日英同盟召喚   作:東海鯰

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リペリュー島の戦い2

グラ・バルカス帝国海軍リペリュー島攻略艦隊旗艦

戦艦「ティタウィン」

 

「ガハハハハ!! 凄いぞー!! カッコいいぞー!!」

「これぞ艦砲射撃!! 鉄の暴風!!」

「空母には出来ない、水上戦闘艦の特権ですな!!」

「ガハハハハ!! その通り!! さあガンガン打ち込めー!! 砲弾がなくなるまでな!!」

「うてうてー!! 敵は動かぬからな!!」

 

翌朝早朝、グラ・バルカス帝国海軍は改めて艦砲射撃を実施。前回は戦艦のみの砲撃の結果、撃ち漏らしがあり、結果水上偵察機が沈められたという判断から、巡洋艦や駆逐艦、更には揚陸艦からも砲撃を加える。多数の砲弾やロケット弾を叩き込み、海岸部は完全に瓦礫と多数の穴が形成される。

 

「まもなく各艦、砲弾が切れます!!」

「うむ! 砲弾がなくなり次第、艦隊は補給の為にグラルークス島へ撤収!! 輸送艦は前進し、橋頭堡を確保。可能であれば北部を制圧せよ!!」

 

砲撃開始から3時間、艦隊は陸上用砲弾を撃ち尽くし、輸送艦を残して撤退を開始する。入れ替わるように輸送艦が前進し、海岸部へ向けて侵攻する。

 

 

リペリュー島北部守備隊地下陣地

 

「敵艦隊、島から遠ざかります!!」

「どうやら砲弾を撃ち尽くしたみたいだな・・・・輸送艦が突っ込んでくるぞ!! 皆、覚悟はよいな!!」

 

3時間に渡る砲撃を受けても、日本側の陣地は健在であった。そもそもグラ・バルカス帝国海軍は地上のハリボテ陣地目掛けて砲撃を加えており、堅牢な地下陣地を攻撃出来ていなかった。日本側の負傷者はおらず、万全の態勢で迎え撃つ。

 

「敵輸送艦前進!! その数15隻!!」

「本部に報告!!」

「了解!!」

 

 

リペリュー島島中心部リペリュー山洞窟陣地

リペリュー島守備隊総司令部

 

「北部より、敵輸送艦前進の報告!! その数15!!」

「後方の輸送艦を攻撃する!! シーバスター発射!!」

 

リペリュー島守備隊隊長長命の指示で88式地対艦誘導弾6発が発射される。もし仮にリペリュー島上空に偵察機なり、空母艦載機を展開していれば防げたかもしれない攻撃がグラ・バルカス帝国輸送船団を襲う。

 

 

グラバルカス帝国海軍輸送艦部隊

1号輸送艦甲板

 

「いよいよ上陸か」

「腕がなりますなあ! 大佐!!」

 

グラ・バルカス帝国海軍1号輸送艦には、リペリュー島攻略部隊を指揮する部隊の最高指揮官が乗り込んでいた。彼等は一番最後尾を航行しており、一番被害を受ける可能性が低い。誰しもがそう思っていた。

 

「大佐!! 何かが2号輸送艦に突っ込みます!!」

「何?!」

 

全員の視点が2号輸送艦に向かう。

 

「た、大尉!! な、何だあのロケットは!?」

 

大佐が飛翔する88式地対艦誘導弾を見て問う。

 

「わ、分かりませんが、確実に我軍の兵器では・・・」

 

次の瞬間、2号輸送艦に88式地対艦誘導弾が突っ込む。ミサイル自体の破壊力に加え、積載していた武器弾薬に引火し、大爆発を起こして轟沈する。

 

「2、2号輸送艦・・・轟沈!!」

「お、おい! あの輸送艦には参謀長が乗っていたはずだ!!」

「直ちに救助を!!」

「更に飛んできます!!」

「大佐! 本艦にも向かってきます!!」

 

各艦は搭載している機銃にて、対空戦闘を行う。しかし、目視照準の機銃でミサイルを撃ち落とせる訳なく、次々に狙われた輸送艦は被弾し、轟沈していく。

 

「た、大尉! 海に飛び込むぞ!!」

「は、はい!!」

 

