病みつきになるやばげなチキンのあるコンビニ 作:ハピエン主義者
おいしさ やばげ 緋色の鳥よ
あぶらみ あかみ てをのばせ
銃社会極まる巨大学園都市、キヴォトス。その中央組織の連邦生徒会に属する連邦捜査部S.C.H.A.L.Eのオフィスの一階には、エンジェル24というコンビニ...のようなものが存在している。
よく廃棄品をだしてしまうことが悩みであるその店舗には、ソラという名の従業員のほかに、
「こんばんは、である。ソラ先輩。夜勤なので交代の時間だ。早いとこ帰って寝るべきだ、です。」
赤い髪の毛の少女が変な口調でソラ先輩と呼ばれた少女に交代を知らせる。彼女の服装は店舗指定の制服であり、いつでもお客の対応ができる状態であった。
ちなみにこの時間は午後10時、この時間帯から夜勤というのは少々気が重くなるのが普通だが...彼女の表情は“無”でありなんの感情も読み取ることができない。
「あっ、こんばんはヒーちゃん。もうそんな時間だったんだ...いつものことだけど、夜は物騒な人が多いから気を付けて、ね?」
「もーまんたい、である。我強いので。」
先輩からヒーちゃんと呼ばれた少女は、大丈夫だと胸を張り両手でピースをしながらその心配に答えた...無表情のままで。
もはやこれも日常なのか、先輩と呼ばれた少女も気にすることなく会話を続ける。
「そうだね...たしかにヒーちゃんは強いんだと思う。でも、大変な時には私を頼ってね!...その、先輩...だし。えへへ...」
先輩という言葉を噛みしめ思わずといった様子ではにかむ先輩を無表情のまま見続ける赤毛の少女。しかし纏う雰囲気はどこか柔らかい。
そのまま先輩は「えへへ...」と終始だらしのない様子でバイトを上がっていった...制服のままで。
赤毛の少女...ヒーちゃんはその先輩の様子を無表情のまま見つつ、最後にはヒラヒラと手を振って見送った。
「...仕事をする。労働こそ至高、である。」
誰もいない店内でそう呟いた少女の行動は早かった。ホットスナック売り場にどこから出してきたのかわからないホットショーケースを設置し、その間に店舗の入り口にデカデカと看板を設置したり、新しく設置したホットショーケースにだけ矢印のように誇張する工夫を凝らしたり。
...しかしこれらの作業を一通り終えた彼女は、すぐさまカウンター内のホットスナックを揚げるコーナーに移動し、またもやどこから出したのかわからない鶏肉を取り出し、そして油の海に浸からせた。
「ここは見極めが重要...」
表情こそ変わらないが、その目つきだけは今までにないほどの真剣さを見せるヒーちゃん。ジュウジュウと揚げられる鶏肉をこれでもかと見つめる。
時々飛び跳ねる油を確率論的回避で軽く避けつつ見守ること数分...絶好のタイミングとばかりに揚げられた鶏肉─スカーレット・フライド・チキン(エンジェル24特別バージョン)─を引き上げ、過剰なまでに誇張されているショーケースの中に入れた。そのチキンは如何なる人をも空腹にさせ、理性を溶かしてしまうほどの香りを漂わせていた。
しかしそのチキンの出来の良さに反して、彼女の雰囲気はどこか納得いっていないようだった。
「むう...値段が無念。やはりここは思い切った値下げをすべき?」
彼女が見る先にあるのはチキンの値札...その値段444円(消費税込み)。コンビニのホットスナックとして買うには多少値が張るものだ。どうやら彼女はそこが気に入らないらしい。
「やはり元の値段...税別118円にしたい。が、スパイスや鶏肉の値段はバカにならず。我悲しみ。」
その代わりにくぅぽんを付けたが...と、販売者としての悩みをつらつらと述べている。そんなとき、独特な音が入口から聞こえた。どうやらお客さんがやってきたらしい。
ヒーちゃんはとてつもない速さでレジの前に立ち、そして
「いらっしゃいませ~♪」
「オラァ!金出せやァ!!!...ん?なんだこのチキンは!旨そうだしありがたく貰うぜ!」
どうやら今日はダメそうだ。早々に見切りを付けようとしたヒーちゃんだったが、強盗犯が自慢のチキンに目を付けたことでその態度は一変する。
なんだこやつ、我の特製チキンに目をつけるとは、なかなか見る目があるではないか。
