見渡す限り赤 それは視界を埋め尽くす程だ。肉の腐敗した匂いが辺りを覆い尽くしている。
「なぜこうなったッ...!」
俺は二人の子供を抱き抱えながらそう叫んだ。
俺は両親の顔を見た事がない、一緒に居た記憶すらなく、自分が名前を付けられたのかすら知らない。
「全く、嫌になりそうだ」
俺はそう言いながら今日も死徒を葬るまるで機械のように。 上の命令に従って来てみればこの有様だ、人なのかすらも分からない肉塊や手足が散乱にしていて、まだ動く人間もいるが、錯乱しているのか狂ったように喚いているだけだ、最早生きているとも言い難い。
「もう死体にも慣れてきたな───」
おれは小さい頃に代行者のおっさんに拾われた、とても優しくて、血の繋がっていない俺にもまるで実子のように接してくれた。ふと思った、おっさんが言っていた死徒とやらに、この幸せを壊されてしまうのかもしれないと、だから俺は、今を守るために代行者になりたい、そう、おっさんに言ってみた。おっさんは急に顔を変えこう問いかけてきた。
「一瞬の油断・隙が死に繋がるほどの危険なものだ、後戻りはできないぞ、いいんだな?」
「 ああ,必ず強くなってやる」
それからおっさんは、俺に戦い方のノウハウや知識をみっちり叩き込んでくれた、特におっさんは黒鍵という武具に長けていたらしい。修行はとても辛く果てしないものだったが、その分得られる成果は大きかった。
俺の身長がおっさんの背を超えた頃だろうか。いつもの場所でついたかと思うと、こう言ってきた。
「もうお前に教えることは無い」
「それじゃあ、訓練は終わりってことか?」
「ああ...訓練は終わった、だが本番はこれからだ、埋葬機関への申請は終わらせてある、行くぞ」
「ちょ....ちょっと待てよ、まず埋葬機関って」
その日、俺とおっさんは埋葬機関本部に行き、機関について話を聞いた俺は自分から志願した、こうして俺は代行者見習いになり、初任務を受けた、本来は任務中おっさんに訓練の成果を見てもらうはずだった...しかし、突然、いるはずのない死徒二十七祖の1人が現れ、俺とおっさんの前に立ちはだかった。
「ッ!?、下がれ!お前は逃げるんだ!」
「でも、それじゃおっさんが!」
死徒がこちら向き、鋭い視線が刺さる。
「話は終わったか?いつまでも話されていては、こちらも暇なのでな」
「何千年も生きてるくせに、この程度で苛立ちを見せるとは、沸点が随分低いんだな。死徒!」
「苛立ち?そのような感情を見せた覚えは無いが...どうやら、あまり感受性がないようだな」
俺は段々死徒の見下すような態度にイラつきを覚えてきた。
「随分死徒はおしゃべりなんだな」
死徒がこちらへと視線を変える。
「言ってくれるじゃないか...小僧、小さい癖に口は効くようだな」
周りの空気が張り詰まり、死徒から殺意を感じられる。
「おっさん!ホントに行っていいのかよ!二人でやった方が
おっさんが話を遮る。
「馬鹿野郎!お前がいてどうなる!何も変わらないのなら、被害が少なくすんだ方がいいだろ!」
「こんな状況だが!、お前の名前はなんだ?」
「覚えてない...あるかどうかすらも分からない!」
「なら!お前の名は今日から壱輝だ!、1番上で輝いて、誰かの暗闇を照してやれるようなヤツになれ!」
「ッ...!分かった...」
俺はおっさんを背に走った、走った、無我夢中に走り続けた、息が切れる頃にはおっさんはもう見えなくなっていた。
俺はそれから、おっさんと暮らしていた山小屋を後にし、世界中を転々としながら、修行や死徒狩りしている。
ある日、いつも通り修行ついでに死徒狩りをしていると、埋葬機関から珍しく電報が来た。
緊急、ロアの転生体がフランスの田舎町に現出、早急に向かわれたし、※パスポートは埋葬機関により不要である。
と書かれてある、
「フランス?これまた縁の無い国だな、行くのは平気だが、俺フランス語話せたっけ...まぁいいか、どうにかなるさ。ていうか、パスポートいらないんだ、すげぇな」
俺はクローゼットから法衣を取りだして着衣する、横の引き出しを開けて大量に入っている黒鍵の柄を数百本取り出して、法衣の中にしまう、魔術回路を起動し、魔力の流れを確認する。
「よし、準備万端だな...そういえば前に上のお偉いさんがパイルバンカーがどうとか言ってたな、面白そうだし機会があれば話を聞いてみるか。」
俺は1階に降りて、宿の人にチェックアウトと伝える、この宿は良かったな...これの前の宿は嫌だったなぁ...ベッドは汚いし、食事も少なかったりで散々だった...
「あいよ、ご利用してくれてありがとね」
いや、最高の宿すぎて最早こちらがお礼を言いたいほど!