このまま乗っていては命はないと判断したリペリュー島攻略部隊最高指揮官は部下を引き連れて海に飛び込む。次の瞬間、88式地対艦誘導弾が着弾。彼等が乗っていた輸送艦は轟沈した。海を漂流することになった彼等は、轟沈した輸送艦から流れてきた木材にしがみつくことで難を逃れ、生き残った輸送艦に収容されることになる。グラ・バルカス帝国海軍・陸軍は輸送艦6隻と将兵500名、更には多数の武器弾薬食料を喪った。最高指揮官は生き延びたものの、副官はほぼ全滅。不安を抱えながら海岸部に向けて進軍することになる。

 

 

リペリュー島北部守備隊地下陣地

 

「敵輸送艦6隻轟沈!!」

「よし!! 敵をわざと上陸させる!! 物資を広げたところを砲撃し、一網打尽にする!!」

 

続けて北部守備隊は砲撃の準備を開始する。元々配備されている155mm榴弾砲FH70が2門、120mm迫撃砲RTが4門に加え、本部や南部から前者が2門、後者4門追加で配備されていた。ミカドアイHDの協力により製造された弾薬を夜間にC-2輸送機により空中投下されたお陰で砲弾の蓄えも充分あり、むしろ殲滅出来てしまうのではないかという状況であった。

 

「敵輸送艦、まもなく砂浜に部隊を吐き出します!!」

「・・・・・・暫くは我慢だ・・・・我慢・・・・我慢だ・・・・」

 

やがて輸送艦9隻が海岸部に到着する。グラ・バルカス帝国陸軍や海軍陸戦隊の兵士がおそるおそる上陸している様子が映し出される。自衛隊は砲撃が止んだ後にドローンを飛ばしており、侵略者の行動は完全に筒抜けであった。

 

「・・・・・小隊長、そろそろ・・・」

「まだだ! 今少し待て!!」

 

1時間後、日本側の反撃がないことに安心したのか、海岸部に大量の物資を広げはじめた。多数の戦車や装甲車、トラックに火砲、食料と多数の人員や物資を広げている。

 

「・・・・・頃合いだな。射撃を許可する。射撃開始!!」

「射撃開始! 繰り返す! 射撃開始オクレ!!」

 

 

グラ・バルカス帝国海軍陸戦隊

リペリュー島攻略部隊

 

「我々も輸送艦の中で死ぬのかと思ったが、そんなことはなかったな」

「敵もロケットを撃ち尽くしたのでしょう。それにあれだけ砲撃したのです。既に島から逃げ出しているのでは?」

「違いないな。陸軍も戦車を揚陸したし、負ける気がしないな!!」

 

ヒュー

 

「ん? 何の音だ?」

 

次の瞬間、彼等の目の前に広げられていた食料を中心とする補給物資に砲弾が着弾する。

 

「な、な、な、な、なに~?!」

 

次々に砲弾が各地に着弾する。平積みされていた弾薬が誘爆して大爆発を起こしたり、並べられていた戦車や装甲車が砲撃で吹き飛ばされる。更には迫撃砲によるものと思わしき砲弾まで着弾し、上陸部隊は阿鼻叫喚の渦に包まれる。1500名に及ぶ陸軍・海軍陸戦隊は反撃に移ろうとするも、何処から攻撃されているのかが分からず、手当たり次第に銃弾や戦車砲を撃ちまくる。それによる誤射も多発し、30分後に砲撃がやむまでに300名の死傷者を出してしまった。食料や武器弾薬は喪われ、手持ちの装備と食料で戦うことを強いられることになった。

 

「いかん! 陸軍の指揮官と話をしなくては・・・・!」

 

陸軍と海軍陸戦隊の代表は直ちに話し合い、負傷者を収容し、リペリュー島から撤退することを決めた。輸送艦に負傷者を先に収容し、撤退を開始する。一方で守備隊は追撃に出る。隠していた74式戦車を投入。グラ・バルカス帝国陸軍の戦車を一方的に破壊して回ったのである。圧倒的射程圏外からの戦車砲と同軸機銃により、グラ・バルカス帝国陸軍の戦車や装甲車、トラックに兵士らは次々に撃破されていく。武器を捨て、逃げるように輸送艦は島を離れていく。最終的には上陸した1500人の内、死者行方不明者750名、捕虜となった者が50名、輸送艦に逃げ込めた者が700名、揚陸した物資の全てを喪い、輸送艦はキングチャールズ島へ逃げ帰った。一方で日本側は降伏のふりをして自爆してきた海軍陸戦隊員により3名が死亡、8名が負傷した。日本側は的確な砲撃と性能差により島を守り抜き、少数の捕虜と敵の兵器を獲得することになったのである。

