「グルル・・・」
うごめく者ボーングール
理性も知性も無い低級の闇のクリーチャーである彼は本能のまま暗闇に潜み目の前の生き物を襲おうとしていた。
そして狙いをつけ飛びかかろうとした瞬間・・・
「・・・そこまでだ」
背後から放たれた斬撃によりボーングールはあっさりと倒れ、その体をカードに変えるのだった。
そして斬撃を放ったクリーチャー・・・デス・ザ・ロストはカードを回収すると誰かに見られる前にその場を去るのであった。
※※※
「お疲れ様、デス・ザ・ロスト」
「こちらも情報提供感謝する、空崎ヒナ」
デス・ザ・ロストはフードを外して顔を出した。
あれから数ヶ月、死神の噂は多くのクリーチャーに広まり大抵のクリーチャーは闇に隠れ潜み人を中々襲わなくなっていった。
「おっ疲れ二人ともー!」
ウルボロフは漫画を読んでいる手を止めこちら側へと近づく。
「・・・我としては貴様にも何かして欲しいのだがな」
「えー?だって面倒くさいし・・・闇の英雄様一人でもとりあえずは何とかなってるじゃん」
「まぁ・・・確かにそうだがな、全く・・・デスシラズが見たら何というやら」
「えっ?魔壊王様はもうとっくに居ないよ?」
「・・・何?」
「デッドマンって奴を倒した時に帰っちゃってね、このゴー・トゥ・ヘルにはもう魂が無いのさ」
(妙だと思ったが・・・この世界に来た時とっくにデスシラズは居なかったのか)
「・・・私も戦う方面で協力できたらよかったのだけれど」
「戦うのは我等クリーチャーの本分だ、気にする必要は無い」
そう言うとデス・ザ・ロストはコートを完全に脱ぎゆっくりと休むのだった。
(・・・私がもっと強かったら、彼の負担を減らせるのかしら)
※※※
ギュウジン丸はデス・ザ・ロスト達が死神として活動する中様々な行動を起こした。
ゲマトリアに接触し生徒が基本的に見つける事ができないアリウスの地下に研究所を建設。
(とはいえ警戒はするに越した事は無い・・・万が一のため回復ポッドは外から彼等が接触できない様にしておこう)
そしてこの世界に自身が送られて来た事から他のクリーチャーも来るだろうと予想し侵略側の有力なクリーチャーを再び集める。
(その結果、私の知らないマスターイニシャルズというクリーチャー達を回収した・・・どうやら私が刺された後に禁断によって生み出されたクリーチャーらしい)
そして同じくこの世界に送られてきたVV−8の残骸も回収
(・・・侵略者にすら話していない真の計画の最重要な存在になる、修復するフリをしながらパーツを地下の更なる場所に移し、元のVV−8は接触した者が地下にいけない様にする次元型爆弾にでもしておこう)
そして順調に計画が進む
・・・はずであった。
※※※
「ガハッ!!!!」
拳で貫かれた胸からはオイルの血が流れ、バイクのクリーチャーは完全にその機能を停止しカードとなる。
「・・・驚いたな、よもや自身のパラレル存在でさえ倒してしまうとは」
「悪いがお前達にこの世界を好きにさせる訳にはいかねーよ、ここで倒させて貰うぜ」
そう言ってバイクの様なクリーチャーはギュウジン丸を轢き殺そうと助走をつける。
「まぁ待て、提案がある・・・君にも悪い話では無いはずだ」
「ケッ!テメェの話を素直を聞くと思うか?」
そしてタイヤの拳がギュウジン丸の目前へと迫り・・・
「君の世界で失った物が元に戻るとしてもか?」
「・・・は?」
※※※
「ふぅ・・・危ない危ない、危うく本格的に殺されてしまう所だったが何とか帰す事ができた」
自身の体を修理するとギュウジン丸はデータを目前に浮かべる。
「とはいえレッドゾーンと他の侵略者を失い、今残っているのは私と残りのS級侵略者二名、そしてマスターイニシャルズか・・・だが、あの話を聞いた上でこちらにS級侵略者の二人がいる以上彼はもう私の邪魔を出来ないだろう」
ギュウジン丸は先程自身を襲撃して来たクリーチャーのデータを整理していく。
「それにしても・・・絶対的な破滅の尖兵に絶対的な弱者の味方の立場を与えるとは世界も残酷な事をする物だ、さて・・・」
目前のデータはデス・ザ・ロストとウルボロフの物へと変わる。
「あの運命の英雄様も奇跡の存在でも無い・・・過去の遺物には御退場してもらい、本格的に計画を始動するとしようか」