今までの強盗とは訳が違うとばかりに目を輝かせるヒーちゃん。過去の強盗や迷惑客は全て赤い原野に送り、この店舗についての記憶を食うことで、何かよく分からないが怖い店だと認識させて帰らせていたが、太客の可能性がある者はそうではない。
すぐさまレジから顧客までの距離を目測で測り、そしてカウンターを飛び越え構えを取る。
しっかりと足を肩幅まで開き、両足に適度な力を込めることで上半身をしっかりと支え、そして力の流れる向きを整えた。
「やぁ!」
「...ん?グワーッ!!??」
かわいらしい声と共に繰り出される豪速のパンチ。正式名称は共振遠当てと呼ばれており、出典は科学的根拠に基づく財団秘伝の徒手武術にして門外不出の財団神拳に他ならない。*1
それは手を振動させて音波を発し、共振現象で離れた場所にある物体を破壊するという極めて理論的な技である。そして□□Hzの共振現象をまともに食らってしまった強盗犯のヘルメットは音をたてて崩れ去った。何が起こったのか分からないといった様子の強盗犯に向かって、ヒーちゃんは追い打ちのようにその小さな口をいっぱいに開いた。
「確保ォォ!」
財団神拳の初歩的な技術であり、声帯に酸素を集中させて技名を発声することで音圧が形をなし、対象を拘束する。今回は“ォ”の数が二つだったため実体が二つ生成され、すぐさま強盗犯を拘束した。
「...?な、なにが...ヒッ!?」
終始何が起きたのか理解できていない強盗犯にゆっくりと近づくヒーちゃん。相手は何やら怯えた声を出しているが、そちらから仕掛けてきたのを忘れてしまったのだろうか。無表情のままで、倒れている強盗犯の傍に立ち、そしてかがんで犯人の目をまっすぐに見る。
「お前...このチキンに興味あるか?是か否で答えろ。」
「あ、あります!めちゃくちゃあります!」
「そうか、なら買え。今なら次回は111円引きのくぅぽんもあるぞ、買え。早く。」
「は、はいぃ...」
ヒーちゃんの凄みにあてられてしまった可哀そうな強盗犯だが、すぐさま立ち上がって手持ちの財布を取り出した。さながらカツアゲのようにしか見えないが、やっていることは真っ当な商売である。
「こ、これでお願いします...」
「ん、毎度アリ。此れ次回使えるくぅぽんである。是非使うがよろし。」
「ありがとうございましたぁぁ!!」
店員が言うべき言葉を代わりに叫びながら、強盗犯は逃げるようにして去っていった...
「ご来店ありがとうございました~♪」
それと対をなすようにして、またもや
「...やはり此の技は良。しかし我此れ痛かったので嫌い。複雑なオトメゴコロ...」
たかが鳥畜生が何を言っているのか。今日もキヴォトスは平和である。
・ヒーちゃん
まごうことなき緋色の鳥。なぜ少女の形を取っているのか、なぜエンジェル24で特製チキンを売っているのかは不明。ただし販売する意志だけは本物で、日々価格調整やおいしさの追及に心を燃やしている。見た目はソラと同じの幼さがある。燃えるように赤い髪の毛がチャームポイント。
好きなもの・ことは自分が作った特製チキン。そして日々のチキンの売り上げを見ること。
嫌いなもの・ことは空手などの素手で行われる論理的な武道・武術。つまりは財団神拳。また、チキンの売り上げを邪魔されること。
タイトル(Title):scp-710-jp-j 財団神拳
著者(Author):Kwana
出典(Source):http://scp-jp.wikidot.com/scp-710-jp-j
ライセンス(License): CC BY-SA 3.0
タイトル(Title):INTRODUCTION OF 財団神拳
著者(Author):sakagami
出典(Source):http://scp-jp.wikidot.com/sakagami006-portal-of-foundation-shinken
ライセンス(License): CC BY-SA 3.0
タイトル(Title):耐久試験
著者(Author):Central_ECH
出典(Source):http://scp-jp.wikidot.com/central-ech-2
ライセンス(License): CC BY-SA 3.0