英両国の空軍に配備される見込みである。
「目標撃墜!!」
その後タイフーン2機は搭載するミサイルを撃ち尽くした後に撤退を開始。哨戒機も無事アルタラス国際空港に退避出来たことが確認され、敵も未知の兵器を恐れ引き下がったことから、それ以上の空戦は起こらなかった。前哨戦はイギリス空軍のミサイル攻撃により、パーパルディア皇国のワイバーンロード4騎を撃墜。為すすべなく撃墜されたことにパーパルディア皇国側では多少の混乱が起きていた。
「敵は我軍のワイバーンロード4騎を撃墜した後に撤退しただと?」
「はい。現在我が艦隊を100騎のワイバーンロードによる上空警戒を実施し、再度の襲来に備えております」
部下からの報告をシウスは受ける。
「アルタラス王国のワイバーンにこのような芸当は不可能。であれば、これはイギリスの仕業であろう。だが、奴等の兵器は長くは使えぬようだな。おそらくはバカデカイ鉄竜撤退支援の為に送ったのであろう」
空軍戦力を壊滅させに来なかったことからシウスはこのように判断していた。
「間もなく艦隊は海岸部に到着する。竜母は後方に下げ、上陸前の艦砲射撃を・・・」
「シウス様! 陸地よりとてつもない速さで竜母に迫る飛翔体を感知しました!」
対空魔振感知器を操作する兵が絶叫する。全員が陸地の方を見つめると、とんでもない速さで飛翔する物体を一瞬ではあるが視認した。
「・・・・! この方向は竜母艦隊!!」
次の瞬間、パーパルディア皇国アルタラス侵攻艦隊が保有する竜母全てが轟沈したと報告が入る。
「り、竜母・・・全てが轟沈! 一瞬にして竜母艦隊は壊滅!!」
「・・・ぐぬぬ・・・」
「シウス司令! 艦砲射撃を!!」
「まだだ! あの飛翔体が連射出来るとは思えん!! 更に接近し、確実に・・・」
「追加で新たに12発の飛翔体が!! 本艦に向かって来ます!!」
「回避ー!」
「フン! 間に合うものか! 総員衝撃に備え!!」
直後に火柱があがり、シウスが座乗する旗艦が轟沈する。幸いにもシウスは脱出ボートに乗り移ることが出来たことから、旗艦を変更し、指揮を継続することが出来た。一方で貴重な竜母を全て喪い、更には戦列艦も12隻喪った。
「一体何が起きていると言うのだ・・・」
シウスは頭を抱えつつも、上陸前の艦砲射撃を行う為に戦列艦を海岸線に向け展開させるのである。
アルタラス王国陸軍第一ミサイル連隊
「パーパルディア皇国の竜母、全滅した模様!」
「よし! 航空優勢を取ったも同然だ!!」
日本から輸出された12式地対艦誘導弾を装備するアルタラス王国陸軍第一ミサイル連隊は保有する全てのミサイルを発射。第一目標として後方の竜母12隻、第二目標として旗艦の可能性がある戦列艦12隻に対して1発ずつミサイルを喰らわせた。結果、パーパルディア皇国の竜母は全滅、戦列艦も旗艦を撃沈。シウスは助かり、指揮を継続しているものの、充分すぎる戦果であった。
「しかし、敵はまだまだ残っている。24発しかミサイルがないのは辛いな・・・」
戦争前にアルタラス王国陸軍が確保出来た対艦ミサイルは僅か24発。200を優に超える艦隊を有するパーパルディア皇国艦隊を相手するには明らかに不足していた。
「とは言え、竜母が無ければ敵も空からの攻撃に備えねばならず、飛んでいるワイバーンロードも何れは飛べなくなる。そうなる前に我らから補給品を獲ようと無理にでも突撃してくるだろう。そこを彼らが叩く」