 

 

リペリュー島島中心部リペリュー山洞窟陣地

リペリュー島守備隊総司令部

 

「長命隊長! 大勝利です!! 圧倒的大勝利です!!」

「いや、我々の側に死者が出ているンだ・・・浮かれるな!!」

「は、はい!!」

「ちなみにロコール島はどうなっている? 撃退したとはいえ、援軍なり、補給がないと占領されるぞ」

「確認します・・・・どうやらロコール島を敵は奇襲したみたいです」

「何?! して、どうなった?!」

「安心してください。ロコール島は健在、敵の奇襲は失敗した模様です!」

 

 

日本国東京都オラパ諸島村

アンウガル島レーダーサイト

 

日本による統治が始まったオラパ諸島では、ロコール島を中心に各地にレーダーサイトや守備隊を配置し、敵の侵略に備えていた。ロコール島から北東30キロに位置するアンウガル島には、航空自衛隊が管理運用するレーダーサイトが設置され、24時間体制で防空任務に従事している。現在は本国から派遣されている隊員しかいないが、将来的には訓練を受けた現地人隊員も任務に従事する予定であり、志願者の中から選抜された10名が現在本国にて初等教育を受けている状態である。

 

「・・・・・・ん?」

 

監視任務に従事している隊員が変化に気付く。

 

「アンウガル島の北東より多数の機影を確認! その数30! なお増え続けています!!」

「まさか・・・空母艦載機による奇襲か!! 直ちにロコール島に報告しろ!!」

「了解!!」

 

アンウガル島のレーダーサイトが捕らえた多数の機影。それはグラ・バルカス帝国海軍の空母2隻から発進した総勢60機に及ぶ空母艦載機であった。アンタレス艦上戦闘機30機とリゲル雷撃機30機で編成されており、大きさに違いはあれど、全機は爆弾を搭載している。情報は直ちにロコール島に報告され、島では空襲警報が発令される。

 

 

日本国東京都オラパ諸島村ロコール島

海上自衛隊ロコール島飛行場管制塔

 

「総員戦闘配置!! 総員戦闘配置!!」

「イギリス空軍のタイフーンをスクランブルさせる!! 滑走路を空けろ!!」

「アプローチに入ったものを除き、着陸待ちは全て空中待機だ!! 高度に注意しろ!!」

「高射砲、改良ホークも準備だ!!」

 

ロコール島飛行場では、日英の隊員が慌ただしく走り回る。アプローチに入っていたオーストラリア空軍の輸送機はそのまま着陸するが、その他は空中待機となり、周辺空域を旋回する。

 

「・・・・オレの出番はまたねえのかよ!!」

 

地下壕では、休暇中のオグリが相変わらず壁に拳をぶつけていた。長距離を飛行してきた航空自衛隊エストシラント国際空港所属部隊は本日まで休暇となっていた。パイロットや整備士も休暇の為に町に出ており、基地にはほとんど残っていない。残っているのは、オグリと彼女のバディであるウッチーと、物好きな一部の整備士だけである。

 

「そういえば、ウチの整備士・・・フーヤンは何してるんだ? 地下壕にいないみたいだが?」

「んー? 格納庫で機械弄りでもしてるんじゃない?」

 

 

戦闘機部隊仮設格納庫

 

「ふふふ~ん! あれをこうしてああして・・・・っと」

 

今回派遣されたイーグル隊の整備班長を勤める風屋躍、通称フーヤンは、ウッチーの予想通り格納庫にいた。屋根はあるが、仮設の格納庫であり、もし機銃掃射でもされれば意図も簡単に貫通される程度の薄さの屋根しかない格納庫で彼はF15Jの整備、もとい改造をしていた。

 

「出来たんだYO! これでミサイルの搭載数は2倍以上なんだYO!」

 

満足げに改造したF15Jを見つめるフーヤン。目の前には、本来4発しか搭載出来ない空対空ミサイルを10発搭載したF15Jが2機並んでいた。

 

