ハイスクールD×D ~神操機〈ドライブ〉を宿す者~ 作:仮面肆
第26話:勧誘、八雲
「……………ん」
早朝、何時もの様に八雲は起きた。
早朝鍛練の為だが、最近の起き方に内心複雑していた。
「ん~……ごしゅじんしゃま~……」
横から眠気を誘う声が聞こえ、チラリとその原因に目を向けた。
そこにいたのは、かわいらしい桃色のパジャマを着たくぅろだった。そのまま視線を落とすと、自分の左腕がくぅろに抱き着かれている。
「はぁ……」
思わず溜め息を吐き、この様な状況が起きたのか思い返す。
ライザー・フェニックスとのゲームを終え、くぅろはライザー眷属を4人も倒した功績として、一緒の布団で眠る権利を得たのだ。
しかし、思春期真っ只中の八雲にとって最初はその提案は受け入れなかったが、頑なに折れないくぅろに八雲は折れた。しかし、一緒に寝る時は服装を変える様にしろとくぅろに言うと、くぅろはそれを了承。寝る時はタンクトップとパンツ姿だったが、普通の寝間着へと変えたのだった。
(さて、これはどうしたものか……)
二の腕から伝わるくぅろの柔らかさと体温。寝間着越しにも関わらずその豊満な胸の感触に張りを感じ、八雲はこの感触を毎晩悩まされると同時に、男子高校生としての嬉しいシチュエーションを感じていた。
一誠が見れば喜びそうな光景だが、一誠も一誠でリアスに抱き枕の様に抱き付かれている事など、八雲は知らない。
(悩んでも仕方ないよな)
そう思い、八雲はくぅろの肩をゆっくりと揺らす。
「くぅろ。起きろよ」
「……………ぁれ?」
寝惚け眼のままくぅろは目を覚まし、八雲は腕を離してはベッドから抜け出した。
「おはよう」
「……………ぁ、ほぁよぅごぁぃましゅ……」
「ほら。顔を洗って、鍛練の用意しなよ」
「……………ふぁい」
ゆっくりとベッドから出ては洗面所へと向かうくぅろを見届け、八雲は鍛練の準備を始める中、コゲンタが話し掛ける。
『最近、くぅろの奴は寝不足だな』
「そりゃあ、毎晩寝る前まで激しく求めるからな。俺も受ける際は疲れるさ」
『……確かに、神器を通して八雲の苦労は感じてるぜ。男の性って奴だろ? 毎夜毎夜とアンアン鳴かれちゃ、色々保つのに疲れるしな』
その表現の仕方に八雲は苦笑するしかなかった。
因みに、くぅろは毎晩八雲とのスキンシップを激しく求めており、八雲はそれに応える様に、時に繊細で大胆に撫でてやり、気持ちを落ち着かせているのだ。
無論、性的な事は一切行っていない。寧ろ、くぅろも頭や背中を撫でてもらうだけで十分満足しているのだ。
「それじゃあ、今日もやりますか」
窓を開け、空を見上げる。
雨雲の心配も無い、爽やかな朝。
絶賛、鍛練日和であった。
◆
「イッセーの家で、ですか?」
暫くして、何時もの公園に何時ものメンバーが集まり鍛練を行う中、リアスが不意に話し出した。
「ええ。今日の放課後のオカルト研究部会議は、イッセーの家で行うわ」
「えっと……どうして、ですか? うごご……」
それは一誠も初めて聞かされ、八雲との上体反らし中にリアスに訊いた。
「そろそろ旧校舎の中を全体的に掃除する時期なのよ。だから今日、使い魔達に掃除させようと思って」
「「なるほど……」」
納得する八雲と一誠。だが、八雲は悩む様に呟いた。
「なら、あの事は後日部室で話すか……」
「あら、何か悩みかしら?」
呟きに反応したのか、リアスは八雲に訊いた。
「悩みと言うか……最近、ポストにこんな物が入ってるんですよ」
取り出したのは、輪ゴムで纏めたハガキの束。それをリアスが受け取り1枚だけ見ると、文面を見ては苦笑した。
そして気になったのか、一誠とアーシアも許可を貰い、それぞれ手紙を拝見した。