ミサイル連隊と入れ替わるようにレオパルド2と26式自走対空高射機関砲、ブッシュマスターが続々と到着。更に海上でも動きがあった。
アルタラス王国海軍旗艦ベシアル(旧海上自衛隊護衛艦あぶくま)
「王国の興廃この一戦にあり! 各自奮闘努力せよ!」
かつては帆船が主力であったアルタラス王国海軍。しかし、日英と接触したことで長足の進化を遂げた。もがみ型の増備により退役に追いやられていた海上自衛隊のあぶくま型護衛艦を格安で購入。購入の際にはアスロック等一部の武装は外されたものの、そもそもアルタラス王国海軍では必要のない武装であった為に問題にはならず、同国海軍では退役したあぶくま型全てが再就役し、ベシアル型駆逐艦として運用されていた。現在アルタラス王国海軍は旗艦ベシアルを先頭に、シディ(旧じんつう)、パケラ(旧おおよど)、ブーデッヒ(旧せんだい)、ガリアル(旧ちくま)、アリエス(旧とね)、そしてイギリス海軍が試験を兼ねて日本に発注したフリゲート艦ヨーク(もがみ型護衛艦のイギリス海軍仕様)が続く。イギリス海軍のフリゲート艦ヨークを除き、まともな対空ミサイルを搭載していないが、既に竜母は沈み、さらにはまもなく戦闘機部隊の再出撃の準備が完了することから、問題なしと判断されている。
「まもなく敵が上陸を開始すると思われます!」
「よし! 敵にわざと上陸させ、上陸しきったところで帰りの船をなくしてやろう! パーパルディアの連中よ、覚悟するがよい!」
一方、上陸作戦を開始したパーパルディア皇国側では新たな混乱が起きていた。
「突入した揚陸艦が爆発だと!?」
「突入に成功した揚陸艦からは、僚艦が何かに触れたかと思えばすぐに爆発したとのこと!!」
「まさか海上に地雷のようなものを!? アルタラスの連中がそんな武器を持っているとは・・・これは面倒だな・・・」
アルタラス王国海軍は事前に機雷を敷設てしおり、これに掛かった揚陸艦が爆発し、中身ごと沈んでいく。
「シウス指令! 第19戦隊より入電! ワレ、コレヨリテキジンニトツニュウス。ミトケミトケヨ、とのこと!」
「・・・・まさか自らの身を犠牲に我らを・・・すまない・・・」
その後パーパルディア皇国第19戦隊の艦艇が次々と機雷原に突入する。
「皇国の艦艇が沈むところ、見たけりゃ見せてやるよ!」
彼らの捨て身の犠牲の甲斐もあり、パーパルディア皇国軍は遂に上陸に成功した。物資が次々と陸揚げされ、アルタラス王国上陸に成功した。
「第19戦隊の仇をとれ! 行くぞ!!」
準備が整った騎兵部隊が先陣を切って内陸部へ突撃を開始。次の瞬間、騎兵部隊が爆発する。
「今度はなんだ!?」
「地雷です! 敵は地雷を敷設していた模様!!」
「地雷だと? そんな兵器は神聖ミリシアル帝国にしかないはずだぞ!?」
しかし、後退は許されない。この戦争は皇帝の意思であり、更に続々と陸揚げされた物資を満載した後続が続いているのだ。
「地雷があるのなら一度起爆させてしまえばよい!! 沖合いの艦隊に支援要請! 艦砲射撃を以て地雷を誘爆させる!!」
その後要請を受諾した艦隊は一斉に艦砲射撃を開始。更に艦隊防空に充てていたワイバーンロードを全て投入し、地雷を排除する。
「地雷はなくなったと思われます!!」
「よし! 行くぞ!! 突撃ー!!」
アルタラス王国陸軍砲兵陣地
「パーパルディア皇国軍、突撃を開始しました!」
「よし! 射撃を許可する。射撃開始!!」
「射撃開始! 繰り返す! 射撃開始!! 送れ!!」
(続く)