「自力でF15EXを作っちまったんだYO!」

「風屋整備班長、流石です! まさか本当に搭載数を増やしてしまうなんて!」

「Oh! お前達は地下壕に逃げなくてよいのかYO?」

「何となくですが、この魔改造イーグルが出撃する予感がするので。なあ、皆!!」

「「「うおおお!!」」」

 

地下壕に逃げず、格納庫のどこかに隠れていた整備士質が姿を現す。全員何かしらの工具を持っており、今にも最終点検を開始しそうな空気だ。

 

「それもそうだNA! じゃあ、お前らに任せるYO!」

 

その裏では、イギリス空軍のユーロファイタータイフーン4機がスクランブル発進していく。管制塔からの誘導に従い、各機は迎撃に向かう。

 

 

日本国東京都オラパ諸島村ロコール島

海上自衛隊ロコール島飛行場管制塔

 

「イギリス空軍のタイフーン、全機発進しました。迎撃に向かいます」

「しかし60か・・・いくつかはすり抜けて来るだろな・・・」

 

 

東京都オラパ諸島村ロコール島北西50キロ海上

ニュージーランド海軍フリゲート艦タラナキ

 

「・・・・・最近は潜水艦が現れなくなったな」

「日本があれだけ徹底的に潰して回ってましたからね。まるで親でも殺されたのかと思うぐらいです」

 

潜水艦狩りの為に哨戒任務に従事しているニュージーランド海軍のフリゲート艦「タラナキ」。もがみ型のニュージーランド海軍仕様であり、基本的には日本の物と同じ武装が採用されている。

 

「ん? なんだこれは?」

 

レーダーを見ていた乗員が異常に気付く。

 

「IFFのデータにない航空機が北西より接近中!!」

「何だと?!」

「おそらくはグラ・バルカス帝国だな・・・敵の数は!?」

「少なくとも30はいます!! 本艦を無視する形でロコール島に向かっています!!」

「直ちに司令部に報告!! 対空戦闘用意!!」

 

ニュージーランド海軍フリゲート艦「タラナキ」が発見したのは、グラ・バルカス帝国陸軍の爆撃機部隊であった。ベガ型双発爆撃機20機に加え、アンタレス艦上戦闘機20機とリゲル雷撃機25機で編成されており、ロコール島における日英の飛行場を完全に潰すべく差し向けた本命であった。やがて一部の機体が「タラナキ」が搭載するミサイルの射程圏内に入る。

 

「CIC指示の目標、撃ち方はじめー!」

「ESSM発射! サルボー!!」

 

タラナキは少しでもロコール島に迫る敵を減らすべく、艦対空ミサイルESSM発展型シースパローを発射する。日本のもがみ型護衛艦は本兵器を搭載していないが、ニュージーランド海軍にはイージス艦がなく、そもそも保有艦艇が少なく、ある程度の防空能力が必要であるという判断からESSMをMk 41に搭載している。

 

「スタンバイ・・・マークインターセプト!!」

 

次の瞬間、目標が消滅する。

 

「敵爆撃機1機撃墜!!」

「本艦にはESSMは16発。仮に全部発射しても足りない・・・」

「やれるだけのことはやりましょう!!」

「単装速射砲用意!!」

 

「タラナキ」は可能な限りミサイルと速射砲を発射し、敵の編隊を撃ち落としていく。最終的には、ミサイルにて爆撃機2、戦闘機10、雷撃機6の計18機を撃墜。万が一に備え、8発のミサイルを残したのもあるが、全てを撃墜することは出来ないまま、敵の編隊を見送らざるを得なかった。

 

「・・・・頼む・・・・何とかなってくれ・・・」

「神よ・・・我らの盟友を守りたまえ・・・・」

 

 

日本国東京都オラパ諸島村ロコール島

海上自衛隊ロコール島飛行場管制塔

 

「タラナキが18機を撃墜するも、敵編隊はタラナキを無視して此方に侵攻中!!」

「ユーロファイタータイフーン、敵編隊と交戦開始!!」

「タイフーンをすり抜けた25機が接近中!!」

「不味いな・・・イーグル隊は休息中・・・出せる戦闘機はないぞ・・・」

「!!」

 

管制官の一人が異変に気付く。

 

「司令! F15J2機が誘導路に出てきています!!」

「なに?!」

 

 

今から数10分前の地下壕

 

「敵爆撃機の編隊が接近中!! 地下壕から出るなだと?!」

 

オグリは急報を伝えに来た自衛官に食って掛かる。

 