「……部長、何て書いてるんですか?」
「これは……悪魔文字でしょうか?」
「アーシアの言う通りよ。冥界から八雲の家に届けられた、謂わば勧誘の手紙ね」
そう。八雲がリアスに渡したのは、上級悪魔達が八雲宛に送った“転生悪魔のスカウト”の手紙だ。
この様な事が起こったのは、ライザー眷属とのレーティング・ゲームが発端だった。グレモリー家やフェニックス家に縁のある一部の悪魔が、偶然にも八雲とシキガミ達の活躍を見てしまい、それが瞬く間に広がったのだ。
それに伴い、八雲を是非とも我が眷属にしたいと両家に話しを持ち出したが、非公式と言う事もあり、グレイフィアやサーゼクスが丁寧に断り大半の者が諦め、諦め切れずにアピールしているのが、現在の手紙を送る悪魔なのだ。
「ナナヤに翻訳してくれた時は驚きました。七十二柱の悪魔もいるみたいですよ」
「アモン家、べリアル家、アガレス家……どれも有名なとこ……………って、えっ、ベルフェゴール家にアバドン家って、どれだけアプローチされてるのよ……」
どうやらレーティング・ゲームでの上位チームの手紙もあるらしく、アプローチの凄まじさにリアスは呆れるしかなかった。
「スゲーな吉川! でも、どうして吉川だけに手紙が来てるんだよ」
「……シキガミ達の活躍に興味が出たんじゃないか?」
「確かに……。どの家も大戦を生き抜いているから、シキガミの事も知っている可能性が高いわね」
そう言い、リアスは口に手を当てて考えようとするが、八雲は口に出した。
「そんな事より、鍛練を再開させましょうよ。来週には球技大会がありますしね」
「……確かにそうね。それじゃあ近い内、部活動中に球技大会へ向けての練習を入れるわよ」
そして、八雲達は鍛練を再開したのだった。
◆
「……………」
時間は過ぎて、昼休み。
モグ、モグ……
ズ……ズズ……ズ……
ムシャ、ムシャ……
バリツ、バリツ……
現在、食堂で好物の牛丼を食べている八雲の正面に、見知った人物を含めた3人が座っては見つめていた。
取り敢えず、見つめられていては食事が取りにくいので、一旦八雲は箸を置いて訊いた。
「……えーっと、何か俺に用ですか? 支取会長」
その人物とは、支取蒼那ことソーナ・シトリーだった。
学園でも珍しい組み合わせなのか周りの生徒は声を掛ける事が出来ないでいるが、興味があるのか2人の姿を生徒達は気にする様に見ていた。因みに、一般生徒がいる前、八雲はソーナ会長ではなく支取会長と呼んでいる。
そんな中、声を掛けられたソーナは口を開いた。
「この前のゲーム、優勝おめでとう。それと、リアス達に協力してくれてありがとう」
「いえ、あの試合は皆が力を合わせたおかげで勝てたも同然。俺だけの力じゃ無いですよ」
「謙遜なのね。嫌いじゃないわ……」
小さく微笑んだ瞬間、ソーナは表情を戻しては本題に入った。
「吉川八雲くん。あなたの人柄、学園での態度、そしてゲームで見せた力、どれも素晴らしいわ。是非とも、生徒会に入って欲しいです。今なら好待遇で迎え入れますよ」
「……それって、つまり支取会長の眷属になって欲しい、と……」
肯定する様にソーナは頷くと、そこから上級悪魔の交渉術が始まった。
冥界に来た際の特典やサービス、システムの説明が載った書類説明から、悪魔による仕事方法や学園におけるメリット等、ソーナの巧みな話術が八雲の勧誘を続けていた。無論、一般生徒からは悪魔に関する言葉を悟られない様に話して……。
そして、ひとしきり説明を終えたソーナは再び八雲に視線を向けて返事を待つと、八雲は口を開いた。
「……すいません、支取会長。俺は悪魔になる気はないです」