「いえいえ、最高の宿でしたよ。そういえば、なぜ木を置いているのですか?」
「あぁ、これはクリスマスツリーと言ってね、知らないかい?」
「はい、クリスマスという行事があるのは知っていたのですが。ツリーとやらを作ることは知りませんでした」
「このツリーの意味はね、古代から続く永遠の象徴なんだとさ」
「なるほど、それは素敵ですね」
「でしょ?、それもあるけど、どうだったこの宿は?」
「最高の宿でしたよ、ご飯も多くて美味しいし、ベッド綺麗だったりで」
「そうかいそうかい、それなら良かった...もしかして、今週中にはこの街を出ていく感じなのかい?」
「はい、上の方から命令が降りましたし、最初から観光目的ではなかったので。」
「あら、それは大事ね、頑張ってちょうだい。またのご利用をお待ちしてるからね」
「はい、では!」
俺は宿を後にし、空港へと向かっている。そう言えば、初めて飛行機を目にした時は凄かったな、まぁ、あんな鉄の塊のようなものが飛んでいるなんて、始めて見れば驚くに決まっている。乗ろうとは思わなかった、あんなもの落ちればタダでは済まないと思ったからだ。自分がまだ未熟だった頃だからな...だが、今は違う。
「初めて乗るな、どのような感触なのだろうか」
初めての飛行機にワクワクするようなドキドキするような感覚で、搭乗する。これは...以外に悪くないな、昔に乗りたくないと思っていた子供の頃が悔やまれるほどだ。
「まぁ、思っていたよりかは良いな」
そうして俺は、フランス行きへの飛行機に乗った、他の観客は何やら楽しそうだ。そう言えば今日は、クリスマスというお祝い事がある日らしい。そういえば、おっさんに教えて貰っていたな、詳しく聞くのを忘れていた...まぁ良い、俺は死徒狩りが出来ればそれでいい、気にする必要なんてないさ。
お、着いたようだな。今回何が起こっているかあまり詳細が電報に書いてなかったからな、気を引き締めて行くか。
空港を出ると、どうやら夜になっていたようで、月の光とは真逆な人工の光が人や大地を照らしている。周りを見ると、親におもちゃでも買って貰ったのか、とても上機嫌な子とその親や、腕を組んで歩いているカップルなど様々な人を見た。なんとも平和そうだ。
「電報に書いてあったのは田舎だしな、ひとまず都会は大丈夫だろう、時間が少ないかもしれない、早く向かわなければ」
「よし、行きますかね」
俺は魔術回路を廻す、足に魔力を込めそして飛躍する、あぁ、今俺は空を、そう!空を飛んでいるのだ!。これは別に不思議パワーで浮いているのではなく、空気を蹴っているのだ!これを習得するのに何年かかったことやら...
「目的地は...ッ!?なんだこの殺気は...西の方向か!」
俺はさらに魔力を込め、西の方向に急いだ。
「随分と派手にやられたようだな...」
目的地らしき村に着いてみると、なんとも酷く、惨たらしい惨状だった。人は喚きながら逃げ惑い、生きてない者は最早人とも言い難いほどに形を失っていた。
「入り口でこのザマなら、奥はどれほど酷いのか...」
俺は恐る恐る村の奥へと進んでいく、奥へ奥へと行く度に紅がより濃くより多くなってきている、そして...
「おや、人間か?また1人...餌になりに来たってかぁ!」
「チッ...!邪魔をするな」
俺は飛びかかってきた死徒を狙って、黒鍵を投擲し、首を飛ばした。摂理の鍵による攻撃を受けた死徒は塵となって消滅した。
「これで一体か...この光景から見ると、気が遠くなりそうだ」
そうして、かかってきた死徒を次々狩っていると、あるレストランが目に入った。ん...人?人だ!少女と男があそこにいる!。俺は魔力を込め広範囲に大量の黒鍵を投擲し、周囲にいる死徒を一掃して、に向かう。
少女と男は方向的に教会に向かって走っている。
「ちょっと!そこの2人待ちなさい!」
かなり距離が離れているからか、中々追いつくことが出来ない。そう思っていると。横から死徒が男に飛び掛り首元に噛みつき血を吸っている!
「チッ..!」
一瞬遅れて黒鍵を投擲して死徒を仕留めるも、男は既に息絶えていた。
「ちきしょう!....また俺は救えなかったのか!」
俺はいつもそうだ!目の前の命を救えない!後一歩届かないッ...!何故だ!何が悪かった......いや、違うよな、今は怒りに飲まれている場合じゃない!過去ばかりに囚われていては、目の前にある命すら救えない!