「大変危険ですので、狂って格納庫に行こうだなんて思わないでください!! 改良ホークや27式による対空戦闘が行われます。撃墜された敵機の破片も凶器になりますから!!」

「うるせえ!!」

 

オグリは目の前の自衛官を殴り飛ばす。

 

「な、何を?!」

「格納庫に行くんだよ!! 敵爆撃機ごとき、オレが全部撃ち落としてやるよ!!」

「やれやれ・・・・困ったちゃんだな。オグリが行くなら、俺も行かないと、だね」

「ウッチー!!」

「ほらよ、お前のヘルメットだ」

 

オグリとウッチーは既にパイロットスーツ着替えており、ヘルメットを片手に格納庫へと走りだした。避難している他の隊員や空港職員、更には民間人は二人を見送ることしか出来ない。

 

 

戦闘機部隊仮設格納庫

 

「フーヤン!! オレのイーグルは出せるか!?」

「Oh! オグリか!! お前なら来てくれると思って整備していたんだYO! 万全の状態に仕上げておいたんだYO! ミサイルも他の機体からぶんどってマシマシなんだYO!」

「ありがたい! 流石はイーグル隊の魔改造整備班長!!」

「俺のイーグルも出せるのかい? フーヤン整備班長?」

「Wow! ウッチーも来たか! 勿論なんだYO! お前ら、最後の調整頼んだYO!」

 

他の整備士がぞろぞろと現れ、オグリとウッチーに対して機体の状態を説明したり、各種装備品やスーツの最終確認を行う。3分後には準備が完了し、格納庫から誘導路に進出する。

 

(此方管制塔!! 乗っているのは誰だ!? イーグルに離陸許可は出ていない! 直ちに格納庫に引き返せ!!)

「イーグル1、離陸する!!」

(おい! 誰だ! 誰が乗っている!!)

「そんじゃ、イーグル2も離陸しますか。敵爆撃機への誘導お願いいたしますよ」

 

管制塔の指示を無視して2機のF15Jが離陸を開始する。誰もいない滑走路を堂々と進み、やがて空へと飛び立っていった。その様子を見た避難所へ移動中の一部の島民は力強く飛び立つF15Jに歓声を送る。

 

「ロコールの防人が飛び立ったぞ!!」

「頼むぞ!!」

「頑張れよー!!」

 

避難誘導中の自衛官やイギリス軍兵士、警察官は無言でF15Jに敬礼し、彼等の健闘を祈る。一方で管制塔は混乱していた。

 

 

日本国東京都オラパ諸島村ロコール島

海上自衛隊ロコール島飛行場管制塔

 

「イーグル1にイーグル2! 乗っているのは誰だ! 応答せよ!!」

(此方イーグル1、オグリ。これよりロコール島周辺の防空識別圏に接近中の航空機を迎撃する。誘導されたし)

(同じくイーグル2、内。敵の数や方向も知りたい)

「あの二人か・・・・」

 

ロコール島飛行場の司令官である犬養白は半分呆れながら呟く。

 

「まあ、仕方ない。管制官、彼等を誘導し、敵爆撃機の編隊と会敵させろ」

「かしこまりました」

「それと、敵に対する警告は不要だ。ミサイルの射程に入り次第、爆撃機を優先して撃ち落とせともな!」

 

 

「・・・・了解! イーグル1、敵爆撃機を殲滅する!!」

「爆撃機だけとは言わずに、全部撃ち落としてしまおうぜ!」

「無論だ!! どちらが先に敵を全滅させるか、勝負だウッチー!!」

「そう来なくちゃ。イーグル2了解。前進!!」

 

 

グラ・バルカス帝国陸軍爆撃隊

指揮官機

 

「隊長、先のフリゲートを無視して良かったのでしょうか?」

「構わんのだ。我々の目的は敵飛行場の破壊だ。それに搭載しているのは陸上用だ。艦艇に当てても大した効果は期待出来ん」

「まあ、そうではありますが」

「しかし、隊長。敵のロケットは脅威であるかと。たまたま敵の射程圏外だったのか、あるいはそもそもの数が少なかったのか、爆撃機部隊が全滅することはありませんでした。百発百中のロケットは今後我が国に対する脅威でありますし、我が国も開発する必要があるかと」

「うむ。それらの情報を持ち帰る為にもこの作戦、成功させなくてはな」

 