「え……。そ、それはどうして……」
それは否定の言葉だった。さすがのソーナも一瞬だけポカンとした表情をする中、八雲は理由を言おうとしたが説明は出来なかった。
『ボクが説明するよ、八雲』
何故なら、新たなシキガミが霊体となって現れたからだ。
現れたのは、イルカに似た魚人的な外見を持ったシキガミ。肩で鋭利な刃の銛を担ぎ、ソーナを前に対面しては話し掛けた。
『こんにちはソーナ・シトリー。ボクは消雪のタンカムイ。“安定”を司るシキガミさ。キミの事は、ソーナちゃんって呼ばせてもらうよ』
「え、えぇ……。――では、何故吉川くんが転生悪魔になりたがらないのか、説明をお願いします」
『それじゃあ言うよ。それはね……ボクらが反対なんだよ。八雲が転生悪魔になるなんて』
非難めいた表情をしながら、タンカムイは説明し続ける。
大戦時、シキガミは多くの種族に手を貸していたが仲間にはなっていない。あくまで中道を歩み、契約上でのみ手を貸していたに過ぎなかった。
一方の種族にのみ力を貸しておけば、他種族から反感や憎悪が向けられ、その結果はシキガミの絶滅へと繋がってしまうからだ。
その教えは、長きに渡ってシキガミ達が守ってきたもので、八雲もシキガミ達の教えを尊重した結果なのだ。
『これが理由さ。まぁ、ボクらは八雲が転生悪魔になりたいのならいいんだけど、八雲はボクらの教えを尊重してくれたんだよね。――ホント、心配してくれて嬉しかったよ』
「……………」
穏やかに微笑むタンカムイを見て、ソーナは八雲が如何にシキガミを大切にしているのか理解した。
自分の私利私欲の為に使わず、相手を思いやる行動を見せられ、ソーナは瞳を閉じては言った。
「……そうですか。少し残念ですが、仕方ありませんね」
少々名残惜しくも、ソーナは八雲に微笑んでは八雲の勧誘を諦めたのだった。
すると、立ち上がったソーナに八雲は口を開く。
「支取会長。勧誘はダメですが、困った時があれば手を貸しますよ。それだったら、
「いいのですか?」
『無茶苦茶なお願い以外ならね』
「……分かりました。いい関係を築きましょう」
そう言い、ソーナは食堂を出たのだった。
暫くソーナが出た場所を見つめる中、八雲は問い掛ける。
(もし、リアス部長やシトリー会長以外の悪魔が来て、勧誘してきたらどうするか……?)
『その時は、また説明すればいいんじゃないかな?』
『もし無理矢理にするのなら、オレ達が追い返してやるよ』
(……ありがとう、タンカムイ。コゲンタ。――まあ、追い返す際は穏便に、な……)
言い終わり、八雲は昼食を再開したのだった。
◆
それから暫くして、放課後。
一誠達は鍛練時に言われた通り、一誠の自宅に集合していた。
「で、こっちが小学校の時のイッセーなのよー」
「あらあら、全裸で海に」
「ちょっと朱乃さん! って、母さんも見せんなよ!」
だが、放課後に行うオカ研会議は一誠の母親が持ってきたアルバムで崩壊した。
「……イッセー先輩の赤裸々な過去」
「小猫ちゃんも見ないでぇぇぇぇぇ!」
同時に一誠の涙腺も崩壊していた。
「小さいイッセー……幼い頃のイッセー……」
ふんすと少々鼻息を荒ぶりながら、リアスは頬を染めている中、アーシアがリアスの手を取った。
「私も何となく、部長さんの気持ちが分かります!」
「そう、あなたにも分かるのね。うれしいわ」
瞳をランランと輝かせ、2人だけの世界へと入ってしまうのを一誠が見る中、不意に扉が開いた。
「ただいま戻りました」
「ただいまです!」
現れたのは八雲とくぅろ。手には本を持っており、それをリアスに渡そうとしたが……。
「あらあら、お疲れ様です。――まあ……」
