病みつきになるやばげなチキンのあるコンビニ   作:ハピエン主義者

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「あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。


 ...ではチキンだ。朝は活力をつけるためのチキン、昼も大きく空いた腹にためるべきチキン、夜こそどっかりとチキン。これ以上ない理論的な考えだ。だからこそ買え。買った者はれびぅをするがいい。全ての意見を真摯に受け止めよう。なんと今なら特製おせちもあるぞ。」

~エンジェル24シャーレ店限定おせち 4444円で販売中~

※四段構造。チキン24個入り。

 


汝はAIなりや?

 

「せ、先生!この子おかしいですよ!いえ、私のことを知覚している時点で十分おかしいのですが、このチキンに関しての情熱が異常です!!」

 

「何を言う、チキンを食うことが人類の使命だ。事実それで世界が救われているぞ。」

 

「ひぇ...こ、怖いです...」

 

”まあまあ、ヒーちゃんも落ち着いて。とりあえずその手に持ってるチキンを下そう?ちょっと私直に匂い嗅いじゃったからよだれが...”

 

 ヒーちゃんの手に持っているチキンをこれでもかと凝視しながら体だけは怯えて画面の隅にいるアロナをなんとかなだめた先生は、椅子を乗り出して画面の中のアロナにチキンをアピールし続けるヒーちゃんも落ち着かせようと試みた。その最中にチキンの香りを嗅いでしまった先生は、その食欲をそそる暴力的な魅力に靡く(かぶりつく)ことなくなんとか抗うことができた。

 

「むぅ...ではけぇきか?確かアレもチキンかけぇきかを選ばせていたが...いや、やはり我はチキンこそが...!」

 

「な、何の話をしているんでしょうか...」

 

”何か深い事情があるのかもしれないね。”

 

 どこか諦めたような目でヒーちゃんを見る先生。どうやらヒーちゃんを制御することは不可能だと判断したらしい。

 ...その通りである。事実ヒーちゃんは頭の中でとある組織(財団)のチキンオアケーキ?を想像していて、先生たちの視線に全く気が付いていない。なぜか想像の力でチキンへのモチベーションを高めたヒーちゃんだったが、すぐに意識を取り戻して先生たちに向き直る。その姿はどこか凛々しいものに見えた。

 

「...では、これからあろなに我がチキンのぷれぜんを行う。」

 

”待って待って待って待って???”

 

「...ほわぁ。」

 

 マジメな雰囲気の中で突如行われたヒーちゃんの奇行には、流石の先生も待ったをかけずにはいられなかった。片手で顔を抑えてもう片方の手でヒーちゃんを制する。もうこれ以上ヒーちゃんに話の主導権を握らせてはいけないと、先生の中の勘が強く告げていた。

 ちなみにアロナは話のついていけなさに思考回路がショートした。

 

”ごめん、ちょっとお水貰うね?”

 

「79円になります。」

 

”お安い...カードで。...うん、ありがとう。”

 

「お買い上げありがとうございました♪」

 

”あ、うん...”

 

 先ほどの無表情のチキン狂いであったヒーちゃんが一瞬で店員モードになり、笑顔で接客するのを違和感マシマシで感じた先生はその感覚とともに水を口に流し込んだ。

 

 水を飲んで一休憩したところで先生はヒーちゃんに再度説得を試みた。今度は他のナニカに気を取られないよう、感情を映さないヒーちゃんの目をしっかり覗き込みながら。

 

”ヒーちゃん、今から君には大事な話をしなきゃいけない。”

 

「なんだ?」

 

”...ヒーちゃん。受け入れがたいかもしれないけれど、アロナは電子上の存在。現実のチキンを味わうことはできないんだ。だから、アロナにチキンを売ることはできないんだよ...”

 

「いや、できるが?」

 

”もうなんなの?”