グラ・バルカス帝国陸軍航空隊と海軍航空隊による合同部隊は、ロコール島を空襲するべく、何もない空をひたすら進んでいた。囮の航空隊をアンウガル島方面に差し向けることで、彼等の生き残りと共に島を火の海にする。その後、それらの戦果を以て、大艦巨砲主義者を失脚させ、オラパ諸島攻略作戦の成功に繋げたい考えであった。彼等はこの作戦成功により、リペリュー島に上陸した味方を助けたいと考えていたが、既に撃退されていること等、知る由もない。

 

「順調だな」

 

隊長が隣を飛行する、副隊長機を眺める。実に機能美かつ力強い爆撃機がそこにはある。グティマウン型爆撃機とはまた違う美しさがあり、彼はむしろ此方の方が好きだった。

 

「ん? なんだ・・・・この寒気は・・・」

 

身体が冷えすぎたか? そう思った次の瞬間、彼の目には此方に向かって飛翔するミサイルの姿が写った。

 

「ロケット弾?」

 

ミサイルが直撃した副隊長機は一瞬にして火だるまとなり、バラバラになり落ちていく。

 

「な、なにぃ?!」

「ふ、副隊長機が!!」

「多数のロケットが接近中!!」

「か、回避ー!!」

 

先ほどまでの秩序立った飛行から一変。各機バラバラに回避行動を取り始める。回避行動が上手く行かず、護衛の戦闘機と衝突して共に墜落していく爆撃機や雷撃機の姿もある。

 

「バカな!! バカな!! あり得ん!!」

 

無数のミサイルがグラ・バルカス帝国陸軍の爆撃機を襲う。中には墜落中に止めの一撃を食らい、盛大に爆散した機体の姿もあった。敵の姿は未だに見えず、一方的な殺戮に機内は騒然となる。

 

「ほ、本機にもロケット弾が接近中!!」

「回避! 回避だー!!」

 

エンジン出力を全開にし、必死に回避行動を取る。

 

「だ、駄目だー!! ロケットが、ロケットがついてくる!!」

「「うわあああ!!」」

 

隊長機が撃墜され、グラ・バルカス帝国陸軍の爆撃機は全て撃墜された。グラ・バルカス帝国陸軍航空隊並びに海軍航空隊は日本国航空自衛隊F15J戦闘機2機に搭載した99式空対空誘導弾20発を食らい、爆撃機18機(うち2機は墜落中に直撃)、雷撃機2機を撃墜され、空中衝突により、戦闘機4機、雷撃機3機を喪った。

 

「生きて帰しはしねえ!! バーニングクイーンの実力を思い知れ!!」

「ふう~ん? 逃げずに向かってくるか~。じゃあお相手しようかな?」

 

ミサイルより遅れて飛来したF15J戦闘機2機が生き残りの戦闘機と爆撃機に対して、機銃掃射を開始する。音速で飛ぶジェット戦闘機と二次大戦のレシプロ戦闘機では勝負にならず、次々と撃ち落とされていく。中にはあまりの速度差により同士討ちが起きてしまう始末である。

 

「な、なんなんだ! あのバケモノは・・・うわああ!!」

「チクショウ! チクショウー!!」

「速すぎる・・・速すぎるんだよ!!」

「グラ・バルカス帝国、万歳!!」

 

兵士達は断末魔と共に命を刈り取られ、次々と撃ち落とされていく。戦闘開始から30分後には全ての戦闘機、雷撃機、爆撃機は撃墜され、航空戦は日本の大勝利に終わった。

 

「此方イーグル1、敵爆撃機部隊の全滅を確認。残弾なし」

「此方イーグル2、イーグル1が最後の戦闘機を撃ち落としたのを確認した。此方も残弾なし。指示を求む」

(イーグル1、イーグル2、内容了解。速やかに撤退し、着陸せよ。現在敵の別動隊がロコール島に迫りつつある。今すぐに撤退し、着陸せよ)

「イーグル1了解」

「イーグル2了解」

 

交信が終わると、帰路に付きながら二人は無線で雑談をかわす。

 

「良かったじゃんオグリ。これでお前もエースパイロットだ。敵機を20機は撃ち落としてる。正確な数はわからねえが、少なくとも20はお前が落とした。紛れもない、空自きってのエースパイロットだ!」

「やっとオレも歴史を作ったんだな・・・やっと・・・・」

 

少し考えた後にオグリは無線でロコール島の格納庫に連絡を入れる。

 

(Oh! オグリ! どうしたんだYO?)