横から朱乃が介入してはその本を取ってしまい、開いては頬を染めていた。
八雲が持ってきた本……それはアルバムだった。
一誠の母親がアルバムを見せた際、小さい頃の八雲はどうだったのかリアス達が訊いてきたので、八雲は律儀にもアルバムを取りに一旦戻っていたのだ。
朱乃を筆頭に、小猫と一誠も八雲のアルバムを見ていた。
「最近の写真ばかりですが、持ってきました」
「吉川。表彰台に立ってるって、何の大会なんだ?」
「この写真は去年行った武道大会で優勝した時のヤツだ。格闘技部門のな……」
「あらあら。では、こちらの集合は?」
「駒王町に引っ越す前、友人達と最後に撮った記念撮影です」
「……八雲先輩。この猫と一緒に写ってる写真は?」
「ん? ああ、そいつは中学の頃に見つけた野良猫だよ。怪我してたから看病したんだけど、怪我が治った途端にどっか行ったよ」
各々に写真の説明を八雲がする中、不意に一誠が祐斗に気付く。
「……って、おい! 木場! それは見るな!」
祐斗が別のアルバムを見ていると、咄嗟に一誠が飛び掛かってきた。だが、祐斗は軽快な動きで避けていく。
「ハハハ、いいじゃないか。もう少しイッセーくんのアルバムを楽しませてよ」
「イッセー。あんまり暴れるなって」
「うぉっ、吉川! 離せぇぇぇぇぇっ!」
羽交い締めにして一誠の動きを止めた八雲。
するとその時、祐斗の視線がとあるページに止まった。その視線は、何か予想外のものを見つけた様子だった。
「どうした、祐斗?」
祐斗の様子に疑問を思った八雲は、一誠と共にそのページを覗き込んだ。
そこには、園児時代の一誠と同い年の園児が写っている写真のページだった。
「……凄いな。同い年の子にコブラツイストを掛けられているのか、イッセー」
「待て待て! 木場の視線とは違うだろ!」
一誠の訂正に、八雲は祐斗の視線の先にある写真を見ると、そこには一誠と一緒に同い年の園児と、その父親らしき人物が写っている写真だった。
祐斗は園児の父親……正確にはその人物が携えている模造品らしき剣を指差して訊ねた。
「これ、見覚えは?」
真剣に問う祐斗の声が何時もより低く聞こえた。
「うーん……………いや、何分ガキの頃過ぎて覚えてないけどな……」
「こんな事があるんだね。思いもかけない場所で見かけるなんて……」
一誠が一人ごちている中、祐斗は苦笑を浮かべていた。
「……祐斗?」
八雲は心配するが、祐斗の目には寒気がするほどの憎悪で満ちていた。
「これは聖剣だよ」
そこには、何時もの祐斗の面影は無かった。
◆
「……………」
「ん~♪」
その日の夜。八雲は自室にてくぅろに膝枕をしているのだが、その視線はくぅろに向けられておらず、天井の一点を見つめていた。
「御主人様、何か考え事ですか?」
「ん? ああ……。祐斗の事がな……」
どうやら、祐斗の事で考えていた様だ。
アルバムを一通り見た後、何時もの様にオカ研会議が始まったのだが、祐斗は難しい表情で何かを考え込んでは話に参加しなかった。
それは祐斗らしくなく、八雲は心配しているのだ。
「確かに……あの後の祐斗さん、何だかボーッとしてましたね」
「聖剣に反応してから、な……。しかし、あの憎悪を滲ませた瞳は尋常じゃなかった……」
「何かあったのでしょうか? 祐斗さんと、聖剣との間に……」
「……機会があれば話でも訊いてみるか。――それじゃあ寝るか」
そう言いながら、八雲はくぅろを退かしては改めてベッドに寝転ぶと、その隣にくぅろが寝転んだ。
「おやすみなさい、御主人様」
「ああ、おやすみ……」
そして目を閉じると、八雲は眠る前に思い付く。
(……少し、相談してくれるか?)