 

 当然のように不可能を可能だと言い切るヒーちゃんに先生はついマジトーンで返してしまった。言ってしまってから”しまった!”と思いすぐさまヒーちゃんの顔色をうかがうが、ヒーちゃんの様子は全く変わっていない。どうやら彼女は微塵も気にしていないようだ。それはそれでどうかとは思う先生だった。

 

「ふむ、どうやら我を疑う様子。ではしばしお持ちを。」

 

 そう言ってヒーちゃんはレジの側に行き、STAFF ONLY と書かれたドアを開いて中に入ってしまった。その場に置いて行かれてしまった先生はしばし呆然としたが、すぐに気を取り直してヒーちゃんの行動の考察を始めた。

 

 先ほどの発言から察するに、ヒーちゃんは先生の”アロナにチキンを売ることはできない”という発言を否定するための何かを準備しに扉の向こう側に行ってしまったのだろう。果たしてそこから何かシッテムの箱に接続するための機械を持ってくるのか、それとも向こう側のパソコンなどからこちら側にアクセスしようとしているのかはわからないが、とにかく全てアロナのシステムの前には無駄に終わるであろうことを予想し、そして落ち込むであろうヒーちゃんへの何かしらの慰めの言葉を考えていた。

 

「......あ、先生!あの子はどこに行ってしまったのですか!?」

 

 その時、先生の持つシッテムの箱から何か警戒するような声が聞こえてきた。先ほど思考回路がショートしてしまったアロナが再起動したらしい。画面越しにこちらの様子を伺おうと、顔をあちらこちらに向けてキョロキョロとしている。よっぽど警戒心が強いようだ。それともあの手に持つチキンの行方が気になっているだけかもしれない。

 

”ああ、ヒーちゃんはアロナと接触するために何か準備しに行っているみたいだ。でも、アロナと直接接触するのは不可能...なんだよね?”

 

「はい。こちら側に来れる先生以外には接触できません!...というかそもそもとして私を知覚できないはずなのですが...」

 

 再度確認するかのようにして尋ねた先生からの質問に、アロナは「当たり前です!」とでもいうようにしてきっぱりと答えた。しかし後半からは、「あのヒーちゃんの態度からしてもしかしたらできるのかも...?」という考えが頭をよぎってしまい、若干疑いのあるような声色で答えてしまった。

 先生はそんな様子のアロナを見て”いやまさかそんな...ねぇ?”とフラグを立てた。

 

 

 

 

 

 

 ヒーちゃんが扉の向こう側に行ってから数分が経った。先生は目の前にあるチキンを貪りたい衝動にかられつつも、とりあえずはヒーちゃんの帰りを待つ。常人ならば既にかぶりついているところだが、流石はこの過酷な世界で生徒たちを導く存在である先生。生徒であるヒーちゃんとの話の最中に自分だけチキンを食べてはいけないという鋼鉄の意思で耐え続けていた。

 

 そうしていると、不意に手元のシッテムの箱から熱が発せられた。火傷してしまうほどの熱さではないが、それでも持っている分には十分熱を感じるほどの熱量。まるで充電中のタブレットを手にしているかのような感覚だった。

 

 そして次の瞬間、先生はあり得ないものを()()した。

 

「我、此処に来たり。ではあろなよ、チキンを食え。」

 

「...え?」

 

 先生がのぞき込むシッテムの箱の先...そのアロナの後ろには、なぜか赤い羽の生えた、そして先ほどよりもより()()髪色のヒーちゃんがいた。

 

 

 





緋色の鳥が出てくる小説なのにその凶悪さを感じ取れていない読者たちは不安よな。

█████[アクセス不許可]、動きます。


タイトル(Title):SCP-558-JP ひよこの山とビッグ・ママ
著者(Author):locker
出典(Source):http://scp-jp.wikidot.com/scp-558-jp
ライセンス(License): CC BY-SA 3.0


タイトル(Title):SCP-871 景気のいいケーキ
著者(Author):Seibai
訳者:m0ch12uk1
出典(原語版)(Source):https://scp-wiki.wikidot.com/scp-871
出典(日本語版)(Source)http://ja.scp-wiki.net/scp-871
ライセンス(License): CC BY-SA 3.0


タイトル(Title):EAT IT!
著者(Author):Amateria68
出典(Source):http://scp-jp.wikidot.com/chicken-or-cake
ライセンス(License): CC BY-SA 3.0
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