「あっ...あの子はどこに行った!?」
少女を探すと、協会の扉が空いている...どうやら中に入ったようだ、俺も協会に入り床に座り込んでいる少女に話しかけた。
「君、お父さんやお母さんは?」
「お母さんもっ...お父さんもっ...死んじゃった...グスッ」
少女は涙を堪えていたのか、目からポロポロと涙が出ていた...辛かっただろうに、よく出来たね。
「話してくれてありがとう、もう大丈夫だから安心してもいいよ」
「とりあえず、君はここにいて、良いね?」
「う...うん!でも...1人は怖いよ。」
「大丈夫、すぐに戻ってくるから。」
俺は協会から退出し、他に生存者がいないか周囲を飛び回っていると...ッ!?何百mも先で、誰かが戦っている! ここからではよく見えない!。
「他の代行者が戦っているのかもしれない、援護に行行くしかないか!」
そうして俺は足に魔力込め跳躍し、戦いが起きている場へと向かった...そして数十メートルに差し掛かった所で...
「ん?あの白い服は...アルクェイド・ブリュンスタッドか!何故真祖がここに!?...まぁいい!相手はあのロアだ、これ以上頼もしい味方はいない!」
「....」
「ぐッ!...やはりやるな真祖の姫君よ!」
「黙れ、大人しく息絶えよ、アカジャの蛇」
この状況で共闘を申し込むのは無理そうだな...牛等から援護をするか...あの先頭に入っては返って足手まといになってしまうかもしれない...
俺は普段より多量の魔力を注ぎ込み、ロアへと投擲した。黒鍵は鋭さと速さが増し、ロアの胸へと突き刺さった。
アルクェイド・ブリュンスタッドがこちらを向いた。赤い...紅い瞳だ、見ていると引き込まれそうにってしまう程の美しい赤だ...いかんいかん、今はロアに集中だ。
「......」
「真祖の姫君よ!我が糧とな...ッ!、グッ!」
ロアは苦しそうにしていたが、すぐに回復し、大声を上げて怒鳴っている。
「だっ、誰だ!我の戦いに水を差す奴はッ!」
「それは俺だ...初めまして、ミハイル・ロア・バルダムヨォン、お前を祓いに来た。」
「代行者かッ!」
「あぁ、そうさ」
俺は後ろにいるアルクェイドに向かって発言する。
「真祖の姫君、アルクェイド・ブリュンスタッドよ、ここは1つ、共闘と行かないか?」
「我は死徒を狩る、それだけだ、なれ合いなど必要ない。」
「まぁ、だが、2人の方が勝率が上がるのは間違いない、足を引っ張るなよ、人の子よ」
「あぁ、そちらこそな」
「言ってくれるな、人の子よ」
「良くも戦いを邪魔してくれたなァ!?お前から仕留めてやるよ!」
ロアが俺に向かって攻撃を仕掛けてくる、怒っているのか単純な攻撃ばかりで、全て回避することが出来た。
「アルクェイド・ブリュンスタッド!」
「言わなくても、わかっておるわ、」
アルクェイド・ブリュンスタッドは空想具現化によって鎖を作ると、ロアを拘束した。
「よし!今だ!」
俺はロアに駆け寄ると、洗礼を始めた。
汝の魂に刻まれた物は、
邪の物か、主の物か
裁きの炎でわかるでしょう。
焼かれ焼かれた魂は
やがて、 真実を語るのです。
祈りは風に、罪は嵐に。
生きとし世の裁きなれば。
優しくも激しい炎がロアを包み込んで浄化していく。
「まだッ!まだだ!悲願果たせず終われるものか!」
「いや、終わりだ、ミハイル・ロア・バルダムヨォン、汝の魂、浄化したり。」
「グッ...ウガァァァァ!!」激しい声をあげて、ロアは転生体の体から出ていった。
転生体は小さな女の子だった...俺は悲しみに包まれ、そして叫んだ。
「なぜ、こうなったァ!」
とてつもない罪悪感と無力感が心を蝕んでくる。
「ごめん...ごめんな...痛かったよな、苦しかったよな、でももう終わったんだ、今は安らかに...どうか休んでてくれ。」
俺は気絶している少女にそう語り掛けた。
「あ、しまった!協会にいる女の子!」
俺は気絶している転生体の少女をおんぶし、教会へと向かった、中に入ると、女の子が抱きかかってきた。
「遅い...遅いよ!グスッ、早く来るって言ったじゃん!」
「ごめんね...約束破っちゃって...」
「う...ううん、でもいいの、忘れずに会いに来てくれたから!」
少女は涙を拭うと、満面の笑みで答えてくれた。
そうだ、俺は色んな人の闇を照らして、笑顔にするために代行者をやっているんだ、その目的を忘れていたなんて...
「ありがとう...何か、大事なものに気付けたよ。」
「大事なもの?、よく分からないけど、おめでとう!」
「そういえば、君の名前はなんて言うんだい?」
「私の名前はノエルっていうの!、素敵な名前でしょ?」
「うん、素敵な名前だね」
「えへへ〜、でしょ?、じゃあ、今度はわたしから質問ね、お兄さんの名前は?」
「あぁ...僕の名前は壱輝さ」
主人公 プロフィール
名前 壱輝
性別 男
性格 基本は誰にでも優しく接する。
身長179cm 体重 80kg
身体能力がとても高く、怪力などを持っている。