「フーヤン、予備のイーグルを出せるか?」

(おいおい! 他人のイーグルに乗るつもりかYO?)

「敵の別動隊が来てるんだろ? なら、飛ぶしかないだろう。今のオレは熱く燃えたぎってるからな!!」

(ハハハ!! それでこそバーニングクイーン、オグリなんだYO! こんなこともあろうかと、残り2機のF15Jの整備をしておいたんだYO! 通常仕様だけどな!!)

「それで良い。可能な限り誘導路の近くに出しておいてくれ。オレは乗る。少なくともオレは・・・な」

「おいおい! 俺を仲間外れにするのは頂けねえなあオグリ!」

(ウッチーも乗るのかYO?)

「オグリが行くなら、バディの俺も行かねえと、だからな!」

 

着陸後爆速で乗り換えからの再度無断出撃をオグリとウッチーは敢行しようとするも、先回りしていた警務隊に捕らえられ、再度地下壕行きとなるのである。

 

 

日本国東京都オラパ諸島村ロコール島

海上自衛隊ロコール島飛行場管制塔

 

「小栗、内、風屋以下関係者の身柄を警務隊が確保。地下壕に送りました!」

「よし。処分は後にするとして、対空戦闘を開始だ! 射程圏内に入った機体から撃ち落とせ! 人口密集区域に入れさせるな!!」

 

イギリス空軍のユーロファイタータイフーンが撃ち漏らした25機の雷撃機がロコール島飛行場を目指して進む様子がレーダーに映る。

 

「改良ホーク、迎撃を開始しました!!」

 

島の各地で改良ホークが発射される。一寸の狂いなく飛行し、何もさせないまま確実に敵を葬っていく。

 

 

ロコール小学校屋上

 

「敵の一部が接近中!!」

「そのまま飛行場に向かうのだろうが、万が一に備えねばならぬ。改良ホークを発射しろ!!」

 

飛行場爆撃の為に飛来した雷撃機は部隊を三つに分けて進行。その一部がロコール小学校に設置した改良ホークの射程圏に入っており、迎撃を開始する。

 

「敵機撃墜!!」

「気を抜くな!! 27式も迎撃を開始せよ!!」

 

味方機の撃墜に動揺し、進路を外れた1機が高度を下げ、27式自走対空高射機関砲の射程圏に入る。まだ爆弾は落としていないが、万が一に備え、迎撃を開始する。

 

「・・・・・敵機撃墜!!」

 

 

日本国東京都オラパ諸島村ロコール島

海上自衛隊ロコール島飛行場管制塔

 

「・・・・・敵機全滅! 周辺空域にストレンジャーなし!!」

「イギリス空軍のユーロファイタータイフーンが指示を求めています」

「全機帰投せよ。空襲警報解除を行政区に要請!」

 

グラ・バルカス帝国陸海軍合同による、ロコール島奇襲作戦は失敗した。先のリペリュー島攻略作戦失敗と合わさり、帝国軍は戦力の立て直しの為に1ヶ月の時を要することとなった。この1ヶ月という時間は、グラ・バルカス帝国にとってはあまりにも致命的過ぎた。この間に日英両国はオラパ諸島の主要拠点の防衛能力を大幅に強化。島民の理解を得られたことで24時間体制で工事が進められ、2週間後にはリペリュー島からの避難勧告が解除。同島の飛行場は強化され、パーパルディア皇国から遠征している航空自衛隊のF15J部隊が進出し、更には元々予定されていたレーダーサイトが前倒しで配備され、防空体制を強化。陸では地対艦ミサイル部隊が大幅に増強され、最新型の12式地対艦誘導弾が30発配備された。かつては300名だったリペリュー島守備隊は、本国からの増援に加え、イギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、クワ・トイネ公国、クイラ王国、西ロウリア王国、ローデシア連邦の援軍が到着し、3000名に増強。チャールズ諸島へは神聖ミリシアル帝国から向かっている空母クイーン・エリザベスを中心とする空母打撃群が、ロコール島には空母プリンス・オブ・ウェールズを中心とする空母打撃群がそれぞれあと1ヶ月前後で到着見込みと、反撃に向けた準備が進められることになる。

 

(続く)

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