<推しの子最終章>アクア生存ハッピーエンドIF 作:玉吉ふさじ
僕は人殺しだ。
理由はどうあれ、僕はこの手で人間一人を死に追いやった。その罪は一生消えない。
死後の世界なんてものは信じちゃいないけど、仮に天国なんてものがあるなら僕はアイと同じ場所へはいけないだろう。僕の魂は呪われている。
これまではアイを救えなかった罪を背負って苦しみもがいて来たけれど、これからはカミキを殺した罪を背負いながら生きていくのが、僕に課せられた罰だ、
だから僕は、これからも誰かを助ける為に生きていく。誰かを幸せにするために生きていく。苦しんでいる人に手を差し伸べ、悩んでいる人を救い導く。「自分は善人である」という嘘を、周囲につきながら。
憎むべき父親から与えられた才能を、憎み、手にかけた父親とは違う方法で使い生きていく。
それで罪が許されるなんて思っちゃいない。今後もきっとまた自分で自分を責め続けるのだろう。何かにつけて今回のことを思い出すたびに、「被害者:星野アクア」の仮面は、僕の心を苛み続けるのだろう。
しかし。
それでも、僕は幸せになりたいと願う。
もう、自分を犠牲にしたりなんかしない。それが僕を愛してくれた全ての人々への恩返しだ。
「君が幸せにならないと周囲も幸せになれない」あかねが以前そんなことを言っていたっけな。
だったら、僕は自分も幸せにしなくちゃいけないのだ。そうじゃないと、僕の幸せを願ってくれている人たちに失礼というものだろう。
心に罪を抱えつつ、世間を被害者として欺きつつ、それでも、自分の幸せを探す。矛盾した二つの道を同時に歩くようなそれは、きっと心を二つに引き裂かれるような言い表しがたい苦難の道だろう。
それでも、僕は歩いていける。
少なくとも、うつむいて道を見失うことはもうない。自分の身を犠牲にすることもない。
ルビーが、あかねが、かなが。
僕を愛してくれた数えきれない程の人達が、僕の幸福を願ってくれる全ての人達が、暗闇を照らす満天の星空のように、僕の行く先を導いてくれているのだから。
嘘をつくことは愛情だと、アイは言った。
しかしその愛情を込めた嘘は、彼女が命を失う原因となってしまった。
僕が今回やったことも同じだ。ルビーへの愛情の為に、世間に対して嘘をついた。だから同じように僕の付いた嘘が、いずれ僕の命を奪いに来るのかもしれない。
でもアイは最後には、嘘じゃない言葉で僕達に愛情をくれた。
その愛情は今でも消えることなく僕たちの中で強く輝き続けている。
だから僕は、嘘をついたことを後悔しない。
その罪も報いも受け入れ、覚悟し、その上で、大切な人達を愛し続ける。
だってその気持ちだけは、絶対に嘘じゃないと。絶対に消えてなくなることは無いんだと。
ルビーが、アイから受け継いだその輝きでアイドルとして今も数えきれない人々に幸福と愛情を振りまき続けて、証明してくれているんだから。
そんなことを考えながら。
僕は今日も妹の「いってきます」の声を聴く。
<後書き>----------------------------------
ゴロー死んでルビー失恋してるしアクアは殺人罪背負ってるし言うほどハッピーエンドじゃないかもしれないけどこれくらいのビターエンドがこの作品にふさわしい気がするのでご了承ください。
気力が足りなかったからカットしたけど苺プロとかララライ勢のその後とかも書きたかったなぁ!
こんな拙い文章を最後まで読んでいただきありがとうございました。