そう思い、意識を“二十四気の神操機”へと向けたのだった。
◆
『……………ふぅ』
“窓”が連続で開いては閉じ、開いては閉じの繰り返しが終わり、広い空間が出現しては八雲は足を地に着き、前方に見える一点を見る。
夏の草木を抜けた先にあるのは、野点を行う時に見る傘と
「八雲ー! こっちだー!」
そして、そこに集まっては鎮座しているシキガミ達の内、コゲンタが声を掛けてきた。
そう。ここは“二十四気の神操機”の精神とも言える中なのだ。その証拠に八雲は霊体であり、シキガミ達は実体を持って過ごしているのだ。
実は、八雲が“二十四気の神操機”の中に潜るのは数回程行っていた。特にライザー戦の後、こうして寝る前にはシキガミ達と話し合い、幻想的な景色を見ては野点を行うのだ。
『何時もすまないな。ちょっと相談してくれるか?』
「いいですよ。あ、お茶ですが……」
そう言いながらクラダユウは茶を点てて八雲に差し出し、それを飲んだ八雲はホッと一息ついた。
因みに、野点に出される物で八雲は腹を満たしてはいない。あくまで雰囲気で行っているものだ。
しかし、シキガミ達は腹を満たせている。出される茶菓子や茶は、八雲が摂取する食事、又は空気中に漂う微量な魔力や氣によって作られた物。別に形作っては口に運ぶ事もしないでいいが、これも気分の問題なのだ。
「それで、悩みとは木場の事か?」
そんな中、唐突にフジが訊いてきたが、八雲は頷いて肯定した。
因みに、野点に集まっているシキガミ達は全員ではない。コゲンタ、クラダユウ、フジを入れて5人だけであり、他のシキガミは四方を囲む景色の何処かにいるのだ。
それから八雲は祐斗の事を話すと、各シキガミは悩みながらも言葉を返す。
「確かに心配だよな」
「あの木場の憎しみは異常だった。聖剣に恨みでもあるのか?」
祐斗と模擬戦を交わした事のあるフサノシンとフジ。
「でもなぁ……」
「どんな悩みなのか分かんねぇからな……」
腕を組んでは悩むホリンとコゲンタ。
そんな中、クラダユウは手を挙げて言った。
「あの、祐斗さんの悩み事を占いで探りましょうか?」
『占い?』
「ある程度の事なら、わたくしの祓々で探る事が出来ますよ」
クラダユウの言葉に暫く考え、八雲は頷いた。
『……頼む。聖剣との関係だけでも知れればいいからな』
「分かりました。――陰陽錫杖祓々よ。少年騎士と聖剣の因果を、我に教えたまえ……」
クラダユウが構えた祓々が、浮かんでは回り始める。
回転は次第に速度を増し、輝きを放ってはクラダユウの目の前に倒れると、クラダユウは口を開いた。
「……断片的にですが、祐斗さんの関係が浮かびました」
『どうだった?』
「……教会……悪意……復讐……。どうやら、聖剣との憎しみの関係が強いです」
『憎しみ、か……』
「しかし何故、教会が浮かび上がるのだ? 木場は悪魔だから教会とは無関係だと思うのだが……」
「そこまでは分かりません。あくまで聖剣との関係ですので……」
フジの言葉にクラダユウは首を横に振ると、八雲は立ち上がる。
『取り敢えず、聖剣に向ける憎悪は教会に関係する様だな。ありがとう、クラダユウ。それと皆も……。そろそろ寝るよ……』
「おう、おやすみ」
「おやすみなさいませ、八雲さん」
シキガミ達と言葉を交わした八雲は消える様に、“二十四気の神操機”から出たのだった。
そして、クラダユウの言葉の意味を、後に八雲は知る事となる。
それが、今回の騒動の始まりでもあった……。